森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.12.05
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2020年12号の生活の発見誌に次のような記事がありました。

(自助組織のNPO法人)「生活の発見会」とは、日々の生活の中で事実を発見していく会ではないでしょうか。事実を発見する術を学ぶ場所と思います。
観念や想像や妄想などに振り回されない生活を送るために物事をしっかりと見つめて事実をつかみ、事実をつかんだらそれを認めることが重要だと思います。

私はこの考え方に全面的に賛同いたします。
普通生活の発見会は、世間一般では神経症を克服する会だと思われています。
具体的には全国各地で開催されている集談会に参加して森田理論を学ぶ。
同じ神経症で苦しんでいる人たちが、交流を深めて相互に援助しあう。
そして最終目標として、神経症を克服することだという暗黙の了解があります。

神経症で現に苦しんでいる人にとってこの考えは間違いではありません。

ただ、今の日本では神経症を克服するための方法はいくらでもあります。
薬物療法、認知行動療法をはじめとしたさまざまな精神療法、カウンセリングなどです。
こちらの方が主力となっています。
森田先生の時代は神経症を克服するための手段としては、森田療法がほぼすべてであったということを忘れてはなりません。

私は神経症の克服に当たっては、本人の希望する方法を選択するのが一番だと思っています。
別に森田療法を選択する必要はありません。また強制することもできません。
馬を水飲み場まで連れて行っても、馬が水を飲むことを拒否すればどうすることもできません。
神経症という蟻地獄から地上に這い出るためには、幅広い選択肢から選べばよいのです。
そして不安に振り回されないで、日常生活を取り戻せるようになることが目標となります。

他の精神療法でその目標が達成された場合神経症の治療はそれで終了となります。
アフターフォローはほぼありません。

これは入院森田療法、外来入院森田療法の場合も同様です。

しかしこの状態で見放されると、それはそれでとても厄介なことになります。
それは一言でいうと、不安に振り回されやすいという生きずらさが解消されていないということです。まがりなみにも神経症は克服できましたが、針の筵に座らされているような生きづらさを抱えているのです。
積極的に行動できるようになればなるほど、不安の種はどんどん増えてきます。
ということは、対症療法で放り出されると、また別の神経症を発生させてしまうということにもつながりかねません。認識の誤りが本当の意味で解消されていないからです。

根治を目指さない限り、いつまで経っても明るい未来はやってこないということです。

別の言い方をすると、神経症を治すだけの目標の立て方が間違っているということです。
神経症を治すとともに、人生観の確立を目指すという目標を持てるかどうかが問題になります。
神経症の克服は、神経質性格者としての人生観を確立するという最終目標からするとほんのごく一部の事でしかない。その意味をしっかりと確認して、共通認識にすることが必要です。
目標が変われば会の活動内容が変化してきます。森田先生の頃から比べると、森田理論学習の果たすべき役割が変化していることに注目することが肝心だと考えています。

生活の発見会は神経症を克服した人がたくさんいます。
普通でしたら神経症を克服したら、集談会に参加する意味はないはずです。
それでも熱心に参加されている人がいるということは、その意味をしっかりと掴んでおられる人だと思います。集談会は自分にとって役に立つものだという認識があるからこそ継続されているのです。決して困った人の役に立つという視点だけから参加しているわけではないのです。

この視点から発見誌の記事を読んでみると、生活の発見会は事実を発見していく会ではないかといわれています。つまり、「かくあるべし」という観念優先の立場から、事実を軽々しく取り扱うという態度を修正しようというのが生活の発見会の存在意義ではないでしょうかと問題提起をされています。まさに、この事実本位の態度を身につけるのが森田理論学習の目指しているところです。
ここで言いたいことは、生活の発見会は、神経質性格者の生き方を模索している日本で唯一の団体であるということです。
その目標に特化した活動が求められているということだと思われます。
改めてみんなで再認識したいものです。





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Last updated  2020.12.05 06:31:58
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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