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アメリカのバラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行、香港でイギリスと手を組んで反中国政府運動を展開した2014年にWTI原油の相場は110ドルを超す水準まで上昇したが、その後、値下がりしていく。2014年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王は紅海の近くで会談、それから加速度的に下げ足を速めたことから原油相場を引き下げる謀議があったと推測する人も少なくない。年明け直後には50ドルを切り、2016年1月には40ドルを割り込んだ。 エネルギー資源を収入源とするロシアを揺さぶる目的でアメリカとサウジアラビアは原油相場を下落させたと見られているが、ロシア以上にアメリカやサウジアラビアがダメージを受けた。2014年にサウジアラビアは約390億ドルの財政赤字になり、15年には約980億ドルに膨らんだと伝えられている。 2020年にはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で世界の経済が急減速、4月に相場は12ドル台にまで落ち込んだ。その後、回復したものの、現在は52ドルだ。サウジアラビアの財政は危機的な状態になっているだろう。 COVID-19騒動はWHO(世界保健機関)が3月11日にパンデミックを宣言してから始まるが、その前にサウジアラビアは苦境から脱するため、イランとの関係を修復しようとしていた。その仲介役はイラク政府だった。 イラン側のメッセンジャーはイスラム革命防衛隊の特殊部隊と言われているコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニー。昨年1月3日にソレイマーニーは返書を携えてバグダッド国際空港に降りた。そこでアメリカはイスラエルの協力を得て、ソレイマーニーとPMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官を暗殺した。その直前、12月29日にアメリカ軍はPM空爆、25名以上の戦闘員を殺したと伝えられている。 サウジアラビアで大きな力を持っているモハメド・ビン・サルマン皇太子にとってアメリカ大統領がドナルド・トランプからジョー・バイデンへ交代したことは問題だろう。皇太子は2017年6月にホハメド・ビン・ナイェフからビン・サルマンへ交代になった。 ビン・ナイェフはヒラリー・クリントンに近く、彼が皇太子になった2015年4月当時、アメリカの次期大統領はヒラリーに内定していた。ところが2016年にトランプが選挙で勝利し、皇太子はトランプに近いビン・サルマンへ交代になった。トランプがホワイトハウスから去ることはビン・サルマンにとって良くない。 サウジアラビアの情勢は中東における不安定要因だが、トランプやビン・サルマンとつながっているベンヤミン・ネタニヤフが首相を務めるイスラエルはシリアに対する攻撃を強め、ネタニヤフはバイデン政権に何らかのメッセージを伝えるため、2月にモサドのヨッシ・コーエン長官をワシントンへ派遣すると言われている。 2019年9月にサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設がUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と巡航ミサイルで破壊された。石油施設の周辺には88基のMIM-104 ペトリオット・システムが配備されていて、ペルシャ湾にはアメリカ海軍に所属する3隻の駆逐艦(イージス艦)がいたのだが、機能しなかった。サウジアラビアがアメリカに不信感を持つのは当然だろう。 今年1月26日にはサウジアラビアの首都リヤドの上空で大きな爆発があったと報道された。その3日前には発射物をサウジアラビアが迎撃したとされている。イランを巻き込むような戦争が始まった場合、サウジアラビアも無事では済まず、世界のエネルギー資源供給量は大きく減少することになる。COVID-19騒動で需要が減少していても、供給不足になるだろう。 ドナルド・トランプは大統領時代にアメリカ軍をシリアから撤退させるかのような発言をしてきたが、実行が伴わなかったのは事実。ただ新たな戦争は始まっていないが、バイデンの登場で軍事的な緊張が高まっている。 例えばイドリブでアル・カイダ系武装勢力が統合されてファスバトゥなる組織が編成され、資金や武器/兵器はNATOから提供されると言われている。またクルド勢力の統合を進めるため、PYNKなる組織が作られた。 2011年3月に始まったシリアへの軍事侵略はジハード傭兵が使われているが、その雇い主はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟、フランスとイギリスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、オスマントルコの復活を目論んでいたと言われるトルコだった。トルコとカタールは途中で離反したが、トルコは再び侵略勢力へ戻りつつあるようだ。 ジハード傭兵を使った侵略はバラク・オバマ大統領が2010年8月に出したPSD-11。ムスリム同胞団を軸にすることを決めたのだが、それだけでなくサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)も加わる。これはオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代にアフガニスタンで行った秘密工作の構図だ。 PSD-11を決定したチームにはバイデン政権でUSAID(米国国際開発庁)長官に指名されたのはサマンサ・パワー、2015年から17年までUSAIDの長官を務めたゲイル・スミス、12年から14年までロシア駐在大使を務めたマイケル・マクフォールも含まれている。 シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでもジハード傭兵が使われたが、そこにNATOの空爆が加わってムアンマル・アル・カダフィ体制を倒し、カダフィ自身を虐殺している。同じことをシリアでも行おうとしたのだが、できなかった。2012年5月からロシア大統領を務めているウラジミル・プーチンが立ちはだかったのだ。プーチンは前任者のドミトリー・メドベージェフと違った。 それでもオバマ大統領は2015年に好戦的な陣容に変更する。2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。ヘイゲルは戦争に慎重で、デンプシーはサラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていた。 統合参謀本部議長が交代になった直後の9月30日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)などの武装勢力の支配地域は急速に縮小していく。アメリカ主導軍と違い、ロシア軍は本当にダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力を攻撃したのだ。現在、シリア西部のイドリブで活動している戦闘員はこの残党である。 ジハード傭兵の敗走を受け、アメリカ、イギリス、フランスなどはクルドを新たな手先にすると同時に自国の地上部隊を侵入させ、オバマ政権はシリアのユーフラテス川より北側に約20の軍事基地を建設した。軍事侵略以外の何ものでもない。 リビアでの戦闘でNATO軍がアル・カイダ系武装集団と手を組んでいることが明確になり、その武装集団がシリアへ運ばれたことを西側の有力メディアも伝えている。そうした状況の中、オバマ政権はシリアの反政府軍を支援、その戦闘集団は穏健派だと主張していた。 しかし、これを否定する報告が軍の情報機関DIAからホワイトハウスへ2012年8月に提出されている。オバマ政権が支援している武装勢力はサラフィ主義者やムスリム同胞団が主力で、アル・カイダ系のアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)と名乗っているとしている。ったタグをつけているとする報告を2012年8月にホワイトハウスへ提出したのだ。2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将だ。 この警告は2014年にダーイッシュという形で現実なった。この武装勢力は同年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧する。その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになった。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などでアメリカの軍や情報機関は武装集団の動きを知っていたはず。つまりパレードは格好の攻撃対象だったはずなのだが、そうした展開にはなっていない。ダーイッシュが売り出された後、フリンDIA局長は退役に追い込まれた。 売り出し直後にダーイッシュは残虐性をアピールした。西側では報復の雰囲気が作られ、アメリカ主導軍がシリアで勝手に空爆を始める。その空爆でシリアのインフラは破壊され、市民が殺され、その一方で武装勢力へは「誤投下」で物資を提供することになった。その後にNATO、あるいはアメリカ主導軍を軍事介入させるつもりだったのだろうが、それをロシアの軍事介入が阻止したのである。 アメリカはイギリスやフランスと共同でユーフラテス川の南側へも侵略している。最も大きな占領地はアル・タンフ。アメリカ、イギリス、フランスの3カ国は特殊部隊を入れ、反シリア政府軍を訓練してきたのだが、ここは現在、ダーイッシュの出撃拠点として使われているとも伝えられている。
2021.01.31
2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプの当選を阻止する目的でFBIは「ロシアゲート」を捏ち上げるが、その際に電子メールを捏造していた。捏造したとされているケビン・クリンスミスはFBIの法律家だった。彼に対して1月29日に判決が言い渡されたのだが、執行猶予付きの軽い内容だったことから話題になっている。 昨年の大統領選挙でジョー・バイデンに敗れたドナルド・トランプは2016年の選挙以来、FBIやCIAから攻撃を受けていた。そのために「ロシアゲート」なる話が使われたのだが、これが捏ち上げだったのだ。 工作のためにFBIは2016年の選挙キャンペーンでドナルド・トランプの顧問を務めていたカーター・ペイジを監視することにし、FISA(外国情報監視法)に基づいて令状を2016年10月に入手している。その際にFISC(外国情報監視裁判所)を納得させるため、証拠として捏造された電子メールが提出された。それを捏造したのがクリンスミス。昨年8月に彼は有罪を認めている。12月3日に検察側は禁固6カ月を求め、年末には判決が言い渡される予定だったが、1カ月延長されていた。 2015年の段階で「次期大統領」として民主党のヒラリー・クリントンが内定していたと言われている。(詳細は割愛)そのクリントンは上院議員の時代から軍需産業をスポンサーにし、金融資本とも結びつき、シオニストの一派であるネオコンに担がれていた。 ネオコンは2014年にロシアを潰すためにウクライナでクーデターを成功させ、香港ではCIA(アメリカの情報機関)とMI6(イギリスの情報機関)が反中国政府の運動を仕掛けたのだが、その後、ロシアと中国は急接近し、今では「戦略的同盟関係」にある。 つまりネオコンの戦術は失敗に終わり、支配層の一部は離反、トランプ支持に回った。しかも民主党の内部ではヒラリーの好戦的な姿勢を嫌う人びとがバーニー・サンダースを支持するようになる。彼女は民主党の候補になることもおぼつかなくなる。 2016年3月16日にはウィキリークスがヒラリー・クリントンに関連した電子メールを公表、その中に民主党の幹部たちが2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆する電子メール、バーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するようDNC(民主党全国委員会)に求める内容の電子メールが含まれていた。 そうした展開の中、民主党や有力メディアはロシア政府がハッキングで電子メールを手に入れたとする話を流し始める。この偽情報を流したのは2013年3月から17年1月までCIA長官を務めたジョン・ブレナンだと見られている。 電子メールをウィキリークスへ渡したのはDNCのコンピュータ担当スタッフだったセス・リッチであり、その漏洩した電子メールをロシア政府がハッキングしたと調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは語っているが、リッチの両親が雇った元殺人課刑事の私立探偵、リッチ・ウィーラーも同じことを主張していた。セス・リッチは2016年7月10日、背中を2度撃たれて死亡しているので真相は語れない。 ウィーラーによると、セスがウィキリークスと連絡を取り、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルをウィキリークスへ渡したとしていた。後にウィーラーはセスの親から、雇い主に無断で情報を流したと批判され、沈黙するようになった。 DNCのサーバーに保管されていた電子メールがハッキングで流出したのでないことは技術分析で明らかになっている。これも本ブログで繰り返し書いてきたが、コンピュータの専門家でIBMのプログラム・マネージャーだったスキップ・フォルデンは転送速度など技術的な分析からインターネットを通じたハッキングではないという結論に達している。 また、アメリカの電子情報機関NSAの技術部長を務めた内部告発者で情報機関で通信傍受システムの開発を主導したウィリアム・ビニーが指摘しているように、NSAはすべての通信を傍受、保管している。もしロシアゲートが事実なら、FBIは必要な証拠をすべてNSAから入手できるのだ。 クリンスミスに対する判決からも類推できるように、トランプを潰すためにFBIやCIAを動かせる勢力は今でも大きな力を持っている。2016年の段階で彼らはロシアをボリス・エリツィン時代のような属国にし、中東ではシリアの現体制を転覆させようとしている。イランはその次ということだ。ネオコンは1980年代からイラクに親イスラエル体制を樹立させ、シリアとイランを分断、孤立させてそれぞれを殲滅するという戦術を立てていた。
2021.01.30
ツイッター、フェイスブック、ユーチューブ、グーグルといったシリコンバレーの巨大企業による検閲の対象はアメリカを含む各国政府に及んでいる。当初は言論封印の対象がドナルド・トランプ米大統領だったこともあり、そうした決定に拍手喝采する人もいるが、気に入らない言論を封じるという行為は民主主義の否定にほかならない。 そうした言論統制を進めるソーシャル・メディアをメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は1月20日の会見で批判し、1月6日には私企業が言論を検閲する悪い兆候だとも語った。メキシコのツイッターで幹部として働くウーゴ・ロドリゲス・ニコラはPAN(国家行動党)と緊密な関係にあったともしている。(映像) ロドリゲスはコロンビア大学のSIPAを卒業した後にメキシコへ戻り、右翼とされる上院議員の顧問を務めた後、PANに雇われた。PANはメキシコの富豪を後ろ盾とする政党。そうした富豪の背後にはアメリカの巨大資本が存在、必然的に新自由主義的な政策を推進してきた。2006年12月から12年11月までメキシコ大統領を務めたフェリペ・カルデロンも2018年11月までPANのメンバーだった。 カルデロン政権はアメリカの捜査当局と共同で麻薬取引を取り締まったと宣伝されているが、世界の麻薬取引の中心にはアメリカの情報機関CIAが存在、カルデロンは「死の部隊」を動かし、麻薬カルテルと手を組み、ジャーナリストを暗殺していたと伝えられている。死の部隊を訓練してきたのはCIAやアメリカ軍だ。 ジョージ・W・ブッシュ政権の時代、メキシコで行われた「麻薬との戦争」で殺された人は10万2859名、行方不明者は2万2112名に達すると言われている。アメリカが主導する「麻薬との戦争」はアメリカの巨大企業にとって目障りな組織を潰し、人びとを殺すことにほかならない。カルデロンが大統領でなくなった後、ロドリゲスはNGOの世界へ入り、ツイッターの仕事をするようになったわけだ。 アメリカやイギリスを支配している人びとは麻薬との関係が深い。イギリスは19世紀にアヘン戦争を中国に仕掛けたが、アメリカのCIAはベトナム戦争でヘロインを生産、マフィアを利用して売りさばいていた。原料のケシを育てていたのは「黄金の三角地帯」と呼ばれる東南アジアの山岳地帯。メキシコが密輸の中継地として重要な役割を果たしていた。後にニカラグアの反革命ゲリラを支援するためにコカインをCIAは主力商品にするが、その産地はラテン・アメリカ。そこからアメリカ国内へ運ぶ主要ルートのひとつがメキシコだ。後にヘロインの主要産地はパキスタンからアフガニスタンへ移動するが、これはアメリカがアフガニスタンでの工作を本格化させたからである。 アメリカがラテン・アメリカへの侵略を始めたのは1898年2月のことだった。キューバのハバナ港に停泊していたアメリカの軍艦「メーン」で爆発が起きて沈没、アメリカ側はこれをスペインの陰謀だとして戦争を始めて勝利、それ以降、ラテン・アメリカはアメリカ巨大資本の植民地になる。 このアメリカ・スペイン戦争を推進していたのが「棍棒外交」で有名なシオドア・ルーズベルト。1901年3月、ウィリアム・マッキンレー政権で副大統領に就任、その年の9月にマッキンレーが暗殺され、大統領に昇格した。アメリカ・スペイン戦争ではフィリピンも植民地化、ここを拠点にして中国大陸への侵略を狙うようになる。 この当時、イギリスの影響下にあった日本は1904年2年、海軍が旅順港を奇襲攻撃して日露戦争を始めた。1905年にセオドア・ルーズベルト米大統領が調停役として登場、日本が有利に見えるところで講和が成立する。帝国主義者のルーズベルトが戦争を終結させたのは、大陸を侵略する布石のつもりだったのだろう。 当時、ロシア国内では帝政を打倒する動き(第1次ロシア革命)があり、ロマノフ朝には戦争を継続しにくい状況があった。そこでルーズベルトの調停に応じたのだろうが、日本に負けたという認識は薄かったのではないだろうか。 しかし、日本では新聞の扇情的な記事で大勝した気分になっていた国民がいて、講和条約が締結された当日、日比谷公園で開催された国民大会に参加した人たちは不満を爆発させた。内相官邸、警察署、交番などを焼き討ちし、戒厳令が敷かれるという事態に発展したのだ。 JPモルガンをはじめとするウォール街の住人は1933年から34にかけての時期に反フランクリン・ルーズベルトのクーデタを計画したが、これはスメドリー・バトラー退役少将によって阻止された。そのバトラーは1935年に『戦争は犯罪だ(War Is a Racket)』という本を出した。戦争が押し込み強盗にすぎないということを日本の庶民も理解していたということだろう。 ところで、バイデン米大統領も戦争が好きである。2002年にイラクへの侵略戦争に賛成、コソボで大きな力を持っていたハシム・サチとも親しい。サチは1999円4月から2000年2月、そして08年1月から14年12月まで首相を、16年4月から20年11月までは大統領を務めた。 サチはKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)の指導者としてコソボへ乗り込んできたが、この組織はアメリカの手先で、クロアチアのネオ・ナチが参加していたことでも知られている。彼はセルビア人や少数民族をターゲットにした「民族浄化」を実行、アルバニアの犯罪組織とつながっていたと言われている。 コソボはアフガニスタンからヨーロッパへヘロインを運ぶ主要ルートのひとつが通過、それにともなう儲けがKLAの資金源になっていた。また旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で検察官を務めたカーラ・デル・ポンテは自著の中でKLAによる臓器の密売に触れている。コソボで戦闘が続いている当時、KLAの指導者らが約300名のセルビア人捕虜から「新鮮」な状態で、つまり生きた人間から臓器を摘出し、売っていたというのだ。 1991年12月にソ連が消滅した後、アメリカをはじめとする西側の支配者はユーゴスラビアの解体に乗り出す。その計画を実行するように有力メディアは煽ったが、当初、ビル・クリントン大統領は動かない。状況が変化したのは1997年1月に国務長官がクリストファー・ウォーレンからマデリーン・オルブライトへ交代してからだ。 オルブライトはヒラリー・クリントンと親しく、ズビグネフ・ブレジンスキーの教え子だった好戦的な人物。オルブライトはビジネス戦略を提供するということでオルブライト・ストーンブリッジ・グループを創設したが、この関係者がバイデン政権に参加している。 ユーゴスラビアを解体する際、現地で指揮していたのはリチャード・マイルズ。現地のイスラム指導者にもアメリカ側は接触、ジャーナリストのレナテ・フロットーによると、サラエボにあったイザドベゴイチのオフィスで1993年から94年にかけてオサマ・ビン・ラディンを何度か見かけたという。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) アメリカの支配者に率いられたNATOは1999年5月にユーゴスラビアへの空爆を開始、4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館も爆撃されている。 そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンにある国防総省の本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された。攻撃の直後にジョージ・W・ブッシュ政権は「アル・カイダ」によるものだと断定、有力メディアはその主張を大々的に宣伝、反イスラム感情を煽る。そしてアメリカの支配者は侵略戦争を本格化させた。 それと同時にアメリカでは憲法の人権規定を停止させる法律が制定された。「愛国者法(USA PATRIOT Act / Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001)」だ。この法律のモデルになった対テロリズム法案をバイデンは1995年に提出している。 アメリカは強大な私的権力が直接支配する国になりつつある。そうした私的権力の犯罪的な行為を明らかにしてきたウィキリークスを弾圧の対象になり、その象徴であるジュリアン・アッサンジは秘密裏に起訴され、スウェーデンとイギリスの協力受けて逮捕、拘束した。 現在、主導権を握っている私的権力の意向に沿わない言動を繰り返してきたドナルド・トランプは有力メディアや政府機関に攻撃され、排除された。言論も封印されているが、それはデジタル時代における言論統制の戦いで転換点になるとNSAの内部告発者であるエドワード・スノーデンは指摘している。 現在、世界はファシズムへ向かって突き進んでいる。少なくともアメリカを中心とする私的権力はそうしようと必死だ。そうした状況に西側の「リベラル派」や「左翼」は危機感を持っていないが、メキシコのオブラドール大統領は違った。
2021.01.30
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチンの接種で深刻なアレルギー反応や死亡例が報告されていることは、本ブログでも指摘してきた。それでもワクチンを接種させたい人びとはこれまで以上に恐怖を煽る。 ワクチン接種で先行しているBioNTech/ファイザーやモデルナの製品はmRNA(メッセンジャーRNA)の技術を使っている。この種類のワクチンでは全身性の炎症反応や潜在的な毒性が懸念され、生産されるウイルス・タンパク質の排泄物をキラーT細胞が認知することで自己免疫が起こることは避けられないとされていた。(スチャリット・バクディ、カリーナ・ライス著、鄭基成訳、大橋眞監修『コロナパンデミックは、本当か?』日曜社、2020年) 伝染病の「権威」、つまり強力な私的権力の手先になっている学者はこれまでもCOVID-19という恐ろしい伝染病が世界に蔓延していると主張してきた。この感染症は伝染力が強力で、無症状者も感染を広げ、しかも「特効薬」がなく、ワクチンの接種が必要だというのだ。 COVID-19を引き起こすとされるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)だが、ウイルスに特効薬は事実上、存在しない。いわゆる風邪の大半もコロナウイルスが原因だとされているが、市販されている風邪薬は症状を抑えるだけだ。普通の風邪より深刻な症状を引き起こすインフルエンザもウイルスが原因である。 ウイルス性の病気に特効薬はないのだが、これまでCOVID-19のような騒ぎにはなってこなかった。免疫が機能するからだ。SARS-CoV-2に感染しても(PCR検査の陽性者でも)8割から9割は症状が出ないか軽く済むと言われているが、このウイルスに対しても(陽性者に対しても)免疫が機能しているからだろう。当初、COVID-19は重症急性呼吸器症候群、要するに肺炎を引き起こすとされたが、そうした患者が街にあふれているという話は聞かない。 肺炎はウイルスによって引き起こされるとは限らない。細菌、真菌、毒物、アレルギーが原因になることもある。今回のパンデミックでも話題になる「スペイン風邪」はアメリカの軍事基地から広がったと考えられているが、大半の死者はインフルエンザでなく、細菌が原因だったようである。アメリカの国立アレルギー感染症研究所(NIAID)によると、1918年から19年にかけて死亡した人の大半は細菌性肺炎による可能性が高いという。 COVID-19と免疫との関係についての報告もある。例えば、カリフォルニアにあるラホヤ免疫研究所の研究員は、2年以内に通常の風邪を引いた人はCOVID-19に対して交差反応する免疫が作られたと報告している。シンガポールのデューク-NUS医学大学院の研究によると、2003年にSARSが流行した際に感染した23名の血液を採取して調べたところ、キラーT細胞がまだ存在していたという。再びSARSに感染しても体を守れる可能性があるということであり、COVID-19の患者も長期にわたって免疫を保持できるとも考えられている。 中国の武漢でCOVID-19騒動が始まった当時からインターフェロン・アルファ2bが有効だと言われている。これはキューバで研究が進んでいる薬で、リンパ球を刺激して免疫能力を高めるのだという。人の免疫が機能しているということでもある。 キューバでこの薬の研究が盛んになるのは、同国で1981年にデング熱が流行してから。デング熱の流行はアメリカによる攻撃だったと見られているが、この病気に効果があった。 「権威」は否定しているようだが、抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることは研究者や現場の少なからぬ医師が主張している。 フランスの著名な微生物学者、ディジェ・ラウルを含むグループが3月の段階でこのコンビネーションが有効だと報告、アメリカ人医師のグループも同じように語っている。 また、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。 ちなみに、アメリカで伝染病対策を動かしているアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)はNIHの下部機関だ。 しかし、こうした話はワクチンを接種させようとしている人びと、医薬品メーカーを含む私的権力にとって好ましくない。そうした話が広まらないようにするのが「権威」の役目であり、その「権威」の話を有力メディアは伝える。大多数の政治家や官僚も私的権力には逆らわない。それが私的な利益につながるからだ。逆らえば不利益を被る可能性が高い。 そうした「権威」は現在、「ワクチンの伝道師」のようなことをしているが、ワクチン接種で先行しているBioNTechとファイザーが開発した製品では接種された直後に死亡するケースが報告されてきた。 すでに本ブログでも書いたことだが、ポルトガルの看護師やフロリダの医師が死亡したことは早い段階に伝えられ、インドでも死亡例が報告されている。ドイツでは10名の死亡者に関する調査が行われているが、中でも注目されているのはノルウェーの老人ホームにおける事例。ノルウェーにおける死者数は29名から33名に達したとされている。 当然のことながら、老人ホームで死亡した人は病弱で、75歳以上。そこで高齢者のワクチン接種を見合わせるという国が出てきたが、当然のことだろう。高齢者への接種を先にするということは、リスクを高齢者に押しつけるということにほかならない。 COVID-19ではPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者を「感染者」と見なし、陽性者が死亡すると、あたかもCOVID-19が原因で死亡したかのように伝えられている。その死亡者の大半も高齢者で、しかも心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えているという指摘は本ブログでも書いてきた。 これまで使われていたワクチンも問題が指摘されてきたが、mRNA技術を利用したBioNTech/ファイザーやモデルナのワクチンは安全性は確認されていない。企業が免責されているのはそのためだ。深刻な副作用や死亡は見通されている。 COVID-19のパンデミック騒動で「ダーク・ウィンター」という用語が使われているが、これは天然痘を兵器として使った攻撃を受けたという想定で2001年6月にアンドリュース米空軍基地で実施された軍事演習の暗号名。実際、「暗黒の冬」が演出されているが、その先には資本主義の大々的な「リセット」、つまりファシズム化が待っている。少なくともそれが私的権力の計画だと言えるだろう。
2021.01.29
石油を含むエネルギー資源は現代社会を支えている。どの国もエネルギー資源がなければ存続しえない。ジョー・バイデン政権もエネルギー資源の支配に力を入れるだろう。アメリカがエネルギー資源を支配、石油や天然ガスの供給を止めることができるということになれば、多くの国はアメリカの命令に逆らえなくなる。 アメリカにとって石油はそれ以上の存在でもある。ドル体制を支えてきたのだ。基軸通貨であるドルを発行する特権によってアメリカの支配力は支えられてきた。 1971年にリチャード・ニクソン大統領がドルと金の交換を停止すると発表、金という後ろ盾を失ったドルが基軸通貨の地位に留まることができたのはそれなりの仕掛けがあったからである。 そのひとつは金融規制の大幅な緩和によって投機市場を肥大化させたことにあり、もうひとつは石油取引の決済をドルに限定させたことにある。アメリカはサウジアラビアをはじめとするOPEC(石油輸出国機構)に決済をドルに限定させ、その代償としてその国の防衛だけでなく、支配者の地位と収入を保障したのだ。 産油国に集まったドルはアメリカの財務省証券や高額兵器を購入するなどという形でアメリカへ還流、また産油国を支配する人びとの預金や投資という形で金融システムや投機市場へ流れ込む。それによって現実世界に流通するドルを減少させ、ドルを発行する余裕を作ることができる。 アメリカを中心とする支配システムにおいて、サウジアラビアの果たしている役割は大きいというこということだが、現在、サウジアラビアで大きな影響力を持っているモハメド・ビン・サルマン皇太子はサルマン国王の息子。新自由主義の信奉者で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とも友好的な関係にある。2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝ったことを受けてビン・サルマンは皇太子になったことを考えると、昨年の選挙でトランプが敗北した影響は避けられないだろう。 ビン・サルマンは腕力で物事を解決しようとする傾向があるが、イエメンへの軍事侵攻はサウジアラビアを疲弊させている。イエメンでサウジアラビアと戦っているフーシ派は2019年9月にUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と巡航ミサイルでサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設を攻撃、サウジアラビアの屋台骨が揺らいだ。 この施設の周辺には88基のMIM-104 ペトリオット・システムが配備され、ペルシャ湾にはアメリカ海軍に所属する3隻の駆逐艦(イージス艦)がいたのだが、機能しなかったということだ。サウジアラビア王室のアメリカに対する信頼度が低下して当然だ。 アメリカ国内の情勢もサウジアラビアに悪い影響を及ぼしている。バラク・オバマ政権やジョー・バイデン政権はネオコンの影響を強く受けているが、そのネオコンの暴力的な手法が失敗、状況を悪くしたのである。 バラク・オバマ政権時代の2014年2月にアメリカはウクライナでクーデターを成功させた。ネオ・ナチを使ってビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除して傀儡政権を作り、ロシアとEUとの関係を断ち切ろうとしたのだろう。ロシアとEUを結びつけているのは天然ガスだ。 同じ時期にアメリカ政府はイギリス政府と共同で中国に揺さぶりをかけた。香港で反中国政府の「佔領行動(雨傘運動)」を仕掛けたのだ。共通の敵が出現したことでロシアと中国は接近し、戦略的な同盟関係に入った。 しかし、ヤヌコビッチの支持基盤だったウクライナの東部と南部の制圧にアメリカは手間取る。オデッサでは住民を虐殺して制圧したが、東部では戦闘が続き、クリミアはウクライナから離脱した。キエフの惨状を知ったクリミアの住民がいち早く動いた結果だ。 クリミアはロシアの黒海艦隊が拠点にしてきた。このクリミアを制圧することでロシア軍を追い出そうとアメリカ政府は考えたのだろうが、失敗に終わった。 西側ではロシア軍が軍事侵攻したと宣伝されたが、2014年当時、1万6000名のロシア軍が駐留していた。ロシアとウクライナが1997年に結んだ条約でロシア軍はクリミア半島に2万5000名までの部隊を駐留させられることになっていた。駐留していた部隊を西側は侵略してきたと宣伝したわけである。 クーデターを成功させたものの、ロシアにダメージを与えるという目論見には失敗したアメリカ政府は新たな経済戦争を仕掛ける。ロシアの資金源であるエネルギー資源の相場を下落させたのだ。ソ連を消滅させる際に成功した手口を再び使ったのである。 WTI原油の場合、2014年5月に1バーレル当たり110ドルを超す水準にあったが、年明け直後には50ドルを切る。2016年1月には40ドルを割り込んだ。値下がりが始まって間もない2014年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王は紅海の近くで会談、それから加速度的に下げ足を速めたことから原油相場を引き下げる謀議があったとも噂されている。 ところが、原油価格の下落はロシアでなくサウジアラビアやアメリカの経済にダメージを与えることになった。ロシアの場合、石油相場と同じようにロシアの通貨ルーブルも値下がりしたことからアメリカ支配層が望んだような効果はなかったのである。2014年にサウジアラビアは約390億ドルの財政赤字になり、15年には約980億ドルに膨らんだと伝えられている。 オバマ政権の政策を引き継ぐことが予想されたヒラリー・クリントンが2016年の大統領選挙で敗北したこともあり、サルマン国王は2017年10月にモスクワを訪問、ロシア製防空システムのS-400を購入したいという意向を伝え、ロシア側は受け入れる姿勢を示した。 サウジアラビアはイランとの関係修復にも乗り出す。イラクを仲介役にして話し合いをはじめ、2020年1月3日にはサウジアラビアへの返書を携えてイランのガーセム・ソレイマーニーがバグダッド国際空港に到着した。そのソレイマーニーをアメリカはイスラエルの協力を得て暗殺している。アメリカ政府はサウジアラビアとイランとの間で進んでいた緊張緩和の動きを壊したのだ。 バイデン政権は中東における攻撃の目標をシリアに集中しようとしているようだが、戦乱が拡大すると中東からの石油供給は困難になるだろう。地中海の東部、リビア、エジプト、パレスチナ、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャに面した場所に膨大な天然ガスが存在していると言われているが、これで全てが解決されるとは言えない。 現在、石油の生産量はアメリカがトップだが、アメリカで大きな比重を占めるシェール・ガスやシェール・オイルは生産コストが高く、石油価格が下落するとビジネスとして成り立たなくなる。しかもこの生産方法は地下水を汚染して農業生産にダメージを与える可能性が高い。 現在、最も石油の埋蔵量が多いと言われている国はベネズエラである。第2位がサウジアラビア。バイデン政権、いやアメリカの支配者はベネズエラを制圧したいだろう。
2021.01.28
アメリカ海軍の空母シオドア・ルーズベルトに率いられた打撃群が南シナ海に入り、対抗して中国軍は8機のH-6K爆撃機と4機のJ-16戦闘機を台湾の防空識別圏近くへ派遣、艦船も送り込んでいると伝えられている。 南シナ海は中国が進めている一帯一路(BRI/帯路構想)のうち「海のシルクロード」の東端。ここからマラッカ海峡を通過、インド洋、アラビア海を経由してアフリカやヨーロッパへつながっている。この海路を断ち切るためにアメリカは太平洋軍を2018年5月にインド・太平洋軍へ作り替えた。安倍晋三は首相だった2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたというが、その発言の背景にはこうしたアメリカ側の戦略がある。 こうしたアメリカの戦略はイギリスのそれを引き継いだもの。そうした戦略をイギリスの支配グループが作成したのは19世紀の後半だと思われるが、それをハルフォード・マッキンダーという支配グループに属す地理学者が1904年に発表した。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論に基づいている。そうした戦略の最終目標はロシア(当時は帝政)の制圧だ。 内陸部を締め上げるために大陸の周辺部をまず支配していくが、その西の果てはイギリス、そして東の果ては日本だ。その間にあるエジプトやインドはイギリスの侵略で重要な役割を果たしてきたが、それだけでは足りなかったようで、サウジアラビアとイスラエルを作り上げた。 イギリスが長州と薩摩を中心とする勢力を支援して「明治維新」を成功させ、資金面や技術面で支援した理由も同じだろう。明治政府は琉球を併合、台湾へ派兵、李氏朝鮮の首都を守る江華島へ軍艦を派遣し、中国(清)やロシアとの戦争へと向かったが、これはイギリスの戦略に合致している。 イギリスは1840年から42年にかけてアヘン戦争、56年から60年の第2次アヘン戦争(アロー戦争)を中国に対して仕掛けて勝利するが、内陸部を支配するだけの戦力はなかった。足りない戦力を補うため、イギリスが日本に目をつけたように見える。 日本が戦国時代だった頃、東南アジアを欧米は侵略していた。侵略のための傭兵(戦闘奴隷)を供給していたのが日本だったという歴史もイギリスの行動に影響した可能性がある。当時の日本では勝者が敗者を殺し、奪うということが繰り広げられた。女性や子どもは奴隷として売られている。男性は基本的に殺されるが、戦闘員として使える若者はやはり奴隷にされていた。奴隷の一部はポルトガル商人らの手を介して東南アジアへ売られている。 日本列島から琉球諸島、そして台湾へ至る弧状に並ぶ島々はアメリカ軍にとっても中国やロシアを封じ込めるために重要な存在である。そうした日本の役割を口にした政治家のひとりが中曽根康弘。彼は首相に就任して間もない1983年1月、アメリカを訪問した際にワシントン・ポスト紙のインタビューに応じ、「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべき」であり、「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語っている。 アメリカは大陸を封じ込めるためにユーラシア大陸の東岸部の国々を従わせたいだろうが、思い通りには進んでいない。日本がイギリスの従属国であるオーストラリアが相互アクセス協定(RAA)を結ぶのはそのためだろう。 この協定は日本とオーストラリアの軍事演習や軍事作戦を迅速に行うためのもので、グローバルNATOを視野に入れている。NATOの事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグはNATO2030なるプロジェクトを始めると今年6月8日に宣言、NATOの活動範囲を太平洋へ広げ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにする計画を明らかにした。RAAはNATO2030と結びついているはずだ。 シオニストの一派であるネオコンは1991年12月にソ連が消滅するとアメリカが「唯一の超大国」になったと認識、92年2月には国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランが作成された。作業の中心が国防次官だったポール・ウォルフォウィッツだったことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 マッキンダーがまとめた長期戦略を達成したと考え、詰めの作業をすれば自分たちが世界の覇者になれるとネオコンは考えたのだろう。そして潜在的ライバルのトップである中国を重視するようになる。勿論、その一方でロシアを含む旧ソ連圏の復活を防ぎ、エネルギー資源を産出する中東の制圧に乗り出そうとする。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、1991年にウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた(3月、10月)。ネオコンから見て、この3カ国は従属度が足りなかった。 ネオコンは1980年代からこの3カ国を殲滅する計画を立てていた。イラクのサダム・フセイン政権を倒してイスラエルの影響下にある体制を樹立、シリアとイランを分断した上で両国を破壊しようというのだ。このプランをネオコンは1996年にイスラエルの首相だったベンヤミン・ネタニヤフに売り込んでいる。 ジョージ・W・ブッシュ政権にしろ、バラク・オバマ政権にしろ、そしてドナルド・トランプ政権にしろ、マッキンダーの長期戦略やウォルフォウィッツの中期戦略に従って動いた。ジョー・バイデン政権もそうした戦略を引き継ぐことになる。現状を見ると、バイデンはトランプよりも強硬だ。 バイデンもトランプも背景は基本的に同じであり、どちらが大統領になってもファシズム化は止まらないだろう。そもそも大統領にそれほどの力はない。ファシズムへ至る道筋が変わる程度のことだ。 両者の支持者はいずれもアメリカは本来、民主主義的であり、それ相手側が堕落させていると信じている。自分たちの支持している人物が大統領になれば「素晴らしい新世界」が待っていると考えているのかもしれないが、その新世界はディストピアだ。 そのディストピアへ到達するため、ネオコンは1991年12月の状況を再び作り上げようとしているが、そのためにはロシアだけでなく、中国も相手にしなければならない。バイデン政権に好戦的な人物が集められているのはそうした背景があるからだろう。
2021.01.27
BioNTechとファイザーが共同で開発したSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)用ワクチンを接種された直後に死亡するケースが各国で報告されている。これまで使われていたワクチンも問題が指摘されてきたが、今回はmRNA(メッセンジャーRNA)技術を利用したもので、安全性は確認されていない。企業が免責されているのはそのためだ。 ポルトガルの看護師やフロリダの医師が死亡したことは早い段階に伝えられ、インドでも死者が出ている。イスラエルでは13名が顔面麻痺。ドイツでは10名の死亡者に関する調査が行われ、フィンランドやフランスでも接種後に重篤な状態になっている人がいると伝えられている。 最も注目されているのはノルウェーで、死者の数は29名から33名に達したようだ。老人ホームの入居者で、病弱な上に75歳以上だというが、この傾向はPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者で死亡した人と同じ。どの国でも死亡したPCRの陽性者は大半が高齢者、しかも心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えていると指摘されている。 ワクチンの場合、接種と死の直接的な関係は認められないとされているが、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ではPCRの陽性者を感染者とみなし、陽性者が死亡すると、あたかも死因がCOVID-19であるかのように伝えられている。 今回のコロナ騒動は資本主義の「リセット」、つまり社会の収容所化と政治経済システムのファシズム化を推進するために使われているが、mRNAワクチンを接種させようともしている。 EUの高官がEMA(欧州医薬品庁)に対し、ファイザー/BioNTechとモデルナのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを迅速に許可するよう圧力を加えていたことを示す電子メールが公表されたが、圧力をかけている本体はアメリカにいると言われている。 アメリカからの圧力があれば、日本の「エリート」は危険であっても従う。それが彼らの私的な利益に直結するからだ。もし高齢者への「優先的」な接種を打ち出したなら、リスクを高齢者に押しつけるという意思の表れだ。
2021.01.26
ジョー・バイデン政権を読み解くためのキーワードはいくつかあるだろうが、中でも「リセット」と「ダーク・ウィンター」は重要だろう。いずれの用語ともしばしば耳にする。 「リセット」を有名にしたのはWEF(世界経済フォーラム)を創設したひとりであるクラウス・シュワブ。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」すると彼は主張した。 「ダーク・ウィンター」は2001年6月にアンドリュース米空軍基地で実施された軍事演習の名称で、天然痘を生物兵器とする攻撃をアメリカは受けたと想定されていた。訓練の主体はジョンズ・ホプキンス市民生物防衛戦略センター、CSIS(戦略国際問題研究所)、国土安全保障ANSER研究所、MIPT(国立テロリズム防止オクラホマシティ記念研究所)だ。COVID-19を語るときにもこの用語が使われる。 リセットは経済のグローバル化が限界に近づいていることから迫られていると言える。巨大企業による国境を越えたビジネスが問題になったのは1970年代。アメリカ上院では1972年に多国籍企業小委員会が設置されたが、こうした動きは封印されてグローバル化は推進されたのだ。 勿論、世界を支配している私的権力が支配システムを手放すはずはない。労働者が革命を起こすというようなこともないだろう。そのための覚悟があるようには思えず、準備もしていない。それに対し、現在の支配者は覚悟を決め、準備をしてきた。支配システムをリセットするために彼らはパンデミックを利用するつもりだ。 ダーク・ウィンターの3カ月後にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、アメリカでは国内の収容所化と国外での侵略戦争が本格化した。 2005年9月にCIAは中国や東南アジアのような地域でパンデミックが起こるという想定に基づく報告書を作成、2010年5月にはロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)が「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」を発表する。そこでは2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、マスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くとしている。支配者だけでなく被支配者である市民も安全と安定を得るために自らの主権やプライバシーを放棄するというのだ。かつて正常とされた状態には戻らないとする分析はMIT(マサチューセッツ工科大学)の「MITテクノロジー・レビュー」の2020年3月11日号にも掲載された。 2019年1月から8月にかけてアメリカ政府は中国でインフルエンザのパンデミックが始まるという想定の演習を実施、その年の10月にはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団とジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターがニューヨークでイベント201を開催、コロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーションが行われている。このイベントと同時に武漢では各国の軍人が競技大会を実施している。 ダーク・ウィンターは2001年の演習、リセット発言は2020年。その間にジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプの3人が大統領になっているのだが、この流れは継続している。ホワイトハウスの背後にいる支配者の意思が反映されているということだろう。
2021.01.26
アメリカの大統領に就任したジョー・バイデンはヒラリー・クリントンと同じように好戦的で反民主主義的な人物である。そうでなければアメリカ大統領の座を争うことはできないだろうが、中でもそうした傾向は強い。 例えば、1994年と95年にはボスニア戦争への軍事介入、2002年にはイラクへの先制攻撃を支持している。2009年1月から2期にわたってバラク・オバマ政権の副大統領を務めたが、その間にリビアやシリアをはじめとする中東から北アフリカの国々に対するジハード傭兵(ムスリム同胞団やワッハーブ派が中心)を使った侵略戦争を推進した。2013年から14年にかけてはウクライナでネオ・ナチを使い、選挙で成立したビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒している。 クーデターは2013年11月にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で始まるが、当初は人を集めるため、カーニバル的な集会が演出されていた。12月に反政府集会への参加者は50万人に達したという。 この混乱をEUは話し合いで解決しようとするが、それを知ったヌランドは怒り、ウクライナ駐在のアメリカ大使だったジェオフリー・パイアットに電話で「EUなんかくそくらえ」と口にしている。その会話の音声は2014年2月4日にインターネットで流された。 ヌランドのプランに反し、2月21日にはヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派が平和協定に調印、事態は終結に向かうかに思えた。そこで始まったのが広場における狙撃だ。23日には憲法の規定を全く無視した形で大統領が解任される。この狙撃がクーデター派によるものだったことは本ブログでも繰り返し指摘してきたので、詳細は割愛する。 2月4日にアップロードされた会話では、ヌランドがクーデター後の閣僚人事を話題にし、アルセニー・ヤツェニュクなるサイエントロジーの信者を高く評価していたが、実際、27日から2016年4月まで首相を務めている。大統領は2014年6月にペトロ・ポロシェンコが就任した。 ウィキリークスが公表したアメリカ政府の2006年4月28日付け公電によると、ポロシェンコはアメリカ政府へ情報を提供してきた人物。欧米の支配者を黒幕とする「オレンジ革命」で登場した銀行員あがりのビクトル・ユシチェンコと親しかったことでも知られている。 クーデター後、汚職の捜査対象になったウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)の重役にバイデン副大統領の息子、ハンターが就任。操作に対する牽制が目的だったと見られ、それがスキャンダルとして浮上したのだが、西側の有力メディアは封印したいようで、追及しようとはしていない。 ブリスマの汚職捜査ではバイデン親子も対象になるが、検事総長だったビクトル・ショキンによると、数カ月にわたってバイデン副大統領から捜査を止めるように圧力がかかったという。FOXニュースのジョン・ソロモンによると、2015年終わりから16年初めにかけてバイデンは検事総長を解任するようウクライナ側に圧力をかけていたと6名ほどのウクライナの高官が語っている。ウクライナの議員、アンドリー・デルカチによると、バイデンはブリスマからロビー会社を介して90万ドルを受け取ったという。 バイデン自身は2018年1月に開かれたCFR(外交問題評議会)のイベントの中で、検事総長を解任する決断に6時間だけ与えたと自慢していたが、ショキンによると、ポロシェンコ大統領から捜査を辞めるように命令され、最終的には解任されたのだという。 状況は2019年に大きく変わる。この年の5月に大統領がウォロディミル・ゼレンスキーへ交代するが、その数カ月前からブリスマへの捜査が再開されたというのだ。 ドナルド・トランプは2019年7月にゼレンスキーと電話で会談、その際にバイデン自身がCFRで話したことを話題にした。それだけのことなのだが、それをトランプがゼレンスキーに対し、ハンター・バイデンについて捜査するように求めたのだとアメリカ下院情報委員会へ2019年8月に「内部告発」した人物がいる。 その告発者はエリック・チャラメラなるCIAの分析官。民主党の支持者で、2015年の夏からNSC(国家安全保障会議)でスーザン・ライス国家安全保障補佐官の下で働き、バイデン副大統領やジョン・ブレナンCIA長官の下でも働いていた。 大統領選挙の途中、失速気味だったバイデンが盛り返し、大統領に選ばれたということはウクライナ側の捜査をもみ消すことに成功したことを意味するのだろうが、何かの拍子に再び動き始める可能性はある。 オバマ政権がウクライナでクーデターを実行、傀儡政権を樹立させたのはロシアとEUを分断することが目的だった。特に天然ガスのロシアからEUへの輸送を止めること。EUという巨大マーケットを奪うことでロシアの経済にダメージを与え、ロシアというエネルギー資源の供給国を奪うことでEUのアメリカ依存を強めるという目論見だ。 同じ頃、アメリカとイギリスの情報機関は香港で反中国政府の活動を仕掛けている。「佔領行動(雨傘運動)」だ。香港を揺さぶるだけでなく、中国全域で反政府運動を展開しようと計画したのかもしれないが、成功していない。 ネオコンは2014年にロシアと中国を揺さぶろうとしたのだろうが、裏目に出る。アメリカやイギリスの本心を知ったロシアと中国は接近、戦略的な同盟関係に入ったのだ。 欧米にはそうした動きに危機感を抱いた人も少なくないだろう。その象徴的な出来事が2016年2月3日のモスクワにおけるヘンリー・キッシンジャーとウラジミル・プーチンの会談。 2015年6月にオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合へジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が出席していたことから、彼女が次期大統領になることで内定したと言われていたのだが、キッシンジャーのモスクワ訪問をみて風向きが変化したと考える人が出てきた。3月からウィキリークスはヒラリー・クリントンの電子メールを公表しはじめ、ドナルド・トランプが登場してくる。民主党の内部ではバニー・サンダースが人気を集め始めた。 結局、2016年の大統領選挙ではトランプが勝利するが、4年の間に状況は変化してバイデンが大統領になった。この政権はシリコンバレーの巨大企業や金融資本を後ろ盾にし、戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが次期政権の陣容や政策の決定に深く関与している。 国防長官にはレイセオン重役で元米中央軍司令官のロイド・オースチン、情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務めた人物。国務長官にはCSISのシニア・フェローだったアントニー・ブリンケン、ウェンディー・シャーマンが同省の副長官、ビクトリア・ヌランドが次官になる予定だ。 シャーマンが上級顧問を務めるオルブライト・ストーンブリッジ・グループはマデリーン・オルブライトが率いるビジネス戦略を提供する会社で、ヌランドも籍を置いていた。オルブライトの好戦性はビル・クリントン政権で明白になっている。ヌランドはウクライナでオバマ政権が実行したクーデターを現場で指揮していた。 USAID(米国国際開発庁)の長官に指名されたサマンサ・パワーも好戦的な人物。USAIDはCIAの活動資金を流すことが重要な役割になっていることは広く知られている。 オバマ政権の陣容は好戦的。しかもオルブライトのようなロシアを敵視する人物が目につく。SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)も使って「超限戦」を仕掛けそうな雰囲気だが、2014年にはその戦術によってロシアと中国を結びつけてしまった。その失敗を反省していないとするなら、米英の金融資本を中心とする支配システムは大きく揺らぎ、場合によっては崩壊する可能性がある。
2021.01.26
ジョー・バイデンがアメリカ大統領に就任する3日前、アメリカの支配者がロシアで作った「民主派キャラ」のアレクセイ・ナワリヌイがロシアへ戻った。 ナワリヌイは昨年8月、シベリアのトムスクからモスクワへ航空機で移動中に倒れて昏睡状態になり、シベリアの都市オムスクへ緊急着陸、そこの病院で治療を受けて回復している。ナワリヌイの側近は彼をすぐドイツへ移動させ、そこから「神経ガス」キャンペーンが始まった。 本ブログではすでに書いたが、オムスクの病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だと見るのが常識的なのだが、そうした常識を西側は受け入れない。 ナワリヌイの広報担当者は空港のバーで飲んだ紅茶の中に毒が入れられていたと主張しているが、その紅茶を運んで来たのはナワリヌイと一緒に紅茶を飲んでいた人物。これは空港のCCTVで確認されている。 西側の政府や有力メディアはロシアが毒薬を使ったと宣伝してきた。例えば、2018年3月にセルゲイ・スクリパリとユリア・スクリパリの親子に対してイギリスのソールズベリーで「ノビチョク(初心者)」なる神経ガスが使われた宣伝されている。 セルゲイはロシア軍の情報機関GRUの元大佐で、スペインに赴任中の1995年にイギリスの情報機関MI6に雇われ、99年に退役するまでイギリスのスパイとして働いていた。そうした事実が退役後に発覚して2004年12月にロシアで逮捕され、06年には懲役13年が言い渡された。 しかし、2010年7月にスパイ交換で釈放され、それからはソールズベリーで生活。本人もイギリスの当局も命を狙われるような状況にはないと判断していたようで、本名で生活していた。娘のユリアは2014年にロシアへ戻っている。ロシア側にセルゲイを殺す理由は見当たらない。 ノビチョクの毒性は別の神経ガスVXの10倍だとされている。VXガスの致死量は体重70キログラムの男性で10ミリグラム。単純に考えるとノビチョクは1ミリグラムにすぎない。これだけ毒性の強い物質が意図的に使われてターゲットを殺せなかったというのは驚きだ。この親子は退院してユリアは元気な姿をロイター取材陣に見せたものの、その後、行方はわからない。(記事、映像) この世には痕跡を残さずに殺せる毒物が存在、実際に使われていると信じられている。実際、アメリカの私的権力にとって都合の悪い言動をする人物が心臓発作などで死亡するケースは少なくない。発癌性のウイルスが使われているとも言われている。 西側ではスター扱いのナワリヌイだが、ロシアでの支持率は2%にすぎない。ロシア人からは相手にされていない。問題はこの人物の背後にアメリカなど西側の強大な私的権力が存在、その私的権力を後ろ盾としてアメリカ大統領に就任したバイデンが対ロシア戦争を本格化させる雰囲気があることだ。 バイデンが副大統領を務めたバラク・オバマ政権の時代、侵略や体制転覆のため、ムスリム同胞団、ワッハーブ派、ネオ・ナチ、法輪功などを傭兵として使っていた。そうした工作の中心になる組織がCIAだ。 そのCIAが工作資金を流すために使っている定番のルートがNED(国家民主主義基金)やUSAID(米国国際開発庁)。 NEDは1983年にアメリカ議会が承認した「民主主義のための国家基金法」に基づいて創設された組織で、政府から受け取った公的な資金をNDI(国家民主国際問題研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターへ流しているのだが、そうした資金がどのように使われたかは議会へ報告されていない。CIAの活動内容を明らかにすることはできないからだ。USAIDもクーデターや破壊活動などCIAの秘密工作で名前が出てくる。 バイデン政権でUSAID(米国国際開発庁)の長官に指名されたのはサマンサ・パワー。本ブログでは繰り返し書いてきたが、この人物はスーザン・ライスと同じように「人道」を口実にして侵略戦争を推進してきた。このふたりやヒラリー・クリントンはオバマ大統領に対し、リビア攻撃を強く迫ったことが知られている。 リビアを含む中東から北アフリカにかけての地域でオバマ政権は従属度の低い体制を転覆させ、目障りな人物をドローン(無人機)などで暗殺した。 政権転覆にはムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使ったが、その始まりは2010年8月に出されたPSD-11。この指針を決定したチームにパワーも含まれていた。そのほか2015年から17年までUSAIDの長官を務めたゲイル・スミス、12年から14年までロシア駐在大使を務めたマイケル・マクフォールもメンバーだった。 マクフォールが2012年1月にロシアへ赴任したのは同国の大統領選挙に介入することが目的。大使を辞めたのはウクライナでクーデターを成功させた2104年2月だ。彼がモスクワへ着いた3日後には反ウラジミル・プーチン派のリーダーがアメリカ大使館を訪れている。 その中には「戦略31」のボリス・ネムツォフとイーブゲニヤ・チリコーワ、「モスクワ・ヘルシンキ・グループ」のレフ・ポノマレフ、選挙監視グループ「GOLOS」のリリヤ・シバノーワらがいた。 戦略31はNEDから、モスクワ・ヘルシンキ・グループはNEDのほかフォード財団、国際的な投機家であるジョージ・ソロス系のオープン・ソサエティ、そしてUSAIDから、GOLOSもやはりNEDから資金を得ている。 バイデン政権はオバマ政権やヒラリー・クリントンを支えた勢力を後ろ盾にしている。オバマ政権における対ロシア戦争は成功せず、ロシアと中国を同盟させるという大失敗を犯したのだが、また同じことを目論んでいるようだ。
2021.01.25
人間世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で麻痺状態にある。この感染症は伝染力が強力、無症状者も感染を広げ、しかも「新型」のために効果的な治療法がなく、ワクチンの接種が必要だと宣伝されてきた。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になった人は感染者と見なされ、拘束されている。 そうした拘束を拒否する人に対し、菅義偉首相は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を課そうとしている。そうした罰則を導入しなければならないほどコロナ対策への反発が強まっているということ。「緊急事態宣言」が遅かったと考える人は、早ければ厳しい対策は必要なかったと錯覚しているからだろう。 WHO(世界保健機関)、政府、自治体、有力メディアなどは恐怖を煽っているCOVID-19だが、それほど恐ろしい病気なのかどうか疑問に感じるの人が出てくるのも当然だ。ワクチンでは副作用だけでなく死者が出ているとも報告されている。 今回の騒動はWHO(世界保健機関)がパンデミックを3月11日に宣言してから始まった。2019年12月31日に武漢で原因不明の肺炎患者が見つかったとする中国からの報告を受けてのこと。1月にはコロナウイルスが原因だとされ、ICTV(国際ウイルス分類委員会)は2月11日にSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)という名称を採用した。このウイルスによって引き起こされるとされる病気をWHOはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)と呼んでいる。この感染症について、簡単に振り返ってみたい。 感染が拡大していることを示す根拠として利用されているPCRは任意の遺伝子、あるいはゲノムの領域を指数関数的に増やす技術。アメリカの生化学者、キャリー・マリスが1983年に開発、その功績で1993年にノーベル化学賞を受賞している。COVID-19の場合、中国の学者が発表した遺伝子配列の数百分の一の領域を複製している。PCRはウイルスを発見するための技術ではなく、技術の進歩があってもその本質に変化はない。その点はマリス自身も注意していた。 しかし、それでもPCRを信奉する人は少なくない。そこで存在しない伝染病が存在すると錯覚するということが引き起こされる。そうしたことが起こりえるとニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月22日の記事で指摘していた。 この記事が具体例として取り上げたのは、アメリカのニューハンプシャー州にあるダートマース・ヒッチコック医療センターで2006年4月にあったケース。ひとりの医師が2週間ほど咳き込みはじめ、他の医療関係者も咳をするようになる。 そこで医療センターで働く1000名近くが簡易検査を受け、勤務から外される。そのうち142名が感染しているとされ、数千名がワクチンを接種する事態になったのだが、何人かは本格的な検査の結果、百日咳菌に感染していた人は確認されず、通常の風邪だった可能性が高いことがわかる。騒動が始まってから8カ月後、関係者は伝染病が発生したとする警報はまちがいだったことを知らされた。 こうした間違いを引き起こした原因のひとつがPCRのような高感度の簡易検査だと指摘されている。PCRを過度に信じることは存在しない伝染病の幻影を作り出すことになるということだ。こうしたことは2007年の時点で少なくともニューヨーク・タイムズ紙や一部の専門家は認識していたはずでで、WHOは熟知していなければならなかった。アメリカのFDA(食品医薬品局)はPCRによってSARS-CoV-2の存在を正確に調べることはできないと認めている。 COVID-19の場合、症状は通常の風邪やインフルエンザと区別できないとされている。風邪やインフルエンザをCOVID-19だとすることができるとも言えるだろう。インフルエンザは毎年少なからぬ死者を出しているが、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は今シーズン、インフルエンザに関するデータを集めないと発表している。 武漢がある湖北省の当局者によると、2020年3月25日にCOVID-19の新たな感染者はいなかったという。早い段階から中国ではインターフェロン・アルファ2bが使われ、有効だったとされている。 この薬はリンパ球を刺激して免疫能力を高める効果があり、キューバで研究が進んでいる。キューバでは1981年にデング熱が流行、その際に有効だったことから注目されるようになったという。ちなみに、この流行はアメリカによる攻撃だったと見られている。 中国でもインターフェロン・アルファ2bは注目されていたようで、その製造工場が吉林省長春にある。今回の件で中国の習近平国家主席がキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたとも伝えられている。 抗マラリア剤のクロロキンやヒドロキシクロロキン(クロロキンにヒドロキシル基をつけた構造)がCOVID-19に有効だとするとも指摘されていた。フランスの著名な微生物学者、ディジェ・ラウルを含むグループは3月、ヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果が上がると報告している。このコンビネーションが有効だとアメリカ人医師のグループも指摘している。 クロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。 一方、ヒドロキシクロロキンのCOVID-19に対する有効性を否定する論文がイギリスのランセット誌とアメリカのニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されている。ランセット誌に掲載されたのは5月22日、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されたのは6月3日(オリジナルは5月1日)のことだ。 ところが、ふたつの論文が依拠しているサージスフィアのデータが信頼できないことが発覚、両誌はそれぞれ掲載した論文を撤回している。サージスフィアの分析能力に疑問が持たれているだけでなく、データそのものが存在しない疑いがあるのだ。 こうした医薬品の有効性を否定する「権威」は、効果が定かでないギリアド・サイエンシズのレムデシビルなる抗ウイルス薬やワクチンの使用を推進してきた。その背景には世界をファシズム化しようとする勢力が存在している。
2021.01.25
シェル・ゲームという古典的なイカサマ博打がある。3つのクルミの殻のどれかに玉を入れ、それらの殻を移動させ、どれに入っているかを当てさせるというものだが、移動の途中で玉を出し入れして客を騙して儲けるというもの。 殻の代わりにコップを使うことも多く、これをベースにしたマジックもある。マジシャンは玉やボールがコップを移動しているかのように演出、その数を増やしたり減らしたりして客を楽しませるわけだ。 勿論、玉やボールがコップや殻を移動することはなく、そう見えるだけのこと。そうしたことをマジックだという前提で見ている客は理解できるが、そうしたマジックを知らないと、本当に玉やボールがコップや殻を移動していると思い込むだろう。玉やボールがウイルス、コップや殻が人間という演出をすれば、伝染病のように見える。 人びとに伝染病が世界に広がっていると思い込ませることに成功すれば、特定の場所に深刻な病気を引き起こす病原体を撒くことにより、その病気が世界規模で流行しているように演出することができる。 現在、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)の感染拡大で世界は混乱している。重症急性呼吸器症の患者がどこにいるのか知らないが、ともかく社会は混乱し、生産活動は麻痺、交易は停滞、少なからぬ企業の経営が悪化して倒産に追い込まれ、失業者、ホームレス、そして自殺者を増加させている。働き、集まり、公的な情報を知る権利、あるいは表現する自由などが奪われつつあるのだ。 このコロナウイルスは感染者の8割から9割は症状がないとされている。2002年には致死率の高いSARS-CoVが流行したが、感染はさほど広がらなかった。2012年にはMERS-CoVが話題になったが、やはり感染はさほど広がっていない。2009年にWHOは新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が感染爆発していると宣言したが、これは間違い、または嘘だった。重い症状を引き起こす伝染病は感染が広がりにくいと言えるだろう。パンデミックが必要な誰かが感染爆発を演出しても不思議ではない。
2021.01.24
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の伝染拡大を防ぐという口実で社会を収容所化する動きが世界規模で展開されている。この騒動を主導しているのはイギリスとアメリカを中心とする西側だが、アメリカから社会を混乱させる工作を仕掛けられているロシアや中国にとっても利用できる。 収容所化政策によって人びとの移動制限は強化され、団結しにくい状況が作り出され、監視システムも強力になった。生産活動は麻痺、少なからぬ企業の経営が悪化して倒産に追い込まれ、失業者、ホームレス、そして自殺者を増加させている。 日本の「自粛」要請は欧米で広く実施されてきたたロックダウン(監禁政策)ほどでないが、戒厳令的な状況が作り出されてきた。菅義偉首相は1月13日にも特別措置法に基づく緊急事態宣言を出した。対象は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、岐阜県、栃木県、福岡県の11都府県。 日本ではPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者を拘束する政策が実施されているが、そうした政策を強化するため、菅政権は休業や営業時間短縮の命令に従わない事業者へ過料できるようにするだけでなく、入院を拒否する人に対して1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を課そうとしている。その先には、「危険思想」という伝染病に感染している人が「病原体」を広げることを防止するための予防拘束が見える。 アメリカの新大統領、ジョー・バイデンは憲法が認める人権に関する規定を尊重する気持ちが希薄な人物である。2001年9月11日に世界貿易センターと国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後、そうした規定を麻痺させる「愛国者法(USA PATRIOT Act / Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001)」が制定されたが、そのベースになった法案を1995年2月に提出したと自慢している。 この法律の一部は2015年に失効したものの、「自由法」という形で復活。今ではさまざまな形で愛国者法は生き続けている。 COVID-19を口実とした社会の収容所化は少なくとも1950年代から始まっている。レッドパージという反ファシズム派狩りを経て、1958年にドワイト・アイゼンハワー政権は核戦争時の地下政府(アイゼンハワー・テン)を編成している。その背景にはソ連や中国に対する先制核攻撃計画があった。 1970年には盗聴、親書の開封、監視、予防拘束などをFBIやCIAに許すヒューストン計画が作成されるものの、司法長官だったジョン・ミッチェルが激しく反対して実現しなかったが、1979年にFEMA(連邦緊急事態管理庁)という形で具体化、そして1980年代に入ってから戒厳令プロジェクトのCOGが始まった。 ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は2010年5月、「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」という報告書を発表、その中で2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、人や物資の国際的な移動が停止、マスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制されるというシナリオが書かれている。全ての人の強制的な隔離が推奨されていた。 パンデミックに対する恐怖は人びとに基本的な人権を放棄させることになり、対策として打ち出される管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと見通している。 被支配者である大多数の人びとに主権やプライバシーを自発的に放棄するとも報告書では推測しているが、かつて正常とされた状態には戻らないとする分析はMIT(マサチューセッツ工科大学)の「MITテクノロジー・レビュー」の2020年3月11日号にも掲載された。 そうしたアメリカの支配者たちが描くシナリオに菅政権の方針は沿っている。COVID-19騒動が始まったときから、こうなることは決まっていた可能性が高いと言えるだろう。
2021.01.23
東京琉球館で2月13日午後6時から「ルビコンを渡ったアメリカの支配者」というテーマで話します。予約制とのことですので興味のある方は事前に下記まで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8電話:03-5974-1333http://dotouch.cocolog-nifty.com/ アメリカではジョー・バイデンが大統領に就任しました。ヒラリー・クリントンと同じように彼はネオコンと関係が深く、戦争ビジネス、金融資本、そしてシリコンバレーの巨大ハイテク企業を後ろ盾にしている人物で、インターネットを支配するハイテク企業はドナルド・トランプの情報発信を封じ込めただけでなく、各国政府を検閲の対象にしはじめています。 私的権力が世界規模で言論を統制する時代に入ったわけですが、言論統制だけでなく、私的権力が国を介さずに直接統治する体制を築こうとしているように見えます。ファシズム体制の樹立を目指すクーデターを始めたとも言えるでしょう。 新政権の陣容はすでに判明しているだけでも好戦的と言わざるをえません。戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが人事や政策の決定に深く関与しています。 国防長官にはミサイルで有名なレイセオンで重役を務めていた元米中央軍司令官のロイド・オースチン、情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務めています。ヘインズが親しいというジーナ・ハスペルはトランプ政権でCIA長官を務め、「血まみれジーナ」と呼ばれていました。CIAの工作資金を流す主要なパイプのひとつ、USAID(米国国際開発庁)の長官には「人道」を口実にした侵略戦争で破壊と殺戮を繰り返したサマンサ・パワーが指名されています。 こうした好戦的な政権を編成しているアメリカの支配者は1991年12月にソ連が消滅した後、その凶暴な正体を現しました。1992年2月には国防総省のDPGという形で世界制覇プランを作成、国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが作成の中心だったことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれています。 ウォルフォウィッツを含むネオコンは1980年代からイラクに親イスラエル体制を築いてシリアとイランを分断、それそれを殲滅するという侵略計画を立てていました。1991年にウォルフォウィッツもその計画を口にしていたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官も話しています。 そうした侵略を始めるためには何らかのショックが必要ですが、彼らにとって好都合な事件が1993年2月に引き起こされました。ニューヨークの世界貿易センターにあるノースタワーの地下駐車場が爆破されたのです。そこに止めてあったトラックには爆薬(硝酸尿素)が積まれていて、それが爆発しました。この事件を受け、1994年から2000年にかけて世界貿易センターのエレベーター・システムを改良する大工事が行われることになります。(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017) そして1995年2月、上院議員だったバイデンは反テロリズム法を提出していますが、彼によりますと、その法案がベースになって2001年10月に成立した愛国者法が作られました。いずれも憲法が認める基本的な人権を否定する内容になっています。 1995年2月にはアメリカの国防次官補だったジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表しました。それまで国連中心主義を唱えていた日本政府をアメリカ単独主義へ引き込み、日本がアメリカの戦争マシーンへ組み込まれ始めることになります。 日本では1994年6月に松本サリン事件、95年3月には地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃され、1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆しています。アメリカでは1995年4月にオクラホマ州のオクラホマ・シティで連邦ビルが爆破されました。 1995年は日本にとってもアメリカにとっても節目になる年で、それ以降、戦争への流れが明確になります。そして2001年9月11日にはニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、ジョージ・W・ブッシュ政権は詳しい調査をしないままアル・カイダの犯行だと断定、アル・カイダと敵対関係にあったイラクを先制攻撃したわけです。 9月11日の攻撃を利用してアメリカの支配者は国内の収容所化、国外での侵略戦争を本格化させましたが、ロシアや中国との戦争ではありませんでした。当時、アメリカの支配者はロシアの属国化に成功、中国は従属していると確信していました。その確信を打ち砕いたのがウラジミル・プーチンらによるロシアの再独立です。 ネオコンは2014年にウクライナでクーデターを実行、香港では反中国政府の佔領行動(雨傘運動)を仕掛けましたが、その後、ロシアと中国は接近して戦略的な同盟関係を結びます。ロシアと中国を分断し、個別撃破するというプランを立てていた人びとにとっては悪夢のような展開だったでしょう。 ロシアと中国との結びつきを壊すことは容易でありません。アメリカを支配している人びとは生き残りをかけ、このふたつの国を潰そうとしています。そのための戦争が始まったように感じられます。 2013年頃、ロシア政府はロシアや中国との国境近くにアメリカの生物兵器関連施設が建設されていると指摘、アメリカ政府が細菌戦争を仕掛けようとしているという疑惑を表明していました。 2020年初頭から世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で収容所化が進み、軍事的な緊張も高まっています。この騒動を利用して資本主義をリセット、かつて正常とされた状態には戻らないしています。強大な私的権力が支配するファシズム体制を築き、そこから戻ることはないということでしょう。彼らはルビコンを渡りました。
2021.01.23
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)対策だとしてマスクの着用を強制する動きが見られるが、オクラホマ州タルサの医師は2020年8月、マスクの着用が細菌性の肺炎を誘発する可能性があるとして、マスク着用を強制するべきでないと当局を訴えている。 この主張が正しいかどうかわからないが、1918年2月から始まったとされている「スペイン風邪」の場合、死因の大半は細菌性肺炎だったとする報告がある。1918年の8月頃から肺炎で死亡する人が増え始め、年明け後にも流行の波が来た。この時に流行の波があり、「第1波」や「第2波」という言い方が生まれた。 しかし、肺炎はインフルエンザによるものではなかった可能性が高い。アメリカの国立アレルギー感染症研究所(NIAID)によると、1918年から19年にかけて死亡した人の大半は細菌性肺炎による可能性が高いとしているのだ。これは本ブログでもすでに紹介した。マスクの着用が細菌性肺炎を引き起こすなら、マスクによってスペイン風邪のような事態になる可能性があるということになる。パンデミックを演出している人びとにとっては好ましいことかもしれないが、大多数の人にとっては避けたい事態だ。 スペイン風邪の最初の患者はアメリカのカンザス州にあるフォート・ライリーにいたアメリカ兵だったと言われている。第1次世界大戦へアメリカが参戦することになり、新兵を訓練するためのキャンプ・ファンストンが1917年の夏に建設されていたのだ。 そのキャンプでは1917年10月から11月にかけて髄膜炎が流行、ロックフェラー研究所が研究していた実験段階のワクチンを志願者に接種、血清がイギリス、フランス、ベルギー、イタリアなどへ送られているという。流行の波はワクチンの接種と関係があるのではないかという疑惑もある。
2021.01.22
ドナルド・トランプに対する最大のスポンサーだったシェルドン・アデルソンが87歳で死亡したと、彼が創設したラスベガス・サンズが1月12日に発表した。2019年2月から非ホジキン・リンパ腫の治療を受けていたとされている。遺体は14日にイスラエルへ運ばれ、埋葬された。 アデルソンはアメリカのラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)でカジノを経営、日本にもカジノを作らせるように要求していただけでなく、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と親しく、2013年にはイランを核攻撃で脅すべきだと語っていた。 核攻撃発言から間もない2013年11月にアデルソンは来日、自民党幹事長代行だった細田博之と会った際、東京の台場エリアで複合リゾート施設、つまりカジノを作るという構想を模型やスライドを使って説明している。日本では2010年4月に「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」が発足していたが、このグループが動き、カジノ解禁を含めたIR(特定複合観光施設)を整備するための法案が国会に提出された。 カジノ計画は2020年の東京オリンピックに間に合わせて実現するつもりで、アデルソンは14年2月に日本へ100億ドルを投資したいと語ったと伝えられている。 アデルソンは単にカジノを経営したかっただけではないという見方もある。ラスベガス、マカオ、モナコといったカジノのある場所はタックスヘイブン(租税回避地)と関係があり、地下経済と地上経済を資金が移動する役割も果たしている。出所のわからない多額の資金が動くカジノはマネーロンダリングの拠点として好ましい環境にある。 アデルソンの要望に対する日本側の動きが鈍かったため、2014年5月に来日したネタニヤフ首相は日本政府の高官に対し、アデルソンへカジノのライセンスを速やかに出すよう求めたとイスラエルのハーレツ紙が2015年2月5日付け紙面で伝えた。(この記事をハーレツ紙はすぐに削除している。) スイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどがタックス・ヘイブンとして昔から知られているが、1970年代に金融緩和が進み始めると状況が変わる。ロンドンの金融街(シティ)を中心とするネットワークが整備されていくのだ。カネの流れは変わった。 そのネットワークはかつての大英帝国をつなぐもので、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどが含まれている。 しかし、21世紀に入ると状況はさらに変化。アメリカが最大のオフショア市場/タックスヘイブンになった。ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーが2015年9月、サンフランシスコ湾を望むある法律事務所で税金を避ける手段について講演した際、税金を払いたくないなら財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語ったという。アメリカこそが最善のタックス・ヘイブンだというわけである。ペニーはアメリカのネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどへ銀行口座を移動させるべきだと主張、ロスチャイルドはネバダのレノへ移しているという。
2021.01.22
マーチン・ルーサー・キング牧師は1968年4月4日にテネシー州メンフィスのモーテルで射殺された。その丁度1年前、暗殺の1年前、つまり1967年4月4日にニューヨークのリバーサイド教会で「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」が主催する集会があり、主催者は「沈黙が背信である時が来ている」と訴えていた。 その訴えにキング牧師は賛意を示した上で、「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」という話をしている。大半のアメリカ国民はベトナム戦争の悲惨な現実から目をそらし、自分自身を欺いていると指摘、そうした偽りの中で生きることは精神的な奴隷状態で生きることを意味すると牧師は語り、ベトナム戦争に反対すると宣言している。この段階でキング牧師は人種差別だけでなく、そうした差別を生み出す政治経済的な仕組みに目を向け始めていた。 しかし、ロン・ポール元下院議員によると、キング牧師の顧問たちは牧師に対してベトナム戦争に焦点を当てないよう懇願していたという。そうした発言はリンドン・ジョンソン大統領との関係を悪化させると判断したからだ。「公民権運動」という枠組みの中で発言し、行動しようと顧問たちは考えたのだろうが、そうしたアドバイスを牧師は無視した。 人種差別も侵略戦争も根源は同じ。つまり資本を握る富豪が大多数の労働者を支配する仕組みそのものを問題にしなければならない。支配者は逆に、人びとの目をそうした問題からそらさせる必要がある。「労働者階級」を「白人下層中産階級」と呼ぶようになったとニューヨーク誌が指摘したのは1969年4月14日号だ。労働者を人種で分断させようということだろう。 支配者は権力犯罪が個人的なものであり、構造的なものではないと被支配者に信じさせようともしている。「ベトナムにおける政策決定の歴史、1945年 - 1968年」というタイトルの報告書を有力メディアへ渡したダニエル・エルズバーグは宣誓供述書の中で、キング牧師を暗殺したのは非番、あるいは引退したFBI捜査官で編成されたJ・エドガー・フーバー長官直属のグループだと聞いたことを明らかにしている。 エルズバーグにその話をしたブラディ・タイソンはアンドリュー・ヤング国連大使の側近。エルズバーグは国連の軍縮特別総会で親しくなったという。タイソンは下院暗殺特別委員会に所属していたウォルター・ファウントロイ下院議員から説明を受けたとしているが、ファウントロイ議員はその話を否定している。(William F. Pepper, “The Plot to Kill King,” Skyhorse, 2016) キング牧師が殺される5年前の1963年11月22日にはジョン・F・ケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺されている。ケネディはベトナムからのアメリカ軍を引き上げる決断して好戦派を怒らせるが、その前から支配者たちとの関係は悪かった。 アレン・ダレスCIA長官、リーマン・レムニッツァー統合参謀本部議長、カーティス・ルメイSAC司令官を含む軍や情報機関の好戦派はソ連や中国への先制核攻撃を計画していた。 アメリカの好戦派が核兵器を手にしたのは1945年7月16日。その日、ニューメキシコ州にあったトリニティ(三位一体)実験場でプルトニウム原爆の爆発実験を行い、成功したのだ。副大統領から大統領に昇格していたハリー・トルーマンは原子爆弾の投下を7月24日に許可し、広島と長崎へ投下された。 アメリカは原爆の開発を目的としてマンハッタン計画が秘密裏に進められていたが、それを統括していたアメリカ陸軍のレスニー・グルーブス少将は1944年、ポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) そのグルーブス少将に対してローリス・ノースタッド少将は1945年8月30日に核攻撃に関する報告書を提出した。そこにはソ連の中枢15都市と主要25都市を核兵器で攻撃すると書かれていた。9月15日付けの文書ではソ連の主要66地域を核攻撃で消滅させるには204発の原爆が必要だと推計。そのうえで、ソ連を破壊するためにアメリカが保有すべき原爆数は446発、最低でも123発だという数字を出した。(Lauris Norstad, “Memorandum For Major General L. R. Groves,” 15 September 1945) 1957年に軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめた。(James K. Galbraith, “Did the U.S. Military Plan a Nuclear First Strike for 1963?”, The American Prospect, September 21, 1994)この年の初頭、アメリカ軍はソ連への核攻撃を想定したドロップショット作戦を作成、300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊するとしている。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、リーマン・レムニッツァー統合参謀本部議長やSAC司令官だったカーティス・ルメイを含む好戦派は1963年の後半に奇襲攻撃を実行する予定だったとしている。 こうした核攻撃計画の前には大きな障害が存在した。ケネディ大統領である。この大統領はイスラエルの核兵器開発にも強い姿勢で臨み、通貨の発行権を政府が取り戻そうとし、巨大資本の横暴も規制しようとしていた。支配層の内部ではケネディに対する怒りが渦巻いていたわけだが、その怒りは1963年11月22日に解消されたわけである。 このケネディ大統領暗殺を調査するために委員会が編成される。委員長はアール・ウォーレン判事、委員はリチャード・ラッセル上院議員、ジョン・クーバー上院議員、ヘイル・ボッグス下院議員、ジェラルド・フォード下院議員、アレン・ダレス元CIA長官、ジョン・マックロイ元世界銀行総裁がいた。そして主席法律顧問はリー・ランキン。 第2次世界大戦中からOSSで破壊活動を指揮、ケネディ大統領にCIA長官を辞めさせられたダレス、世界銀行の総裁を経てドイツの高等弁務官としてナチスの大物たちを守ったマックロイ、J・エドガー・フーバーFBI長官に近かったフォード、CIAとFBIにつながっていたランキンにまともな調査を期待することは無理だ。 リー・ハーベイ・オズワルドが単独で行ったとする報告書をこの委員会が出した3週間後、1964年10月12日に散歩していたひとりの女性が射殺された。ケネディ大統領と親密な関係にあったマリー・ピンチョット・メイヤーだ。銃弾の1発目は後頭部、2発目は心臓へ至近距離から撃ち込まれていた。この女性が1958年まで婚姻関係にあったコード・メイヤーはCIAの幹部として秘密工作に関わっていた人物だ。 ケネディ大統領が暗殺された直後、マリーは友人でハーバード大学で心理学の講師をしていたティモシー・リアリーに電話し、泣きながら「彼らは彼をもはやコントロールできなくなっていた。彼はあまりにも早く変貌を遂げていた。・・・彼らは全てを隠してしまった。」と語ったという。(Timothy F. Leary, “Flashbacks,” Tarcher, 1983) その後、多くのジャーナリストや研究者が事件を調査、ウォーレン委員会とは違う結論に到達した人が少なくない。単独犯行は無理であり、組織的に実行された可能性が高いということだ。そうした調査結果を封印するために使われ始めたのが「陰謀論」である。その後、どのような出来事でも組織的な権力犯罪という主張が出てくると「陰謀論」という呪文が唱えられる。支配者が定めた枠組みの中で生きようとする人は、どのような「立ち位置」を演出していようと、この呪文を受け入れる。
2021.01.21
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)と呼ばれる悪霊が世界の仕組みを変えつつある。人びとは集まることができなくなり、生産活動は麻痺、交易は停滞、少なからぬ企業の経営が悪化して倒産に追い込まれ、失業者、ホームレス、そして自殺者を増加させている。働き、集まり、公的な情報を知る権利、あるいは表現する自由などが奪われつつあるのだ。 ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は2010年5月、「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」という報告書を発表した。 そこに書かれたシナリオによると、2012年に新型インフルエンザのパンデミック(感染爆発)が起こり、人や物資の国際的な移動が停止。その対策としてマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制されるとし、さらに全ての人の強制的な隔離が推奨されている。 パンデミックに対する恐怖は人びとに基本的な人権を放棄させることになり、対策として打ち出される管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと報告書は見通す。そうした体制は支配者が望み、築いてきたが、パンデミックはそうしたことを促進するだけでなく、被支配者である大多数の人びとに主権やプライバシーを自発的に放棄させることになるとしている。かつて正常とされた状態には戻らないとする分析はMIT(マサチューセッツ工科大学)の「MITテクノロジー・レビュー」の2020年3月11日号にも掲載された。 欧米の支配者は今回のパンデミックでルビコン側を渡った、つまり回帰不能点を超えたと言えるだろう。社会の収容所化を進め、ライバルであるロシアや中国を殲滅するしかないということだ。 これまでアメリカはさまざまな手段で戦争を遂行してきた。2003年3月に始まったイラクへの軍事侵略は自国の正規軍が使われたが、2011年春にリビアやシリアを侵略する際にはムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とする傭兵を前面に出している。 しかし、南オセチアやシリアにおける戦争でアメリカやイスラエルは戦術だけでなく武器/兵器の能力でも後れを取っていることが明らかになった。アメリカが勝っていると言えそうなのは軍隊の規模くらいだ。 アメリカは貿易や金融を使った戦争も展開、自然環境への働きかけも視野に入っていると言われているが、1990年代から急速に重要な役割を果たすようになったのはプロパガンダだろう。宣伝会社がシナリオを描き、そのシナリオに基づく幻影を有力マスコミが人びとの頭に刷り込む、洗脳するということである。 これまでインターネットの世界では彼らの情報統制が徹底していなかったが、ここにきてツイッター、フェイスブック、ユーチューブ、グーグルといったシリコンバレーの巨大企業が検閲を強めている。それだけ私的権力の力が強くなり、ファシズム化が進んでいるということだ。 こうした戦術は戦略に基づいて実行される。アメリカは2018年5月に太平洋軍をインド・太平洋軍へ変更、インド洋から太平洋にかけての海域を一体として扱うことを示している。太平洋の拠点は日本、インド洋の拠点はインド、ふたつをつなぐ役割をインドネシアが担うという構図を描いているようだ。日本は完全なアメリカの属国、インドも現政権はアメリカやイスラエルに従っている。問題はインドネシアだろう。 NATOの事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグは2020年6月8日、NATO2030なるプロジェクトを始めると宣言した。NATOの活動範囲を太平洋へ広げ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにするというのだ。オーストラリアとニュージーランドはアメリカやイギリスの影響下にあり、日本は属国。問題は韓国だ。 こうしたアメリカ軍やNATOの方針は19世紀にイギリスの支配者が描いた長期戦略に従っている。この戦略をまとめ、1904年に発表したのが地理学者で地政学の父と呼ばれているハルフォード・マッキンダーである。ユーラシア大陸の沿岸を支配し、内陸部を締め上げていくというものだ。 締め上げていく三日月帯の西端はイギリス。この国が1822年から支配するようになったエジプト、1757年のプラッシーの戦いで制圧したインド、1886年から全土を占領することになったビルマを経て東端が日本だ。その三日月帯にイギリスはイスラエルを1948年に、サウジアラビアを1932年に建国させている。明治維新でイギリスが金融や技術面で日本を支援した理由は言うまでもないだろう。 日本は1923年9月1日に起こった関東大震災の復興資金調達をJPモルガンに頼り、それ以降、その強い影響下に入った。 この金融機関の創設者と言われているジョン・ピアポント・モルガンだが、その父親、ジュニアスはロンドンでジョージ・ピーボディと銀行を経営していた。その銀行の経営状況が悪化した際、助けたのがネイサン・ロスチャイルド。このロスチャイルドに評価され、アメリカでのビジネスを任されたのがジョン・ピアポント・モルガン。関東大震災当時は息子のジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアの時代になっていた。 このジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアと結婚した相手のいとこが1932年から駐日アメリカ大使に就任したジョセフ・グルー。日本で彼が最も親しくしていた人物は松岡洋右と言われている。そのほか松平恒雄、徳川家達、秩父宮雍仁、近衛文麿、樺山愛輔、吉田茂、牧野伸顕、幣原喜重郎らとも親しく、真珠湾攻撃の後、1942年8月に離日する直前、岸信介とゴルフをしたと言われている。 グルーが来日した1932年にアメリカでは大統領選挙があり、ニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトが勝利した。その政権を倒すため、JPモルガンを中心とするウォール街の住人たちが1933年から34年にかけてクーデターを計画、ファシズム体制を樹立させようとしていたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。このクーデターを阻止、計画の内容を議会で詳細に証言したのがスメドリー・バトラー退役少将だ。第2次世界大戦で日本は敗北するが、戦後日本のあり方を決めたジャパン・ロビーの中枢にはグルーがいた。戦後レジームと戦前レジームは基本的に同じだ。 アメリカでグルーの仲間たちが完全に復活したのは1963年11月22日にジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されてからだろう。リチャード・ニクソンがウォーターゲート事件で失脚した後に副大統領から大統領へ昇格したジェラルド・フォードの時代にシオニストの一派であるネオコンが台頭した。 1991年12月のソ連が消滅するとネオコンたちはアメリカが唯一の超大国になったと考え、世界制覇を仕上げるために戦争を始める計画をたてる。これがウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。日本もアメリカの戦争マシーンに組み込まれていく。 ネオンコンは2001年9月11日の世界貿易センターや国防総省本部庁舎への攻撃、いわゆる9/11を利用して支配層の内部で主導権を握り、中東や北アフリカで破壊、殺戮、略奪をはじめ、ウクライナではネオ・ナチを利用してクーデターを成功させた。 9/11でアメリカの憲法は機能不全になり、国内のファシズム化と国外での侵略戦争が本格化したのだが、ロシアで想定外のことが起こる。ウラジミル・プーチンがロシアを曲がりなりにも再独立させ、アメリカのライバルとして再登場してきたのだ。2014年にネオコン政権はウクライナでクーデター、香港で反中国運動を実行するが、これにが切っ掛けになってロシアと中国が戦略的な同盟関係に入ってしまった。 COVID-19で始まったパンデミックで欧米の支配者は「資本主義のリセット」をするというが、これはファシズム化。そのためにはロシアと中国を殲滅しなければならない。そうした戦争を彼らは始めたのである。ジョー・バイデン政権の陣容を見ると、まずロシアとの戦争に力を入れそうだ。
2021.01.21
BioNTechとファイザーが共同で開発したSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)用ワクチンを接種された直後に死亡するケースが報告されている。ポルトガルの看護師やフロリダの医師が死亡したことは早い段階に伝えられ、インドでも死者が出ているが、最も注目されているのはノルウェーだろう。死者の数は33名に達したようだ。 ノルウェーの場合、いずれも75歳以上で深刻な病気を抱えていたというが、この傾向はPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者で死亡した人と同じ。どの国でも死亡したPCRの陽性者は大半が高齢者で、しかも心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えていると指摘されている。 しかし、西側の有力メディアはPCR検査の陽性者を「感染者」と表現し、本当の死因については触れないため、COVID-19が死因だと想像する人は少なくないだろうが、あくまでも想像。状況証拠すらない。それに対してワクチンの場合、接種したという明確な事実がある。 BioNTech/ファイザーやモデルナはmRNA(メッセンジャーRNA)の技術を使っているが、前にも書いたように、この種類のワクチンでは全身性の炎症反応や潜在的な毒性が懸念され、生産されるウイルス・タンパク質の排泄物をキラーT細胞が認知することで自己免疫が起こることは避けられないとされていた。(スチャリット・バクディ、カリーナ・ライス著、鄭基成訳、大橋眞監修『コロナパンデミックは、本当か?』日曜社、2020年) こうしたワクチンはコンピュータのオペレーティング・システムと同じようなmRNA技術プラットフォームで、製薬会社は彼らのmRNA薬を人体で機能させる基盤にするつもりなのかもしれない。人類のDNAに何かをしようとしている可能性もある。 その懸念が正しいなら、人類は再びかつてのような状況に戻ることはできない。DNAレベルの話でなくても、彼らが社会の仕組みを作り替えようとしていることは間違いないだろう。彼ら自身、資本主義システムを大々的に「リセット」すると宣言、元には戻らないともしている。強大な私的権力が直接統治するファシズム体制の樹立だ。
2021.01.20
SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)対策のワクチンはいくつか発表されているが、西側ではBioNTechとファイザーが共同で開発したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが先行、接種が進んでいる。 その結果、ポルトガルの看護師やフロリダの医師が接種から数日後に死亡、ノルウェーでは老人ホームの入居者が死んだと報道されている。当初、ノルウェーでの死者は2名とされたが、1月16日現在で29名に増えたようだ。死亡が確認されたケースは近くに医療関係者がいて異変に気づきやすい環境にある。
2021.01.19
EUの高官がEMA(欧州医薬品庁)に対し、ファイザー/BioNTechとモデルナのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを迅速に許可するよう圧力を加えていたことを示す電子メールが公表されたという。2019年9月にBioNTechはmRNA技術の癌やエイズの治療への応用を含む契約をビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と結んでいる。 そのメールは何らかの手段でEMAから持ち出されたというが、明らかにされた資料によって、製造施設が調査されていない事実、一般向けに作られたワクチンに関するデータが行方不明だという事実、一般向けのワクチンと臨床試験で使われたワクチンに質的な違いがある事実なども明るみに出た。ファイザー製の製品では接種後に死亡したり神経系にダメージを受けたりする人が出ているとすでに報告されている。 このEMAに対し、ファイザーの副社長を務めていたマイク・イードンと欧州評議会議員会議の健康委員会で委員長を務めるウォルフガング・ウォダルグはワクチンが女性を不妊にする可能性があると指摘、臨床試験を中止するように求める請願を提出していた。EMAが外部からの圧力に屈していたなら、この請願は無意味だったと言えるかもしれない。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)という悪霊で人びとは恐怖、自らの主権やプライバシーを放棄し、社会の収容所化を受け入れてきた。そうした恐怖を広めてきたのは西側の有力メディアだが、そうした恐怖の発信源と言えるのはアメリカのワシントン大学にあるIHME(健康指標評価研究所)やイギリスのMRC GIDA(医学研究委員会グローバル感染症分析センター)。 ワクチンの面では欧州委員会とWHO(世界保健機構)が2019年9月12日に共同で開催したグローバル・ワクチン接種サミットが重要だろう。2022年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートを導入、人びとの管理に利用しようとする計画もある。ワクチン接種に関してはEUのエリートも重要な役割を果たしてきた。
2021.01.19
菅義偉首相は1月13日、11都府県に対し、特別措置法に基づく緊急事態宣言を出した。対象は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、岐阜県、栃木県、福岡県だ。 東京都の小池百合子知事が昨年12月31日に首都圏の3県知事に対して政府へ緊急事態宣言を出すように要請しようと働きかけ、埼玉県の大野元裕知事が賛成したことから始まったという。その後、神奈川県の黒岩祐治知事と千葉県の森田健作知事が説得に応じ、政府が動き出した。 小池都知事が宣言を出すように求めたのは「新型コロナウイルス」の感染が拡大しているからだというのだが、感染の実態は明らかにされていない。マスコミを通じて「感染者数」は発表されているが、詳しい情報はない。首都圏では飲食店の営業時間を短縮させているが、満員電車は放置されるなど、政策に合理性はない。政府の対策と称するものを見ていると、「重症急性呼吸器症候群」を引き起こす伝染病が蔓延し、それを封じ込めようとしているとは思えない。そうした状況にないことを理解、欧米の支配者に従うポーズをとるため、弱い立場の人びとを人身御供にしようとしているのだろう。 一昨年12月、そうした症状の患者が中国の武漢で発見され、死者が出たとされている。武漢の患者から見つけたウイルスの遺伝子を中国の学者グループが発表、それが問題の病原体だとWHO(世界保健機関)は認定し、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)と命名した。それによってCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)が引き起こされるというのだ。 SARS-CoV-2の遺伝子の一部(数百分の一)をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で探しだし、陽性の人を「感染者」だと見なしている。日本では病院や劇場の入り口などで体温が測られているが、体温が上昇する理由は無数にある。インフルエンザや風邪で体温が上がることは言うまでもない。 インフルエンザは症状が激しく、肺炎で死亡する患者も少なくない。そこで例年は感染状況が当局によって監視されている。アメリカでそうした仕事をしているはCDC(疾病予防管理センター)。 その推計によると、昨シーズン(2019年から20年)のインフルエンザ患者数は3900万人以上に達し、40万人が入院、2万4000人が死亡した。そのCDCは今シーズン、インフルエンザに関するデータを集めないと発表している。インフルエンザの患者をCOVID-19に罹ったことにするのではないかと疑う人もいる。 しかし、最近はCOVID-19の症状が気されていない。人びとは幻影に恐怖している。マスコミに登場する「権威」は無症状の人が感染源になると宣伝して恐怖を煽ってきたが、SARS-CoV-2による重症者や死亡者の実態がわからない。死亡者数のカウントに問題があることも本ブログで繰り返し書いてきた。 欧米では日本以上に人びとの行動が厳しく規制され、監視システムが強化されている。ロックダウン(監禁策)だ。 しかし、日本でもCOVID-19対策は人びとを苦しめている。人びとは集まることができなくなり、生産活動は麻痺、少なからぬ企業の経営が悪化して倒産に追い込まれ、失業者、ホームレス、そして自殺者を増加させている。旅行や飲食を生業にしている人びとは特に厳しい状況だろう。 しかし、ATF(税の公正さを求めるアメリカ人)によると、COVID-19のパンデミックが宣言されてから12月7日までの間に651人の富豪が保有する財産の勝ちは1兆ドル以上増えて4兆ドルに達したという。それに対し、所得の少ない方の半数(1億6500万人)は総額2兆1000万ドルにすぎない。 今回のパンデミック騒動で大儲けしている富豪たちは支配システムを作り替えようとしている。本ブログで何度も書いてきたが、WEF(世界経済フォーラム)の創設者、クラウス・シュワブはCOVID-19を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」するべきだとしている。 経済全般が破綻すると優良企業も借金漬けになる。現在、世界で最も大きな影響力を持っている富豪の大多数は金融資本。優良企業が借金漬けになるということは、優良企業を借金の形として乗っ取ることができるとうことだ。 HSBC(旧社名は香港上海銀行)はマスクの着用を拒否する顧客へのサービス提供を拒否、場合によっては銀行口座を没収すると報道されているが、通貨の電子化が世界規模で進むと、銀行口座を封鎖することで支配者は自分たちにとって好ましくない人物や団体を経済的に破滅させることができる。 国が借金漬けになると、強大な私的権力が国民の資産を借金の形として二束三文で奪っていく。1991年12月にソ連を消滅させたボリス・エリツィンがロシアの大統領として行ったようなことが日本でも行われる可能性がある。 資本主義体制のリーダー達は12月8日、「バチカンを含む包括的資本主義会議」を発足させた。WEF(世界経済フォーラム)と連携、その創設者であるクラウス・シュワブが言ったようにCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義を大々的に「リセット」するつもりなのだろう。 この会議を創設するうえで中心的な役割を果たしたのはリン・フォレスター・ド・ロスチャイルド。ロンドンを拠点とするNMロスチャイルド銀行の取り仕切ってきたエベリン・ド・ロスチャイルドの3番目の妻だ。エベリンは今年の8月で90歳になったが、リン・フォレスターは66歳。ふたりは1998年のビルダーバーグ・グループの会議でヘンリー・キッシンジャーに紹介されて知り合い、2000年に結婚、新婚旅行の際にクリントン夫妻からホワイトハウスへ招待されている。 リン・フォレスターはエベリンと知り合う前、ジェフリー・エプスタインのプライベート・ジェットに乗った記録が残っている。言うまでもなく、エプスタインは未成年の少女を世界の有力者に提供、接待の様子を記録して脅しに使っていた人物。妻のギスレインや義父のロバート・マクスウェルと同じようにイスラエル軍の情報機関、つまりAMAMに所属していた。 このロバート・マクスウェルに対し、リン・フォレスターは1991年頃、マンハッタンにある自身の住宅を自由に使わせていた。マクスウェルはその年の11月、カナリア諸島沖でヨットから行方不明になり、しばらくして膨張した裸の死体が発見された。マクスウェルの下で仕事をしていたジョン・タワー元米上院議員は同じ年の4月、搭乗していた近距離定期便がジョージア州ブランズウィック空港付近で墜落して死亡している。タワーもイスラエルの情報機関の仕事をしていた。 ロスチャイルド人脈が「バチカンを含む包括的資本主義会議」で中心的な役割を果たしているように見えるが、ロックフェラー財団やフォード財団も関係、そしてローマ教皇庁が加わった。彼らは私的権力が直接統治するファシズム体制へ世界を移行させようとしているのだろう。 パレスチナにロスチャイルド人脈はイスラエルなる国を作り上げ、そこに住んでいたアラブ系住民(パレスチナ人)を虐殺、追放、残った人びとを彼らは隔離、破壊、虐殺などで弾圧してきた。そうしたことが世界規模で行われる可能性がある。
2021.01.18
SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)対策としてワクチンの接種が始まった。何種類かのワクチンが開発されたが、いずれも安全性が確認されたとは言えない。 西側で先行しているワクチンはドイツを拠点とするBioNTechの技術を使い、アメリカを拠点とするファイザーと共同で開発した製品だが、ポルトガルの看護師やフロリダの医師が接種から数日後に死亡、ノルウェーでは老人ホームの入居者2名が死んだと報道されている。ペルーではファイザーに対する免責で対立が生じているようだ。 会社側は臨床試験で有力な初期兆候を示し、目立った危険な兆候は見られなかったとしているが、接種を受けてから43日以内に、被験者15名のうち3名に深刻な悪い症状が現れたと伝えられている。これから問題が表面化してくるかもしれない。 ファイザーのワクチンはモデルナと同様、mRNA(メッセンジャーRNA)を使う。DNAの遺伝情報はmRNAに転写され、その遺伝情報に従って特定のタンパク質が合成されるのだが、その仕組みの中へ侵入して情報を書き換えようというものだ。 この種類のワクチンでは全身性の炎症反応や潜在的な毒性が懸念されているほか、生産されるウイルス・タンパク質の排泄物をキラーT細胞が認知することで自己免疫が起こることは避けられないという。(スチャリット・バクディ、カリーナ・ライス著、鄭基成訳、大橋眞監修『コロナパンデミックは、本当か?』日曜社、2020年) mRNAを使うのではなく、ウイルス遺伝子をプラスミドという大腸菌の環状DNAに挿入する遺伝子ワクチンもある。この場合、プラズミドDNAが細胞のゲノム遺伝子に組み込まれる危険性があり、遺伝子挿入が生殖細胞で行われると、その遺伝子情報が母親から子どもへ伝播されてしまう。このワクチンではDNAに対する抗体が作られたり、自己免疫反応が引き起こされる可能性がある。(前掲書) そのほか不活化あるいは弱毒化されたウイルスのワクチン、タンパク質ワクチン、ウイルス・ベクター(運び屋遺伝子)を利用したワクチンがあるが、それぞれ危険性が指摘されている。 そもそも、これらは本当にワクチンなのかという問題もある。SARS-CoV-2のようなRNAウイルスは変異が多い。PCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)でウイルスの一部を検出しているとしても、1カ月もすれば検出できなくなると言われているが、ワクチンを作ることも事実上、不可能だろう。 モデルナの説明を読むと、彼らはmRNA技術プラットフォームを作ろうとしている。これはコンピュータのオペレーティング・システムと同じようなもので、彼らのmRNA薬を人体で機能させる基盤を作るつもりのようだ。人類のDNAに何かをするための準備をしているようにも思える。
2021.01.17
ツイッターはドナルド・トランプ米大統領のアカウントを1月6日に閉鎖したのに続き、1月12日から「QAnon」に関係していると見なされた7万以上のアカウントの使用を停止した。こうした傾向はフェイスブック、ユーチューブ、グーグルといったシリコンバレーの巨大企業全般で見られる。 その間、1月8日にツイッターCEOのジャック・ドーシーは多くのアカウントを長期にわたって使えなくすると内輪で語っている。その様子を内部の人間が秘密裏に撮影、それをジェームズ・オキーフのプロジェクト・ベリタスが公開した。 私企業、あるいは私的権力がアメリカ大統領の情報発信を阻止する力を持ったということにほかならない。フランクリン・ルーズベルト大統領は1938年に私的権力が国を凌駕する力を持つ危険性を指摘、そうした状態をファシズムと定義したが、そうした状態になっている。 ルーズベルトの同志であり、1945年1月まで副大統領を務めていたヘンリー・ウォーレスはアメリカがそうした方向へ向かっていると懸念していた。1944年4月にニューヨーク・タイムズ紙に載せた意見の中で、アメリカをファシズムの脅威が襲うピークは第2次世界大戦の後だと指摘、ファシストは米英を帝国主義化し、ソ連との戦争へとアメリカを向かわせると彼は見通している。 このウォーレスは1944年7月に開かれた民主党の党大会で副大統領候補から外されてしまう。党幹部の意向が反映されたのだが、選ばれたのはルーズベルトとの関係が薄く、意見を交換することもほとんどなかったというハリー・トルーマン。この人物のスポンサーだったエイブラハム・フェインバーグはイスラエルの建国や同国の核兵器開発を支援し、ダビッド・ベングリオンから信頼されていた富豪として知られている。 1944年11月7日に実施された大統領選挙でルーズベルトが勝利するが、翌年の4月12日に急死、トルーマンが大統領に昇格した。第2次世界大戦でドイツ軍は戦力の4分の3をソ連侵攻作戦に投入したが、スターリングラードでソ連軍に敗北、1943年1月に降伏。この時点でドイツと日本は1943年「死に体」の状態だった。ドイツと日本の降伏が正式に決まれば、アメリカ国内でファシストを支援していた勢力、つまり金融を中心とする巨大資本に対する取り調べが始まる可能性が高い。 しかし、そうしたことは行われなかった。ルーズベルトがドイツ降伏の前月に死亡、しかも副大統領が反ファシストのウォーレスではなくトルーマンだったためだ。戦後、始まったのは「レッドパージ」という反ファシスト狩りだった。 その間、大戦の終盤にアメリカ支配者の代理人、アレン・ダレスたちは大統領に無断でナチスの幹部らと接触、善後策を協議している。サンライズ作戦だ。ナチスの幹部や協力者を逃走させたラットラインは有名だが、逃がすだけでなく、保護、そして雇用する。ブラッドストーン作戦やペーパークリップ作戦などだ。 大戦後もファシストの黒幕は失脚せず、影響力を強めていく。そして今、世界は私的権力が直接支配するファシズム体制に足を踏み入れた。大統領選挙におけるジョー・バイデンの「勝利」でその実態が明らかになっている。
2021.01.16
HSBC(旧社名は香港上海銀行)はマスクの着用を拒否する顧客へのサービス提供を拒否、場合によっては銀行口座を没収すると報道されている。SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)の感染が拡大しているからだという。 通貨の電子化が世界規模で推進されているが、それに対する批判のひとつがここにあった。実態のある通貨が存在しない場合、銀行口座を封鎖することで支配者は自分たちにとって好ましくない人物や団体を経済的に破滅させることができる。その懸念が現実になろうとしている。 SARS-CoV-2の感染拡大という主張のいかがわしさは本ブログでも指摘してきた。感染者と見なされているのはPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)の陽性者だが、この検査が遺伝子の断片を試験管の中で増幅する技術にすぎないことは専門家なら知っているはずだ。 最低限、遺伝子の断片が何なのかを明確にする必要があるのだが、そうした作業は行われていないようだ。しかも増幅サイクル(Ct)を増やしていけば、探している遺伝子が病原体の一部だとしても、医学的に意味のないほどわずかな遺伝子を検出できる。SARS-CoV-2は変異が多いRNAウイルスの一種であり、変異が進むとPCR検査で検出できなくなるという問題もある。それにもかかわらず陽性者が減らないのは不自然だ。 こうしたこともあり、PCR検査の開発者で、その方法を利用する条件、限界を熟知していたキャリー・マリスはこの手法をウイルスの検査に使ってはならないと繰り返していた。マリスは2019年8月7日に肺炎で死亡しているが、その半年後にパンデミック騒動は始まった。その時に彼が生きていたなら、騒動の推進者にとって面倒なことになっていただろう。 PCRの問題は、WHO(世界保健機関)や各国政府が発表する感染者の数値が信頼できないことを意味するが、死亡者数の水増しも行われてきた。 WHOが3月11日にパンデミックを宣言した直後、アメリカでは感染者や死亡者の数を水増しする工作があった。アメリカのスコット・ジャンセン上院議員は、死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると4月8日にFoxニュースの番組で話しているが、これはCDC(疾病予防管理センター)のサイトで誰でも確認できる。卒中などで倒れた人を速やかに集中治療室へ入れるため、COVID-19に感染しているとするケースもあったようだ。 それまで診断に使われることのなかったPCR検査用のキットを持っている病院は少なく、検査を実施できない。そこで、状況にある程度の確かさがあれば、検査なしに死因をCOVID-19と報告してかまわないとしている。COVID-19に感染していたことにすれば病院が受け取れる金額が多くなる。そうした行為をCDCが勧めているようにも思える。 不適切な人工呼吸器の使用が病状を悪化させているする告発も早い段階からあった。この器具は圧力を加えて酸素を肺へ送り込むのだが、その際に黴菌などが入り、肺炎を引き起こすケースもあるという。 こうしたことだけでなく、社会の収容所化によるストレスの増大、経済が麻痺して少なからぬ企業を倒産、失業者、ホームレス、そして自殺者を増やしている。つまりCOVID-19対策が少なからぬ人を苦境に追い込み、一部は死んでいる。 今回のパンデミック騒動で富豪は資産を増やしているが、その富豪を代表するWEF(世界経済フォーラム)を創設したクラウス・シュワブはCOVID-19を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」すると宣言している。リセットに成功したなら、世界は強大な私的権力が直接統治するシステム、つまりファシズム体制が世界を覆うことになる。 富豪の中でも特に経済の破綻が自分たちの利益に結びつく集団は金融資本の支配者たちだ。資産や技術を持つ企業を借金漬けにし、借金の形として乗っ取ることもできる。ボリス・エリツィン時代のロシアではクレムリンが私物化され、国民の資産が奪われていた。 クレムリンを支配していたのはエリツィンの娘であるタチアナ。彼女の利権仲間であるアナトリー・チュバイスは1992年11月にエリツィンが経済政策の中心に据えた人物で、彼が手を組んでいたHIID(国際開発ハーバード研究所)はUSAIDからカネを得ていた。つまりCIAとつながっていた。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,” Next Revelation Press, 2015) ボリス・エリツィンは1996年からタチアナを個人的な顧問に据えていたが、2000年に彼女はウラジミル・プーチンから解雇される。彼女は2001年に再婚するが、相手はエリツィンの側近で広報担当だったバレンチン・ユマシェフ。この人物の娘であるポリナ・ユマシェバはオレグ・デリパスカと結婚していた。 デリパスカはロシアのアルミニウム産業に君臨するイスラエル系オリガルヒで、ナット・ロスチャイルドから「アドバス」を受ける一方、ロスチャイルド系の情報会社ディリジェンスの助けで世界銀行から融資を受けていたが、プーチンとの対決は避けた。 ところで、マスク着用を顧客に強要しようとしているHSBCは1865年に香港で設立された。香港の中心である香港島は1842年、アヘン戦争で勝利したイギリスが南京条約で中国(清)から奪ったもの。そこにアロー戦争(第2次アヘン戦争)後の北京条約でイギリスが奪った九龍半島、そして1898年にイギリスが99年の期限で租借した新界が加えられて植民地として成立した。 アヘン戦争は1840年から42年にかけて、第2次アヘン戦争は56年から60年にかけて行われたが、その背景にはアヘンの密輸があった。その当時、イギリスはインド産のアヘン、アメリカはトルコ産のアヘンを中国へ売りつけ、大儲けしている。 麻薬取引で大儲けした会社のひとつが日本とも関係が深いジャーディン・マセソン。この会社は第2次アヘン戦争の終盤、1859年にふたりのエージェントを日本へ送り込んだ。ひとりは長崎へ渡ったトーマス・グラバーで、もうひとりは横浜のウィリアム・ケズウィック。ケズウィックの母方の祖母はジャーディン・マセソンを創設したひとりであるウィリアム・ジャーディンの姉だ。 ウィリアム・ケズウィックは1862年に香港へ戻ってジャーディン・マセソンの共同経営者になり、80年から81年にかけては香港上海銀行の会長に就任、86年にはロンドンへ渡り、マセソン社の経営者になる。 香港はイギリスのユーラシア大陸東部における金融の拠点になるが、その金融はアヘン取引と深く関係していた。イギリスの金融資本が1970年代に作り上げたオフショア市場のネットワークに含まれているが、その一方でCIAの活動拠点としても使われてきた。 そうした背景があるため、HSBCは今でも麻薬取引と関係が深い。その実態はアメリカ財務省のFinCEN(金融犯罪捜査網)が作成した報告書から垣間見ることができる。この報告書は秘密にされていたのだが、それをICIJ(調査ジャーナリスト国際協会)が公表したのだ。FinCENは金融機関のマネーロンダリングではなく、ICIJによる報告書の公表を犯罪行為だと非難している。 アメリカ財務省が隠したFinCENの報告書によると、マネーロンダリングなどの不正行為に手を染めているとされた金融機関はJPモルガン、HSBC、スタンダード・チャータード銀行、ドイツ銀行、ニューヨーク・メロン銀行だ。HSBCにとって麻薬取引業者よりマスクを着用しない人物の方が重罪なのだろう。
2021.01.15
ジョー・バイデン政権のCIA長官としてウィリアム・バーンズを指名した。バラク・オバマ政権の国務長官は2013年2月にヒラリー・クリントンからジョン・ケリーに交代、新長官は国務副長官を務めていたウィリアム・バーンズと副大統領補佐官だったジェイク・サリバンらをイラン政府の代表と会談させ、ここからアメリカとイランの交渉は始まったと言われている。バーンズはアメリカとイランの交渉を象徴する人物だと言えるだろう。 ドナルド・トランプ政権はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権の意向を受けてイランに対して厳しい姿勢で臨んできたが、そうした姿勢の変更があるかもしれない。 しかし、オバマ、ヒラリー、バイデンらの背後にいるシオニストの一派、ネオコンは1980年代からイラクに続き、シリアとイランを壊滅させるとしてきた。バイデン政権がイランと友好的な関係を築くということは考えられない。イランは後回しにするということだろう。 その直後、1月13日にサマンサ・パワーがUSAID(米国国際開発庁)の長官に指名された。この機関は非軍事の海外援助を行うとされているが、CIAの活動資金を流すことが重要な役割になっていることは広く知られている。 USAIDのほか、CIAの資金はNED(民主主義のための国家基金)からNDI(国家民主国際問題研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センター、そして手先の団体や人物へ流れていく。 パワーはスーザン・ライスと同じように「人道」を口実にした侵略戦争を推進してきた。このふたりやヒラリー・クリントンはオバマ大統領に対し、リビア攻撃を強く迫ったことが知られている。 オバマ大統領は中東や北アフリカへの侵略を正規軍ではなくムスリム同胞団やワッハーブ派を主力とする武装勢力を使って行うことを2010年8月に決め、PSD-11を出している。これを決めたチームの中にパワーも含まれている。「アラブの春」はこの計画に基づいて始まり、2011年春にはリビアとシリアで侵略戦争が本格化した。 本ブログでも繰り返し書いてきたように、リビアやシリアで民主化勢力が暴力的に弾圧されていたとする話は嘘で、実際はアフリカを欧米から自立させようとしたことや石油資源が侵略の目的だった。現在、リビアは暴力が支配する破壊と殺戮の破綻国になっている。 シリアでの戦争について、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の聖職者は2012年6月の段階で「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアの平和は守られる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実からほど遠い。」と指摘、シリア政府軍が戦っている相手が外国からやってきた戦闘員だということも報告していた。 リビアでは、地上で戦うアル・カイダ系武装集団と空爆を行うNATO軍の連携が機能し、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィは惨殺された。そして戦闘員や兵器/武器はリビアからシリアへ運ばれた。2012年からアメリカをはじめとする侵略国はシリアへの攻勢を強めるが、その際にシリア政府を悪魔化して描くプロパガンダも激しくなっていた。そのことをメルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の聖職者は報告しているのだ。 2012年5月にロシアの大統領がドミトリー・メドベージェフからウラジミル・プーチンへ交代したこともあり、NATO軍がシリアを攻撃することができない。そこで化学兵器話を西側の有力メディアは広め、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を売り出し、その凶暴さを宣伝して軍事介入を正当化しようとした。そうした中、2013年7月にスーザン・ライスは国家安全保障補佐官に就任、サマンサ・パワーは国連大使になった。ライスの師にあたるマデリーン・オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子で、オバマの兄弟弟子にあたると言える。オルブライトの好戦性は本ブログでも繰り返し書いてきた。 好戦的だという点はバイデンも同じで、自分の政権にもシリコンバレーの巨大企業や金融資本のほか、戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが次期政権の陣容や政策の決定に深く関与している。 国防長官にはレイセオン重役で元米中央軍司令官のロイド・オースチンを就任させようとしている。情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務めた人物。国務長官にはCSISのシニア・フェローだったアントニー・ブリンケンが決まり、ウェンディー・シャーマンが同省の副長官、ビクトリア・ヌランドが次官になる予定だ。 すでに本ブログでも書いたが、シャーマンが上級顧問を務めるオルブライト・ストーンブリッジ・グループはマデリーン・オルブライトが率いるビジネス戦略を提供する会社で、ヌランドも籍を置いていた。 ヌランドは2013年から14年にかけてウクライナでバラク・オバマ政権が実行したクーデターを現場で指揮していた。当時は国務次官補だ。ネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使ったこのクーデターをホワイトハウスで指揮していたのが副大統領を務めていたバイデンである。
2021.01.15
イギリスのネットワーク局ITVが放送している「グッド・モーニング・ブリテン」でメイン・アンカーのひとり、ピエール・モーガンがクリスマスにカリブ海を旅行していたことが明らかになり、批判されている。何しろモーガンはクリスマスの前、番組に登場した閣僚に対し、これまで以上に厳しいロックダウン政策を実施するように求めていた。 プロパガンダ機関であるテレビの出演者なので当然なのかもしれないが、この人物、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の恐怖を煽っているのだが、12月12日にはマスクをつけずに女性とタクシーに乗っているところを写真に撮られ、批判されていた。 WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言した昨年の3月11日からCOVID-19騒動は始まり、イギリスを含む国々ではロックダウンが実施され、人が集まったり接触することが規制され、マスクの着用も要求されてきた。こうした政策がコロナウイルスの伝染に有効だとは思えないが、モーガンもそう考えているのだろう。 イギリスでCOVID-19の恐怖を広め、ロックダウン政策を推進したのはニール・ファーガソン。2008年にMRC GIDAを設立しているが、この団体のスポンサーはビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団だ。この人物はロックダウンの最中、人妻である愛人を自宅へ招き入れたことが発覚して政府の顧問を辞めている。 COVID-19騒動を煽っているモーガンやファーガソンだが、COVID-19を恐ろしいとは思っていないのだろう。彼らは実態を知っている。
2021.01.14
ジョシュ・ホーリー米上院議員は2020年の大統領選挙をテーマにした本を『巨大技術の専制』というタイトルでサイモン&シュスターから出す予定だったが、ここにきて出版を拒否されたようだ。ジョー・バイデンにとってマイナスになる情報は封じ込められているが、そうした検閲のひとつだと言えるだろう。 その一方、ドナルド・トランプに対する罵詈雑言は許されている。ホワイトハウスの広報部長に指名された直後、ニューヨーカー誌のインタビューでドナルド・トランプ政権のメンバーを批判、その10日後に解任されたアンソニー・スカラムーチはその後、反トランプの立場を鮮明にし、トランプを刑務所へ入れろと叫んでいる。 有力メディアやシリコンバレーの巨大企業に守られたバイデンは次期政府を好戦的な人物で固めつつある。戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが次期政権の陣容や政策の決定に深く関与、国防長官にはレイセオン重役で元米中央軍司令官のロイド・オースチンが就任する予定。 情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務め、「血まみれジーナ」とも呼ばれているジーナ・ハスペルCIA長官と親しいと言われている。 ヘインズは2013年8月から15年1月までCIA副長官、15年1月から17年1月まで国家安全保障副補佐官を務めているが、その間、2014年に上院外交委員会は違法な拘束や拷問に関する報告書を発表している。 常識的に考えれば違法な拘束や拷問は良くないことだが、支配者の世界では違う。違法な拘束や拷問が行われていると内部告発した人びとは厳罰に処されたが、実行者は責任を問われていない。 委員会の報告書もCIAからの圧力で大半が削除されたものだった。この委員会の委員長だったダイアン・ファインスタインによると、CIA長官を務めていたジョン・ブレナンがファインスタインのスタッフをスパイ、委員会の調査を監視するために上院のコンピュータをハッキングしていたという。 ハッキングしたり拷問したCIAのオフィサーを処分しないと決定するうえで重要な役割を果たしたのはCIA副長官を務めていたヘインズ。バラク・オバマ大統領はドローン(無人機)を使った暗殺工作を行ったが、この工作でもヘインズは重要な役割を果たした。 ここにきて注目されているのは国務省の人事。長官にはCSISのシニア・フェローだったアントニー・ブリンケンが決まり、ウェンディー・シャーマンが副長官、ビクトリア・ヌランドが次官になる予定だ。 ヌランドは2013年から14年にかけてウクライナでバラク・オバマ政権が実行したネオ・ナチを使ったクーデターを国務次官補として現場で指揮していた人物。このクーデターをホワイトハウスで指揮していたのがバイデンである。ヌランド本人もシオニストの一派であるネオコンに属しているが、夫のロバート・ケイガンもネオコンの大物として有名。 ヌランドはCNASのCEOも務めているが、この団体には理事としてヘインズ、オバマ政権の国防次官で好戦派としても知られているミシェル・フローノイ、日本の軍事化政策とも関係の深いリチャード・アーミテージやカーク・キャンベルも含まれている。 シャーマンが上級顧問を務めるオルブライト・ストーンブリッジ・グループはマデリーン・オルブライトが率いるビジネス戦略を提供する会社で、ヌランドも籍を置いていた。 オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子で、彼女の弟子に当たるのがスーザン・ライスである。ビル・クリントン政権の第1期目はユーゴスラビアを軍事侵略しろという有力メディアの圧力を跳ね返し、外交的に問題を解決しようとしていた。 そのクリントンはスキャンダルで追い詰められ、1997年1月に国務長官をウォーレン・クリストファーからオルブライトへ交代させた。前年の5月、オルブライトはテレビ番組「60ミニッツ」で国連によるイラクに対する経済戦争で約50万人の子どもが殺されていることについて聞かれ、「それだけの価値はある」と答えている。 クリストファーは外交を優先する人物だったが、好戦的なオルブライトは1998年にユーゴスラビアの空爆支持を表明した。1999年にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃して建造物を破壊、多くの人を殺戮して国を解体した。この戦争からアメリカの軍事侵略は本格化したわけである。ちなみにビル・クリントンの妻、ヒラリーはオルブライトやヌランドと親しい。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」するとWEF(世界経済フォーラム)を創設したクラウス・シュワブは宣言した。リセットに成功したなら、世界は強大な私的権力が直接統治するシステム、つまりファシズム体制が世界を覆うことになる。その目的を達成するため、私的権力、つまりファシズム勢力は2020年の大統領選挙でどうしてもバイデンを勝たせる必要があった。実態はどうであれ、勝ったことにする必要があった。
2021.01.13
シリコンバレーの巨大企業による言論の検閲が進んでいる。1月12日にツイッターは「QAnon」に関係していると見なされた7万以上のアカウントの使用を金曜日から停止したと発表した。 大統領選挙で使われた投票システムは投票数を誤魔化して選挙結果に影響を与えるエラーが意図的に組み込まれているとミシガン州の裁判所が委託した調査で報告されているが、その前からドナルド・トランプの支持者はそのように主張していた。 トランプ支持者はワシントンDCに乗り込んで抗議活動を展開した。その際、複数の警官に集団が誘導されているように見える映像が存在、警備側が抗議活動の参加者を建物への乱入を演出したのでないかと疑う人もいる。 結局、数百人が上院の議場へなだれ込もうとし、女性がドアの前で警官に銃撃されて死亡するという出来事が引き起こされた。女性はドアを突破しようとしていたようには見えず、銃撃した警官は陰に隠れていた。銃撃の瞬間を撮影した動画をインターネット上で見ることが可能だが、それを見る限り、射殺しなければならない状況とは思えない。その女性のほか3名も死亡しているが、死因は不明だ。 こうした出来事を理由として夜間外出禁止令を出したりツイッターのアカウントが使用停止になったりしているが、説得力に欠ける。人びとの外出を制限し、発言を封じ込めたいだけだろう。COVID-19(2019年-新型コロナウイルス感染症)の騒動で行っていることだ。
2021.01.12
フェイスブックがロン・ポール元米下院議員の新たなページ書き込みを一時的に規制しているようだ。シリコンバレーによる検閲が強まっている。 ロン・ポールは1997年1月から2013年1月まで下院議員を務め、アメリカによる他国への内政干渉、私的権力が支配するWTO(世界貿易機関)やFTA(自由貿易協定)に反対してきた。イラクに対する武力行使を下院は2002年10月に承認したが、この決議で共和党は賛成215、反対6、棄権2。ポールは反対したひとりだ。 WEF(世界経済フォーラム)を創設したひとりのクラウス・シュワブは、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」すると主張している。シュワブも世界を直接統治しようとしている私的権力に属している人物。 この勢力はTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)を推進していた。こうした協定に含まれているISDS(投資家対国家紛争解決)条項は、巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制を政府や議会が作ることを事実上、禁止している。巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制は賠償の対象になることになっていた。 つまり、生産活動やサービスのルールを決め、労働条件、環境汚染、食糧の安全などに関する規制、あるいは健康保険や年金など社会保障の仕組みを決める最終的な権限を持つのは巨大資本になる。シュワブが言うところのリセットには、こうしたことも含まれているのだろう。 私的権力が国を凌駕する力を持ち、政府を所有している状態をフランクリン・ルーズベルトはファシズムと定義した。1938年のこと。私的権力が民主的国家そのものより強大になることを人びとが許すなら民主主義は危機に陥ると警鐘を鳴らしたのだ。こうした体制を「近代農奴制」と呼ぶ人もいる。 12月8日には「バチカンを含む包括的資本主義会議」が発足したが、この会議を創設するうえで中心的な役割を果たしたのはリン・フォレスター・ド・ロスチャイルド。ロンドンを拠点とするNMロスチャイルド銀行の取り仕切ってきたエベリン・ド・ロスチャイルドの3番目の妻だ。
2021.01.12
ツイッターやフェイスブックはドナルド・トランプ米大統領の発言封印を決めた。ツイッターは一部の書き込みが削除されたとして決定を撤回したが、フェイスブックは利用を禁止し続けている。公的な色合いが濃いサービスを提供する私企業が大統領に対するサービスの提供を拒否しているわけだ。 今回の場合、サービスの内容は言論に関わるもの。NSAの内部告発者であるエドワード・スノーデンは今回の出来事がデジタル時代における言論統制の戦いで転換点になると指摘している。私的企業が独自の判断で言論を統制する時代に入ったのだ。言論の自由は民主主義の重要な柱のひとつであり、シリコンバレーの巨大企業が民主主義の根幹を揺るがす力を獲得したことを示している。 トランプの言動を嫌う人はツイッターやフェイスブックの決定に喝采しているようだが、気に入らない言論を封じるという行為は民主主義の否定にほかならない。権力犯罪を公表してきたウィキリークスにアメリカの支配者は怒り、その象徴であるジュリアン・アッサンジを秘密裏に起訴、属国であるスウェーデンとイギリスを利用して逮捕、拘束している。 今年1月4日にイギリスのバネッサ・バラツァー判事はアッサンジのアメリカへの引き渡しを認めない判決を出したが、その理由は健康的な問題や自殺の可能性。戦争犯罪を含む権力犯罪を明らかにすることは重罪だというアメリカ側の主張を認めている。これは国民の知る権利を否定する判断であり、ジャーナリズムに対する死刑宣告に等しい。この判断はツイッターやフェイスブックの決定とつながっている。 かつて、日本では政府による露骨な言論への介入があった。2001年1月30日にNHKは「女性国際戦犯法廷」を題材にしたETV特集「問われる戦時性暴力」を放送したのだが、放送前日の29日にNHKの松尾武放送総局長(当時)と、国会対策担当の野島直樹・担当局長(同)らが中川昭一や安倍晋三に呼び出され、議員会館などで面会、放送内容を変えさせたのである。「強制性があったことを証明する証言や証拠がない」と信じていたらしい安倍は彼の考えに反する主張を封印したのだ。 それに対し、東京高裁は、松尾放送総局長や野島国会担当局長が国会議員などと接触した「際、相手方から番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされた」ため、「松尾総局長らが相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図を忖度してできるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて試写に臨み、直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められる。」と2007年1月29日に言い渡している。 言論統制にはカネもかかわってくる。例えば2008年11月、トヨタ自動車の相談役だった奥田碩は首相官邸で開かれた「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、「正直言ってマスコミに報復してやろうか。スポンサーでも降りてやろうか」と発言、マスコミの編集権に経営者が介入するやり方があるとも口にしている。 カネの力を利用したマスコミのコントロールだが、暴力も効果的な手段だ。1987年5月3日に朝日新聞阪神支局が襲撃された事件の真相は不明だが、マスコミの報道姿勢に少なからぬ影響を与えた。 日本の場合、何らかの方法で「空気」を作り出せば、マスコミ側が勝手に自主規制を始める。理想、理念、目標がないためなのか、彼らは雰囲気や空気を読み、成り行きに従って行動、自主規制や自主検閲を強化してきた。戦前も戦後も変化はない。現在は「新型コロナウイルス」という空気に合わせ、マスコミは恐怖を煽っている。
2021.01.12
ドイツ内務省のウエブサイトに機密が解除されたひとつの文書が昨年5月にアップロードされた。3月中旬に作成されたコロナウイルス対策会議の議事録には「恐怖で国民をコントロールすることが、流行を管理するための公式のアジェンダ」だと書かれているという。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に死のイメージをかぶせ、人びとにショックを与えることが重要な目的だというのだ。(スチャリット・バクディ、カリーナ・ライス著、鄭基成訳、大橋眞監修『コロナパンデミックは、本当か?』日曜社、2020年) 被支配者である大多数の人びとが望まない政策を実現するため、支配者はショックを使うことが少なくない。さらに進んで人びとを恐怖させることも戦術として使われてきた。 第2次世界大戦後、アメリカとイギリスの情報機関がNATO加盟国に秘密部隊を作ったことは本ブログでも繰り返し書いてきた。拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)でもこの問題に触れている。 秘密部隊を生み出したのは大戦中に米英がレジスタンス対策として組織したジェドバラ。1941年6月にドイツ軍は西部戦線に約90万人を残して約300万人をソ連への軍事侵攻、バルバロッサ作戦に投入した。西側は圧倒的に手薄な状態になったのだが、ドイツ軍と戦ったのはレジスタンスだけだった。 ドイツ軍は1942年8月にスターリングラード市内へ突入するのだが、11月になって戦況が一変。ソ連軍の反撃でドイツ軍25万人は完全包囲され、1943年1月に生き残ったドイツの将兵9万1000名はソ連軍に降伏する。それまでアメリカやイギリスはソ連とドイツの戦いを傍観していた。 この展開を見てアメリカとイギリスは慌て、1943年5月にワシントンDCで会談、7月にアメリカ軍とイギリス軍はシチリア島に上陸した。ハスキー計画である。その時に米英軍はコミュニスト対策としてマフィアと手を組んだ。西ヨーロッパでドイツ軍と戦っていたレジスタンスの中にはシャルル・ド・ゴールも含まれていたが、主力はコミュニスト。そのコミュニストに対抗させるため、ジェドバラというゲリラ戦用の組織をアメリカとイギリスの情報機関は編成したのである。ハリウッド映画で有名になったノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。 ジェドバラの人脈は戦後も生き続け、アメリカ国内では軍の特殊部隊やCIAの秘密工作部門で核になる。西ヨーロッパではNATO参加国の内部で秘密部隊を作り、そのネットワークはCCWU(西側連合秘密委員会)、後にCPC(秘密計画委員会)が指揮。その下部組織として1957年に設置されたのがACC(連合軍秘密委員会)だ。その下でNATOの秘密ネットワークが活動してきたのである。 そうした秘密部隊の中で最も有名なイタリアのグラディオは1960年代から80年代にかけ、極左を装って爆弾テロを繰り返し、クーデターも計画した。左翼に対する恐怖心を人びとに植えつけ、安全を求めさせ、左翼勢力を弱体化させると同時に監視システムを強化していった。これが「緊張戦略」だ。この時は恐怖を作り出すためにテロが使われたが、今はウイルスが使われている。
2021.01.11
ドナルド・トランプの支持者がワシントンDCに乗り込んで抗議活動を続けていた1月6日、その一部である数百人が上院の議場へ通じるドアの手前で女性が警備の警官に射殺されるという出来事が引き起こされた。その瞬間を撮影した映像がインターネット上で公開されているが、撃たなければならないような状況だったとは思えない。ウクライナや香港のような暴力的な行為があったわけではないのだ。さらに3名が死亡しているようだが、死因は不明である。 抗議活動の参加者はさらに増える可能性があったが、バージニア州のラルフ・ノーサム知事は午後6時以降の外出を禁止すると宣言、次期大統領に予定されているジョー・バイデンは抗議に参加した人を「国内テロリスト」と呼んで非難した。自分の敵だということだ。味方だと思えば「民主派」とか「自由の戦士」と呼ぶ。 バイデンは「テロリスト」や「テロリズム」と関係が深い。彼自身、反テロリズム法を1995年2月に提出している。オクラホマ州にある連邦政府ビルが爆破されて169名が死亡したのはその年の4月だ。主犯とされたティモシー・マクベインは2001年6月に処刑されている。 オクラホマ州の爆破事件より2年前の1993年2月、ニューヨークの世界貿易センターにあるノースタワーの地下駐車場で爆破事件があった。そこに止めてあったトラックには爆薬(硝酸尿素)が積まれていて、それが爆発、4階層に渡って幅30mの穴を空けたのだ。この事件を受け、1994年から2000年にかけて世界貿易センターのエレベーター・システムを改良する大工事が行われている。(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017) この爆破現場を見たひとりがドナルド・トランプ。その直後、高層ビルに詳しい専門家として彼はABCのジョージ・ステファノポラスからインタビューを受けているのだが、その際、航空機の激突が原因でタワーが崩壊したとする見方に疑問を表明している。1993年の爆破でビルを支える土台が破壊されても倒れなかった建造物が脆弱な構造の航空機が突入した程度で壊れるとは考えられないと彼は考えていた。 それに対し、ジョージ・W・ブッシュ政権は航空機を使ったテロでビルは崩壊、その航空機は「アル・カイダ」によってハイジャックされていたと詳しい調査をせずに断定、中東での侵略戦争へ突き進む。 この直後に「愛国者法(USA PATRIOT Act / Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001)」が成立してアメリカ憲法は麻痺状態になった。テロリズム対策という名目で人びとの権利は奪われることになったのだ。この法律の一部は2015年に失効したものの、「自由法」という形で復活している。 愛国者法は9月11日の事件から間もない10月23日に提出され、26日に発効している。簡単に書き上げられる分量の法律ではなく、実際に条文を読んだ議員はほとんどいないのではないかと言われている。そうした法律を短期間に書き上げることができたのはロナルド・レーガン政権の時代に始まった戒厳令プロジェクトのCOGがあったからだろうということは本ブログでも繰り返し書いてきたが、バイデンによると、この法律のモデルはオクラホマ州で爆破事件があった直後に彼が書いた法案だという。 COGはアメリカ国内を収容所化する計画だとも言えるのだが、その歴史は少なくとも1958年までさかのぼることができる。ソ連や中国に対する先制核攻撃計画を具体化させていたドワイト・アイゼンハワー政権は核戦争時の地下政府(アイゼンハワー・テン)を編成したのだ。 1970年には盗聴、親書の開封、監視、予防拘束などをFBIやCIAに許すヒューストン計画が作成されるものの、司法長官だったジョン・ミッチェルが激しく反対して実現しなかった。これは1979年にFEMA(連邦緊急事態管理庁)という形で具体化している。そしてCOGが始まった。 バイデンは侵略戦争に賛成してきただけでなく、アメリカ国内の収容所化も進めてきた。彼がCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の騒動を利用して収容所化を進めようとすることは容易に想像できる。ただ、その対象はアメリカ国内ではなく全世界になりそうだ。
2021.01.10
ツイッターはドナルド・トランプ米大統領が利用してきたアカウント「@realDonaldTrump」を永久失効させると発表した。私企業が私的な判断でアメリカの大統領の言論を検閲したというわけだ。検閲の合理的な理由があるとは思えないが、実行を伴う判断が許されているのは特定の私的企業、あるいは私的権力だけだ。 ユーチューブやフェイスブックなどと同じようにツイッターは私企業にすぎないが、サービスの内容は公的な要素が含まれている。私企業に公的な役割を依存した場合、私的な判断で公的なサービスを利用できなくさせらることを示したとも言える。1970年代から推進された「民営化」と称する私有化の必然的な帰結だ。 権力者の監視は公的な活動のひとつ。本来のジャーナリズムはそうした活動をするものだが、現在の新聞、雑誌、放送、出版などは権力者が望む情報を伝えるプロパガンダ機関になっている。 内部告発を支援してきたウィキリークスは新しいタイプのジャーナリズムだと言えるが、そうした存在は権力者にとって好ましくない。ウィキリークの象徴とも言えるジュリアン・アッサンジをアメリカの司法当局が起訴、スウェーデンやイギリスが彼の拘束に協力した。 今年1月4日にイギリスのバネッサ・バラツァー判事はアッサンジのアメリカへの引き渡しを認めない判決を出したが、その理由は健康的な問題や自殺の可能性。戦争犯罪を含む権力犯罪を明らかにすることは重罪だというアメリカ側の主張を認めている。戦争犯罪、権力犯罪を明らかにすることはスパイ行為だという判断だ。 この「アメリカ」はトランプ政権を意味しているわけではない。大統領の言論も保障されていないのがアメリカであり、その判断は私的企業が行っている。言論は私的企業、あるいは私的権力が実権をにぎっているのだ。 私企業である西側の有力メディアが偽情報で侵略戦争を推進、非科学的な言説でCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)への恐怖を煽り、社会を収容所化し、経済を麻痺させ、少なからぬ企業を倒産させ、失業者やホームレスを増やしている。必然的に自殺者を増加させることになるだろう。 こうした状況を利用し、強大な私的権力は資本主義を「リセット」しようとしている。つまり私的権力の判断で世界を動かせるファシズム体制を樹立させようとしている。ツイッターによるトランプのアカウント失効は、私的権力が全てを支配する「リセット」された世界を垣間見させる決定だ。
2021.01.09
日本では「新型コロナウイルス」と呼ばれているSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)だが、このウイルスを誰も分離できていないと指摘する新たな専門家が現れた。 昨年11月、スペインの医学雑誌にSARS-CoV-2を分離できていないとする記事が掲載されたが、日本では徳島大学の大橋眞名誉教授も同じことを言い続けている。 大島名誉教授によると、確実なことは遺伝子構造が中国のグループから発表され、この遺伝子構造の一部分を使ってPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が始まったということだけだとしている。 PCRは遺伝子の断片を試験管の中で増幅する技術で、その増幅サイクル(Ct)を増やしていけば、医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても検出できる。検査の対象を増やせば陽性者も増えるが、Ctの回数を増やしても同じだ。意図的に陽性者数を増やすことができる。その陽性者数をマスコミは感染者と言い換え、感染爆発を演出できる。人びとを感染爆発で脅すことができれば、資産や技術を持つ企業を借金漬けにし、借金の形として乗っ取ることもでき、資本主義の大々的なリセット、つまりファシズム化を進めることが容易になる。 WHO(世界保健機関)が3月11日にパンデミックを宣言した直後、アメリカでは感染者や死亡者の数を水増しする工作があった。例えばアメリカのスコット・ジャンセン上院議員は、死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると4月8日にFoxニュースの番組で話していた。COVID-19に感染していたことにすれば、病院が受け取れる金額が多くなることが大きいという。ヨーロッパでも患者数、死亡者数が水増しされてきたと指摘されている。 こうした状況になっていることは医療の現場からも告発されていた。検査態勢が整っていない病院では、勿論、検査せずに死因を新型コロナウイルスにしているという。卒中などで倒れた人を速やかに集中治療室へ入れるためにはそうする必要があり、病院の経営としてもその方が良いからだ。不適切な人工呼吸器の使用が病状を悪化させているする告発もある。(例えばココやココ) イタリアでは健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディがSARS-CoV-2を直接的な原因として死亡した人数は死者全体の12%だとしていたほか、ビットリオ・スガルビ議員は、このウイルスが原因で死亡したとされる患者のうち96.3%の死因は別に死因があると主張していた。 ドイツの場合、SARS-CoV-2の危険性は通常のレベルを超えていないとし、戒厳令的な政策を推進したことは間違いだとする内務省の報告書がリークされた。シュピーゲル誌によると、内務省はこの文書についてステファン・コーンという内務省の官僚が個人的に書いたものにすぎないと弁明しているが、実際は同省のKM4というチームが作成したとものだという。 イギリス政府も当初はSARS-CoV-2に過剰反応するべきでないと考えていた。WHOがパンデミックを宣言して間もない3月19日にはCOVID-19をHCID(重大感染症)から外しているのだ。それでもボリス・ジョンソン英首相は3月23日にロックダウン(監禁政策)を宣言した。 どの国でも死亡したPCRの陽性者は大半が高齢者で、しかも心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えている人と指摘されている。そうした人が死んでもCOVID-19が死因であると誤解するような表現が使われている印象がある。 COVID-19の症状は通常の風邪やインフルエンザと区別できない、あるいは風邪やインフルエンザをCOVID-19と見なしている。インフルエンザの感染状況をチェックすることは重要なのだが、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は今シーズン、インフルエンザに関するデータを集めないと発表している。 そのCDCの推計によると、昨シーズン(2019年から20年)のインフルエンザ患者数は3900万人以上に達し、40万人が入院、2万4000人が死亡した。COVID-19の患者や死者は、この程度まで増やすことができると言えるだろう。 しかし、COVID-19の患者とされる人びとに対して行う治療はインフルエンザや風邪の場合と同じだろうが、別の病気だったなら、深刻な事態になる可能性がある。
2021.01.09
アメリカの上下両院合同議会は1月7日にジョー・バイデンが次期大統領になることを確認した。就任式は1月20日に開催される予定だが、この式に第39代大統領のジミー・カーターと妻のロザリンは欠席する。 ジミーは96歳、ロザリンは93歳。ふたりとも年齢を考えると不思議ではないのだが、2017年1月に行われたドナルド・トランプの大統領就任式には出席している。招待に対し、折り返し出席の返事を出した唯一の元大統領だった。トランプの式ではクリントン夫妻だけでなく、トランプと同じ共和党のジョージ・W・ブッシュもしばらく検討の期間をおいてから出席を決めている。 バイデンの周辺には戦争やカネの臭気が充満している。彼の移行チームには戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが深く関与、国務長官にはCSISのシニア・フェローだったアントニー・ブリンケン、国防長官にはレイセオン重役で元米中央軍司令官のロイド・オースチンが就任する予定。情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務め、「血まみれジーナ」とも呼ばれているジーナ・ハスペルCIA長官と親しいと言われている。国務次官はウクライナのクーデターでネオ・ナチを現場で指揮していたビクトリア・ヌランド。しかも「ミスター・モンサント」と呼ばれている元アイオワ州知事のトム・ビルサックが農務長官に指名された。 偽情報でユーゴスラビアを悪魔であるかのようなイメージを作り上げた上で同国を先制攻撃したビル・クリントン、やはり偽情報を広めた上でイラクを先制攻撃し、中東で戦争を始めたジョージ・W・ブッシュ、ムスリム同胞団やワッハーブ派を戦闘員として使って戦乱を中東から北アフリカにかけての地域に広げ、ドローン(無人機)による暗殺を繰り返し、ウクライナではネオ・ナチを使ったクーデターで合法政権を倒したバラク・オバマ。 ジミー・カーター政権ではオバマの師と言われているズビグネフ・ブレジンスキーが国家安全保障補佐官としてアフガニスタンで秘密工作を始め、殺戮と破壊を始めた。この工作でブレジンスキーが手先の戦闘員として使ったのがムスリム同胞団やワッハーブ派だ。 カーターはデイビッド・ロックフェラーとズビグネフ・ブレジンスキーに目をつけられ、日米欧三極委員会に加わることになった人物だが、核兵器の拡散に反対していたほか、イスラエルへ完全には服従しようとしせず、国連安保理の242号決議に基づいてパレスチナ問題を解決しよう考えていた。 1977年4月までイスラエルの首相を務めた労働党のイツハク・ラビンは包括的和平に賛成、PLOのアラファト議長も不公平であることは飲み込んで242号決議に基づく和平を実現したいと考えていたが、イスラエルで1977年に実施された選挙でリクード(軍事強硬派)が勝利、メナヘム・ベギンが首相に就任したことで計画は壊れた。(Alan Hart, “Zionism Volume Three,” World Focus Publishing, 2005) パレスチナ人の権利も尊重しようとしたカーターはシオニストから激しく攻撃されることになる。そうした攻撃で重要な役割を果たしたひとりがマイケル・リディーンだ。1980年の大統領選挙でカーター大統領を中傷、攻撃する記事をアメリカのニューリパブリック、イギリスのナウ!、あるいはフランスのレクスプレスなど親イスラエル派のメディアに書いている。 ナウ!とレクスプレスを所有していたのは、世界でも屈指の大富豪だと言われるジェームズ・ゴールドスミス卿。石油会社BRISA(ベイシック・リソーシズ・インターナショナルSA)」の会長としても知られていたが、この会社はIOR(宗教活動協会/通称バチカン銀行)の不正融資事件に絡んで倒産したアンブロシアーノ銀行と関係があった。 リディーンはカーター大統領の弟、ビリーとPLOとの関係を問題にした。リビアから秘密裏に5万ドルを受け取り、PLOのヤシル・アラファト議長と会談したというのだ。ビリー・カーターは一連の記事を事実無根だと否定していたが、プロパガンダの影響は大きかった。 リディーンへ情報を提供していたイタリアの情報機関SISMIはイラク攻撃の下地作りにも登場する。イラクがアフリカのニジェールからイエローケーキ(ウラン精鉱)を手に入れようとしているという偽情報を流し、すぐにでもイラクがアメリカを核攻撃するかのような幻影を描き出し、先制攻撃も止むなしという雰囲気を作り出す上で重要な役割を果たしたのだ。 イタリアの週刊誌パノラマの記者エリザベッタ・ブルバに電話が掛かり、電話の相手はサダム・フセインとアフリカでのウラン購入を結びつける情報が存在すると話した。その情報源は彼女が以前から知っている人物で、イタリアの情報機関と関係があると推測されていた。書類を受け取ると、パノラマの編集長カルロ・ロッセラはアメリカ大使館に持ち込むように指示。その書類はCIAローマ支局長を経由してワシントンに渡り、イラクを批判する材料として使われることになった。 結局、カーターは再選されなかったが、その後も個人的に世界的な緊張緩和に努力、イスラエルの核兵器についても語っている。彼によるとイスラエルが保有する核兵器の数は150発だ。(BBC, May 26, 2008) なお、1986年10月にサンデー・タイムズ紙が掲載したモルデカイ・バヌヌの内部告発によると、イスラエルが保有している核弾頭の数は150から200発。水素爆弾をすでに保有、中性子爆弾の製造も始めていたという。中性子爆弾は実戦で使う準備ができていたとしている(使われた可能性がある)。 イスラエルの軍情報機関ERD(対外関係局)に勤務、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベンメナシェによると、イスラエルが保有する核兵器の数はふたりの示した数より多い。1981年に時点でイスラエルがサイロの中に保有していた原爆の数は300発以上で、水爆の実験にも成功していたという。(Seymour M. Hersh, "The Samson Option", Faber and Faber, 1991) 言うまでもなく、バイデンはイスラエル、あるいはイスラエルを隠れ蓑に使っている私的権力に従属している。
2021.01.08
11月3日に行われたアメリカ大統領選挙の投票で不正があったかどうかに関係なく、連邦最高裁は12月11日にジョー・バイデンの勝利を事実上認定した。激戦州だったジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州の手続きが憲法に違反しているとするテキサス州司法長官の訴えを退けたのだ。13日にミシガン州の裁判所が要請した調査で、使用された投票システムは投票数を誤魔化して選挙結果に影響を与えるエラーが意図的に組み込まれていると報告されているが、民主党は勿論、共和党も有力メディアも大して問題にしていない。問題にしているのは熱心なドナルド・トランプ支持者だ。 そうしたトランプ支持者は選挙に不正があったとしてワシントンDCに乗り込んで抗議活動を続けている。これを放置していると規模が拡大して収拾がつかなくなる可能性が出てきたのだが、そうした中、その一部である数百人が上院の議場へなだれ込もうとし、女性が警官に銃撃されて死亡するという出来事が引き起こされた。 トランプ支持者の抗議活動を抑え込むため、バージニア州のラルフ・ノーサム知事は午後6時以降の外出を禁止すると宣言したが、その前に欧米ではCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の感染拡大を口実にしてロックダウン(監禁政策)を実行してきた。 ただ、この騒動には疑問点もある。複数の警官に集団が誘導されているように見える映像が存在するのだ。建物への乱入は警備側の演出ではないかと疑う人もいる。 そうした事態を受け、トランプ大統領は抗議活動への参加者に対し、ツイッターなどで平和的に帰宅するように呼びかけたが、そうした大統領の発信が私的企業によって妨害され、アカウントの削除で脅されたようだ。 勿論、今回の騒動を引き起こしたのはトランプでもロシアでもない。資本を握る支配者が大多数の被支配者から富を吸い上げる仕組みに対する人びとの怒りが限界に達したのだ。1990年以降に富の集中が加速的に進んだことは明白である。怒っているのは労働者だ。有力メディアやNGOなどが人種差別や性差別を持ち出したのは、古典的な資本主義における階級闘争が起こっていることを隠したいからだろう。 資本主義の行き詰まりは支配者も認識している。いや、彼らの方が深刻に考えているかもしれない。国内の行き詰まりを国外での侵略で解決しようとしたが、地球には地理的な限界がある。 その段階に達した現在、新たなシステムを築かなければない。WEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブが言うところの「リセット」が必要になっているのだ。その「新世界」は強大な私的権力によって直接統治されるファシズム体制になるだろう。ワクチン接種のためとして「パスポート」の仕組みを支配者は考えているが、これは人びとの情報を集中管理するために使われる可能性がある。
2021.01.07
ジョー・バイデンが大統領に就任した場合、ビクトリア・ヌランドが国務次官になるとする情報が流れている。ネオコンの好戦派で、ウクライナのクーデターを現場で指揮していた人物だ。 バイデンの移行チームには戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが深く関与、国務長官にはCSISのシニア・フェローだったアントニー・ブリンケン、国防長官にはレイセオン重役で元米中央軍司令官のロイド・オースチンが就任しているのは象徴的。そこに好戦派のヌランドが加わっても不思議ではない。 ヌランドは2013年から14年にかけてウクライナでバラク・オバマ政権が実行したクーデターを現場で指揮していた。当時は国務次官補だ。ネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使ったこのクーデターをホワイトハウスで指揮していたのが副大統領を務めていたバイデンである。 クーデターの目的はウクライナの東部や南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチを大統領の座から引きずり下ろし、米英金融資本の傀儡を後釜に据えることにあった。 ウクライナをアメリカの属国にする目的のひとつはロシアの隣国を支配することで軍事的に圧力を加えることだが、ロシアとEUとの分断も大きな目的だっただろう。ロシアとEUを結びつけるパイプラインの多くがウクライナを通過していたのだ。そのパイプラインをアメリカが支配できれば、ロシアはEUというマーケットを奪われて経済にダメージを受け、EUはロシアというエネルギー資源の供給地をなくし、アメリカに頼らざるを得なくなる。 クーデターは2013年11月にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で始まるが、当初は人を集めるため、カーニバル的な集会が演出されていた。12月に反政府集会への参加者は50万人に達したという。 この混乱をEUは話し合いで解決しようとするが、それを知ったヌランドは怒り、ウクライナ駐在のアメリカ大使だったジェオフリー・パイアットに電話で「EUなんかくそくらえ」と口にしている。その会話の音声は2014年2月4日にインターネットで流された。 その会話でヌランドは次の政権についても話している。彼女が強く推していた人物がアルセニー・ヤツェニュク。実際、クーデター後、首相に就任した。 キエフでは2月18日頃からネオ・ナチのグループが活動を活発化させ、棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら、石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始めた。この年の2月7日から23日にかけてロシアのソチでは冬期オリンピックが開催されていたことからロシア政府は対応しにくい状況。それもネオコンは計算に入れていたのだろう。 ネオ・ナチのグループは2004年以降、バルト3国にあるNATOの訓練施設で軍事訓練を受けたと言われ、またポーランド外務省は2013年9月にクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたり、暴動の訓練を受けたとも伝えられている。 抗議活動の中心だったユーロマイダンでは2月中旬から無差別の狙撃が始まり、抗議活動の参加者も警官隊も狙われた。西側ではこの狙撃はヤヌコビッチ政権が実行したと宣伝されたが、2月25日にキエフ入りして事態を調べたエストニアのウルマス・パエト外相はその翌日、EUの外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)だったイギリス人のキャサリン・アシュトンへ電話で次のように報告している: 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(クーデター派)が調査したがらないほど本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強く理解している。」 この報告を裏づける証言が2017年11月に出てきた。イタリアで放送されたドキュメント番組の中で、3人のジョージア人が狙撃したのは自分たちだと語っているのだ。 この3人は治安部隊のメンバーとしてジョージアから送り込まれたのだが、警官隊と抗議活動参加者、双方を手当たり次第に撃つよう命じられたとしている。(その1やその2)この3人も狙撃の指揮者はクーデター派の幹部だったアンドレイ・パルビーだと語っている。 ヌランドは2015年3月、ギリシャを訪れてアレクシス・チプラス首相と会談している。ギリシャは第2次世界大戦やアメリカを黒幕とする軍事クーデターで破壊された国で、立ち直れないでいたが、息の根を止めたのは通貨発行権の放棄。2001年にギリシャはEU通貨をドラクマからユーロへ変更したのだ。2004年のオリンピックも財政を悪化させた。 本来、通貨の変更は財政上の問題からできないはずだった。それができたのは、ゴールドマン・サックスが財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教えたからである。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを使い、国民に事態を隠しながら借金を急増させ、投機集団からカネを受け取る代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたという。 ギリシャで甘い汁を吸った金融資本の手先とも言える。ECB(欧州中央銀行)やIMFは欧州委員会と「トロイカ」を編成、このトロイカは緊縮を要求する。 こうした事実を知ったギリシャ国民は怒り、2015年1月に行われた総選挙で反緊縮を公約に掲げたシリザ(急進左翼進歩連合)に勝たせ、7月の国民投票では61%以上がトロイカの要求を拒否した。トロイカの要求に従うと年金や賃金がさらに減額され、社会保障の水準も低下し続け、失業者を増やして問題を深刻化させると考えたからだ。選挙で勝ったシリザはアレクシス・チプラス政権を成立させる。 そこへ乗り込んできたヌランドはチプラス首相に対し、NATOの結束を乱したり、ドイツやトロイカに対して債務不履行を宣言するなと警告し、さらにクーデターや暗殺を示唆したとも言われている。イギリスのサンデー・タイムズ紙は7月5日、軍も加わったネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていると伝えていた。 ヒラリー・クリントンと親しいヌランドの手も血まみれである。そのヌランドが国務次官に就任すれば、バイデン政権はさらに戦争色が強まると言えるだろう。
2021.01.07
イギリスのバネッサ・バラツァー判事は1月4日、ジュリアン・アッサンジのアメリカへの引き渡しを認めない判決を出した。勿論、アッサンジ本人やその家族、あるいは友人にとって歓迎すべきものであろうが、これはジャーナリズムに対する死刑宣告とも言える代物だということを忘れてはならない。 アッサンジを象徴とするウィキリークスは権力犯罪の内部告発を表に出す活動を続けてきた。これはジャーナリズムの仕事であり、アッサンジはジャーナリストだと言える。今回、バラツァー判事は健康的な問題や自殺の可能性から引き渡しを拒否したのであり、アメリカの支配者による内部告発者に対する報復行為は容認している。 日本では2013年12月に「特定秘密の保護に関する法律」が成立、14年12月に施行されたが、その目的も支配者にとって都合の悪い情報を隠すことにあり、これはプロパガンダと表裏一体の関係にある。 現在、日本を支配しているシステムの基本構造は明治維新に作られている。アングロ・サクソン系の巨大資本が彼らの長期戦略に基づいて作り上げた天皇制官僚体制だ。本ブログでは繰り返し書いてきたが、いわゆる戦前レジームも戦後レジームも基本構造に変化はない。それを象徴する人物がJPモルガンと深い関係にあり、1932年6月から41年12月まで駐日米大使を務めたジョセフ・グルーだ。この人物は第2次世界大戦後、ジャパンロビーの中心的存在として戦後日本のあり方や進む方向に大きな影響を及ぼした。 グルー自身もアメリカのエリート一族に属しているが、彼のいとこはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥と結婚している。1932年のアメリカ大統領選挙でニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトが当選すると、すぐに反ルーズベルトのクーデターを計画する。 JPモルガンを中心とするウォール街のグループが1933年から34年にかけて、ニューディール派の打倒とファシズム体制の樹立を目指すクーデターを目論んだことは、クーデター軍の司令官になることを要請されていたスメドレー・バトラー退役海兵隊少将によって明らかにされた。議会で詳しく証言しているので、誰でも確認できる。 今ではウォール街の少なくとも一部がナチへ資金を流していたことが判明しているが、そうしたパイプのひとつがユニオン・バンキング・コーポレーション。その頭取を務めていたジョージ・ヒューバート・ウォーカーはジョージ・H・W・ブッシュ(第41代アメリカ大統領)の母方の祖父にあたる。 ジョージ・H・Wの父親であるプレスコットはウォーカーの部下だった。その金融機関の背後にいたのがディロン・リードやブラウン・ブラザーズ・ハリマンといった金融機関。日本を戦前から戦後にかけてコントロールしたアメリカの巨大金融資本はファシストのスポンサーだったとも言えるだろう。 アメリカやイギリスの金融資本は1970年代から経済のカジノ化を進めた。生産活動を基盤とする経済の破綻を受け、金融マジックでの延命と繁栄を図ったのだが、21世紀に入って行き詰まりが明確になる。 その前、1991年12月のソ連消滅でアメリカの支配者は自国が唯一の超大国になったと認識、世界を屈服させ、パクス・アメリカーナの時代に入れると考えていた。そして1992年2月にウォルフォウィッツ・ドクトリンが打ち出される。旧ソ連圏を破壊すると同時に、中国など潜在的なライバルを叩き、エネルギー資源を抱える中東などで自立の道を歩もうとする体制を破壊するという計画だ。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、侵略戦争が始まる。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づく戦争だと言えるだろうが、このドクトリンはソ連が消滅し、ロシアを属国化にしたということが前提になっていた。ところがロシアでウラジミル・プーチンが曲がりなりにも再独立させることに成功、ウォルフォウィッツ・ドクトリンの前提が破綻してしまう。2015年頃になるとアメリカ支配層は内部で対立が生じたように見えるのはそのためだろうが、ドナルド・トランプ政権の終盤には関係の修復に成功したようだ。 そして今、世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)への恐怖から収容化が進み、経済活動は麻痺、少なからぬ企業が倒産して失業者やホームレスが増えている。世界的に見ると貿易にはブレーキがかかっている。 COVID-19は経済戦争を激しくさせたが、これは交易を盛んにすることで地域や世界を安定化させようというロシアや中国の戦略にとって良くない状況だ。この戦争では人びとを幻影で操るため、一種の幻術が使われているが、これまで以上にプロパガンダの力が重要になっていることを意味している。そのプロパガンダの嘘が暴かれることは致命傷になりかねない。そうした意味でもバラツァー判事の判決は重要だ。
2021.01.07
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)という悪霊が世界を徘徊し、少なからぬ人びとがその悪霊に怯えているのだが、その悪霊を見た人はいない。誰も見たことのない地獄に怯えていた人を笑うことができない状況になっていると言える。 その悪霊が存在していることを信じさせるためにつかわれているのがPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)。その検査で陽性になった人が感染者だと見なされているわけだが、COVID-19の原因になるとされているSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)はRNAウイルスの一種。RNAウイルスは変異が多く、コロナウイルスのワクチンを作ることが困難だとされる理由のひとつはそこにある。 遺伝子の断片を検出するPCRにも急速な遺伝子の変異は影響する。SARS-CoV-2の全ゲノムが把握されている仮定として、その一部のDNAをPCRで調べようとしても、徳島大学の大橋真名誉教授によると、1カ月程度で検出できなくなる。それにもかかわらず、今でも陽性者が出ているのはなぜなのか。 ウイルスの検出を目的として開発されたわけではないPCRをウイルスの検査に使ってはならないと、その開発者で1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスも語っていた。PCRで陽性になってもウイルスに感染していることは意味しないのだ。存在したも怪しい。PCRによってSARS-CoV-2の存在を正確に調べることはできないとアメリカのFDA(食品医薬品局)も認めた。
2021.01.06
韓国のケミカルタンカーが海洋汚染の容疑でイランの革命防衛隊にホルムズ海峡で1月4日に拿捕されたと伝えられている。韓国は近くにいた対海賊部隊の清海部隊を乗せた駆逐艦「崔瑩」を海峡へ向かわせる一方、特使をイランへ派遣するという。 韓国はアメリカ政府の命令でイランの資産70億ドルを凍結しているのだが、韓国も参加している経済封鎖について話し合うために韓国の外交官がイランを訪れるという話がタンカーが拿捕される2日前に流れていた。こうした韓国の動きをアメリカの支配者が快く思うはずはなく、何らかの働きかけがあっても不思議ではない。 イラン問題では2015年7月に合意されたJCPOA(包括的共同作業計画)が話題になる。NPT(核兵器不拡散条約)に基づいて核を平和的に利用する権利をイランに認め、国連安全保障理事会などによる制裁は解除されることが定められている。 しかし、アメリカの支配者に強い影響下にあるIAEA(国際原子力機関)によって潰すことは難しくないようにも見える。アメリカはこれまでも目障りな国、体制に「制裁」を加え、「制裁」の解除を餌にして譲歩を引き出すという手口を使ってきたが、アメリカの支配者は約束を守らない。実際に制裁が解除されると考えることはできない。 そもそもイランはイラクやシリアと同様、シオニストの一派であるネオコンが1980年代から殲滅の対象にしてきた国。1997年から2000年まで欧州連合軍最高司令官だったウェズリー・クラークによると、1991年にアメリカの国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。(3月、10月) ヒラリー・クリントンやジョー・バイデンはネオコンに担がれている政治家で、CIAとの関係の深いバラク・オバマもネオコンの影響下にある。こうした政治家がイランと真の意味で友好的な関係を結ぶことはありえない。 オバマの師と見なされているズビグネフ・ブレジンスキーは1977年1月にジミー・カーター大統領の国家安全保障補佐官に就任すると、アフガニスタンで秘密工作を始めている。王制だったイラン、軍事クーデターでズルフィカル・アリ・ブットを倒したムハンマド・ジア・ウル・ハクが君臨するパキスタン、ワッハーブ派の国であるサウジアラビアなどからの協力を得ていた。戦闘員を供給したのは主にサウジアラビアで、ワッハーブ派やムスリム同胞団のメンバーが中心だった。パキスタンのハクもワッハーブ派だ。 この時に集められた戦闘員はCIAなどから訓練を受けたが、イギリスの外務大臣を1997年から2001年まで務めたロビン・クックも指摘していたように、そうした戦闘員の登録リストがアル・カイダ(データベース)であり、そうした戦闘員を集める活動をしていたひとりがオサマ・ビン・ラディンだ。 ジョージ・W・ブッシュ大統領もネオコンに担がれていたが、イラク侵略は正規軍を使っている。イラクのサダム・フセイン体制を倒した後にアメリカの大統領に就任したオバマはブレジンスキーと同じようにムスリム同胞団やワッハーブ派を戦闘員として使い、リビアやシリアへの侵略戦争を始めた。イランはその次ということだ。 シリアの体制転覆は難しい状況だが、オバマやヒラリー・クリントンに近いジョー・バイデンはシリアを諦めることはないだろう。シリアへの侵略戦争に当初は参加していたトルコは途中で離脱、ロシアへ接近したが、そのトルコをアメリカは引き戻そうとしているだろうが、そのトルコと敵対関係にあるクルドをアメリカは手先として利用していることからアメリカとトルコとの関係は複雑になっている。 ドナルド・トランプが手を組んできたネオコンと違うシオニストはここにきてトランプから離れているように見える。そこで閣僚の入れ替えが始まり、国防長官はミサイルの製造で有名な大手軍需企業のレイセオン出身のマーク・エスパーが解任されてクリストファー・ミラーが長官代理になったが、その上級顧問のダグラス・マグレガーはイスラエル・ロビーのアメリカに対する影響力の大きさに批判的で、マイク・ポンペオやジョン・ボルトンはイスラエル・ロビーからカネを受け取って大金持ちになったと主張している。 それ位に対し、次期大統領になる可能性の高いジョー・バイデンの周辺はネオコンのほか、戦争ビジネスや金融資本で固められている。国防長官に指名されたロイド・オースチン元米中央軍司令官は退役後、レイセオンの重役になった人物だ。 誰がアメリカ大統領になろうと、欧米の支配者達が始めた「超限戦」を止めることは極めて困難。古典的な軍事衝突もありえる。イランだけでなく中国も対応しはじめた。ロシアも準備を進めているはずだ。COVID-19を口実にしたロックダウンが戦争のための戒厳令へタグが付け替えられても驚きではない。中東情勢がさらに悪化した場合、中東からの石油輸送が困難になることをイランは示そうとしたのかもしれない。
2021.01.06
ウィキリークスの象徴的な存在であるジュリアン・アッサンジをアメリカへ引き渡す法的な手続きがイギリスで進められていたが、1月4日、担当判事のバネッサ・バラツァーは引き渡しを認めない判決を言い渡した。戦争犯罪を含む権力犯罪を明らかにすることは重罪だというアメリカ側の主張を認めた上で、アッサンジの健康状態が悪いことや自殺の可能性から引き渡し要求を認めなかったもので、これはジャーナリズムに対する挑戦だと少なからぬ人が考えている。 アメリカの当局はアッサンジを2011年初め、秘密裏に起訴したと言われている。民間情報会社ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メールの中でそうしたことが書かれているのだが、その後、ケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書でも起訴は確認されている。 2003年3月にアメリカ軍は従属国の軍隊を率いてイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒した。そのときからイラクでアメリカの軍、情報機関、あるいは傭兵は破壊、殺戮、略奪を続けてきたが、親イスラエル体制を築くという当初の目的は達成できていない。 イラクでアメリカの軍や情報機関はイスラエル人の手を借りて多くの人を拘束、拷問し、少なからぬ人が殺されたと言われている。そうした実際を明らかにしたアブ・グレイブ刑務所のジャニス・カルピンスキー所長やCIAオフィサーのジョン・キリアクは厳しく処罰されたが、拷問を指揮した人びとは不問に付された。 2003年の侵略開始から100万人程度のイラク人が殺されたと推測されている。例えばアメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から2006年7月までに約65万人のイラク人が殺された。イギリスのORBは2007年夏までに94万6000名から112万人が死亡、またNGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたと推測している。 その実態を人びとに知らせる情報をウィキリークスは2010年4月に公開している。中でも衝撃的だった情報は、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃だろう。その銃撃でロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。 日本の大手マスコミはほとんど無視、「革新」を標榜している団体も銃撃を勘違いに基づくものであるかのように伝えていた。実際に見ればわかるが、非武装の人間だと知った上で銃撃している可能性が高い。 こうした情報をウィキリークスへ渡したアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は2010年5月に逮捕され、軍事法廷は懲役35年を言い渡された。後に刑期は短縮されて2017年5月に釈放されたものの、アッサンジへの弾圧を正当化する証言をしろというアメリカ当局からの要求を拒否したことから、彼は2019年3月から20年3月まで収監されている。 アメリカをはじめとする世界各国の有力メディアがCIAの影響下にあることは本ブログでも書いてきたが、ウィキリークスのように既存のメディアから離れたジャーナリストも出現している。そうしたジャーナリストがアメリカの権力犯罪を明らかにした場合、そのジャーナリストがアメリカ人でなく、活動の舞台がアメリカ以外でも、アメリカ当局はスパイ行為で起訴できる道を開く判決をバラツァーは言い渡した。アメリカの支配者は世界の支配者でもあることをイギリスの裁判官は認めたわけである。現在、欧米の支配者が進めている資本主義のリセットとは、そうした支配システムを徹底することが目的だ。
2021.01.06
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の騒動ではワクチンがキーワードになっている。ワクチンの開発競争が伝えられているが、その中で最も注目されている製品はドイツを拠点とするBioNTechの技術を使い、アメリカを拠点とするファイザーと共同で開発したmRNAワクチンだろう。 中国の武漢で原因不明の肺炎患者が見つかったとWHO(世界保健機関)へ中国から報告あったのは2019年12月31日のこと。これが「コロナ騒動」の始まりだが、その3カ月以上前にBioNTechはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と契約を結んでいる。その中にはmRNA技術の癌やエイズの治療への応用も含まれていた。 WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言した2020年3月、上海復星医薬はBioNTechの株式158万株を1億3500万ドルで購入、その一方でPCR検査キットの開発をしている。この上海復星医薬は2020年12月、BioNTech/ファイザーのワクチンを購入する契約を結んだ。 こうしたCOVID-19用のワクチンを拒否する動きは強く、カリフォルニア州などアメリカでは医療従事者の半数がワクチンの接種を拒否、オハイオ州では60%という数字も報告されている。 公的に発表されている情報が正しいなら、COVID-19の原因になるのはRNAウイルスの一種であるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)。RNAウイルスは変異が多いと言われ、ウイルスの全ゲノムを把握し、その一部のDNAをPCRで調べようとしても、1カ月程度で検出できなくなるはず。ワクチンを作ることも事実上、不可能だ。こうしたことを考えると、医療関係者がワクチンの接種を嫌がるのは当然だろう。 ワクチンの推進派もこうしたことを理解しているはず。つまり、ワクチンを接種させる目的は感染拡大以外のところにあるとしか考えられない。欧州委員会とWHO(世界保健機構)は2019年9月12日に共同でグローバル・ワクチン接種サミットを開催した。2022年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートを導入、人びとの管理に利用しようとする計画もある。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、ワクチンには闇の歴史がある。そうしたこともあり、ワクチン接種に反対する声は小さくなりそうもない。ワクチンに対する考え方を「誤った方向へ導く」情報を検閲の対象にするとツイッターが表明した理由も、そうした声を封じることにあるのだろう。 ニューヨーク州では伝染病の患者、接触者、保菌者を排除したり拘束することを可能にする法案が提出されている。同州ではすでにワクチンを強制接種するための法案も出されている。実際に法案が通るかどうかはともかく、そうした動きがあることは無視できない。 COVID-19は医療や科学の問題ではなく、政治や経済の問題である。パンデミックを演出、それを利用して新たな支配システムを構築しようとしている人びとがいる。資本を握る支配者が大多数の被支配者から富を吸い上げる資本主義はすぐ行き詰まり、国外での侵略を始めなければならない。 それが帝国主義だが、それも地球という地理的な制約があるため、行き詰まるのは時間の問題だった。すでに帝国主義は行き詰まっている。新たな段階として支配者が考えているのは強大な私的権力が世界を直接統治するファシズム。そうした世界を作り出すため、COVID-19のパンデミック騒動を利用するつもりだろう。資本主義をリセットしようとWEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブは言っているが、リセットの先にはそうした世界が待ち構えている。 このプランにローマ教皇庁も巻き込まれている。12月8日に「バチカンを含む包括的資本主義会議」が作られたのはそのためだろう。その中心にいる人物がリン・フォレスター・ド・ロスチャイルド。エベリン・ド・ロスチャイルドの妻だ。 前にも買いたいように、リン・フォレスターとエベリンは1998年にヘンリー・キッシンジャーの紹介で知り合い、2000年に結婚、新婚旅行の際にクリントン夫妻からホワイトハウスへ招待されている。リン・フォレスターはヒラリー・クリントンと親しい。 また、リン・フォレスターはエベリンと知り合う前、ジェフリー・エプスタインのプライベート・ジェットに乗った記録が残っている。エプスタインはビル・ゲーツとも親しい。 エプスタインは未成年の少女を世界の有力者に提供、接待の様子を記録して脅しに使っていた人物で、妻のギスレインや義父のロバート・マクスウェルと同じようにイスラエル軍の情報機関、つまりAMAMに所属していた。 このロバート・マクスウェルに対し、リン・フォレスターは1991年頃、マンハッタンにある自身の住宅を自由に使わせていた。マクスウェルはその年の11月、カナリア諸島沖でヨットから行方不明になり、しばらくして膨張した裸の死体が発見された。
2021.01.05
高性能の最新測定機器は高額であり、例えば大学の研究者が購入できないことは珍しくない。それでも予算がついて使えるようになることもある。勿論、高性能でも使用条件があるのだが、おもちゃを手にした子どもと同じで、条件を無視して使うことがある。使ってみたいからだが、使い方を間違っても数値は出る。その数値には意味がないのだが、それがひとり歩きすることもあるだろう。 ここにきて一部の知事が緊急事態宣言を出すよう政府に求めているようだ。「新型コロナウイルス」騒動の胡散臭さに少なからぬ人が気づいてきたことに危機感を持ったのかもしれない。社会の収容所化、経済の破壊、あるいはワクチンの強制接種を要求している勢力が存在していることも確かだ。 いわゆる新型コロナウイルスはSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)で、COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)を引き起こすということになっている。現在、PCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)の陽性者をSARS-CoV-2の感染者と見なしている。 しかし、PCRは特定の配列の遺伝子を増幅する技術であり、増幅サイクル(Ct)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子があるだけでも陽性になってしまう。そもそも、ウイルスの存在を確認することはできない。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から多額の寄付を得ているWHO(世界保健機関)でさえ、12月14日にPCR検査に関する注意事項を告知、取扱説明書をよく読めと言っている。 おそらく、WHOに言われなくても「専門家」と呼ばれる人なら、そうした事実を知っているだろう。それにもかかわらず、事実を無視した情報が圧倒的な宣伝力で発信されている。そうした宣伝の道具が有力メディアだ。 有力メディアは支配者にとって好ましい話を広める役割を与えられている。そうしがプロパガンダの仕組みがアメリカの情報機関により、どのように築かれてきたかは本ブログでも繰り返し書いてきたので、今回は割愛、中東で行われたことを簡単に振り返るだけにする。 2003年3月にアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権はイラクを先制攻撃、破壊、殺戮、そして略奪を始めた。その侵略戦争を始める口実に使われたのが「大量破壊兵器」だが、この話が事実に反していることは当時から指摘されていた。そうした声をかき消すプロパガンダを展開したのがアメリカをはじめとする西側の有力メディア。その宣伝で有名になったひとりがニューヨーク・タイムズ紙の記者だったジュディス・ミラーだ。 ミラーは2005年に同紙を離れ、07年にウィリアム・ケーシーの政策研究マンハッタン研究所へ入り、08年にはFOXニュースへ移動、2010年にはニューズマックスへ移るが、ここはケイシーやCIAと関係の深い富豪、リチャード・メロン・スケイフから支援を受けていた。またCFR(外交問題評議会)のメンバーにもなっている。 バラク・オバマ政権はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を主力とするジハード傭兵を利用してリビアやシリアなどへの侵略を始めた。リビアではNATOの航空兵力を投入、地上のアル・カイダ系武装勢力と連携してムアンマル・アル・カダフィ体制を倒した。破壊と殺戮でリビアは暴力が支配する破綻国家になっている。 オバマ政権はシリアも同じように破壊するつもりだったようで、侵略軍を支援、さらにアメリカ軍あるいはNATO軍を投入する環境を作ろうとした。そこでバシャール・アル・アサド政権を悪魔化するプロパガンダを始めた。 西側の有力メディアの「報道」は大半がプロパガンダと言わざるをえないもの。例えば、2012年5月にシリア北部ホムスで住民が虐殺され、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝し始める。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載したのだが、これは2003年3月にイラクで撮影されたののだった。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく、廃墟に変えて掲載したことも発覚した。 ホムスにおける虐殺を現地調査した東方カトリックのフランス人司教は、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と報告している。 西側の有力メディアは当初、現地の情報源としてシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物を使っていた。ところがデイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2013年3月にインターネット上へ流出、中継はフィクションだということが明らかになる。 2011年10月にカダフィ体制を破壊した後、オバマ政権は戦闘員と兵器をシリアへ運び、アサド体制の破壊に集中しようとする。そうしたオバマ政権の行動を危険だと警告したのがアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)だ。 2012年8月にDIAはアメリカ政府に対し、シリア情勢に関する報告書を提出。それによるとシリアで政府軍と戦っている武装勢力はサラフィ主義者やムスリム同胞団で、戦闘集団の名称としてアル・ヌスラを挙げている。そのアル・ヌスラはAQI、つまりイラクのアル・カイダと実態は同じだともDIAは指摘しているが、その主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団。シリアにオバマ大統領が言うような穏健派は事実上、存在しないとしているのだ。 また、そうしたオバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。その警告は2014年に入ってダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で出現した。そうした中、2014年8月にDIA局長だったマイケル・フリンは解任されている。 DIAがオバマ大統領へ報告書を提出した2012年8月、そのオバマ大統領はシリアに対する直接的な直接的な軍事介入の「レッド・ライン」は生物化学兵器の使用だと宣言した。12月になるとヒラリー・クリントン国務長官がアサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語る。 そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールの中に書かれているとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された) しかし、すでにシリア政府はロシア政府のアドバイスに従い、化学兵器を全て廃棄していた。これはアメリカ政府も否定できないため、一部が隠されたと主張せざるをえなくなる。勿論、その主張を裏づける証拠は示されていない。 その後、アメリカやイギリスをはじめとする西側の政府や有力メディアは化学兵器話を繰り返し、シリアへの軍事介入を目論むが、そのたびに嘘が露見している。 その化学兵器話を広めるために「シリア市民防衛(SCD、通称「白いヘルメット」)」が使われる。この団体はジェームズ・ル・ムズリエなる人物が2013年3月にトルコで編成、メンバーを訓練していた。 医療行為の訓練を受けていると考えられたが、公開された映像からそのメンバーはそうした訓練を受けていないと指摘する人もいる。しかもSCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真も存在、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物ではSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などがバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットらのジャーナリストによって確認された。彼らはジハード傭兵の医療部隊と言うべき存在なのだ。 また、西側の有力メディアはSOHR(シリア人権監視所)も情報源として使ってきた。ラミ・アブドゥラーマン(本名オッサマ・スレイマン)なる人物がイギリスで個人的に設置した団体で、スタッフはひとりだと見られているが、その背後にはイギリス政府が存在する可能性が高い。アメリカ軍の情報機関DIAの将校だったパトリック・ラングのように、イギリスの対外情報機関MI6と同一視する人もいる。またジャーナリストのピーター・ヒッチンズによると、SOHRはイギリス外務省から約19万5000ポンド相当の支援を受けている。これは同省がヒッチンズに認めた事実だという。 こうした話は西側の有力メディアが行った偽情報の流布の一部にすぎない。氷山の一角だ。東電福島第一原発のメルトダウン事故でも日本のメディアは政府や業界の意向に沿い、偽情報を流してきた。そもそも原子力発電の安全神話を広めたのは、そのメディアだ。彼らは「新型コロナウイルス」の騒動でも同じことを行っている。
2021.01.04
伝染病の患者、接触者、保菌者を排除したり拘束することを可能にする法案をニューヨーク州上院議員のN・ニック・ペリーは提出した。公衆衛生を守るためだという。同州では先月上旬、ワクチンを強制接種するための法案も提出されている。日本の場合、何を調べているのか不明なPCRで陽性になると数週間隔離されているが、その強化版だとも言えるだろう。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)に適用するつもりなのだろうが、この感染症以外にも使うことも可能だ。 COVID-19を引き起こす病原体はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)だとされ、一般的に「新型コロナウイルス」と呼ばれている。80%から90%程度の感染者は無症状だとされ、症状が出ている人も新の原因が何かは明確でない。インフルエンザや風邪との区別が難しいからだ。そうした伝染病の一部を「新型コロナウイルス」と見なしている可能性もある。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)の推計によると、昨シーズン(2019年から20年)のインフルエンザ患者数は3900万人以上に達し、40万人が入院、2万4000人が死亡した。そのCDCは今シーズン、インフルエンザに関するデータを集めないと発表している。インフルエンザをCOVID-19だとしてもチェックしにくい状況が作られた。 欧州委員会とWHO(世界保健機構)は共同でグローバル・ワクチン接種サミットを2019年9月12日に開催し、22年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートの導入を計画している。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団もワクチンの強制接種に積極的だ。 言うまでもなく、この財団はビル・ゲイツと妻のメリンダ・ゲイツによって創設された。ビル・ゲイツは母親のコネでIBMの協力を受けることに成功、1975年にマイクロソフトを創設した。 1985年に同社はマッキントッシュ的なOS、Windowsを搭載したパソコンを売り出すのだが、そのOSには情報機関が容易に侵入できるようバックドアが組み込まれたと噂されている。マイクロソフトは早い段階から電子情報機関のNSA(国家安全保障局)の要請に従い、自社製品の暗号システムのレベルを下げていた。 調査ジャーナリストのダンカン・キャンベルによると、ニッコ・ファン・ソメーレンは1998年、Windowsのセキュリティ機能をコントロールするソフトウェアに2種類のカギが存在していることを発見したという。ひとつはマイクロソフトが作業に使う合法的なカギだったが、もうひとつは不明。メソーレンはWindows 2000の中に3種類のカギを発見している。第1のカギはマイクロソフト用。第2のカギはアメリカ政府用の合い鍵だとして、第3のカギは目的がわからない。(Duncan Campbell, "Development of Surveillance Technology and Risk of Abuse of Economic Information Part 4/4: Interception Capabilities 2000," April 1999) その後、アンドリュー・フェルナンデスはマイクロソフトの開発者が削除を忘れたカギのラベルを発見する。ひとつのカギにはKEY、もうひとつにはNSAKEYと書かれていた。そのまま読むとNSAのKEYだ。 これはコンピュータの話だが、同じことを人体で行おうとしている可能性も否定できない。ワクチンが免疫機能を回避するためのバックドアとなり、病原体が侵入しやすくなるのではないかという疑惑だ。
2021.01.03
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)は「無症状感染者」が感染を広め、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肺疾患、肝臓や腎臓の病気を複数抱えている高齢者を死に至らしめるとされている。無症状感染者対策だとして人の行動が規制されて収容所化が進み、社会の仕組みは破壊され、経済は麻痺、少なからぬ企業が倒産して失業者やホームレスが増えた。自殺者の増加も必然だ。 この感染症を引き起こす病原体がSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)だとされている。それをPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)で検出するというのだが、これは特定の配列の遺伝子を増幅する技術で、増幅サイクル(Ct)を増やしていけば、医学的に意味のないほど微量の遺伝子があるだけでも陽性になってしまう。WHO(世界保健機関)でさえ、取扱説明書をよく読めと言っているのだが、PCRを考え出してノーベル賞を受賞したキャリー・マリウスもこの技術を病原体の検査に使ってはならないと警告していた。日本でも大橋真徳島大学名誉教授もPCRの問題点とCOVID-19騒動の非科学性を指摘している。 無症状感染者を広めている感染症を封じ込めるために必要だとして、安全性が確認されていないワクチンが強制的に接種されそうな流れになっている。安全性を確認したことになっているワクチンも深刻な病気を生み出してきた可能性が高いのだが、今回はさらに危険。そうした無謀なことが進められようとしている。過去のワクチンが引き起こしたとされる問題は本ブログでも書いてきた。 過去のハリウッド映画で洗脳されたせいなのか、少なからぬ人びとはワクチンがCOVID-19を封じ込める魔法の薬だと信じているが、いくつかの治療薬が有効で、ワクチンに頼る必要はないとされてきた。COVID-19だとされる患者を治癒できたというのだ。 そのひとつが抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方するという方法。これはフランスの著名な微生物学者、ディジェ・ラウルを含むグループが2020年3月の段階で報告していた。このコンビネーションが有効だとアメリカ人医師のグループも指摘している。 また、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。 ヒドロキシクロロキンのCOVID-19に対する有効性を否定する論文がイギリスのランセット誌とアメリカのニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されているが、ふたつの論文が依拠しているサージスフィアのデータが信頼できないことが後に発覚、両誌はそれぞれ掲載した論文を撤回している。サージスフィアの分析能力に疑問が持たれているだけでなく、データそのものが存在しない疑いがある。 また、インターフェロン・アルファ2bもCOVID-19はそれら以上に有効だと言われている。この薬はキューバで研究が進んでいるのだが、その切っ掛けは1981年に同国でデング熱が流行したことにある。この流行はアメリカによる攻撃だったと見られているが、その際に有効だったのだ。この薬は病原体を攻撃するのではなく、リンパ球を刺激して免疫能力を高めるとされている。この薬が有効な伝染病はCOVID-19に限らないということだ。 ワクチンも免疫に関係しているが、1960年代からアメリカの軍や情報機関は免疫を兵器化する研究を続けてきた。例えば1969年6月、アメリカ下院の歳出委員会で国防総省国防研究技術局のドナルド・マッカーサー副局長は、伝染病からの感染を防ぐための免疫や治癒のプロセスが対応できない病原体が5年から10年の間、つまり1974年から79年の間に出現すると「予言」している。免疫を破壊するAIDS(後天性免疫不全症候群)の存在が公的に認められたのは1981年のこと。その原因はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)にあるとされている。 1981年の1月にロナルド・レーガンがアメリカ大統領に就任、その翌年にはNSDD55が出された。これは一種の戒厳令計画で、憲法の機能を停止、地下政府を樹立することを定めたCOG(政府継続計画)の開始につながる。 当初、COGは核戦争を前提にしていたが、1988年に大統領令12656が出されると対象は「国家安全保障上の緊急事態」に変更され、核戦争が勃発しなくても、支配階級が国家安全保障上の緊急事態だと判断すれば憲法の機能を停止できるようになった。そして2001年9月11日に緊急事態が引き起こされた。COVID-19は世界規模の緊急事態を生み出している。 レーガン政権時代、アメリカとイスラエルの情報機関は大規模な秘密工作を進めていた。その工作の一端は「イラン・コントラ事件」として浮上する。イランへ武器を密輸、その利益をニカラグアの反革命ゲリラへ回していたのだ。この工作が浮上したのはふたつのグループが対立したことにある。 その工作に絡み、アメリカとイスラエルの情報機関はトラップドアを組み込んだコンピュータ・システムを国際機関、各国の政府機関、大手金融機関などへ「民間企業」を介して売り、情報を自動的に入手する仕組みを築いていた。 そうしたシステムを販売していたひとりがイギリスのミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェル。彼の下でジョン・タワー元米上院議員も働いていた。タワーは1985年に議員を引退したが、86年に国家安全保障会議やそのスタッフとイラン・コントラ事件の関係を調べる特別委員会(タワー委員会)の委員長に就任している。その役割は言うまでもないだろう。 ロバート・マクスウェルは1960年代からイスラエルの情報機関のために働いていた人物で、1991年11月にカナリア諸島沖で死体となって発見された。彼の娘であるギスレイン・マクスウェルは1992年にジェフリー・エプシュタインとデートする関係になり、結婚したとされている。 しかし、イスラエルの軍情報機関ERD(対外関係局)に勤務、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベンメナシェによると、ギスレインがエプシュタインと知り合いになったのは1980年代の初め。マクスウェル親子とエプスタインはいずれもイスラエル軍の情報機関(AMAM)に所属。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)3人はイラン・コントラ事件やCOGを含む秘密工作に関係していたと見るべきだろう。 こうした秘密工作を調べていたジャーナリストのジョセフ・ダニエル・カソラーロは、その背後にオクトパスなるグループが存在していると考えていた。そのグループにはCIAのほか、巨大企業、犯罪組織も含まれるとしていたが、彼の情報源だったNSAの職員の死体が1991年1月に空港の駐車場で発見される。その年の8月にはカソラーロ自身が取材先のホテルで「自殺」した。その部屋は警察が調べる前に掃除は済み、検死の前に防腐処置は終わり、家族への連絡は遅れた。秘密工作グループは免疫についても調査、それには日本の学者や企業も関係していたと報告されている。
2021.01.02
次期アメリカ大統領に予定されているジョー・バイデンが政権の陣容を固めつつある。戦争ビジネス、金融資本、インターネット関連企業との関係を隠そうとしていないことに驚く人も少なくない。農務長官として「ミスター・モンサント」と呼ばれている元アイオワ州知事のトム・ビルサックを指名したことにあきれる人もいるが、情報長官やCIA長官を誰にするかも話題になっている。 当初、バイデンはマイケル・モレル元CIA副長官(2010年5月から13年8月/2011年7月から9月と12年11月から13年3月の期間は長官代理)をCIA長官にすると噂されていた。情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務めた人物で、「血まみれジーナ」とも呼ばれているジーナ・ハスペルCIA長官と親しいと言われている。 モレルはヒラリー・クリントンに近く、アメリカ大統領選挙の最中、2016年8月にチャーリー・ローズのインタビューを受け、ロシア人やイラン人に代償を払わせるべきだと語っている。ローズからロシア人とイラン人を殺すという意味かと問われると、その通りだと答えたのだ。 その後、実際にロシアの幹部外交官が相次いで死んでいく。例えば、2016年11月にニューヨークのロシア領事館で副領事の死体が発見され、12月にはトルコのアンカラでロシア大使が射殺され、ロシア外務省ラテン・アメリカ局の幹部外交官が射殺され、KGB/FSBの元幹部の死体が自動車の中で発見された。2017年1月にはギリシャのアパートでロシア領事が死亡、インドでロシア大使が心臓発作で死亡、そして2月にはロシアの国連大使だったビタリー・チュルキンが心臓発作で急死している。 モレル発言の前、2015年11月にはアメリカ政府が目の敵にしてきたRTを創設した人物がワシントンDCのホテルで死亡しているが、これは他殺の噂がある。2016年9月6日にはウラジミル・プーチンの運転手が載った自動車へ暴走車が衝突、その運転手は死亡した。 西側の有力メディアがモレルの闇に触れることはないだろうが、彼がCIA長官になった場合、ロシア政府が何もせずに受け入れるとは限らない。なお、ロシア人やイラン人を殺すという言葉をモレルから引き出したローズは2017年11月、CBSやPBSの番組から降ろされた。ワシントン・ポスト紙がローズのセクハラを伝えたことが理由だとされている。 2003年3月にアメリカ主導軍がイラクを先制攻撃、破壊、殺戮、略奪を繰り広げてきたが、イラクのアブ・グレイブやキューバのグアンタナモにある不法占領地のほか、世界各地に設置されたCIAの秘密刑務所で拷問が行われた。こうした拷問をモレルやヘインズは擁護している。ヘインズと親しいハスペルは2002年の終わりからタイにあったCIAの刑務所で所長を務め、拷問を指揮していただけでなく、拷問が行われた証拠を破棄させている。 2014年に上院外交委員会は違法な拘束や拷問に関する報告書を発表したが、それはCIAからの圧力で大半が削除されたものだった。この委員会の委員長だったダイアン・ファインスタインによると、CIA長官を務めていたジョン・ブレナンがファインスタインのスタッフをスパイ、委員会の調査を監視するために上院のコンピュータをハッキングしていたという。CIA副長官としてその工作に深く関与、ハッキングしたり拷問したCIAのオフィサーを処分しないと決定したのがヘインズだ。オバマ大統領はドローン(無人機)を使った暗殺工作を行ったが、これでもヘインズは重要な役割を果たした。 CIA長官の候補者リストからモレルは自らの名前を消した。批判が強かったからだが、ヘインズは指名されたままだ。2021年から資本主義のリセットを始めるとするならば、それは古典的な武器/兵器だけでなく、あらゆる手段を使い、あらゆる場所を戦場とする「世界大戦」が始まることを意味する。いや、すでに始まっていると言うべきだろう。バイデン政権はそのために生まれた。
2021.01.01
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