森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.08.28
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王貞治さんは、巨人に入団して3年経った頃、今までのやり方でいいいのか、自分の力はプロで通用するのか分からなくなり悩んでいたという。そんな時、荒川さんが巨人のコーチとして入団された。
王さんは荒川コーチのもとで、プロとしてのバッティングや野球についての基礎を教わったのです。
荒川コーチと二人三脚で、 1本足打法を完成させ、世界のホームラン王と呼ばれるようになったのです。
荒川コーチとの出会いがなければ、自分の才能は開花しなかったであろうと言われています。
そういう意味では荒川コーチは、コーチと言うよりは、自分の将来を決定づける偉大な師匠であったといえるでしょう。

私は30年以上森田理論学習に取り組んできて、森田の場合にも、師匠の存在は不可欠であると思う。
神経質性格を持ち、神経症でのたうちまわっていた私を導いてくれた師匠との存在なくして今はない。
今考えると私の師匠は2人いた。 1人は森田正馬先生である。
もう1人は集談会で見つけたある先輩会員である。


森田先生に実際に会った事はない。
しかし、残された数多くの著作に接するうちに師匠として尊敬するようになった。
まず神経症の発生するメカニズムを明快に説明してくださった。
そして、神経症が治るとはどういうことか。
神経質性格の活かし方、欲望と不安の関係。
生の欲望の発揮の仕方、 「かくあるべし」の弊害、事実本位の生き方。
などなど的確に私の疑問を解決してくださった。
森田先生の著作による指導なくして今の私は存在しないと思っている。

集談会の中で見つけた師匠は、森田理論そのものについてもより深く掘り下げて研究されていた。
それよりももっと特質すべき事は、ご自分の経験から、森田を実際に生活面に応用した具体例について色々と話してくださったことである。このブログでその一端は数多く紹介した。
それらは私の生活に取り入れようと思えばいくらでも取り入れられることであった。


私は、その人を見ていて、森田理論の応用は、つまみ食い的に取り組むやり方はダメだと確信した。
富士登山には5つの登山口がある。所要時間はそれぞれに異なるが、どの道を進んだとしても、富士山頂に到達できるのはいっしょのことである。
大事なのは、「この道しか我の進む道はない」と覚悟を決めて、 1つか2つの事を極めていくやり方が有効なのであった。
そういう意味では私は、森田先生のウグイスの谷渡りという宴会芸からヒントを得て 「一人一芸」に活路を見出し、 ひとすじに打ち込んできた。
すると、老人ホームなどで多くの人に喜んでもらい、あれほど対人恐怖で苦しんでいたのに、多くの演技仲間と楽しく交流することができるようになった。


さて、王貞治さんはこんなことも言われている。
子供には第一反抗期、第二反抗期がある。この反抗期を経ないと立派な大人にはなれない。
これはどういう事かと言うと、いつまでも師匠の言うことばかりにこだわっていては成長はないということである。「守・離・破」という言葉がある。
「守」とはまさに素直に師匠に教えを乞う時期である。
「離」とは師匠の教えを身につけ、師匠から離れる時期である。子供で言えば反抗期である。
自我が出てくる。師匠の教えに疑問も出てくる。だからこの時期は師匠から少し距離を置く時期である。
この時期があることが、次につながるのである。
「破」とは、今までの経験を踏まえて、自分独自の森田理論を切り開いていく時期である。
今までは、師匠に見守られて、内海の中だけで船を航行していたが、いよいよ外洋航海に出る時である。
怒涛逆巻く太平洋に向かって、自力で挑戦する時期が「破」の段階である。
森田療法理論では、神経症を治す段階から、人生観を確立する段階に進む。
さらに森田療法理論の考え方を基礎におきながら、政治や経済、人類の将来、文明論、環境汚染、人間の生き方などに発展していくのが自然の流れであると思う。
そういう意味で、森田療法理論は無限の可能性への発展を秘めているのである。





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Last updated  2018.08.28 06:52:15
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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