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「第1章 うつ病への道」は、丸岡さんが自身の体験を綴ったもの。 その内容は、『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』を読まれた方は、 既に承知されている内容ですね。 「第2章 うつ病って何?」は、うつ病に関する知識のまとめ。 「第3章 『うつフラグ』の見つけ方&対応策」は、 帯に大々的に紹介されていることから、本著の肝になると思われる部分。 帯には、9つのフラグがチェックポイント形式で示されていますが、 本文では、全部で12のフラグが紹介されています。続く「第4章 私がうつをこじらせた&救われた9つの理由」も、帯に「『ここで気づけば重篤化しない』というターニング・ポイントを、自らの経験とともに医学的な根拠を加えて解説した丸岡流・うつヌケの技術」として紹介されている、本著の核となると思われる部分。そして、「第5章 頑張らなくても生きていける」は、丸岡さんがうつ病を患ってから後の、自身の変化について記したもの。巻末「おわりに」の最終ページのナンバリングは173で、とってもコンパクトな一冊に仕上がっています。読み終えて最も印象に残ったのは、やはり、丸岡さんがうつ病になるまでの仕事ぶりと、その後の経過。しかし、この部分の記述については、『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』の方が、より詳細に記述されています。そういうことからすると、第1章の部分については、全てを前著に譲ってしまい、第2章の部分も、思いきって割愛、核となるべき第3章と第4章に全精力を傾け、もう少し紙幅を割いた方が良かったかも。ただ、前著を読んでない方にとっては、丸岡さんの体験談や、うつ病に関する知識を概観できる本著の形の方がありがたいかもしれません。
2019.02.24
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「電波少年INTERNATIONAL」や「ボキャブラ天国」等で活躍していたという お笑いコンビの「松本ハウス」。 残念ながら、私はいずれの番組も一度も見たことがありませんし、 「松本ハウス」というコンビ名も全く記憶にありません。 「松本ハウス」は、ハウス加賀谷さんと松本キックさんの二人組。 コンビ結成に至るまでの、それぞれの生い立ちや、 二人の出会いとその後の活躍の様子が、各々の視点から記されていきます。 中でも目を引くのは、やはり加賀谷さんの様子を綴った部分。 加賀谷が病気だと知ったのは、偶然からだった。 加賀谷が付き人に行っていた時のこと。 先輩芸人の一人が、加賀谷のカバンをあさり、中にある大量の薬を発見した。 その先輩芸人がさらに上の先輩に伝え、 加賀谷が精神的な薬を飲んでいることが発覚したのだった。 加賀谷は、事務所に黙っていたことを詫びながら、ことの経緯を説明した。 中学生の時に幻聴が聞こえ、高校生になって幻覚を見た。 グループホームで生活していたが、 漫才がやりたくてお笑いの世界に飛び込んだ、と。 挙動不審で落ち着きがなく、遅刻が多かったりしたのも、 病気や薬の副作用のせいだった。(p.80)仕事が忙しくなる中、症状が悪化して入院。そこでの日々の記述は、とても冷静で、ある意味客観的なもの。『ボクには世界がこう見えていた』とは随分感じが違います。その理由は、様々あるのでしょう。その後、コンビは復活し、そこで、本著は筆が置かれています。そして本著は、2018年6月に文庫化されています。そちらには、それ以後のことも記述・掲載されているかもしれないので、これから読まれる方は、そちらの方をお勧めします。
2019.02.24
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本著は、2006年に『東郷室長賞』として自費出版された書籍を、 著者・小林和彦さんの友人・望月智充さんが、より多くの人に読んでもらおうと、 精神科医の岩波明さんと新潮社に相談の手紙を出したことがきっかけとなり、 2011年11月に発行されたものです。 本書は、統合失調症と診断された著者が 自らの精神疾患の体験について綴った 出色のドキュメンタリーであり、 精神医学的にも貴重な記録である。(p.372)これは、本著巻末「解説」に記された岩波さんの文章ですが、本著は、小林さんの手による本編だけでなく、この「解説」を必ず読む必要があります。先に「解説」を、それから本編を読んでもいいかもしれません。 10月15日、僕の思考(言葉遊び?)は頂点に達する。 今、読み返してみると、病的なところもあり、 専門家なら「分裂病、あるいは躁病の特有症状だ」と分析することだろう。 今更どう言われようと構わないので、そのまま書き写す。 前述したレストラン「おあしす」で書いたもの。 隣のテーブルに座っていたおじさんが、 僕の様子を見て目を丸くしていたのを思い出す。(p.282)これは、1989年の頃の様子について自ら記したもの。小林さんが、柏崎厚生病院で「統合失調症」の診断名を知らされたのが1992年頃、そして、本著を記したのは1993年から1996年頃のことですから、自らを統合失調症患者として捉えたうえでの記述です。 しかしながら、比較的まれな例にはなるが、 統合失調症と躁うつ病の両者の特徴も持つ「中間型」と考えられる症例も散見する。 つまり、幻覚、妄想などの精神的な症状を持続的に認める一方で、 躁状態やうつ状態などの感情面における病相を繰り返す一群である。 このような一群に対してはさまざまな診断名が与えられてきたが、 今日の診断基準においては、「統合失調感情障害(失調感情障害、分裂感情病ともいう)」 という診断名が用いられている。 小林氏の症状と経過からすると、彼の診断は統合失調症よりも、 この統合失調感情障害という病名が適切であると思われる。(p.375)これは、「解説」における岩波さんの一文。小林さんが自らを分析した文章と、ほぼ同じ内容です。岩波さんが本著「解説」を書かれたのは、2011年9月ですから、それよりずっと前の段階で、自らの病相を正確に捉えていたことが分かります。小林さんの闘病は、本著を読む前に私が想像していたレベルを遥かに超えるものでした。その中で、これだけの記録が残されたことは、本当にすごいことだと思います。まさに「ボクには世界がこう見えていた」というネーミングがピッタリ。彼が見た景色の変遷は、統合失調症を理解するうえで大いに参考になるものです。
2019.02.24
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まず、表紙がカッコイイです。 短辺が天地、長辺が左右という通常の向きではなく、 長辺が天地、短辺が左右で描かれています。 帯もその向きに合わせて作られており、完璧!! そして、その表紙に描かれているのが、 栄泉船橋の10番、ツインテールの悪魔こと国分妙と、 蕨西南の13番、ゴルゴこと越前佐和。 今巻は、この二人がメインのお話です。 ***後半に入って栄泉船橋に3点目を奪われ、リードを許した蕨西南はポジションチェンジ。国分を押さえるべく8番恩田希をアンカーに下げると、栄泉船橋もシステムを変更。14番浦川茜がFWとDFの間に位置し、状況により守り、そして攻めるように。しかし、その守備ブロックをもろともせず、恩田は前を向いてボールを運ぶ。そして、そのボールを受けた10番周防が高速のアーリークロス。そこへ飛び込んだのは、恩田に代わってポジションを上げていた4番曽志崎。狙いを定めた一蹴りは、見事にゴールネットを揺らして3-3の同点!!ここで試合は、後半残り6分21秒とアディショナルタイム。すると、国分はサイドからのドリブル突破に加え、中でのコンビネーション、さらには、サイドチェンジまで試み始める。そして残り2分、国分は3人をゴボウ抜きにしてゴールに迫る。が、その行く手を阻んだのは越前、そして3番菊池類。 菊池からのボールを受けた恩田は、右サイドの7番田勢にパス。そして自ら中央を駆け上がり、田勢からのボールに迫ると、左から上がって来た曽志崎にスルー。曽志崎、それを落ち着いてしっかりとゴールに蹴り込み、ドッツブレェ~~~ッテ!!!しかし、浦川は諦めることなく、栄泉船橋怒涛の反撃でCKを獲得。そして、そのクリアボールがフリーの国分の足下へ。2番宮坂を振り切り、決定的瞬間かと思われたとき、またしても越前。1番加古川がボールをキャッチして、試合終了のホイッスル。 ***この後、深津が思わず握りしめていた拳を、ズボンのポケットに押し込むシーンが、全てを物語っていました。やったね、サッちゃん!!そして浦川茜は、またいつか別の形で登場しそうですね。さて、JKFBインターリーグ決勝戦の相手は、栄泉船橋を関東予選で5-2で破った興蓮館高校。そのエースストライカーは、2年生の来栖未加。レギュラーが出場したインターハイでは、初の全国制覇を達成。そして、インターリーグに出場するのは、インターハイ登録メンバー以外。さて、九谷が登場する?
2019.02.17
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中村ユキさんの著作や夏苅郁子さんの著作を読み終えて、 この辺で、統合失調症についての概略を知ろうと手にしたのが本著。 岡田さんの著作は、これまでに数多く読ませていただいていますが、 統合失調症だけを扱ったものを読むのは、これが初めて。 「第1章 統合失調症とは、どんな病気か」では、 発病の予兆となる初期症状(自生体験、気づき亢進、まなざし体験等)と共に、 「解体型」「緊張型」「妄想型」の3タイプと、 その他の亜型として「未分化型」「残遺型」が示されます。 「第2章 闇に閉ざされた歴史から希望の光へ」では、 統合失調症に関する研究や治療の歴史が記されています。そして、「第3章 統合失調症の症状と診断」では、 「幻想と妄想」「自我障害」「解体症状」「緊張病性症状」や「陰性症状とうつ状態」といった主な症状とその診断、さらに、類似状態を呈する障害(気分障害、パーソナリティ障害等)が示されています。その後、「第4章 統合失調症と認知機能障害」、 「第5章 統合失調症の神経メカニズムと原因」と脳機能に関わる記述が続き、 「第6章 統合失調症と社会」で、社会的要因について示した後、 「第7章 統合失調症の治療と回復」で締めくくっています。 精神病に対する社会全体の偏見が、 一昔前に比べれば随分と薄らいでいることは、プラスといえるだろう。 だがその一方で、根深い偏見や敵意が残っていることも事実である。 せめて家族だけでも、本人の問題として切り捨てたり責めたりするのではなく、 みんなの問題として受け止めようとすることが、本人にとってよいだけでなく、 むしろ家族を結束させ連帯感を高めることで、 本人以外の家族にとってもプラスとなるのである。(p.207)しかし、実際にはこれは言うほど簡単なことではありません。 身近で接する機会が多ければ多いほど、それを受け止める側のストレスも高まっていき、それが故、厳しい言葉や態度が表立ってしまうことも多いのです。そして、身近な人たちからのそのような攻撃は、当事者により大きなダメージを与えます。 接する上では、そうした点に配慮して、 本人の脆い安全感を極力脅かさないようにすることが大事である。 個性の強いスタッフや気性の激しい親が熱心にかかわると、 よかれと思ってやっていても、 それがストレスになって症状が悪化するということも起きる。 本人は拒むこともできず、言いなりになっていることが多いのだが、 それは病状悪化として跳ね返ってくる。(p.214) 当事者だけでなく、それに関わる家族や周囲の理解と協力なしには、 良い方向に進んで行かないことは確かです。
2019.02.17
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原題は”A LIFE TOO SHORT" その副題は”THE TRAGEDY OF ROBERT ENKE" そして、日本語版のタイトルは『うつ病とサッカー』 その副題が「元ドイツ代表GKロベルト・エンケの隠された闘いの記録」 ロベルト・エンケは、1977年に旧東ドイツで生まれたサッカー選手。 故郷のFCカールツァイス・イェーナにGKとして入団し、 1995年11月11日にブンデスリーガ(2部)デビューすると、3試合に出場。 翌年夏には、ブンデスリーガ(1部)のボルシア・メンヒェングラートバッハに移籍。その後、ポルトガルのベンフィカ、スペインの名門FCバルセロナ、トルコのフェネルバフチェ、スペインのCDテネリフェ、ブンデスリーガ(1部)のハノーファー96でプレイ。ハノーファー96では正GKに定着し、キッカー誌の最優秀GKに選ばれる。また、2007-08シーズンには主将に選出され、その後、2シーズンと少しの間主将を務めた。本著には、この間にエンケ自身や周辺で起こった様々な出来事が詳細に記されている。ヨーロッパで、プロのサッカー選手としてプレイするとはどういうことなのか、GKというポジションが、日々どれほどの重圧を背負い続けているものなのか、そして、うつ病というものが、自身だけでなく周辺にどれほどの影響を及ぼすものなのか。 決してミスを犯さないという持続不可能な自己への欲求こそがGKの拷問である。 彼らはミスを忘れることができない。 しかしGKは自分を抑制しなければならない。 そうしないと次の試合ではすべてが裏目に出ることになる。(p.38)GKは誰も皆、ここまでのプレッシャーを自らに課し続けているものなのか?それとも、エンケだけが他のGKに比べ、度を越してそれを感じ続けていたのか?それは、彼の遭遇した様々な出来事の蓄積によるものなのか?それとも、やはり彼がうつ病を患っていたからなのか? 試合はどこへも行きようがなかった。 18歳の陶器のような色白の青年の、 まるで天使のようで卓越したボールさばきに率いられた ”ベイビー・バルサ”はボールを離さなかった。 「何て名前だ?」 「アンドレス・イニエスタというらしい」と観客たちは言い合った。これは、2002年10月29日の5試合目、ベルギーの国内カップ王者との試合中の様子。この時、試合の重要性が低いことから、監督は7人のレギュラーを帯同させず、バルサBから6人の若者を連れて行った。そして、メディアはこのチームを”ベイビー・バルサ”と名づけていた。ロベルトは、それまで7週間試合に出ていなかったため、平常心からは大きくかけ離れた、全身に重圧を感じながらの試合だった。しかし、0-1で勝利した翌日の『ムンド・デポルティーボ』紙の一面は、「イニエスタとエンケが輝いた試合をリケメルが決めた」というものだった。こんなところで、エンケとイニエスタは一緒にプレイしていた。そして、この二人に共通するのは「うつ病」である。残念ながら、世間には「うつ病」を始めとする精神疾患に対する偏見が根強く残っている。そして、世間はそのことに由来する発言や行為が、当事者やそれに関わる人たちをどれほど苦しめているかについて、あまりに無頓着である。うつ病であること、そしてそのことを隠さなければならない二重の苦しみは、まだ続いている。
2019.02.17
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前巻を読み終えた後、すぐさま本巻を読みました。 まず、驚きはイラストがたったの1作品しか掲載されていないこと。 う~む、これはこのシリーズのお楽しみなところだけに、とても残念。 次巻からも、このまま1作品になってしまう? さて、表紙と本編第一話が同一作者の作品というパターンは今巻でも継続。 そして、本編は14のお話で構成されています。 ゴウタさん、ローさん、じゃこさん、ぐふさん、あららさん、 さらに研そうげんさんと、14人の作家さんのうち6名が連投です。他の作家さんたちも、お馴染みの方が多く、皆さん手慣れた感じ。作品レベルも安定感を感じさせられます。ただ、前巻が神巻だっただけに、今巻はス~ッと読み進めてしまったという印象。決して、面白くないとか、魅力がないとかいうわけではないのですが……でも、パターンが似通ってきたのは確かかも。これで17巻目ですから、やむを得ないところではあると思いますが、前巻における今井哲也さんの作品のように、それまでの既成概念を打ち破るような作品を、また期待したいですね。
2019.02.11
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本シリーズの中でも最高傑作の呼び声高いこの16巻。 そして、実際読んでみて、その評判が間違いないものであることを確認。 表紙、イラスト、本編のどこにも全く隙ナシ。 この完成度を超えることは、並大抵ではないでしょう。 まず、今巻は表紙と本編第一話が同一作者の作品という初めての試み。 表紙のイメージを保ちながら、すんなりとお話の世界に入っていくことが出来ました。 この手法は大成功で、今後もこのパターンはアリだと強く思いました。 ただ、我が艦隊には未だ春日丸をお迎えしてないので、最初これ誰って感じでしたが……今巻で目立ったのは、比叡、大井、北上、浦風、最上、三隈、日向。海外艦ではArk Royal、Bismarck、Commandant Testeら。金剛は相変わらずの愛されキャラですね。しかし、何と言ってっもダントツのNo.1は、Warspite。今巻の最後を飾る今井哲也さんの「オールド・レディ、故郷へ帰る」は、2017夏イベをモチーフとした、堂々の26ページにも及ぶ作品。この頃、私はまだ駆け出しの提督で、丙作戦すら挑むことが出来なかったのですが、この作品で、完走気分をしっかりと味わうことが出来ました。感謝!!【追記】さっき確認したら、表紙と本編第一話が同一作者の作品というのは、15巻もでした。それよりも前のものには、見当たりませんでした。
2019.02.11
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『マスカレード・ホテル』の前日譚。 山岸尚美が登場する「それぞれの仮面」と「仮面と覆面」、 新田浩介が登場する「ルーキー登場」、 そして、二人が共に登場する「マスカレード・イブ」の4つの短編で構成。 本著タイトルである「マスカレード・イブ」は、 開店したばかりのホテル・コルテシア大阪が舞台となっており、 そこで起こった事件に、尚美と新田が関わっていくことになります。 ただし、二人がこのお話の中で、直接絡むことはありません。そして、その「エピローグ」部分のお話は、まさに『マスカレード・ホテル』のお話の発端となるエピソード。ですから、『マスカレード・ホテル』を既に読んだ方は間違いなく楽しめます。4つの短編は、いずれも「さすが東野さん!」といえる完成度。もちろん、後日譚未読の方も、何の支障もなくお話を楽しむことは出来るはず。そして、読後には、ぜひ『マスカレード・ホテル』を読むことをお勧めします。
2019.02.10
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著者は元厚生労働事務次官・村木厚子さん。 2009年、郵政不正事件で逮捕されるも、翌年に無罪確定した方。 その際の大阪地検特捜部による取り調べの様子や、苦境を支えた家族の絆、 さらには、拘置所で目にした少女たちの姿等が、記されていきます。 その上で、日本型組織で不祥事がやまない理由や公務員のあるべき姿、 そして、自身の公務員としての歩みや、現在行っている活動まで、 実にバラエティーに富んだ内容を、過不足なくしっかりと書ききっています。 何より驚かされたのは、その文章の読みやすさと分かりやすさで、まさに一級品!! *** 役所で起きた最近の不祥事は、彼らが建前でしかないと思っていたことが 世間では本音、あるいは本音に近づいているのに、それに気づかず、 「(自分たちの)本音は許される」と思いこんでいたこと、 そして、自分たちの物差しがいかに世間とずれているかに 当人たちが気づいていなかった点に問題があるように思えます。 自分たちが「ずれた」状況に陥っていないかどうかを点検するのに、 いい言葉があります。「必要悪」という言葉です。 冷静に見れば「悪」なのに、「これは仕方なかった」とか 「このためにはこうする必要があった」など、 自分たちの行為を正当化しようとする時に使われやすい この言葉や考え方が出てきたら、要注意です。(p.99)示唆に富み、実に的を射た指摘。この文章の前後に出てくる事例や記述も、とても的確。 研修や教育なんてあまり意味がないという声もあります。 でも、お金と時間をかけて何度も研修を実施すれば、 組織がその問題を重視していること、それをないがしろにした時には 組織は守ってくれないことが浸透していきます。 だからこそ繰り返し研修し、教育することが大切です。 建前と本音の使い分けをやめて、建前を本当の意味での「本音」に転換してしまう。 それを「システム」と「人」の両面で実現して不祥事を防ぐのです。(p.105)これも、まさにその通りですね。「システム」と「人」の両面を変えていかねばなりません。
2019.02.10
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偶然、『妻のトリセツ』と並行して読み進めていたのですが、 途中から、その関連のあまりの深さに驚いてしまいました。 例えば、それは次のような部分。 会話の主たる目的が問題解決である男性脳は、こういう会話が理解できない。 「階段でつまずいて、転んで怪我をした話」ならわかる。 だが、「つまずいて、転ばなかった話」をする意味がわからないし、 オチのない会話は苦痛でしかない。(中略) 女性脳の、最も大きな特徴は、共感欲求が高いことである。 「わかる、わかる」と共感してもらえることで、 過剰なストレス信号が沈静化するという機能があるからだ。 (『妻のトリセツ』p.22) 男性の会話は主に情報伝達が目的ですが、 女性は共感することを目的に会話を楽しむ傾向があります。 この違いには定型発達の男性でも苦労するところです。 男性脳を極端にしたようなアスペルガーの場合、 その苦労は何倍にもなるのです。(本著p.146)本著序盤には、「アスペルガー」や、「ADHD」の「多動衝動性優位型」、そして「不注意優勢型」の診断テストが掲載されていますが、それらの問いに答えていくと、数こそ少なめですが、「自分にも当てはまるな」と思える部分がありました。つまり、発達障害の方は、その傾向や度合いが幅広く深いだけで、根本については、誰もが持ちあわせているものなのではないでしょうか。発達障害を持つ方にとっての「結婚」とは何か、また、そこに至り、それを維持するための課題や、課題を克服する手段を知るために本著を読み始めたのですが、それらは、定型発達の者にも同じように当てはまるものだと感じました。 当人たちも自覚しているとおり、たしかに発達障害者は、 あまり結婚生活に向いていません。 自分のペースやスペースを乱されることに大きなストレスを感じてしまうため、 家庭を持って家族と緊密な関係を築くことが難しいのです。(p.071)現在、こんな人は、かなりの数でいるはずです。著名人の中にも、「あの人がそうだなぁ」と思い浮かぶ人は結構いますよね。じゃあ、その人が発達障害なのかと言えば、そうではないでしょう。でも、その部分に関しては、「その傾向がある」とは言えるのかもしれません。 しかし、夫が強いアスペルガーの場合は共感性が非常に乏しいため、 自分が態度を改める必要性が理解できません。 このような状況で妻をカサンドラから回復させるのは、残念ながら、ほぼ不可能です。 妻がとりうる解決策としては、 ◎別れる ◎夫をATMだと思って割り切る ◎家庭以外に軸足を持つ の三つ。 身も蓋もない感じではありますが、夫が重度のアスペルガーの場合、 これ以外に逃げ道はありません。(p.174)文中の「カサンドラ」というのは、「カサンドラ症候群」のことで、アスペルガーのパートナーと情緒的な結びつきを築けないために生じる片頭痛や無気力、自己評価の低下、パニック障害、抑鬱などの身体的、精神的症状のことです。この部分に至るまで、著者は発達障害を持つ方たちの結婚をサポートすべく様々な手段を事細かに多数提示しているのですが、それでも、こういうケースもあると示しているのが上記の内容です。やはり、双方の理解と行動が伴ってこその「結婚」なのです。
2019.02.03
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~女性脳の仕組みを知って、戦略を立てよう~ これは、本著冒頭「はじめに」のタイトル。 本著の内容をズバッと明確に、一言で表現している。 脳科学の観点から妻の不機嫌や怒りの理由を解説、夫の対策を示したのが本著。 脳の基本構造が違い、受け止め方や発想が根本的に異なるのだから、 トリセツとしてまとめられても、それを実際に行動に移すのは簡単なことではない。 と言うか、それ以前に、本著を読み進めていく段階で、 男性脳には相当な負荷がかかり、ストレスが蓄積されていく。それでも、それに耐え、実際に発言や行動として表現していかないことには、これから先、恐ろしい行く末が待っているであろうことが、重々伝わって来る。「ネガティブトリガー」を一度作ってしまうと、あちこち地雷だらけの夫婦生活に、日々戦々恐々としなければならない。「ポジティブトリガー」をこまめに作っておけば、地雷を踏んでも、その被害を最小限に抑えることができる。「時間差の買い物で互いのストレスをなくそう」(p.75~)や「楽しみには予告と反復を」(p.102~)、「サプライズは逆効果になることも」(p.106~)等は目から鱗。男性脳では思いもつかないことで、とても参考になる。
2019.02.03
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「イオンを創った女」とは、小島千鶴子のことである。 イオン名誉会長・岡田卓也の実姉であり、 三重県四日市市の岡田屋呉服店がジャスコへ、 さらにイオンへと発展していく基礎を築いた人物。 千鶴子は5人姉弟の次女、卓也は最年少で唯一の男子だったが、 千鶴子が11歳の時、父・惣右衛門が43歳の若さで急逝してしまう。 その後は、33歳の母・田鶴が女手一つで呉服店を切り回していたが、 その母も心労から病に倒れ、千鶴子が20歳、卓也が10歳の時に他界する。 母が療養に入ってからは、長女・嘉津子が店を取り仕切っていたが、その姉も千鶴子が23歳の時に亡くなってしまう。その結果、残った姉弟の中で唯一の成人者であった千鶴子が、末弟の卓也が岡田屋を引き継ぐ日に向け、代表取締役として奮闘することになった。 ***本著では、小島千鶴子にまつわる数々のエピソードが紹介されているが、『戦後の収束』という書物で得た、第一次大戦後のドイツ狂乱インフレ収拾策を活かし、1946年のインフレによる新円切り替えを前にして、会社に残っていた現金を全て商品に換えたという逸話が、最も印象に残った。 つまるところ、人材を育成しプールしておくことが経営者の責務である。 そうして人材の層に厚みができれば、それは組織の生命力そのものであり、 そいうった組織は永続性が保証されるのである。(中略) 教育は訓練とは異なり、一朝一夕に効果が出るものではない。 この時間に耐え、これに要する経済的負担を投資と考えることこそが 未来を拓く要諦である。(p.218)事を為すことは難しい。そして、その成し遂げたことを維持・継続していくことは、より難しい。ましてや、それをさらに発展・向上させていくとなれば、これはもう至難の業である。が、それを目指さない限りには、維持・継続など到底できないだろう。
2019.02.03
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