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角田さんの新作は高知市展に出品した作品です。 角田さん得意の白黒で表現した平面作品ですが、大きな特徴は画面から感じられる立体的な造形でしょう。半立体、リリーフ作品と言っていいかもしれません。 角田さんがこの作品で使用した材料は漆喰という家屋の壁(外壁、内壁)に使用される日本の伝統的な建材です。西洋美術でよく使われる石膏と似通った材料と言っても良いかもしれません。 角田さんはこの漆喰を平面の上に厚く塗り、その厚みを上手くコントロールしながら平面の中に凹凸感を見せようとしているのがわかります。その凹凸を機械的に見せるのではなく、逆に角田さん自身の感情が全面にほとばしるような感性が表現できるような使い方をしています。 角田さんはそれだけでなく、漆喰をナイフのような金属製のモノで画面切り裂き、亀裂を作ろうとしているのも見て取れます。 そこから感じられるのは角田さん自身の心の内側、或いは心の中の葛藤といった揺れが伝わってきます。とても繊細で揺れ動く心を感じます。 美術作品では「不安定の中の安定」というとても大事な言葉があります。多くの人は安定を望みます。安定の中の安定というとほとんど動きがなく面白みがありません。ところが、どこか不安定そうで何か気になる、でも全体的に見ると安定した表現になっている美術作品は人々の目を強く引きつけます。角田さんの作品にはそういった不安定さも感じられます。 全ての人は、普段は外からは見えないけれども、とても大事な心を保持しています。人間が人間であるために、どうしても忘れてはいけない、大切にしなければいけない「心」です。角田さんはその心の揺れというモノを何とか視覚化させようとしてるように感じます。そして表現としてその思いが鑑賞者に上手く伝わる作品になっているのではないでしょうか。 私はこの作品の中で作品右側にある濃い灰色の部分(鉛筆による線が描かれています)にとても興味を持ちました。作品として角田さんはどうしてもこの部分が必要と感じたのでしょう。漆喰の荒々しい表現と比べると、この部分はとても静かで穏やかな印象を受けます。この部分も角田さんの心の一部なんでしょう。荒々しい漆喰の部分と穏やかな部分、それが共存している表現です。この二つの対比を角田さんがどうやって上手く融合させるのか、次のステップが見えてきたように感じます。よく頑張りました、角田さん!
2024/06/26
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徳弘さんはイラストとかグラフィックデザイン系の視覚表現に興味を持っています。 デザインは鑑賞者が表現に対して如何にそのイメージを短い時間の中で理解し、視覚として共鳴できる作品にすることが大きな目標となります。ですからデザインを発注するクライアントのことをしっかりと理解し、イメージのコンセプトを作り上げることが重要になってきます。 教室の中では発注者であるクライアントはいませんから、徳弘さんが自分自身でどういった視覚イメージにするか決めないといけません。この中で徳弘さんが特に注意したことはどんな題材を使うか、そしてその題材をどういう風にアレンジできるかということでしょう。 そしてこの作品から視覚的に理解できるのはクラゲをモチーフにしたのかな?というイメージの題材ですね。そして曲線の流れの中に見える様々な色の組み合わせはまるでステンドグラスのようにアレンジしたのでは?ということでしょう。 この表現は徳弘さんがとても明確に組み立てたイラストのように感じました。軟らかい視覚表現を感じるデザインで、もしもクライアントがいれば、何かに使ってみたいと感じる作品です。そしてとても細かい作業を経て作品を作り上げています。完成するにはかなりの時間を使っているのが判ります。でも諦めないで最後まで仕上げる意識は一番大事なことですね。 クライアントが実際にいれば、デザインの提出期限というのが決められていて、それまでに必ず提出するという時間との闘いにもなります。教室ではその時間との戦いというのは決めていませんから、まずは制作する本人(徳弘さん)自身がどこまで納得して良い表現を作ることができるかということを主眼にしています。そういう意味では今回の徳弘さんはかなり満足したのではないでしょうか。そして次の作品イメージも心の中にたくさん浮かんできてるように感じました。これから視覚表現についてまだまだいろいろなことを経験しなければなりませんが、たくさん実験して様々な表現を身につけてほしいと思っています。 美術というのは別名、ビジュアルランゲージといいます。またはビジュアルコミュニケーションともいいます。視覚を通した言語です。言語というのは自分と周りの人との繋がりを作るための道具で、社会ではとても大事な役目を持っています。デザインもビジュアルランゲージです。周りの人との繋がりを作るとても大事な道具がデザインの役目です。徳弘さんにもこういったことを理解して羽ばたいてほしいと願っています。 よく頑張りました、徳弘さん!
2024/06/16
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濵田さんは自分が持っている殻を何とか壊し、自分の更なる新しい表現にチャレンジしている最中です。 美大受験でデッサン、絵画制作の基礎を学んでくると、技術の習得という意味ではとても意味のある期間です。その反面、その技術が全てだと信じてしまう可能性も秘めています。工芸的に伝統と技術を踏襲することが一番大事と考えることもありますが、世界がどんどんと変化し、美術の表現方法も更に多様化している今日、新しい美術を目指すには若い時代に柔軟に変化できる己自身が存在することを知ることはとても大事と思っています。 濵田さんは正にその時期に差し掛かっていて、自分の殻を何とかして破ろうと試行錯誤しています。そういった中で、彼女にとって表現に様々な新しい試みを加えながら、実験する経験がとても大事になります。 私は彼女に芸術表現で大事な4つの概念を忘れないようにと言っています。それは「統一感・調和・リズム感・コントラスト」ですが、どういった新しい表現であっても、これらの4つの概念を忘れないで吟味しなさいと言っています。 濵田さんにとって、とても難しく、困難な4つの概念で、特に統一感ということに関しては以前から悩んでいました。作品の1カ所が上手くできたと思っても、他の箇所が全く繋がらないということがよく生じていました。濵田さんはこういった問題に対してどうすれば良いのか自分で解決方法を見つけないといけません。答えはたくさんあります。その答えを私がこうしなさいと指南することも出来ますが、そうすると濵田さん自身のためにはならないことも知っています。濵田さんは自分で試行錯誤を繰り返し、自分で答えを見つけることが、今までの殻を破る大きな力になると思っています。 今回の作品はかなりシュール的な表現になりました。統一感、調和、リズム感、コントラストのこともしっかり考え、感じながら作品を仕上げています。濵田さんが心から感じている表現になっているかというと、まだまだかもしれません。でも大きな1歩になっていると思います。そしてこういった試行錯誤を繰り返すことが新しい濵田さんに成長させていくのでしょう。よく頑張りました、濵田さん!
2024/06/07
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小倉さんは池に浮かぶ睡蓮の花を描いています。睡蓮の花を描いた作品で有名なのはモネの睡蓮がすぐに頭に浮かぶのではないでしょうか。小倉さんの描いた睡蓮を見ると、どこかモネの描いた睡蓮にも似通ったところもありますが、小倉さんの作品にはモネとは違う独特の味わいを感じます。 小倉さんは睡蓮の花を観察するために高知の「モネの庭」という庭園に何度を足を運んだそうです。たくさん写真も撮り、睡蓮の花の形とか池の雰囲気を観察したようです。当然、モネの睡蓮を意識して自分の作品を描こうと思ったのでしょう。 モネは20世紀初頭に始まった美術の流れである印象派の作家です。印象派は画家たちがアトリエで描くことから外に飛び出し、外の光、太陽の光、或いは自然の光を作品に取り込もうとした流れです。その光を表現するために、写実的な表現形態を崩していくことも試みました。印象派の絵画はあくまでも光という存在を主軸においたのです。モネも例外ではなく外に自然の光を巧みに表現しました。そして光に含まれる空気、雰囲気を絵画に取り入れていきました。 小倉さんの作品を見ていると、そういった印象派的な自然の光も強く感じます。でもそういった光を感じる雰囲気の中で睡蓮の浮かぶ池の中に漂う水という存在を主軸にして画面全体に表現しようとしているように感じました。 作品は睡蓮の花を描いています。そして睡蓮の花は当然、作品の中で主張しています。しかし池の水が緩やかな流れを作り、その水が織りなすせせらぎが微かに聞こえてくるような表現になっていると感じました。 作品を詳しく見てると水の色を現す青色と光の色を現す黄色が画面上で柔らかく十字状に交差させているのが判ります。小倉さん独特の表現方法ですね。 よく頑張りました、小倉さん!
2024/06/07
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