森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.01.20
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関根正明さんと言う元中学校の校長先生の話です。
K子さんという中学生の生徒が、小学5年生の時、先生から受けた対応がいまだに許せないという。
K子さんにはこんな体験がありました。
昼休み、トイレのそばで2年生らしい女の子がシクシク泣いていたそうだ。
「どうしたの」と聞いても、何も言わずシクシク泣いている。
「どこかイタイのだったら、オネエサンが保健室に連れて行ってあげるから」と言っても何も言わずにシクシク泣いている。
その子は両手で両目をふさいでいて、顔がわからないものだから、私は両手で、その子の両手をつかんで、「ドレドレ」という感じでその子の手を離そうと思った。
ところが、その子どういうわけだか、とてもがんこで、手をギュッとかたくして顔から離さない。
私も少しがんこになって「どうしたのよ」と強い声で言ってしまった。


そのとき、運悪くとても短気で、女の子でもぶつというD先生が通りかかった。
D先生は、いきなり、「こら、2年生をなぜ泣かすのか」と言うと、私の頭をゴツンとぶった。
D先生は、「ちょっと来い」と私のそでを引っ張って、その2年生には、やさしい声で「どうした、何をされたんだ」と聞きながら、私と一緒に職員室に連れて行った。
職員室でK子さんがどんなに理由を説明してもD先生は聞いてくれなかったという。
担任もやってきて、「いじめたのなら早くあやまってしまいなさい」などという。
おまけに、他の先生に「この子は、強情なところがあって」とか、「勝ち気だから扱いにくい」などと言っている。
私は「もういいです。私が泣かしました」と言って、私も泣いてしまいました。

この件は、Kさんは今でもシャクにさわるという。
私の言うことをアタマから疑っていた担任の先生も憎らしい。
だから卒業してからも、小学校なんかには一度も行っていない。
(「叱り方 うまい先生 下手な先生」関根正明 学陽書房 175ページより引用)


そして先生なんて信頼できない。大人なんて信頼できないという気持ちになったことだろう。
Kさんにとっては、その時の真実を無視された。
D先生は自分勝手な先入観、決めつけで私を悪者扱いした。
私の言い分もよく聞いて、信じてもらいたかった。
証拠もないのに私を責めることはどうしても許せないという気持ちになった。


まず先生の対応について。
先生は児童と比べると体力、経験、立場的に圧倒的に優位にある。
先生は児童を教育していくという使命感から、上から下目線で児童に接する機会が多くなる。
これは森田で言えば「かくあるべし」の押し付けにつながりやすい。
ここは先生は十分に気をつける必要がある。児童の言い分を聞こうとしない。
事実を確かめようともしない。
先入観でいじめがあったに違いないと決めつけてKさんを責めている。
こういう先生がいることは残念で仕方がない。
教師はそういう間違いを犯しやすい存在なのだということにもっと注意を払うべきなのではないだろうか。
その際森田理論学習理論が役に立つと思う。

次にKさんの対応について。
Kさんはきっと教師の理不尽極まる言動を許せないと思っている。
Kさんはまだ小さいからよく分からないかもしれいが、世の中には理不尽極まる悲惨な出来事は数限りなくある。先日のスキーバスの事故だってそうだ。
森田理論でいうと、教師の理不尽極まる言動も実際の出来事であるということを認めていくことしかない。
教師を許せない。仕返しをしてやりたい。
あんな奴早く死ねばいいのにと思うことは、自分も「かくあるべし」に振り回されているということである。

つまり、教師ともあろうものが、決して理不尽な言動をとってはならない。
教師は私たち児童、生徒のよき理解者であるべきだという「かくあるべし」にとらわれているのである。
「かくあるべし」にとらわれているから、怒り、腹立たしさ、憎しみが出てきているのだ。
それはトラウマとなり、今後大人になっても増悪することはあっても小さくなることはない。

ではKさんのとるべき態度はなにか。事実を事実として認めていくことだ。
自分の言い分を聞いてもらえず、先入観で自分が悪者扱いされたという事実を認めて受け入れていくことだ。
事実を受け入れると打開策が見つかるかもしれない。
先生に真実を知ってもらうにはどうしたらよかったのだろうか。
その時誰か見ている人はいなかっただろうか。
どう考えてもわからなかったら、客観的に話の分かる人に相談してみる。
関根先生のような先生、教育委員会、児童相談所、お父さん、お母さん、PTAの役員さん等に相談してみる。
また今度このような状況に遭遇したときは、どう対応したら良いか考えてみる。
いろんなアイデアが浮かんで来るだろう。
二度と紛らわしい行動はしないようになるのではなかろうか。

つまりここでいいたいのは、事実を受け入れて、事実に従うという態度になればその後の展開が180度違ったものになるということだ。
すぐに怒り狂うということは無くなってくると思うのだがどうでしょうか。





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Last updated  2024.06.02 07:42:17
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
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