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松尾さんは家では鉛筆とかペンを使って作品を制作することを楽しんでいたそうです。制作してるうちに鉛筆とかペンを使うことで画用紙が裂けてしまうこともあり、あまり満足いく作品にならないことに悩んでいたようです。そんな時、近所に私の教室があることに気がつき、門をたたいてきました。 私の教室は技術を教えるということより絵を描く喜びとか、絵を描くことを通して生きる喜びを感じられる空間を築くという理念を基に創設しています。 松尾さんがこの空間でそういった空気を感じ制作できるか、最初は私自身も不安はありましたが、不安は全く必要なかったことに驚きと喜びを感じました。 松尾さんには他の生徒たちと同様に10種類の絵の具を渡しました。彼女はそれらの絵の具の色が鮮やかに画用紙の上に広がっていく驚きと感動を感じ、また鉛筆とは違った筆の柔らかさと伸びやかさに松尾さんはとても魅了されたようでした。絵の具を使った制作というのは単純で当たり前のことのように思いますが、紙の上に色が広がっていく美しさを感じられる心を持つことは表現者にとって、とても大事で大切にしなければならないことかなと思ってます。 松尾さんはこの作品を描いていく上で、赤ちゃんがテーマになっているようです。今までは鉛筆で描いて、どこか堅固な赤ちゃんであったのが、筆を使って描くことでとても柔らかく、どこかユーモラスな表情をもった赤ちゃんに変化しました。このことも絵の具と筆を使った効果でしょう。画面上の黄色い背景(蓮の葉?)に描かれた5人の赤ちゃんはほとんど赤ちゃんとわからないくらいディフォルメ(省略された表現)されています。これも絵画としての大きな魅力ですね。松尾さんは今まで描く対象物を正確に表現するという概念があったようですが、筆と絵の具を使うことでディフォルメした表現でも自分の気持ちが現れていれば大丈夫と気づき始めたようです。 赤い色は水面で夕焼けに赤く染まっている表現で波も描かれています。また赤い夕焼けの色に黄色と茶色が少し混ざっていることもとても良かったですね。しっかり決めた色を塗り描くことも大事ですが、思わぬところで色が混ざってしまうのも人間の成せるワザなので、そういったことも大事だと思ってほしいと思います。よく頑張りました、松尾麻未さん!
2024/11/14
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とても力強い作品になりました。 イメージはどこか貝に繋がるオルガニックな形、或いは動物の骨格といった、強固さを感じるなかに不思議な親密さを感じる不思議な表現になっています。 濵田くるりさんは表現の中に抽象的なイメージを加味したいという思いを強く持っているようです。それは描く対象物を見たままに正確に表現することに対して、疑問を感じ始めたことからスタートしているようです。 卓上、静物、人物デッサンを繰り返し練習しているうちに、自分は一体何を求めて表現しているのか、何を表現しているのか、美術、または芸術に対して基本的な意義に対して疑問を感じ始めたのでしょう。そっくりそのまま見えたままの姿を画面に写し取ることが絵画の目的なのかという疑問が湧き上がったのでしょう。 美術の歴史は太古の時代から絶えることなくずっと続いています。それぞれの時代によって美術の持つ社会的役割も変化してきました。一人の人間としても絵画的表現する目的も変化を続けています。見えるものを正確に表現する、また見えるものを正確に写し取ることが基本であるということさえも変化している現在なのかもしれません。 濵田くるりさんはそのことに対して自身の心の中に大きな葛藤を感じたようです。自分は一体何を求めているのか? 表現を通して自身の見ようとしているのは何なのか? 自分の心と真摯に向き合い、問いかけ、試行錯誤をしているのがこの作品から強く感じます。 当然、答えはまだ見つかっていません。その答えに辿り着くには何年もかかるかもしれません。 でも自分の心と向き合い、そして必死でその答えを見つけようとする姿勢が作品に強さを植え付け、周りの鑑賞者を感動させるエネルギーを見せるのではないかと思います。正確に写真のように見える作品から受ける驚きだけの表現ではなく、濵田くるりさん自身の心を生に感じる表現から受ける心の高揚感がここからスタートするような気がしています。 今回は作品の技術的な特徴とか優れた箇所は書きません。ただ濵田くるりさんの美術に対して歩もうとしている道は間違ってなく、王道を進んでいることをはっきりと感じていることを明記したいと思います。 よく頑張りました、濵田くるりさん!
2024/11/04
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