全4件 (4件中 1-4件目)
1

田中さんの亀を題材にした新作です。石の上に2匹の亀が折り重なるようにして休んでいるのでしょうか? なにかいろいろなことを想像してしまう作品に仕上がっています。2匹の亀の特徴にも凄く興味を引かれますが、田中さんは実際の亀の姿を少しアレンジを加えながら表現しているようです。亀といえばとてもゆっくりとした動作で動きます。そのこともあってこの作品を見ると何故かゆっくりとした時間、私自身の目もゆっくり動くような不思議な感覚に誘われてしまいます。こういった不思議な感覚に入ってしまうのは、実を言うと田中さんが仕組んだ画面の空間(特に背景)の取り方に大きく影響してるように思います。作品を鑑賞するとき、画面の中に描かれた主人公にまず目がいくのが普通です。人物であったり、風景にしても大事な場所に目がいきます。その主人公を中心にしてその絵画全体を見ようとしますが、これを絵画の中でのハーモニーと言います。絵画では4つの大事な要素があり、そのうちの一つがこのハーモニーです。あとの3つはリズム、ユニティー、コントラストというファクターが存在しますが、話すと長くなるのでここでは、ハーモニーだけ取り上げます。田中さんのこの絵画を見ると最初に目がいくのは2匹の亀ではないようです。背景のとても強く塗られた黄色に目がいく感じがします。そこから亀に視点が移動していくわけですが、最初に意識させられた背景である黄色が目の奥にどうしても残っています。そして2匹の亀の目線を見てください。上を見上げています。画面の中では背景である黄色を見上げているのです。でもそこには黄色しか見えません。私たちは黄色の背景の中に何があるのだろうと一生懸命想像してしまいます。鑑賞者は背景の黄色から亀に目線が移動し、それからまた背景である黄色に目が戻っていきます。そしてまた亀に目線が移動し、鑑賞者はその繰り返しの中に画面のハーモニーを感じながら、一体亀が見てるのは?不思議な感覚ですが、画面に見えないものは何なのか、鑑賞者に謎解きを迫っているような不思議な作品になっています。そしてそれは暗い感じではなく、とても明るく光を感じるような謎解きを投げかけているようです。不思議なハーモニーを感じさせる作品になりました。
2023/09/28
コメント(0)

KONさんの微笑ましいストーリーを感じる新作です。この絵の中にいる主人公は左手前に見える猫ちゃんでしょう。塀によじ登って景色を見ている姿には思わず笑ってしまいます。どんな顔をしているのか、なんだか目の奥に浮かんでくるようです。そしてこの猫は子猫ですね。必死で塀によじ登って池の水面に浮かんで見える林の景色に驚いているのか、はたまた池に映る空の色に驚いているのか、私たち鑑賞者の想像力に刺激を与えてくれるイメージがこの作品にはあります。KONさんの作品は童話のような柔らかい物語を感じるイメージが溢れているようです。今回の新作は、そういった物語を感じさせるイメージに加えて、絵画として色に対する味、そして画面を作る構成力にも一段と大きな進歩が見えてきました。色は単純な選択から生じる色合いではなく、どうすれば深みを感じることのできる色合いを見せられるか、かなり試行錯誤されたように見えます。制作途中で行ったり来たりと右往左往する迷いの時間を感じます。でもこの迷いの時間があり、そこからやっと選択できた色というのはどういうわけか、色そのものに尊さを感じます。KONさんの今回の絵からそういった色に対しての尊さを強く感じます。また画面構成にしても主人公である子猫をあえて画面の下隅に配置しました。そうすることによって大きな広い空間を感じさせる構図になったと思います。そのこともKONさんの絵画に対する大きなステップになったように感じます。私は童話のような優しい思わず微笑んでしまう様な作品を制作するKONさんに大きな拍手を送りたいと思います!!!
2023/09/21
コメント(0)

小倉さんがオーストリアに旅したときに感じた夕暮れ時の町並みを表現した1枚の絵です。ヨーロッパの町並みには日本にはない深い文化を感じると小倉さんは言ってました。そしてそこにある空気、香り、光を表現できれば良いなとつぶやいていました。小倉さんは決して町並みの風景を写実的に正確に表現しようとしていません。というより、この場所で感じた空気感、光明感に対する印象の正確さを求めているように感じます。20世紀初頭にヨーロッパで生まれた印象派、そして野獣派(フォービズム)、或いは表現主義の絵画と似通った要素がこの絵から感じられます。それらの流れには写実と言っても全て作者自身の心のフィルターを通した表現がメインの柱として存在します。ゴッホ、モネ、マティスなどの絵画には自然に対して作者の感じた印象が光り、空気などを媒体として表現されています。小倉さんの絵画にはオーストリアの町並みを表現していますが、そこには小倉さん自身がこの風景から感じ取った印象を、また小倉さんの心を全面的に表現したのだと感じます。私はこの絵画を見て、風景の写実と言うより小倉さんの熱い思い、圧倒される空気そのものを全面から感じさせられます。夕暮れ時だと思いますが、建物の中から放たれる光、そして旗の揺らめき、風船からはこの場所に存在する空気、風、道の石畳からは人々のざわめき、香りなどを感じさせてくれます。それらは全て小倉さん自身がこの場所から受けた印象なのでしょう。作者が感動した印象を鑑賞者も同じように絵画を通して感動できることは素晴らしいなと思います。絵画の面白いところはこういった作者の受けた思いを絵画という媒体を通して、同じように感じられる楽しみがあるということなのかもしれません。この絵画では小倉さんは様々な原色系統の色を使い、色彩が画面から溢れんばかりに表現しています。色に圧倒される感じですね。こういった色彩もこの絵画の魅力の一つかもしれません。自然の色を無視してるわけではなく、もっと幅広く自然の持つ色彩を捉えようという意識なのでしょうか。これから小倉さんがどんな表現をするのか、とても楽しみです。
2023/09/08
コメント(0)

来週、火曜日(9月12日)から日曜日(9月17日)まで、偶然にも私が創作活動に携わっている生徒さん2人の展覧会が同じ建物で開催されます。一人は高橋幹さん 年1回同じ仲間との3人展をずっと続けています。3者3様のとても面白い組み合わせでの展覧会です。高橋さんは抽象画を描いていますが、テーマがかなり絞られてきて、シンプルな表現ですがとても深くて味わいのある表現の追求に真ん中の作品が高橋さんのも尾です。真ん中の作品が高橋さん作です。作品を前でしばらく作品との対話の時間を持つことをおすすめします。シンプルな表現ですが、微妙な変化を作品の中に仕組んでいます。それを少しでも感じられると嬉しいです。馴田香代さん 3年に1度、個展形式で作品を発表しています。具象表現もメインに制作しています。最近は時々抽象的な表現にも意欲を見せています。具象表現と言っても写実的ではありません。それよりも人体、風景、植物などを使って馴田さん自身の個人的な思い、或いは今の社会に対する心象風景を表現していると言っていいでしょう。その心象風景を表現するために人体、風景などをデフォルメします。そのデフォルメが馴田さん自身しかできない独特の味わいを醸し出しています。そこに現代の美術の力を感じます。二人とも長い間制作に関わり、私もその二人に寄り添って励ましてきました。これからもこの関係は続くと思いますが、時間のある方は是非、実際の作品を前にして鑑賞して頂きたいと願っています。そして私たちにとって大事である人間の在り方を感じ取って頂けると嬉しいです。場所 KAM展 高知市文化プラザかるぽーと7階 第4展示室 馴田香代展 かるぽーと7階 第5展示室2023/9/12(火) ~ 9/17(日) 10:00~17:00 (最終日16:00迄)
2023/09/07
コメント(0)
全4件 (4件中 1-4件目)
1


