森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.10.25
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​​​神経症を治すためには、一般的には薬物療法がある。
また精神療法としては、不安を取り去る療法が中心である。
これに対して森田療法では、不安は自然現象なので、手をつけてはならない。
心の中の事はなりゆきにまかせて、日々為すべきことを為していけばいいといいます。
私はこれについては異論はありません。

ただ、意識の持って行き方として、 「不安と欲望の調和を図る」ことをお勧めしたい。
我々人間は多くの欲望を持って生きている。
森田理論では、不安というのはこの欲望の裏返しであると学習しました。
日々の生活の中では、不安の種は次から次へと発生する。

ですから、神経症の治療に関して、不安だけを問題にしていては、片手落ちなのではないでしょうか。
不安と欲望の相関関係の中で、不安の対応を考えていく必要があると思われます。

さて、不安に対しては、まず最初に、これらを忘れないようにメモして処理した方がよいものと、処理できないものを区別する必要があります。
そして処理した方がよいものは、どんどん片付けていく。
問題は、不快な感情など、どうにもならない不安に対してどのように対応するのか、ということである。
その時、 いかにして不安と欲望の調和を維持していこうかと注力 することをお勧めしたいのである。

サーカスの綱渡りの芸では、長い物干し竿ようなものを持っています。
この竿を右に傾けたり、左に傾けたりしながら身体のバランスをとっています。
そして目線は、しっかりと目的地をとらえて、注意深く前進しています。
この物干し竿の右端を不安と考えてください。そして左端を欲望と考えてください。

決して不安を取り除こうとか逃げ出そうと考えているわけではありません。
私たちも、不安が出てくれば、不安そのものを問題視するのではなく、不安の裏には欲望があるわけですから、欲望の方にも目を向ける必要があります。
そして最も重要な事は、不安と欲望のバランスをとるために、自分は何ができるのかと考えることです。

例えば、お医者さんから「あなたはがんではない」と診断されたにもかかわらず、がん恐怖が強くて、頭の中がイライラして落ち着かない。
そんな時、不安を取り除こうとやりくりをするのではなく、自分の欲望について考えてみるのです。

がん手術、抗がん剤治療、放射線治療などは受けたくない。
いつまでも健康で長生きをしたいという欲望が人一倍強いのだ。
その強い欲望のために、不安が強く出ているのだ。

ではどうすれば不安と欲望のバランスをとることができるのか。
この場合は、欲望の方に力を入れて、不安のことを考える割合を少なくしていく。
がんにかからないための生活習慣、食事や運動、ストレスのない人間関係のあり方などに注意を向けて生活を見直していく。
今までは不安の方に大きく傾いていたのが、欲望を見直すことで、少しずつバランスが回復しているのである。
このように不安だけを問題にするのではなく、 不安と欲望のバランスを整えることに 、注意や意識を向けることが、精神衛生の面ではとても大切なことである。
神経症的な症状を直接取り除こうとするのではなく、欲望と不安のバランスを維持するという側面から取り込む方法もあるということを提案したい。
そのための意識付けとして、パソコンの前には、天秤ややじろべいを置いておくことをお勧めしているのである。
​​​





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Last updated  2018.10.25 06:30:18
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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