宮崎県綾町の1坪菜園運動だ。この運動は50年前に始まった。
農家だけではなく、町民、みんなが自分たちで野菜を作り、食べるという非常にシンプルな運動だ。
春と秋に町役場が種を無料で配布している。
たい肥を入れた土作りをし、農薬や化学肥料は使わない無農薬の美味しい野菜作りをしている。
1坪菜園で栽培された余剰作物は、青空市、日曜日の朝市、町外にも出荷されている。
その結果、綾町は有機農業の町としてその名を全国に知られるようになった。
しかし、この運動は、国の政策と真っ向からぶつかった。
国の政策は、経営の規模を拡大して国際的な競争力のある農業を目指している。
大型施設・機械や大量の農薬や肥料を使う。そういうところに補助金をばらまいている。
アメリカ型の大規模農業は生産効率の向上を至上目的としているので、問題ばかりを作り出している。
品目を絞って大量生産するという国の方針では、農家は自分たちが食べる野菜も作らずに特定の作物を出荷する。そのために、野菜の移動販売車が農家を巡回している。
そんな農業を国が先頭に立って押し進めていいのだろうか。
リコーを3兆円企業にけん引した最高顧問の浜田広さんは、 「国民皆農」を提案されている。
日本の自給率は40% 、特に穀物の自給率は28%しかない。
しかも、米が入っての数字であって、小麦やとうもろこし、大豆などは一ケタです。
ほとんどを輸入に依存している。日本は極めて危ない状態にある。
いちど世界的な穀物不足が起こったら、どうなるか。おそらく食糧危機になると思います。
このままいけば、日本の農業は崩壊するかもしれない。
こうした強い危機感を背景に、浜田さんは2001年、 NPO法人「 市村自然塾」を創設された。
もし政府が、今の農業政策を改めて、できるだけ多くの国民が、綾町のように、自分たちが食べる穀物や野菜は自分たちで自給自足をする政策に転換したらどうだろう。
そのためのできるだけの援助を国が先頭に立って進めるのである。
そうすれば世界中でいくら食糧難になっても困る事はなくなる。
また食糧難になったときに、生産国からべらぼうな高い食料を買わされることも少なくなる。
その他に、次のようなメリットが生まれてくる。
・新鮮で美味しく、安全な食べ物が食べられる。
・自ら作物をつくり育てる充実感や喜びを得られる。
・農作業に携わることで健康になり、ストレスを解消できる。
・日本の農業を支え、食料自給率を上げることにつながる。
・残り少ない日本の自然や景観、文化を守っていく一助になる。
・農業を通じて、地域の再生や活性化のきっかけとなる。
森田理論では、自分達が出来る事やしなければならないことを他人に依存することはよくないという。
いくらお金があるからといって、安易に買って済ますことは、人間本来の生き方とは程遠い。
そういう生活に馴染んでしまえば、欲望が欲望を生んで、欲望の暴走が始まる。
車で言えば、坂道でスピードが出た状態である。
このとき、もしブレーキが壊れていれば大惨事につながる。
制御機能を失った暴走する人間に、人類の未来を託す事は出来ない。
人類の歴史は、欲望が渦巻く戦争の歴史を積み重ねてきた。
今こそ、全人類が森田理論でいう欲望とその制御機能である不安の調和に心を寄せる時ではないだろうか。
地震に対する備えについて 2024.11.27
首に負担をかけない姿勢を保つ 2024.11.20
気分本位を吹き飛ばす方法 2024.11.16
PR
Keyword Search
Category
Comments
Calendar