イチロー選手は、記者のインタビューで「目標」というものに対する捉え方を質問されて、次のように答えている。
目標を設定して、そこに到達すれば、そこで満足してしまって先に進む努力をしなくなるでしょう。
満足は求めることの中にあるのです。
イチロー選手は、大きな目標を持つことよりも大切なことが別にあると言っているのです。
そもそも目標は大きければ大きいほど、達成は難しくなってきます。
例えば、富士山ならある程度訓練をすれば、大抵の人は登れるかもしれません。
ところが、エベレスト、ヨーロッパ最高峰モンブラン、アイガー北壁、マッターホルン、アラスカのマッキンリー、南米のアコンカグア、アフリカのキリマンジャロに登頂するという目標は極めて難易度が高くなります。登山の経験の豊富な人でも登頂するにあたっては、多くの困難が待ち受けています。
サポーターやシェルター、キャンプ地設営、多くの物資、資金など用意周到な準備なしには挑戦することはできません。
ましてや未熟な人がそのような大きな目標を持つと、途中で挫折することが多くなります。
大目標が達成できないということになると、不全感が残り、ストレスがたまります。
それを押しのけてでも、目標達成に向けて、闘志を奮い立たせることができる人は問題ないでしょう。
しかし現実には目標達成第一主義で挫折してしまう人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
また、たとえ、大目標を達成してしまうと、次に挑戦する目標がなくなり、意欲や、やる気が減退してしまうということもあります。
イチロー選手は、最初から大きな目標に照準を合わせると、モチベーションが維持できなくなるといいます。目の前の小さな目標をクリアしていくうちに、終わってみれば、最初に思い描いていた大目標に到達していたというのが実態です。
だから、その時々の小さな目標を達成するための 「 プロセス」
に全力を尽くすことが大切だと言われています。大きな目標を持って、その目標に到達するために、小さな目標を立てて努力することは、森田理論で言う「努力即幸福」の実践です。
イチロー選手がマリナーズに在籍していた2004年は、マリナーズは優勝の可能性は全くなかった。
ところが、その年、イチロー選手はシスラーのシーズン通算257安打の大リーグ記録を塗り替えた。
プロセスを重視して貫いていれば、優勝というチームの目標の達成が不可能になっても頑張れる。
何が何でも目標を達成しなければならないという目標達成第一主義では、容易に挫折してしまう。
これは、上から下目線で自分の状態を見ているために、ちょっとした壁にぶち当たれば、「もう自分はダメだ。能力がない」などと自己否定してしまうために、やる気や意欲も同時に失われてしまうのだと思われる。目標達成第一主義は、 「かくあるべし」を自分に押し付けているのである。
それよりは、自分の現状を自覚して、今自分にできる小さな目標に向かって努力するという態度がより重要になる。
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