プロ野球選手会の調査によれば、今年の巨人が選手に支払っている年俸総額は約39億円だという。
2位の阪神は25億円である。広島は21億円である。巨人は広島の約2倍である。
巨人の年俸が高騰する原因は、他のチームでフリーエージェントになった選手の獲得に伴う出費である。
今年は、西武で2回ほど2ケタ勝利を記録した野上選手を獲得した。
野上選手は3年間で推定4億5,000万円の契約を結んだという。
中日からゲレーロ選手を2年で推定8億円で獲得した。
これらの選手が年俸に見合う活躍してくれれば、問題は少ないが、現実には必ずしもそうはなっていない。
これまでも、 巨人は巨額な契約を前面に打ち出して、数多くの有名選手を入団させてきた。
それらの選手が移籍前に残した成績と、移籍後に残した成績を比べるとかなり見劣りがする選手は少なくない。
これについて広岡氏は、 「彼らも、少しでも上手になりたいと思って一生懸命自分の頭で考え、工夫をしていた選手達です。ところが、目のくらむような大金で連れてこられて、その上引退後の人生まで保証されている。そんな球団で気を抜くなと言う方が無理な話です」と分析されている。
多額の年俸と一生面倒を見てもらえるという安心感が、結果として選手たちの緊張感を失わせる。
(週刊現代 2018年9月22日・ 29日合併号より)
これは森田理論を学習している私たちにも警告を発していると思う。
デンマークの哲学者キェルケゴールは、毎年大きな集団を作って南方に飛び去る野鴨を観察したジーランド海岸に住む人の話を書いている。
そこに暮らす人々は慈悲深く、近くの沼に野鴨の為に餌を与えに行った。
しばらくすると、鴨のうちの幾羽かは南方へ飛び去ろうとしなくなった。
この人たちの与える餌を頼りにして、デンマークで越冬するようになったのである。
だんだんこの鴨たちは飛ぶことが少なくなってきた。 3 、 4年の後には、この鴨たちはすっかりだらしがなくなり、飛ぶことさえ難しいほど太ってしまった。(状況が人を動かす 藤田英夫 、毎日新聞社)
「過ぎたるは及ばざるがごとし」という諺があるが、多額の年金が入る、遺産が入る、生命保険金が入る、高額な宝くじに当たったという人は、それに浮かれて急に消費一辺倒の生活に切り替えてはならないということだ。そういう生活を続けていると、この野鴨のような状態になってしまう。
森田で学んだように日常茶飯事に丁寧に取り組むことが肝心なのだ。
いくら経済的に恵まれていても、自分のできる日常茶飯事を安易に他人に任せてはならない。
自分でできる家事はできるだけ、自分の手で行う。
それがやりがいを作り上げ、生き生きと生活することにつながる。
巨人に巨額の契約金を積まれて移籍した選手は、一旦経済的に恵まれた環境に身を置くと、そうしたくてもできなくなった人たちなのではなかろうか。
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