森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.04.19
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「馬鹿になれ」ということについて、森田先生が説明されているので、これを取りあげてみよう。

森田先生は「馬鹿になれ」と教える代わりに、「偉い人になりたい者は、偉い人を見よ」という。
そうすれば自然に、自分は馬鹿のように感じ、これではならぬと努力するようになる。
偉い人を見つめよ、うらやめ、あやかれ、そして自分の馬鹿さ加減をよく知り分け、少しでも偉い人の模倣をして、馬鹿でないようになれ。(森田全集第5巻 195ページより引用)

これだけでは何のことを言われているのか分からないと思う。
早速説明してみよう。

普通は偉い人を見ると劣等感を起こして、自己嫌悪、自己否定するようになる。
自分の容姿、神経質性格、能力、境遇などを相手と比較して苦しむ材料として使っている。
これでは比較すること自体が仇となっている。


唯我独尊を持ちだして、自分はこの世界でたった一人のかけがいのない存在である。
他人のことは気にしないで、自分の信じた道を突き進んでいきなさいといわれる。
人と比較することを忌み嫌っているのである。
しかし他人がいれば、様々な面から比較しているのが普通の人間である。
人と比較するなといわれても、それは無理だと思う。

人と比較するのが人間の本来性とすると、比較のやり方を今一度再考してみる必要があると思う。
自己嫌悪、自己否定する人は、自分の立ち位置を雲の上のようなところとっている。
そこから現実の自分を評価しているのである。
他人と比較して劣等感的な物差しをあてて、あれがダメ、これがダメと批判を繰り返しているのである。現実で苦労しながらなんとか生きている人にとってはたまったものではありません。
かばってくれるべき身内が歯向かってくるようなものですから。
こうなると人と比較することは弊害以外の何物でもありません。


そこを出発点にして、発奮して這いあがっていくための材料として活用すれば、こんなにありがたいことはありません。自分で気づかなくても、他人と比較することで、正確に分析することができるようになるのです。

そのためには、「かくあるべし」でがんじがらめになっていてはまずい。
現実や現状を素直に認めて受けいれるような状態になっていないと、役立てることはできない。
比較するということは、自分に刃を向けるものでもあるし、その役割を自覚しているものにとっては、貴重な発奮材料にもなるのである。
森田先生が言われる「偉い人にあやかれ」といわれているのは、そのことだと思う。

結果として事実本位の生き方になるのです。





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Last updated  2024.05.31 10:17:48
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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