傾聴、来談者中心のカウンセリングを受けている人がいる。
そういう人が、物足りなくなって私のもとを訪れる場合がある。
そのカウンセラーが言われるには、信頼関係を作るには大切だがそればかりでは物足りなくなる。
同時にアドバイスをすることも必要である。ただアドバイスにはコツがある。
アドバイスには4つのパターンがある。
1、I am OK You are OK
2、I am OK You are not OK
3、I am not OK You are OK
4、I am not OK You are not OK
1の場合は、私は神経質の症状はあっても、素晴らしい人生になりました。
森田で症状を克服できました。
今のあなたも、今は苦しくても、大丈夫ですよ。心配いりません。
あなたも、発見会で学んだ多くの先輩方と同じように素晴らしい人生が展開できますよ。
多くの事例(事実)がそれを証明しています。私たちと、一緒にやりましょう。
2の場合は、私は神経質の症状はあっても、素晴らしい人生になりました。
森田で症状を克服できました。
だから、あなたも、ああしなさい。こうしなさい。ああ考えなさい。こう考えなさい。
なぜやらない?
(できないのは、あなたが未熟でダメだからです。)
3番、4番のパターンは大きな問題があります。
1の場合は、相手の現実を受け入れて、寄り添っています。
現状を踏まえて、どこから一歩目を踏みだして入れるとよいのか、一緒に考えてみましょうという態度です。そのためのヒントをいくつか紹介してあげる。
相手はその中から取り組みやすいものを選択して、実際に行動に移してみる。
その結果が思わしくなければ、また別の提案やアドバイスをして、相手に考えてもらう。
こういう関係がカウンセラーとクライアントの間で繰り返されれば、満足度が高くなります。
2の場合は、私は神経症を克服しました。克服するためのノウハウは持っています。
だからあなたは私の指示通りに実行すればよいのです。
そうすればおのずと神経症は克服することができます。
指示通りやらないと、「本当に神経症を治したいという気持ちがあるんですか」
「真剣に取り組まない人は、何をやらせてもろくなことにはなりませんよ」
これは相手に寄り添っている態度ではありません。
自分の「かくあるべし」を相手に押し付けて、自己満足している態度です。
自分の思い通りの展開にならなくてストレスが溜まりイライラしてしまいます。
相手が本心から納得して取り組んでいるわけではないので、本音では反発心を抱いているわけです。
これでは双方の思いに溝ができて、それがどんどん拡がっていく運命が待っています。
プロ野球では、「名選手、必ずしも名監督・名コーチにあらず」といわれます。
名選手は自分の成功スタイルを新人に教え込めれば、相手は成長するはずだという強い信念を持っているのです。ところがそういう指導法は、意に反して挫折することが多いのです。
相手にいつも寄り添ってよく観察して、自分なりの改善点はいくつか持っている。
でもそれをいきなり相手に押し付けるようなことはしない。
機が熟するのをじっと待っている。
選手が最後に困って聞いてきた時は、その中から改善点をいくつか提案する。
そして選手の取り組みに付き合う。選手と一緒になって考えたり、工夫していく。
その成長を見守っていくという態度です。
少しでも結果が出てくればともに喜ぶ。
私たち先輩会員が森田理論学習を始めたばかりの人に対しても、このような態度で接することが大切になります。ましてや相手の現状から離れて「かくあるべし」を押し付けていては、学習運動は成り立たなくなります。
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