森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.09.07
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森田先生のお話です。

井上君が、以前も、今も、不安はなくならないといいましたが、それは我々が、精神の進歩発達とともに、ますます増すものです。小児の時よりも、年をとるほど心配事は多くなる。
医者になるにも、病の事を多く知れば知るほど、気になることは多くなり、貧乏よりも、金持ちほど苦労が多く、学者になるほど、疑いと迷いと研究問題が多くなり、ニュートンも、自然の研究発見は、ほんの浜の真砂の幾粒かに相当するものである。
ただ疑問は、ますます多くなるばかりであるといってある。
エジソンのような発明家になれば、発明したい事が、いくらでも増してくるのである。
我々は不安があり、鳥越苦労が多いほど、多々ますます弁じて、初めて人生の生き甲斐を感じるのである。ここで初めて、強迫観念とは跡を断つのである。
(森田全集 第5巻 512ページ)

森田先生は神経症が治ったからといって、不安はなくならないと言っておられます。
歳をとるにつれて、不安の数はますます多くなってくるといわれています。

でも絶えず不安に追い掛け回されて、ビクビクハラハラしながら生活している人にとっては、何ともやりきれない話だと思います。
それでは一生不安に振り回されながら生きていくしかないのかと思われるかもしれません。

こういう人は不安を忌み嫌ったり、不安に対して恐れおののいてばかりです。
不安の特徴や役割を森田理論でしっかりと学習することが必要だと思います。
認識の誤りを抱えているわけですから、それを解消するために森田理論の「不安と欲望」の学習をした方がよいと思います。

大脳では不安や恐怖は偏桃体で感知するようになっています。
そして海馬と連動して処理しています。
人類の進化の過程で、必要不可欠なものが残り、不必要なものが淘汰されてきました。
不安や恐怖を感知する偏桃体は、必要不可欠なものであるために淘汰することはできなかったのだと考えています。危険や恐怖が迫った時、瞬時に不安や恐怖を感じることができないと、無抵抗、無防備ですぐに命を落としてしまうことになります。

不安や恐怖を感じる力は、注射針を打たれるような痛みはありますが、人間にとってはなくてはならない大切なものです。それは痛みを感じる神経と同じ働きをしています。
神経が体中に張り巡らされているおかげで、身体の不具合箇所はすぐに分かります。


不安というのは信号でいえば黄色や赤色を点滅させてくれているのです。
危ないですよ。注意しなさいよ。などと老婆心を発揮してくれているのです。
地雷のある場所を教えてくれている、ありがたい存在なのです。
その警報に従って、無鉄砲な言動を抑制することができるのです。
ありがたい役割を果たしている存在だと認めることが大切です。


車でいえばアクセルをふかして、前の車との車間距離がなくなった時、スピードを上げすぎたとき、信号待ちになった時にブレーキの役割を果たしてくれています。
ですから不安を排除することにエネルギーを使うのではなく、不安を上手に最大限に活用することにエネルギーを投入することが大切になります。
つまり不安の役割を正しくとらえて、欲望とのバランスをとるために活用することが大切です。





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Last updated  2020.09.07 14:34:29
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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