2月に読んだ本の中に 久間十義さんの『ダブルフェイス』 がある。
例の東電OL殺害事件に題材を取った刑事もので、桐野夏生さんの『グロテスク』もそうだったけれども、ルポルタージュ風ではなく作家がふくらませた創作物であった。
この本の事件を追う刑事たちの姿が読ませるのだが、それはいかにも現代風であって、それもおもしろいが、昭和の刑事を描くわたしの好きな松本清張を思い出してしまった。
そんなきっかけで 『砂の器』 を読み返した。刑事「今西栄太郎」の犯人を追う姿のなんと執念のあることか!それに刑事の日常がなんともレトロに描かれている。
巣鴨お地蔵様の縁日で植木を買うだとか、都電に乗って関係者を訪ねるとか、中央線の窓から紙ふぶきするなんて、今や電車の窓など開けられないではないか。
今西刑事が自分の家で朝早く目覚める、新聞を取ってきて寝床でよみながらタバコをいっぷく、事件の推移を考えながらいっぷく、警察署で捜査会議の区切りでいっぷく、会議後でいっぷく、取り調べていっぷく。
まあ、まあ、タバコを吸うこと、吸うこと!吸う場面の描かれているのが多いこと!きっと彼は老後に肺ガンになってしまったね。
その他の2月の読書本
『風にそよぐ草』 クリスチャン・ガイイ
『春』 島崎藤村
『緑の毒』 桐野夏生
『天山を越えて』 胡桃沢耕史
マンガ『三丁目の夕日』傑作集1~2巻 西岸良平
映像にされると昭和時代にばっちり生活した者には違和感が出るだろうが、マンガの背景に西岸良平さんが書き込まれた昭和の風物はすーっと入ってくるから不思議だ。なかなか懐かしい。ものがたりもほろっとする。「いっぱいのかけそばより」上等。
こうやってブログにしてみると、わたしは昭和を懐かしんでいるモードになっているか。
あ、 『天山を越えて』 もよかった。シルクロードが流行りだす前のおもしろシルククロード冒険ものである。
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