森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.11.05
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私の経験です。
私はその当時中間管理職で部下として男性2人と女性の社員が6名いました。
ある時、私が知らない間に主力メーカーの営業マンが、私を除く全員を飲食接待していたということがありました。あとからそのことを部下から聞いてとても腹立たしく思いました。
普通メーカーの接待と言うのは、その組織の責任者に声をかけることが多いものです。
それを差し置いて内緒で部下全員に声をかけて、自分だけが仲間外れにされていることに無性に腹が立ってきたのです。

そこでメーカーの営業マンに電話して散々嫌味を言ってしまいました。
そういう態度ならお前のところからの仕入れは一旦外させてもらうというようなことを言ったと思います。
すると支店長と営業マンが飛んできていろいろと言い訳をしていましたが、それは火に油を注ぐようなもので、私のイライラはどんどん膨れ上がり仕事が手に付かなくなりました。

この問題を森田理論の「純な心」で整理してみたいと思います。

では初一念は何だったのか。
「ショックだ。自分には人望がないのか。自分もみんなと一緒に誘ってもらいたかった」です。
よりによって自分だけが無視されたことでつらく悲しい気持ちになった。
でも私はその悲しいという感情をしみじみと味わうことはしなかった。
私は「純な心」について学習していなかったので、初一念の感情を味わうこともなく、無視してしまったのだ。普通「純な心」を学習していない人はほとんどそうなってしまう。

それは腹が立ったという初二念の感情が間髪を置かずにすぐに出てきたからである。
そちらの方に気をとられてしまうからである。
そしてうかつにも、これをもとにして行動を起こしたのである。
と言うよりも当然にといった方がよいかもしれない。
無意識的に怒りを爆発させて、精神的にスッキリしようとしていたのである。
怒りを爆発すると少しは気分がせいせいとした。

そして他の部署の課長と仲よくするようになったので、対人恐怖症の私としては益々分が悪くなった。それをきっかけにして部下との関係も悪くなっていった。

「純な心」を学習している今だったら対応を間違えない自信はある程度ある。
まず、「ショックだ。自分もみんなと一緒に誘ってもらいたかった」という初一念を大事にする。ここを出発点にすると間違いないのだ。その感情を十分に味わう。
そして自分の気持ちを「私メッセージ」として相手に伝える。
初一念は積極的に言動に反映させた方がよいのだ。


憤懣やるかたない感情を味わってみるのである。
心の中で殺してやりたいほど相手のことを憎んでもよいのだ。
この感情も十分に感じることが大切です。でも初二念は味わうだけにする。
ここが肝心なところだ。初二念は決して言動には反映してはならない。
ここを間違っている人が非常に多い。以前の私もそうだったのだ。
その結果人間関係が悪化し孤立していった。
仕事がやりづらくなり、生きることがつらくなっていたのだ。
初二念からの言動はうまくいったためしがない。

さて、森田理論の感情の法則では、どんなに激しい怒りの感情でも、ひと山越えるとしだいにおさまってくるという。永遠に続く怒りというものはない。
だからおとなしくじっと持ちこたえていればよいのだ。
それなのにその怒りを言動として吐き出すと、一山下るのではなく、まだまだ上り続けるということになる。火に油を注ぐことになるので簡単には収まらなくなる。
だから初二念はどんなに激しいものであっても一旦持ちこたえるというのが正解である。

さらに森田先生は、持ちこたえるというだけではなく、心を流転させる方法を勧めておられる。
つまり目の前のなすべきことに取り組んでいけば、意識がその怒りから離れていく。
新しい行動によって新しい感情が生まれてくる。
するとその怒りの感情は速やかに終息に向かうと言われている。

そういう意味では、ここでとるべき新しい行動は、初一念に基づく「純な心」を使った私メッセージの発信をお勧めしたいのである。

まとめて見ると、初一念の感情はともすると見落としてしまう。
でも必ず初一念の感情はあるはずなので、見落としても遡って思い出してみることが大切である。
次に初一念も初二念の感情も両方ともよく味わってみる。
それから、初一念の感情はそのまま相手に言動として吐き出してみる。
「純な心」からの言動は相手とけんかにならない。かえって同情されることの方が多い。
初二念の感情は絶対に言動に表してはならない。心の中ではどんなに相手のことを恨んでもよい。感情の法則を応用して嵐が過ぎるのを待つという気持ちを持ち続けなければならない。
それを促進する方法がある。つらい気持ちを持ちこたえながら目の前のなすべきことに取り組んでいくのである。

これらをすぐに習得するのは難しいと思う。うまくいかないと言って嘆くことはない。
最初からうまくいくことは難しい。10回のうち2回か3回うまくいけばきっと物にすることができると思う。
是非とも身につけてもらいたいものである。





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Last updated  2016.11.05 06:55:14
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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