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目的の女と接触できる可能性は高くない。そんなことはレオンも百も承知だろう。先ほどは何となく言いくるめられてしまったが、彼の推理はほとんどが憶測で成り立っている。自信満々の口調で自分の推理を言ってのけたのは、渋るユキヒロを説得すると同時に、自分自身を鼓舞する意味合いもあったのかもしれない。けれど、それでも何もしないでいるよりはマシだ。そう思ったから、ユキヒロは慣れないファッションで、馴染みのないクラブという場所にいる。レオンは時折ジェイクと言葉を交わす以外は、一人黙々と酒を飲んでいた。今回は飲酒目的でここに来たのではないとはいえ、酒を一滴も口にしないのではかえって怪しまれる。(それにしても……)今日はレオンに声をかける人間が少ない。以前彼と一緒にここに来た時は、客の女性が次々とレオンに群がってきて、ユキヒロは集団の外にはじき出されてしまった。ジェイクが見かねて、特別にVIPルームをあてがってくれたほどだった。ところが今日は、数人の女性が声をかけてくる以外は、レオンに近づく者はいない。その女性たちについても、レオンは二言三言言葉を交わしただけで、すぐ会話を打ち切ってしまう。彼の今日の目的は件の謎の女性だから、明らかに違うと思われる女性はわざと遠ざけているのだろう。他の客たちは遠巻きにレオンを見、これ見よがしに内緒話をしている。こんな騒ぎが起きる前は散々レオンを持ち上げてちやほやしていたくせに、勝手なものだ。穏やかなユキヒロも、憤りを隠せない。(どうしてこんなことになってしまったんでしょう……)アスカは部屋に閉じこもってしまい、レオンと「普通の人々」との間の疎隔は深まっていく。ついこの間までは、アスカは元気いっぱいで、懸命に自分の“主人(マスター)”の護衛にあたっていて……レオンも、アスカを見守りつつそれなりに穏やかな日々を過ごしていたのに。しかしユキヒロの感傷など全く意に介していないかのように、レオンはその場にじっと座っている。(席を変えてみたほうがいいかもしれませんね……)もう一時間こうしているが、それらしい女性は現れない。ユキヒロはいったんカウンター席から離れ、空いているテーブルのほうへ移動した。何席か間を空けて座っているとはいえ、一人で飲んでいる男が二人並んでいる図は不自然かもしれない。少し距離をあけてさりげなくレオンの様子を伺おうとしたその時だった。「ねー、一人?」「え?」明るいが絡みつくような声色で話しかけてきたのは、素人目にもけばけばしい女たちだった。派手な女を見慣れているレオンあたりが見れば普通の女性だったかもしれないが、基本的に女性に免疫のないユキヒロあたりには刺激の強いタイプだ。ユキヒロが困惑しつつ呆気に取られていると、「あたしたちと一緒に飲まない?」ルージュで濡れ光った唇から誘いの言葉が漏れてくる。世に言う逆ナンだ、と思った途端、ユキヒロの全身が固まった。こういう状況に遭遇したのが初めてだったのだから、無理もない。「ねえ、いいじゃ~ん」なぜ自分が、なぜ、どうして、と自問自答していると、やっと原因に思い至った。今日の自分は普段の自分ではないのだ。お洒落なレオンに髪をいじられ洋服を着替えさせられ、はっきり言って派手な外見になっている。女受けするように改造されたのだ。(だからって……この状況は予想外…!)彼女たちの誘いに乗ることも、きっぱり断ることもできず、ユキヒロはただオロオロするばかりだった。(ああ、レオンならこういう時スマートに切り抜けられるんでしょうね…)キャイキャイ騒ぐ女たちの相手に四苦八苦しつつそんなことを思っていると、(まずい!! レオンは!?)慌ててレオンのほうへ視線を戻す。だが。「い、いない……!?」ジェイクの前でカウンター席に座っていたレオンが、いつの間にか姿を消していた。声をかけてきた女たちに気をとられていた時間がどれくらいなのか正確にはわからなかったが、いずれその間にレオンがどこかへ行ってしまったことだけは確かだ。(ま、まさか本当に例の女性と…!? い、いや、落ち着いて考えよう…!)ユキヒロは声をかけてきた女性を振り切ってカウンターへ走りよった。ジェイクはグラスを磨いている。「す、すみません! レオンがどこへ行ったかわかりますか!?」ジェイクは手を止め、「知らねえけど、たぶんエグゼクティブルームじゃないか? 今日そこを使わせてくれって言われてたし。それにさっき、美人っぽい女に声かけられてたしな。いつもの連れ込みパターンだろ」「び、美人っぽい?」「サングラスかけてて顔はよく見えなかったんだよ。でもあれは美人だね。間違いない」やけに自信たっぷりにジェイクは言っていたが、ユキヒロの耳にはほとんど届かなかった。(まさか、まさか………!)『事件を起こしたGSは、犯行の前日もしくは直前に行きつけの酒場に行ってる―――』『そん時居合わせた客はみんな、そのGSが見知らぬ女と一緒にいるとこを見てるんだ―――』嫌な予感がした。「ジェイクさん、その部屋はどこです!?」つづく人気ブログランキングに参加しました。よろしければクリックお願いします♪(*^▽^*)↓
2009年08月20日
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何か画像がなかった(´▽`;)まだDVD出てないとか? そんなことないですよね?まあいいけど・・・評価はこんな感じです。評価…(5段階評価)マジでいい映画でした!!あらすじはもう言わずもがななんで飛ばしますが、本当にアカデミー賞を取っただけはあると思います。まあ賞を取っていようとなかろうと、この映画はいい映画ですけどね。本当に無駄なエピソードがひとつもない。笑わせるところは笑わせてくれるんだけど、感動したり泣いたりするところではきっちり締めてくれる。この映画を見て、祖母が亡くなったときを思い出しました。「おくりびと」では遺体が焼かれるところまでしか描かれてませんでしたが、そのあとはお骨を拾うという儀式が待っているのですよ。親族がそれを箸で拾って骨壷に入れるんですけど、それがも~~とてつもなく遣る瀬無い。人間の儚さをあの時以上に感じたことはございません。身内の葬式を経験した事のない人は、もっと「死」が縁遠いものなんだろうなぁ。でも、「死」はいつも人間の隣に寄り添っているものなんですよね。そして、音楽がとてもよかった。作品の物悲しいけれども温かな雰囲気を体現していて、すごくよかったです(*^-^*)クラシックだろうか、と思ってスタッフロールをチェックしていると、なんと久石譲さんだった!!(*゜□゜*)エェェッう~ん、さすがです。それにしてもチェロっていい音色ですねぇ。堂本光一と中谷美紀が出ていた「ハルモニア」を思い出しました(古)重苦しくはないんだけど、軽くもない。どこか温かな音色ですね。バイオリンとかに比べたらたぶんマイナーな楽器になるんでしょうが、私はチェロのほうが好きかもしれません゚+.(´∀`*).+゚.人気ブログランキングに参加しました。よろしければクリックお願いします♪(*^▽^*)↓
2009年08月13日
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「この非常時でも、お前は相変わらずだなぁ」『Blue Rose』のマスター、ジェイクは呆れたような声を出して、目の前の客に酒を渡す。「ほっといてくれ。GS制度が停止しようが国が滅びようが、俺は俺のやりたいようにやる」レオンは実に彼らしいモットーを口にして、手渡された酒を受け取った。が、いつものようにハイペースで酒をあおったりはしない。「やりたいようにやる」とは言ったが、今日は酒を飲みに来たわけではないのだ。「あんたは何にする?」ジェイクはにやりと笑って、レオンより少し間を空けて席に着いた客に話しかけた。「……………お、お任せします」色つきのサングラスにワックスでうまく遊ばせた髪型。デニムのジャケットに細身のジーンズ。女受けしそうな格好なのに、中身は野暮ったい。ジェイクの注文にオドオドと答えるのがやっとだ。この外見と中身の乖離が激しい青年がユキヒロ・カガリだと知ったら、特にアスカあたりは素っ頓狂な声をあげて驚くだろう。レオンの提案で変装して現れたユキヒロだが、こんな着慣れない服を着たら緊張して、挙動不審になりそうな気がする。外見はバッチリ作り込めているとレオンのお墨付きは貰っているが、やはり似合わないことはするものではない。そもそもジェイクはこの変装に気が付いているのではないか。あえて問い質したりはしなかったが、先ほど彼の見せた皮肉な笑みが気にかかる。レオンはもじもじと落ち着かないユキヒロのほうを一度も見ようとしない。一人だと思われるほうが好都合なのだから当たり前だが。(けれど、本当に雲をつかむような作戦ですよね……)「酒場と女だ」ユキヒロをいきなり呼びつけて、藪から棒にそう切り出したレオンを見て、ユキヒロの頭上には「?」マークが飛び交った。何が言いたいのだ。「事件を起こしたGSは、犯行の前日もしくは直前に行きつけの酒場に行ってる。店はバラバラだけど……そん時居合わせた客はみんな、そのGSが見知らぬ女と一緒にいるとこを見てるんだ」「女性…ですか?」ユイから借りた捜査資料を目を皿のようにして読んで、掴んだ手がかりだ。どうやらその女の身体的特徴は、いずれも共通点が多いらしい。凶行に走ったGSは、揃いも揃って同じ女と行動を共にしていた―――この事実から、警察はその女がGSを誘惑し、殺人を教唆した可能性もあると見ているらしい。さすが、民衆と違い警察は冷静だ。目下、全力でその女の行方を追っているが、依然手がかりは少ないらしい。その女はいつも帽子やサングラスで巧妙に顔を隠しているらしく、似顔絵を作成しようにも彼女の顔のパーツが分からないのだ。犯行に及んだGSは事件の前後の記憶が抜け落ちているから、彼らに尋ねることもできない。「というわけで、俺らもその女を追うぞ」「ええ!?」前にもこんな展開があったような。「何驚いてんだ。他にすることもねーんだし、ちょうどいいだろ」「た、確かにすることはありませんけど、でもですね…!」「このままGSは用なしってことになったら、お前はともかく俺らは失業しちまうんだぞ。俺は誰かのヒモでもやって生き延びる自信はあるが、アスカはどうなる。あいつに普通の会社勤めなんか絶対不可能だぞ」確かに百パーセント無理だ。「何だか知らんがアスカが殻ん中に閉じこもっちまった今、動けるのは俺とお前くらいなんだ。このまま言われっぱなしで黙ってられるかよ」GSの地位などいつでも捨ててやるが、自分の名誉を好き勝手汚されたまま引き下がるわけにはいかない。(もとはと言えばこんな事件が起こるからアスカがおかしくなっちまったんだ。その怪しげな女が黒幕ならそいつを引きずり出して終わり。何も裏がないならGSたちが嘘をついてる。そういうことだ)言われっぱなしで黙っていられないのは、ユキヒロも同じだった。もっとも彼の場合、自分がどうこうというより、他のGSたちの立場を考えての結果だが。「そうですね…。このままではいずれにしろよくありません。アスカさんも、真相がはっきりすれば元気になるでしょうし……」しかし、一抹の不安がある。「でもどうやってその女性を探すんです? 酒場に現れるってだけじゃあ、手がかりになりませんよ」「“酒場”じゃない。“ターゲットの行きつけの酒場”だ。たぶん大勢にまぎれて行動できる上、見知らぬ他人に声をかけても不自然じゃない場所だから、そんなとこに出没するんだろうがな」いいか、とレオンは言う。「おそらくその女は、次はSクラスのGSを標的にしてくる。その標的が俺になれば、敵は自動的に俺の行きつけの店―――『Blue Rose』に現れることになるだろ?」ジェイクの店で待ち伏せをする。要はそういうことらしい。「な、何ですかそれは? あなたが次のターゲットになるとは限らないでしょう。そもそも、どうして次に狙われるのがSクラスだって分かるんです?」「何だ、気付いてなかったのか? 容疑者のGSのランクをよく思い出してみろよ」街のチンピラを半殺しにしたトム・キートンはCクラス。フィッシャーズ外務大臣を射殺したドン・ブレットはBクラス。そして、国防長官を殺害したGSは―――「Aクラス……」「そう、だんだん階級が上がってきてるんだよ」意図は分からないけどな、と付け加える。しかしユキヒロはまだ納得がいかない。「理屈は分かりましたけど……それでもあなたが標的になるとは言い切れませんよ。SクラスのGSはあなたを入れて十人もいるんですよ? その中からあなたを選ぶ必然性なんて……」「そうだな。でも俺がその女なら、必ず俺をターゲットにするね」形のいい唇が笑みを作る。こういう挑むような顔つきがたまらないのだと、彼の取り巻きの女性たちが噂していたのを思い出した。「だって敵は女なんだろ? だったら堅物の男じゃなく色香に惑いやすい男を選ぶはずだ。その点俺は最適だろ?」女好きで、手が早い。そう世間から思われているレオンは、籠絡するにはうってつけ―――そう言いたいらしい。「それでも…可能性は低いですよ」「それでもやるしかない。Sクラスのうちアスカは除くとして―――確率は九分の一だ。まぁ高いほうじゃねえか」敵が次にSクラスGSを狙うとしたら、という条件付きではあるが。そしてレオンは厳密にはAクラスであるという事実は、ここでも無視されている。「そうと決まれば、二手に分かれて店に入ろう。俺が変な女に声かけられたら、気付かれないように後ついてこいよ」つづく久しぶりにジェイクが登場です。外伝「優しい嘘」以来ですから、だいぶ間が空いての再登場になりましたね~。長い長い第八章ですが、ようやく半分過ぎました。アスカは当分出てきませんが、レオンたちの活躍にご期待ください(* ̄∇ ̄*)人気ブログランキングに参加しました。よろしければクリックお願いします♪(*^▽^*)↓
2009年08月06日
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