森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2014.07.03
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元オリンピック女子マラソンランナーの有森裕子さんの、「初めて自分で自分を褒めたいと思います」という言葉は2013年4月23日に投稿しました。
この言葉を森田理論で再度検証してみたいと思います。

自分で自分をほめるということは、自分の中に二人の自分がいるということです。
一人は理想や目標を持っている自分がいる。
もう一方は理想像からはかなりかけ離れた自分です。現実の自分です。
二人の自分の間にはかなりのギャップがあります。

有森さんはオリンピックでメタルをとりたいという目標に向かって、一歩一歩努力をかさねて階段を上りました。
その結果としてアトランタ大会では銅メタルを獲得しました。
その努力に対して「よくぞ幾多の困難を克服して目標に到達した。

目標を達成した今は、何とも言えない幸福と感動を味わっているという気持ちになっておられたことだろうと思う。

この場合は目標を持った一人の自分が、現実で苦労しているもう一方の自分にいつも寄り添い、励ましてサポートをしている状態にあります。
生の欲望の発揮に合致している関係です。理想的な関係にあります。

ところが、往々にして二人の自分という場合、一人が「かくあるべし」を持つ人間で、もう一方が現実でのたうち回っているという関係に陥ります。
この場合は大きな問題が起こります。
もし有森さんがそういう二人の自分を抱えていたとしたら、メタルを獲得することはできなかったのではないかと思います。
常に「かくあるべし」を持った自分が、現実で物足りない、成績の伸びない自分を叱責しているからです。

オリンピックでメタルを逃すような自分であってはいけない。
メタルを逃すと世間に顔向けできない。
生きて日本に帰ることはできない。
などと自分を追い込んでいくと、自己嫌悪、自己否定感が出てきます。

ほとんど勝ち目がなくなってしまいます。

一般の社会でも、「必ず○○大学に合格しなければならない」
「今月の売り上げ目標は100%必達させなくてはならない」
「新規事業は必ず成功させなければならない」などという目標を掲げることがあります。

でも現実に有名大学に合格する人はごく一部です。

まして新規事業ともなれば成功率はかなり落ちます。
大部分の人は目標が達成できずに悶々とした人生を生きているのです。

その時批判の刃が自分に向けられると大変なことになります。
戦争のとき、命を危険にさらして、最前線で相手と戦っているとします。
それなのに後ろにいる上官が、もっと前に出て攻撃しろと拳銃で脅しているようなものです。

二人の自分の関係は現実の自分に寄り添うのか、突き放してしまうのか。
その後の展開は全く違ってきます。
森田理論学習の過程で、その関係がスッキリと理解されてきます。
ここはしっかりと理解したいところです。





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Last updated  2014.07.03 07:00:12
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