森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.01.29
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鴨長明の方丈記の書き出しである。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。

(現代語訳)
川の流れは絶えないが、それは、もとの水とは違う。
よどみに浮かぶ泡は、消えたり生まれたりして、長く残っているものはない。
世の中にある人、家も、またこのようなものである。

つぎは平家物語の書き出し部分である。


沙羅双樹(らしゃそうじゅ)の花の色 盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ

(現代語訳)
祇園精舎の鐘の音には、永遠に続くものは何もないと言っているような響きがある。
まんじゅしゃげの花の色は、栄えたものは必ず滅びるという法則を表している。
権力を持ったものも長くその権力を持ち続けることはできない。
それは春の夜の夢のようだ。 強い力を振るったものも結局は滅びる。
それは風の前にあるちりと同じである。

この二つは森田理論の「変化流転」「流れにのる生き方」を分かりやすく説明してくれている。
世の中のものは絶えず変化している。

それはすなわち死を意味する。
自然の流れにのって生活することが一番安楽な生き方となる。
変化を読み変化を先取りする気持ちで生活することが肝心である。

進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残るものは、最も力の強いものか。そうではない。
最も頭のいいものか。そうでもない。それは変化に対応できる生き物だ」という考えを示したといわれています。


つまり、片足で全身の体重を支え、他の方の足を浮かして、つま先を軽く地に触れている態度をとると周囲の変化に対して、迅速に適切に反応することができる。
電車の中でも、休めの姿勢で立っていると、吊皮などを掴む必要はなく、読書ができる。
電車の動揺にも、決してじたばたすることはない。そのうえ、降りる駅や乗り換え場所を間違うこともない。
スリに遭うこともない。手荷物を忘れたりすることもない。

変化に対応するということにフォーカスするだけで神経症は克服できると思う。
症状は気になるが、いつも横においておくという態度で生活するのだ。
そして目の前に起きる変化を読み、変化に即座に対応する態度で生活するのだ。
神経症の症状は、いちいちその場で解決して、気分をすっきりとさせて、初めて次に進むというのは間違いだ。不安を抱えたままで、その時その時のなすべき課題に取り組むのである。
これは多少難しいが、これができれば症状と縁が切れる。





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森田生涯 @ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) 通りすがりさんへ コメントありがとうご…
通りすがり@ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) この曲の歌詞の意味がわからなくて検索し…
森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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