ビストロフの橋

ビストロフの橋

October 13, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 やがて、小鬼がウィルのとこにも来て、金貨の入った布袋を渡してくれた。
 「金貨はガリオン。銀貨がシックル。銅貨がクヌート。一ガリオンは十七シックルで、一シックルは二十九クヌートとなっております」小鬼が通貨の説明をしてくれたが、覚えやすいとはとてもいえない半端な数字にウィルは少し戸惑った。
 とは言え、ドルやフランの換算率に比べれば楽なものだ。じきに慣れるだろう。
 グリンゴッツを出て、ウィルは再びダイアゴン横町に出た。どこに何があるのか判らない、どうしようかと、買わなくてはならないもののリストを見直した。
 「確か入り口に鍋屋があったっけ」
 一度入り口にまで戻り、そこから横町の様子を見物しながら買い物をすることにした。闇雲に歩くより確実だろう。
 鍋屋の前に立つと、学校指定の学用品ということだろう。同じ大きさの黒い大鍋がずらりと並んでよく磨かれた表面が日の光を反射していた。
 店主らしい恰幅のいい、水色のローブを来た中年の魔女が、忙しそうに店の中と外を行き来している。
 「錫製の鍋、二つ貰おうかね」店主にウィルが声を掛けようとしたとき、横から別の声が店主を呼び止めた。

 「でも、おばあちゃん。これには一つって書いてあるよ」リストを穴が開くほど見つめて男の子が言った。
 「ネビル、おまえのことだから、きっと一度は鍋を溶かしてしまうよ。一つ余分に買っておいたほうが安心だろう?」
 ネビルと呼ばれた男の子は顔を真赤にして俯き、その後おばあちゃんが鍋を買うあいだ一言も口を挟まなかった。
 鍋って溶けるものなのか? また不安が募る。無意識に目が値札を見ていた。それほど高くはない。ウィルも二つ買った。そしてトランクの四番目に重ねて入れた。折畳のできるかきまぜ棒と軽量カップを鍋の中に入れるとそのトランクはいっぱいになった。
 鍋屋から道なりに進んで、冬用のマントを買い二番目へ、折畳式の真鍮製望遠鏡と魔法薬の材料を計るための上等な計り、クリスタル製の薬瓶を五番目に、とリストの順番通りにトランクを分けて入れていった。
 本屋、『フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店』では一年生用にまとめられていた教科書を買って三番目に放り込むと、脇目も振らず足早に店を出た。面白そうな本が多過ぎて、一冊でも開いてみようものなら三カ月は動けなくなりそうな予感がしたのだ。
 『フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店』を出て、再び看板を見上げたウィルの目に一つの看板の文字が飛び込んできた。『ナクサスの鞄店ー修理引き受けます』とある。
 トランクに目を向けるとあちこちくたびれているのは明らかだった。少し、直してもらったほうがいいかも知れない。





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Last updated  October 13, 2005 10:46:54 PM
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