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久保さんの新作は四国カルストの風景です。 写真を基にしてこの風景を描いていますが、写真に写った情景をそのまま描写するのではなく、絵画として画面の強弱を変えたり、色彩に対して久保さん自身が感じる色合いに変化を加えていることがわかります。 四国カルストは1000mを超える山並みの中に石灰岩のゴツゴツした岩と草原の緑のコントラストが素晴らしく、春から秋にかけてとても気持ちの良いドライブコースとなっています。久保さんはその四国カルストの風景を描いてみようと絵筆を走らせました。 私が制作の始めに久保さんに注意したことは、写真に写った風景を忠実に描こうとするのではなく、久保さんが風景を見て感じた雰囲気を大事にして、風景から受けた印象をできるだけ意識して描いてほしいということでした。 素晴らしい風景を見てその美しさに満たされた気持ちにさせられます。それをカメラで撮影することもよくあります。そして撮影した写真を基にして写真そっくりに描こうとすることもあります。ところが写真と同じように正確に描写し、完成された絵画を目の前にして、何か違うと感じることも多々あります。上手く描いているけれども何か違うなと感じてしまうこともよくあります。 では何が違うのでしょうか? 実際の風景を見たときに美しさを感じる気持ちというのは、その場所の空気、香り、風、音など、制作者自身が体全体で感じた、或いは見えないモノを感じた印象でしょう。その印象をただ視覚だけを取り上げ、写真と全く同じ表現にしても作品から感じる印象が何か足りないと感じてしまうのです。感動するというのは視覚のみの印象ではなく、風景、制作者を取り巻く見えないモノも大きく影響することに気がつかないといけません。そしてその見えないモノをどうやって表現するかということが大事になってきます。 最初にも言いましたが、久保さんは画面の色の強弱を増幅してみたり、また色にも彼女なりに感じる明るさの変化を加えています。実際の写真とはかなり違っていますが、久保さんか感じた四国カルストの印象、雰囲気により近づいた表現になったのではと思います。そして久保さんが風景を見て受けた感動が画面全体に空気、風、香りといった見えないモノまでも感じられる作品に昇華したのかなと思います。 写実的な絵画というのは写真と同じように表現することが基本になりますが、大事になるのはその写実する対象物にも空気、香りといった目には見えたいモノに包まれていることを制作者自身が認識する事が大事になってきます。 久保さんはそのことを少しずつ感じとり、表現できるようになってきたようです。 頑張りました、久保さん!
2024/05/21
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KONさんは猫とか犬を描くのが大好きです。描けば描くほど描く技術が上達するということがKONさんの作品を見て感じます。 この猫ちゃんはまるで生きていて今にも動き出しそうな感じです。それ程、猫をリアルに描くことができはじめたということでしょうか。 リアルに見えてくる猫の表現にKONさんは2点、とても気をつけて描いたことがわかります。 1点は目の表現です。特に目の中に見える光です。制作者が実物の目の色を表現しても、そこに光を感じなかったら何も感じないでしょう。そこに光を感じ、特にハイライト(光の反射)の表現に気をつけて描くと動物、自然、或いは人間の表現にしてもそこに命という大事な鼓動が生まれてきます。 この場合猫の目に見えるほんの僅かの白い点が光の反射になります。僅かのタッチですが絵の表現の中ではとても大きなパワーを生み出しました。お見事です。 もう1点は、猫の毛並みでしょう。とてもリアルな毛並みを感じさせてくれます。ではこの毛並みをどうやって表現したのかという疑問がわいてきます。猫の毛を1本1本丁寧に描いたのか?と思わせますが、KONさんはそういった時間のかかる緻密な作業はしていません。筆の使い方、絵の具の塗り方(ここではウエット オン ウエット)という技術を使っています。乾いていない下地の色と新しい色を画用紙の上で塗り重ねながら表現する方法です。パレットの中で色を完全に作ってから表現するということではありません。この方法は印象派、表現主義といった絵画にもよく使われ、また抽象絵画の表現にも応用できる方法です。 この猫の毛並みと目の光がこの作品を生き生きと輝かせた大きな要因だと思います。 猫と背景とのコントラストも良い感じになりました。猫のリアルさと背景との雰囲気の違いがより一層、猫を引きだたせているのかもしれません。近くにいる猫はディテールがはっきり見える感じ、背景はぼんやりと遠くに見える感じの違いがうまく画面を作っているのかもしれません。 ここで注意しなければならないのが、画面の統一感です。描く対象物と背景が分離してしまうと画面の統一感が失われてきます。KONさんは画面の統一感を作るために猫と背景の流れを一体化させることを試みたようですね。背景から猫に流れる、猫から背景に流れる構図を作って画面の一体感を生み出そうとしたのでしょう。 KONさんは大好きな猫を描きながら、どうすればもっと良い表現になるか、様々な新しいことにチャレンジしてることが見て取れます。 よく頑張りました、KONさん!
2024/05/18
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