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昨年から今年にかけ、リヒャルト・シュトラウス・オペラの公演が多い。 新国立劇場、チューリヒ、ドレスデンと3つの劇場が取り上げた「ばらの騎士」は、さしずめそのシンボル。「ばら戦争」と揶揄された。 その「ばら戦争」、まだ続いていて、2月から3月にかけて、びわ湖ホール(2月2、3日)と神奈川県民ホール(3月22、23日)主催の公演がある。新国でもおなじみのアンドレアス・ホモキの演出が売りだ。 今日、オペラ講座の仕事でびわ湖ホールに行ったら、ちょうどホモキ氏も同席してのリハーサルの最中で、ちょっとだけ見せてもらった。 第3幕のはじめのほうだったが、ホモキ演出ではおなじみ、白黒の装置で、箱のような部屋がさかさになっているなかでの演技。 第1幕では、部屋の位置は正常なのだったそう。初めからみると面白そう、だと思った。 動きはテンポよく、演技は細かくて見ていて飽きない。オックス男爵役のドイツ人若手歌手が、背が高くてイケメンなのがちょっと違う?(でも見たい・・・。笑)面白そうなプロダクションではある。 先週は新国の中劇場で「ナクソス島のアリアドネ」。関西二期会の公演だったが、まあこれは難しいオペラなんだなあと思わされた。 ところで先日、別の場所で、シュトラウスの専門家やシュトラウスに詳しい批評家のひとたちと話していたときのこと。 某大学教授、「サロメ」について、自分の講義で学生に見せると、「半分くらいはよく分かる、っていうんだよね」 え、ひょっとして、首を切ってまでキスしたいサロメの気持ちが? 「いやね、あれは崩壊している家庭でしょ。みんな気持ちがばらばらで、てんでに違うほうを向いていて、娘はとんでもない娘になっていて・・・。そういう家庭の状態が、わかるっていうんだよね。今は、家庭崩壊の時代」 その文脈で解釈すると、私がどうにもなじめなかった、ドレスデンの来日公演のムスバッハの演出は、「実に的確だった」のだそうだ。 「だいたい、家庭っていうのはシュトラウスにとって重要なテーマでしょ。「家庭交響曲」なんてあるし、夫婦げんかのオペラ(インテルメッツオ)もあるし」 たしかに。シュトラウスくらい、「自画像」や「家庭」をいろんな角度から、皮肉をこめて書いた作曲家はいない、かもしれない。 その大学教授、「首切ってもキスしたい気持ちは分かりますか?」と水を向けると、 「いやあ、そっちはちょっとコワイねえ」 とのことでした。ここにこだわる女性の書き手は少なくないのですが・・・。
January 27, 2008
今年の大型外来オペラの第一弾、マリインスキー歌劇場の来日公演が、今日開幕した。 初日の演目はムソルグスキーの「ホヴァンシチーナ」。休憩を2回はさんで4時間余の予定が4時間半に。めったに上演されない大作だけに、歴史絵巻断片のような中身についていくのはなかなか大変だが、音楽はいたってわかりやすい。 演奏もだんだん盛り上がり、底力を見せつけた。やっぱり、この劇場はロシアものがいいな。 前回の来日時の「リング」でも思ったが、この劇場の歌手の層の厚さはすごい。ゲルギエフの力なのだろう。 バラトフ演出の舞台はごくオーソドックスで、まさに歴史絵巻。本ものの馬まで登場しました。 休憩時間に、ある新聞記者と話していたら、オーケストラがずいぶん洗練された、西側の感じに近づいてきた、という話になり、ついでに?ロシア人もそうじゃないの、なんて方へ話が飛んだ。 なにしろこのところ景気のいいロシアである。ヨーロッパでも、ロシア人の観光客はすごく増えている。 で、それに応じて習慣も変わったのではないか、というのである。 「前は、幕があがると、なんというか匂ったんですよね」 匂った? 「装置に、匂いがしみついているみたいで。 ほら昔、アエロフロートに乗ると、なんとなく匂ったじゃないですか。ロシア人の体臭というか・・・ 装置にも、昔はそれがしみついていたんですよね」 それが最近は匂わなくなった。 「西側なみに、お風呂入るようになったんじゃないかと思って」 なるほどねえ。 アエロフロート、以前は何度も乗りました。匂いはよく覚えていないけど、すっぱい黒パンとなまなました味のハム&チーズの機内食はよく覚えている。 今はそれも変わったのかな。 匂いといえば、留学していたオーストリアのインスブルックの大学の図書館で、悩まされたことがある。 通路側の席に座っていると、何人か、横を通るたびにノックアウトされそうなすごい自前香水の持ち主がいて、往生したものだ。 以前のロシアだったら、もっと強烈だったかも。体験しそびれて、ほっとしたような、ちょっとつまらないような。・・・
January 26, 2008
今日はマチネで、新国立劇場の「ボエーム」を観た。 2003年のプロダクションの再演。このところめきめき活躍の場を増やしてきた粟國淳さんの演出である。 粟國さんの演出は、いつもそうだが「音楽」への心配りを感じさせる。プッチーニの繊細さ、音楽にこめられた細やかな動作が立ち上るようだ。 前回よりかなりこなれてきていて、細かい動きもいっそう自然に、また活発になり、レパートリー公演として「ものになりつつある」プロダクションだという印象を持った。 「アイーダ」などと並んで、新国の正統派を代表するプロダクションにすればいいのではないだろうか。 歌手ではミミのマリア・バーヨが圧倒。ベテランの貫禄。 マウリツィオ・バルバチーニの指揮もよく(「間」の取り方など絶妙!)、音楽、舞台とも「ボエーム」の世界に浸ることができた。 粟國さんいわ「これ(指揮)はDNAですから」。まさか指揮者、ルッカ(プッチーニの故郷)生まれではないですよね。 ところで、先ごろ新国の合唱指揮者の三澤先生に会ったおり、プッチーニの作劇法、の話が出たのだが、三澤先生によると、プッチーニの場合はとにかくヒロインが大事で、登場のしかたが凝っている。たいてい最初の幕のまんなかくらいで、テーマをしょって出てくる。 ここまでは私も了解していたのだが、男性主人公の出し方、をきいて納得しました。 ここまで大事にされているヒロインに対し、男性主人公はだいたい最初からなにげなく舞台にいる、というのだ。 いわれて見れば「トスカ」も「蝶々夫人」も「トゥーランドット」も、ヒーローはほぼ最初から舞台にいる。「ボエーム」も同じである。 これだけワンパターンで、ヒロインのタイプも同じで、結末もまあ似たようなものが多いのに、飽きさせない、のは、やはりプッチーニの音楽の力なのだろう。 それにしても、つくづく女性が好きなひとだったんですね。
January 22, 2008
最近、テノールの樋口達哉さんの活躍がめざましい。 新国によく登場するのをはじめ、所属している二期会では、主役級を次々と射止めている。 昨年はシュトラウスの「ダフネ」に出演したのを皮切りに、9月には「仮面舞踏会」の主役リッカルドを歌った。 私はあいにくゲネプロしか聴けなかったのだが、ちょっと繊細な美声が、一味違ったナイーヴなリッカルドを演出していたように思う。本番も聴きたい!と思いました。 NHKのニューイヤー・オペラコンサートにも出演したし、秋にはまた二期会の「オネーギン」に出ることも決まったそうだ。 言葉(とくにイタリア語)が明瞭なのも、樋口さんの美点である。 その樋口さんのリサイタルが、今日、東京文化会館の小ホールであった。 意外なことに、東京でのリサイタルは初めてとか。 6000名定員の小ホールは、ほぼ満席。ホール関係者の話では、日本人テノールで、これだけ動員できるひとはほんとに2、3人だとか(たとえば佐野成宏さんとか、福井敬さんとか)。期待されていることが感じられる。 プログラムは前半がカンツォーネなどのポピュラーソング、後半がオペラアリアという構成で、樋口さんのトークが間に入った。 トークでは、雑談もあったが選曲の理由も語られ、それぞれの曲への思い入れ、思い出がよく分かった。 とかく「作品解説」をしなくては、と思ってしまう私のような商売に比べ、歌手本人が話す場合は、個人的体験をベースにしたほうが共感できるのだな、と納得。 「最初はバリトンだった」というのも意外でした。 それと、「ホセ・カレーラスが好き」というのも、タイプ的に近いな、と思いました。ナイーブでひたむきな印象を与えるところが似ているかも、と。 プログラムのなかでよかったのは、「リゴレット」のマントヴァ公のアリア「あれかこれか」と(軽やかさ、陽気さが自然に出ていたのと、声のタイプにあっていたよう)、プッチーニの「レ・ヴィッリ」のロベルトのアリア「あの幸せに満ちた日に帰してくれ」。後者はコンクールを受けるときによく歌っていた曲ということで、自分のものになっていました。アンコールの「女心の歌」も悪くなく、「リゴレット」をぜひ舞台で聴いてみたいと思った。(ご本人に確認したところ、「今の自分の声にあっていると思う」ということでした)。 新国立劇場の来シーズンに「リゴレット」(公演はこの秋)があるので、そのあたりに樋口さんが出てくれるといいのだが、今のところ知らない(失礼)、外国人であります。 いずれにせよ、これからの可能性をとても感じさせる声の持ち主であることはたしか。これからもずっと聴いて行きたい歌手である。 樋口さんのHPはこちらです。 http://www.geocities.jp/funfuntazy/
January 20, 2008
新国立劇場の合唱指揮者、三澤洋史さん。 2001年に就任以来、新国合唱団のレベルはぐんと上がった、と評判である。 だんなが属している「六本木男声合唱団」の指揮者もしていただいている(最初知ったときは、なんと贅沢な!と思ったものです)。 三澤先生の評判は、別の方面からも聞いていた。 というのも、企画同行しているバッハツアー、「バッハへの旅」の参加者には、合唱団関係者が多く、三澤先生の指揮で歌ったというひとも何人もいて、「指導がわかりやすくて、テキストの意味も分かるように解釈してくれるので、とても歌いやすい」ときいていたのだ。 合唱団のパーティでも何度かご挨拶させていただいたが、とても感じのいい方で、「一度カルチャーの講座にお招きしたいな」と考えているうちに、先を越されてしまった。 私のほうが、(僭越なことに)先生のレクチャーにお招きいただいてしまったのだ。 三澤先生は、「東京バロック・スコラーズ」というバッハを歌う合唱団を主宰しているのだが(旗揚げ公演の「ロ短調」は相当にレベルの高い公演だった)、そこのコンサート前のプレ・レクチャーに出させていただくことになったのである。 で、今日、それに向けて初めての打ち合わせをしたのだが。 なんだか打ち合わせどころか、話が飛びに飛んで雑談大会になってしまった。 とにかく三澤先生は引き出しがたくさんあるので、あれについてもこれについても、へえ、と思うご意見が出てくるのである。 たとえばバッハなら、「ヨハネ」と「マタイ」の違いについて、「マタイ」は「ヨハネ」をふまえて(「マタイ」は「ヨハネ」の3年後に初演されている)、今度は違うものを作ろうというバッハの意図が反映されたため、あのような抒情的な作品になった、という話。 また2作品の意図が異なるのは、最終曲に明らかで、「ヨハネ」はコラールで終わり、受難の先に何かがあることを暗示しているが、「マタイ」は受難をそれぞれが受け止められるように、合唱で終えているのではないか、という。なるほどねえ。 先生のもうひとつの専門であるオペラについては、「声」の話が面白かった。 とくに、歌手と肉体との関係。 スポーツ選手と同じで、歌手の肉体的なピークは30くらいからはゆるやかに下がる一方、とくに更年期(!)以後はがくっと落ちる。それをとめるには、衰える前にちゃんとテクニックをつけておくしかないのだそうだ。 もうひとつ、無理をするぎりぎりのところで声をコントロールできる技術が大切、それを越えて歌い続けると寿命が短くなる、という話も興味深かった。 (ちなみに無理をした・・・無理できたから、というのもあるが・・・のがマリア・カラス、無理のない範囲でやっていたのがテバルディ、なのだそうだ) ご自身も声楽科の出身なので、そのあたりについてはとても敏感なのだろう。 三澤先生の指揮が「歌いやすい」というひとが多いのもうなずける。 ちなみに先生はバイロイトの合唱にもかかわっていた時期があり、ワーグナーはもちろん大好きなのだが、 「ワーグナーの話をするときは歌手じゃなくて作品とか演出の話になるんだけど、ヴェルディの話をするときは歌手の話になるんだよねえ」 とおっしゃっていたのも、なるほどねえ、という感じでした。2人の本質が端的に出ているなあ、と思ったので。 先生とご一緒させていただくのは「バッハ」についてのレクチャーなのだが(4月12日)、これは脱線を大いに警戒しなくては・・・。 三澤先生は文章もとてもうまい。本質的なところをずばっと伝え、この作品にはこんな面があったのだ、と教えながら楽しませてくれる文章は、新国の公演ちらしでもおなじみである。たとえば3月公演の「アイーダ」、紹介文の最後はこんな感じ。 「ヴェルディ好きにとっては「アイーダ」こそがもっとも円熟し完成された最後のヴェルディらしいヴェルディなのだから」 はい、その通りです。 三澤先生のHP Cafe MDR は http://mdr-project.hp.infoseek.co.jp/ 先生の主催するバッハの合唱団、「東京バロック・スコラーズ」のHPは http://misawa-de-bach.com/
January 19, 2008
今年初めての海外の予定は、今のところ3月末から単独で出かけるイタリアとウィーンである。 オペラはスカラ座で「三部作」と、大野和士さんの指揮する「マクベス」、そしてあと数箇所を回るつもり(チケットはこれから、なのですが)。 で、とりあえずマイレージがたまっていたので、ミラノ往復の特典航空券を取ったのだが。 なぜか追加で4万円近く払うことに。空港税とか何とかかんとか、なのだそうなのだが。 オフシーズンの格安航空券と、あまり違わないような気がする。これって、あり?と思うのは私だけ? また聞きなのだが、特典航空券の席数は、もともとかなり限られているらしい。なかなか取れないのはそのせいだという(特にビジネスクラスはとても取りにくい)。かえって直前になると、キャンセルが出たりするから取りやすいとか。 競争もあるのだろう、航空会社はカード会社と提携したりして、「マイルをためる」キャンペーンにはとても熱心だ。けれどせっかくマイルがたまっても、肝心の特典航空券が取りづらく、その上いろいろ追加料金を取られるんじゃ、あまり得した気分になれない。 航空券をあまり出せないなら、何か他の特典を考えたほうがいいのではないだろうか。 「貯まる」ばかりでなく、「使える」マイルであることも重要です。
January 17, 2008
今年はジャコモ・プッチーニの生誕150年(1858年生まれ)である。 絶大な人気を誇るプッチーニのこと、いろいろ公演があるのかな、と思いきや、去年あたりから見ているが、ほとんどない。 なんだか、あまり気がつかれていないような・・・ 新国では秋に「トゥーランドット」があるようだが、藤原や二期会のような、国内の大きなオペラカンパニーは知らん顔。藤原など「イタリア・オペラ」で売っているのだから、このさい定番の「蝶々夫人」や「ボエーム」以外に何かやればいいのに、と思うのだけれど、あまりそういうことは考えていないような印象である。 海外の劇場の来日公演にも、ほとんどなし。秋のソフィア歌劇場の「トゥ-ランドット」、同じ秋のキエフ・オペラの「トゥーランドット」くらいではないだろうか。 しかしそれにしても、またもや同じ演目が同じ時期にだぶる。これで秋に「トゥーランドット」が3本集中することになるのだから。 昨年は「ばらの騎士」がバッティングしたが、今年はそれが「トゥーランドット」に回ってきたようだ。 そしてそれが、「プッチーニ・イヤー」を意識しているのかというと、そうでもないような気がして・・・ 本当ならこのようなアニヴァーサリー・イヤーには、ふだんやらない「三部作」のようなオペラをいいキャストで上演し、作品の素晴らしさを知らしめてほしいのだが・・・
January 16, 2008
大阪の「ザ・シンフォニーホール」に初めて行った。 昨年25周年を迎えた、関西ではしにせのホールだ。そう、あのサントリーホールより古いのである。 できた当時は、天井の反響板など当時としては画期的な設計で、ずいぶん話題になったのを覚えている。 ここ10年くらいで、関西にずいぶんホールが増えたようなので、「しにせ」ということになっているらしい。 想像したより、インティメートで、親密な空間という印象を受けた。 ロビーも広いし、入り口からのアプローチも、「劇場」ぽくてなかなか雰囲気あり。 入ってすぐの階段の感じなど、ちょっと「宝塚」みたいだな、と思ったのは、ここが関西だという意識があるせいだろうか。 聴いたのはベートーヴェン。清水和音さんのピアノで「4大ピアノ・ソナタ」、そう、超有名どころの「悲愴」「月光」「熱情」「ワルトシュタイン」。 弱音の美しさに定評のある清水氏、その長所は十二分。繊細な表情づけも好ましい。 一方、骨太さという点ではやや物足りない気もしたが、ベートーヴェンの音楽の推進力は十分伝わってきた。 そういえばこの1月、初めて行ったコンサートもベートーヴェンの「英雄」がプログラミングされていた。 トッパンホールのニューイヤーコンサート。鈴木秀美氏の指揮で、モダン楽器のオーケストラによる「英雄」を聴いたのだ。 奏法はピリオド楽器ふうで、指揮者が飛ばしていたので、ちょっとモダン楽器だとついていききれないかな?というところも多少あったが、こちらもベートーヴェンのエネルギーは十二分に伝わってきた演奏だつた。 偶然だが、今年、まず予定している本がベートーヴェン。かなり無謀な企てなのだが、いろいろ考えて、やるしかない、という結論に達した。 この際、偶然を必然と思い込み?、プッチーニ・イヤー(生誕150年)ならぬベートーヴェン・イヤーのつもりで励みます。 ちなみに昨年のマイ・ベストCDは、バルトリ(「マリア」)、フローレス(「ルビーニ のためのアリア」)に加えて、内田光子さんの「ハンマークラヴィーア」他のディスクでした。これは偶然です・・・。
January 15, 2008
連休は仕事ついでに、関西で過ごした。 お仕事は13日の午後、いつもオペラ講座を持っているびわ湖ホールで、「ドイツ・オペラの黄金時代」と題した特別講座。中身はほとんどワーグナー。 この手の、テーマを特化した特別講座、これまでにも「ヴェルディ」「モーツァルト」「オペレッタ」などでやってきたが、今回は初の満員キャンセル待ち(定員200名)。ワーグナー、きてるんでしょうか。 これまでの受講生とは違う方も来るのだろうな、と想像していたが、果たして新しい方が多かった(ように思う)。 年齢を問わず、男性の姿が目立つのも、ワーグナーのオペラ公演と似ていた。 途中で、同時代のイタリア・オペラとの比較で、ロッシーニやヴェルディのDVDもかけたりしたが、「トロヴァトーレ」をかけた時は、何となく「こんなところで、トロヴァトーレかけてもいいのかな」なんて一瞬思いました。「場違い」と言われそうで。はい。 でもね、ワーグナーの隙間でトロヴァトーレかけると、「ああ、なんて楽しいオペラなんだろう」と思うのですね。 3時間の講座の後は来年度の打ち合わせ。いつもはその後すぐとんぼ返りなのだが、今回はは珍しく大阪泊まり。14日、「ザ・シンフォニーホール」でコンサートを聴くことにしていたのだ。 夕食を一人寂しく・・・とるのはいやだなあ、と思っていたら、関西の某ホール関係者と食事できることになった。ラッキー。 ホールの関係者2名と、彼らが連れてきてくれたソプラノ歌手の4人で、ちゃんこ鍋やさんと、手作り感覚の小さなワインバーをはしご。 いろいろおしゃべりして、気づいたら11時半でした。 翌日、さっそくソプラノ歌手の方からメールが入っていた。 彼女はイタリアに8年いたそうなのだが、日本に帰ってきて、その環境に配慮しなければならないこともあり、いろいろ「封印」していたのだそうだ。 けれど、昨夜、話のなかで、「封印」していたことが浮かび上がってきて、そのなかに、「自分にとってとても大切で、わくわくするものがあったのだと思い出した」という。 ちょっと、じんと来ました。 ある社会のなかで生きていこうとおもったら、そういうこと、あるだろうな、と思ったので。 とくに日本は「KY]なんて言葉が流行語になるくらい、「空気」が重要な社会である。 大きく見れば、たぶん多くの人には、何か「封印」していることがあるはずだ。 理由は、住む国や環境が変わったから、という大きなことばかりではなく、今はこれをやらなければならないから、本当に好きな何かは封印しておこう、とか・・・。 それを、ちょっとずつでも解き放てると、人生、ずいぶん楽しくなるかもしれない。 私のことでいえば、オペラはずいぶん「封印」していた時期が長かった。小さな頃はラッキーなことに親戚が連れて行ってくれて目覚めたのだが、その後そういうこともなくなると、学生や留学帰りじゃとてもチケットなんか買えないし、自分の専攻はバッハだし、ということで離れてしまったのだ。 けれど、あるきっかけで仕事を始めてみて、封印していた楽しさ、面白さがよみがえってしまった。 それこそ、「トロヴァトーレ」を聴いてわくわくするような感覚、ですね。 自分の勉強不足もあり、なかなか思うような仕事はできないけれど、せっかくよみがえったわくわくは、大事にしていきたいのである。
January 14, 2008
大昔、ピアノをほんの少し習っていたころ、弦楽器に憧れたことがあった。 理由は、ピアノが孤独な楽器だったから。弦楽器なら、オーケストラをはじめ、いろんなアンサンブルが組めると思ったのだ。 とくに憧れたのがカルテットだった。 その一方で、カルテットだけで活動している演奏家というと、何となく閉じた宇宙のようで、近づきがたい印象があったのも事実である。 この春に立ち上がる、「東京クライス・アンサンブル」という室内楽の団体は、その点、とてもユニークで自由度の高い団体のようだ。 メンバーは15名。巌本真理弦楽四重奏団(!名前だけはよく知っています・・・)のメンバーだった、ヴィオラの菅沼準二が中心になって立ち上げた。その時々のプログラムに応じて、トリオから六重奏、八重奏まで、いろいろな編成の室内楽に取り組む、という団体である。 メンバーは、ヴァイオリンの漆原朝子をはじめ、N響や新日本フィルの首席奏者クラス、実力派が揃っている。 本拠地となるホールは、代々木にあるハクジュホール。ひるねができる「リクライニング・コンサート」で有名になったが、古楽のシリーズなど、本格的なコンサートにも次第に力を入れてきた。 ここで春と秋の2回、定期演奏会をやるという。 とくに注目を集めそうなのが、6年がかりで春にとりあげる、ブラームスの室内楽全曲演奏のシリーズ。全17曲を、6年がかりでやる予定らしい。 ブラームスは日本人に人気の高い作曲家だと思うが、意外だったのは、この種の試みが47年ぶりだ、ということ。前回はそれこそ、巌本真理弦楽四重奏団がやったそうだ。 今日、結成記念の記者会見があり、メンバーの一部がそれぞれの抱負を述べたのだが、やはり皆、ブラームスをやることに大きな期待を持っているようだった。 記者会見でもうひとつ話題になったのは、この手の室内楽の団体を維持することで、フェスティバルなどでよくある、寄せ集め、その場かぎりの室内楽演奏を脱して、ちゃんと練習を積み重ねての「納得のいく演奏」を目指せることらしい。 「いいメンバーと室内楽をやることくらい、幸せなことはない」(ヴィオラの佐々木亮)という発言もあり、メンバーも楽しみにしているのだなあ、ということがよく伝わってきた。 いいなあ、室内楽&弦楽器・・・。 第1回公演は4月13日、問い合わせはソナーレ・アートオフィスです(info@sonare-art-office.co.jp)
January 11, 2008
今日は、某大学の講義最終日。 成績評価の多くを占めるレポートを提出してもらったが、講義の初めに集めたら、提出するやいなや脱兎!のごとく駆け出していく学生がいて呆気にとられた。ふだん出席していない学生なのだろうけれど・・・ いやいや出てこられるのもナンなので、基本的にふだんは出席はとらないが、こういうことがあると、まじめに出席している学生がソンしないように考えなければ、とちょっと反省。自分がくやしいのもありますが。はい(笑)。 この学期はワーグナーをえんえんとやってきて、最終日の講義はリヒャルト・シュトラウスで締め。定番の「サロメ」と「ばらの騎士」である。 正月早々、「サロメ」もなあ、という気分ではあったが、やはり外せない。 「サロメ」を大学でしゃべったときの思い出といえば、 「サロメの気持ちが分かる」という女子大生がいたこと。 首を切ってもキスしたい、という気持ちを、女性として理解できるといわれ、ウブな?こちらは仰天でした。 そういう女性もいるのかも、と思いつつ、いくらなんでも別世界、という気分でいたので。 なかなか色っぽい、小悪魔系の女子大生だったので、ああこういう女の子なら分かるのかな、なんて勝手に考えた。 講義中に学生に質問してみましたが、さすがに「気持ちが分かる」ときかれて手をあげた学生はいませんでした。まあ、上げろといわれても上げられないかもしれませんね。
January 9, 2008
毎度おばバカで恐縮だが、実家に行くと、同居している妹夫婦の一人娘、つまりめいにヤニ下がってしまう。 何しろ身内に子供が育つのを見るのは初めての経験なので、面白くてたまらない。 最近は、遅れ気味だった「しゃべり」が本格的に始まった。 今、2歳8ヶ月くらいだが、つい最近まで「パパ」「ママ」「じじ」くらいしかいえなかった。それがめきめきボキャブラリーが増えているのだ。 「パパ」や「ママ」に続いては、「あっち」「こっち」「あった」などが出始めた。その次は名詞。「わんわん」などは定番らしいが、「ぶーぶ(=ぶどう)」など、名詞のかけらも。 そして最近は形容詞。「甘い」「あちい」といった具合である。 このお正月に気づいたのは、こちらの言葉がすぐまねできるようになったこと。 梨を目の前にして、こちらが「梨」と口にするとすぐまねる。数ヶ月前まで、「言葉が遅い」と心配していたのが嘘のようだ。 「話し始めれば早いわよ」と、女友達に言われた理由が分かったような気がする。 それに引きかえ、こちらは言葉が出てこなくなっているのだから、面白いどころかモンダイである。 お正月の3日、初詣に行った。 縁起かつぎの品物を売る屋台の前で、足が止まった。 何度か買ったことのある、見覚えのある開運グッズが並んでいるのだが、とっさに名前(固有名詞ではありません。普通名詞です)が出てこない。 ほら、あれ、あの、「むかで」じゃなくて、「ほうき」でもなくて、あの、浅草の、酉の市で買ったやつ・・・ 「熊手」と思い浮かんだのは、何分か経ってからだった。 運をかきあつめるという熊手だが、今回はさすがにパス。かきあつめそびれてもナンなので・・・。 写真は本を読む?めいっ子。めくっているだけなんですが・・・
January 5, 2008
あけましておめでとうございます。 (東京近辺は)おだやかなお正月、いかがお過ごしでしたか。 私はごくごく平凡に、一族郎党(でもないか)、と過ごしました。 本当は大晦日の夜、東京文化会館の小ホールでやっていた、ベートーヴェンのカルテットの連続演奏会に行きたかったのだが、いちおう?大晦日は実家に行く日なので、涙をのんで(?)あきらめました。 同じ大晦日に大ホールでやっていた、ベートーヴェンの交響曲連続演奏会も定番になりつつあるし、年末の「第9」ではないけれど、やっぱり日本人はベートーヴェンが相当好きなんだな、と思う。 年末にタワーレコードに行った時、年間のCD売り上げベスト40が並べてあったが、やっぱりいわゆる三大B、は今でも強いのだなあ、と再確認した。 あるホール関係者の話だと、日本人のクラシックファンには、かなりの割合で、外来の有名アーティストが三大Bなどを並べたプログラムをやると、まず無条件でチケットを買う層がいるそうだ。 対してオペラは、CDに関していうと海外に比べて売れないらしい。 タワレコのベスト40でも、かろうじておしりの方にネトレプコ&ヴィラソンのデュエツトが入っていたくらいでした。公演はこんなに多いのにねえ・・・ ところで年始の音楽始まりは、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート(もちろんテレビ観賞です。残念ながら現地鑑賞はまだ。たぶん将来もないでしょう)。 指揮がベテランのジョルジュ・プレートル(83歳!だってマリア・カラスの「カルメン」の録音を指揮したひとだもんね)というのが意外で、ちょっと地味かなあ、と思っていたのだが、これが若々しくて闊達な指揮で大正解!ここ数年で一番よかった。オケもどんどん乗ってくるのがわかって、楽しい2時間半だった。 続いては3日の、「NHK ニューイヤーオペラコンサート」。これも毎年の恒例で、オペラの紅白、なんていわれている番組。 紅白の本家が元気がない、といわれて久しいが、このニューイヤーオペラコンサートも、ゆここ数年あった有名オペラのハイライトがなくなり、ちょっと地味な印象も。 けれどこのコンサートは、毎年顔ぶれが何人か変わり、常連もいるが大抜擢、という感じの歌手も出てくるのが面白い。 今年の大抜擢、はソプラノの臼木あいさんだろうか。 出演者のなかでは、ソプラノの砂川涼子(大器だと思う)、バリトンの堀内康雄(間違いなくイタリアのトップクラスのレベル)、ソプラノの木下美穂子(中音域が充実)、に惹かれた。 木下さん、堀内さんはこれまでの日本人にはまれなタイプ。ぜひどんどん活躍して、日本のイタリア・オペラシーンを牽引して欲しい。 ところで堀内さんは、3月の新国立劇場公演「アイーダ」にも出るんですよね。これは注目している指揮者のフリッツァが振ることもあり、今年のおすすめ公演のひとつだが、人気沸騰で即日完売。何を隠そう私も難儀している。当日に招待のキャンセルが出ることもあるので、興味のある方でチケットがまだの方はぜひトライしてみてください。
January 4, 2008
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