ビストロフの橋

ビストロフの橋

December 15, 2005
XML
テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 『七つ鍵のトランク』を手に、いつも通りの抜道を通ってハグリッドの小屋へ行く、その途中でウィルはハグリッドにであった。城を出てすぐの空き地に、あの大きな体が屈んでいる。
 なにをしているのだろうかと近づくと、ハグリッドは一人ではなかった。なんとダンブルドアも一緒だった。大きな体の陰になっていて分からなかったのだ。
 「先生様、森になにか悪いものが入り込んでるのはまちげぇねぇですよ。そうでもなきゃ、ニーズルが怪我するなんざあるわけねぇ」
 「うむ。どうやらそのようじゃな、問題は何が目的か、じゃが・・・ん? どうかしたかの?」最後の言葉は、ウィルに向けたものだった。 
 立ち聞きしていたと思われるかと心配になったが、ダンブルドアの様子からいってそんな考えは持っていないらしくウィルはホッとした。
 「ハグリッドの小屋を訪ねるところだったんです。そしたら、ここにいるのが見えたんで・・・」いいながら二人がしゃがみ込んでみていたのがなんなのかを目で追い、ウィルはしばしそれを見つめた。
 「いかん! ニーズルは警戒心が強いんだ。おまえさんが引っ掻かれるだけじゃねぇ。こいつも傷がひらいちまう」思わず手を伸ばしかけたウィルの手を、大きな手で制したハグリッドだが、その大きな掌の向こうから猫そっくりな生き物が姿を現し、ウィルの手に顔を擦り付ける仕種をした。
 「やっぱり、そうなんだね」それは以前、ウィルが森に入ったときに危ういところを助けてくれた猫そっくりな魔法生物、ニーズルだった。
 だけど、猫とニーズルを区別すべきもっとも大きな特徴、ライオンみたいな尻尾、がなくなっていた。三分の一ぐらいを残して、根本から引き契られてしまっているのだ。

 「どうして? 危険を察知して避ける能力があるんじゃないの? 前はそれで僕を助けてくれたのに!」『七つ鍵のトランク』を放り出し、手に血が付くことに気がつくこともなく抱き上げたウィルが、半ば泣きそうになりながら問いかけた。
 そのぐらい、痛々しい姿をしていたのだ。このまま死んでしまうんじゃないかと思うほどに。
 「こいつぁ、驚いた。ニーズルが人間に抱かれることなんぞ、そうあるもんじゃねぇ。魔法族の間でペットになるやつぁたいがい猫の血が混ざってるもんだ。こいつみてぇに生粋のニーズルが人間に慣れるなんて聞いたこともねぇ」
 「それだけ、ミスター・ゴールドバンクが信頼されとるということじゃろう。治療を手伝ってもらうと良い」ダンブルドアはニコニコ笑いながら立ち上がり、ウィルをキラキラッとした目で見つめた。
 「ウィリアム君。この子の面倒を見てくれるかね? 怪我が治るまで、もしくはずっとでも良い。おそらく、この子自身は『ずっと』、を望むとわしは思う。尻尾を無くしてしまった以上、野性で暮らすのはつらいじゃろうからのう」
 「もちろん!」自分でも驚くほどはっきりと応え、ウィルはニーズルを抱き抱えたままでハグリッドの小屋へと歩き出した。
 治療を行なうとしたら、そこ以外にはないだろうから。
 「ハグリッド、わしはロナンのところに行ってくるよ。話しをしておいたほうがよいじゃろうからな」
 「わかりました、先生様。どうか、お気をつけて」
 ダンブルドアはにこやかにうなずくと、整備された庭を散策するような気軽さで、森へと入っていった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  December 15, 2005 09:12:22 AM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

クラッシュのHP クラッシュ2569さん
まいけるのお部屋 名前のないうさぎさん
凛。きまぐれホーム… RURIKAさん
し ん じ て る 。 沙羅 憐霞さん

Comments

通な俺@ 愛 液ごちそうたまでしたw <small> <a href="http://hiru.kamerock…
ヒゲメタボ@ クマたんと呼ばれてます(^^; 最近はこれが流行ってるって聞いたので …
ディック橋本@ ギリ3人です(笑) <small> <a href="http://iikoto.chorie…
大岩井@ 目覚めたら巨チンってぉぃ あの女ー・・昨日チソコが痛くなるくらい…
ビャルヒ@ あのコスwwwww コ ス プ レセ ク ロ スって思った以上に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: