日本の子供たちは、勉強なら勉強、スポーツならスポーツばかりやる傾向があります。
しかし、海外では、スポーツをやりながら勉強をやったりして、いろいろな資格を持っているプロ野球選手は少なくありません。
学生時代には、野球をやりながら、バスケットボールやフットボールをやったりします。
例えば、バスケットボールで有名なマイケル・ジョーダンは、高校までは野球をやっていたそうです。
王貞治さんは、中学時代、平日は陸上部で砲丸を投げたり、卓球部で卓球をしていました。
野球は週末に草野球チームでやっていただけです。
いろいろな競技をやったからこそ、野球が1番好きだというのがわかりました。
(人生で本当に大切なこと 王貞治 幻冬舎新書 75頁より引用)
日本では有名な大学に行く人は、小学生の頃から塾に通い、猪突猛進でわき目もふらず猛勉強をしています。そういう人は確かに偏差値の高い大学に合格します。
しかし、高い学力は身につけていますが、人間関係のあり方については、皆目見当がつかないという人もいます。
それは小さい頃から勉強ばかりして、友達との人間関係の中で遊んだ雑多な経験がないからです。
一緒に遊びまわったり、喧嘩をしたり、言い争いをしたり、時には殴ったり殴られたりするような経験がほとんどないのです。経験から学ぶということがすっぽりと抜け落ちているのです。
これは考えただけでも怖ろしいことです。
そういう子供が大人になり、上下関係や指示命令系統のある組織に入った場合、自由を奪われて、容易に挫折することは目に見えています。
国税庁に入庁した人に聞いてみると、有名国立大学、有名私立大学を卒業した人が数多くいます。
ところが、入庁後 3ヶ月ぐらい経って突然退職していく人が数名はいるそうです。
学力は高く、論理的な思考力には長けていても、人間関係の距離の持ち方が幼児並みで、組織の中ではすぐに挫折するという事ではないのでしょうか。
他の会社に転職しても、また人間関係でつまずくのは目に見えています。
よい面は持っているのですが、人間関係が幼児並みであるために、宝の持ち腐れになっているのです。
有名私立大学に合格するためには、小学生の頃から、現代文、英語、日本史だけを徹底的に鍛えていけばよいという人もいます。その方が合格を勝ち取るための間違いのない戦略だと言われるのです。
確かにこの3科目で合否を決められるのでしたら、他の科目は切り捨てるというのは合理的なのかもしれません。
数学、生物、物理、化学、地学、世界史、地理、現代社会、倫理などは単位をとるだけでよいのでしょうか。
また友達との付き合い、キャンプに行ったり、海に行ったりする遊びは極力避けるのがよいというのでしょうか。
こんな考え方ではたして世の中の荒波を乗り越えていく人間を作ることができるのでしょうか。
雑多な経験を積み重ねることなく、一つのことだけに特化した生き方をしてきた人は、もし困難な状況に直面したとき、容易に挫折するのではないでしょうか。
森田理論の考えは、あまりにもひとつのことに注意や意識を集中してはならないといいます。
神経症というのは、自分の気になる不安や恐怖に注意や意識を集中して、精神交互作用で蟻地獄に陥ってしまうのだと学びました。
不安や恐怖があれば、その裏にある欲望にも目を向けて行動することが必要なのです。
また、森田では、あらゆることに満遍なく注意を払い、同時並行的にいくつもの案件を処理していくような生き方を勧めています。
人間関係でも、薄く、幅広い人間関係を構築していくことを勧めています。
子供の頃から勉強なら勉強だけ、スポーツならスポーツだけという考え方は、子供にとっては不幸な人生です。
子供は好奇心旺盛ですから、やりたいことには何でも取り組ませる。いろんな経験をさせる。
その際、親は、つい口を出しそうになっても、ギリギリまで我慢して見守るという姿勢が大事なのではないでしょうか。
そのうち子供自身が、自分の将来やりたい職業を見つけてくれれば御の字です。
森田療法家の宇佐玄雄先生は、学校教育に森田療法理論を加えるべきであると主張されていたと聞きました。
せめて森田理論を学び、人生観を確立することができていたなら、いとも簡単に人生の落伍者になることはなることは防げるのではないでしょうか。
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