森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.12.14
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森田先生のお話です。

まず私の自覚について、一例をあげてみれば、私にとっては死ということは、いかなる場合、いかなる条件にも、常に必ず絶対的に恐ろしいものである。
私はたとえ私が125歳まで生きたとしても、そのときに死が恐ろしくなくなることは、決してないということを予言することができる。
私は少年時代から40歳頃までは、死を恐れないように思う工夫をずいぶんやってきたけれども、「死は恐れざるを得ず」ということを明らかに知って後は、そのようなむだ骨折りをやめてしまったのであります。(森田全集 第5巻 113ページ)

誰でも死は恐ろしい。死の瞬間は息もできなくなって苦しむのではないか。
ガンやくも膜下出血などでは、耐えがたい痛みが出てくるのではないか。
飛行機の墜落、自動車事故、戦争などでの死は考えただけでも身震いする。
この世から自分が完全にいなくなってしまうというやるせない気持ちも湧き上がってくる。

でも死は避けられない。どう対応すればよいのか。

安楽死を考える人もいる。
苦しまないためにモルヒネを打ってもらいたいと考える人もいる。
あるいは精神を鍛えて、死を恐れない人間になろうとする人もいる。
宗教などに救いを求める人もいる。
来世に生まれ変わることを心の支えにして、死を乗り越えたいと思う人もいる。
なんとか死の苦しみから逃れるために、色々とやりくりをしているのだが、確信にまで至ることは極めて難しい。

森田先生は、「死が恐ろしい」という感情は誰もが持つ自然な感情である。
自然な感情は、人間の意志の力で操作することは不可能である。
死に対して心身を鍛えたり、救いを求める行動は、精神交互作用により、ますます自分を苦しめていく。自分にできることは、「死が恐ろしい」という感情を素直に認めて受け入れることである。感情の事実に抵抗しないで、その恐怖の感情に浸りきってしまう方法を勧められているのである。 
「死が恐ろしい」という感情を無条件に受け入れると、なんだか自分が敗北してみじめになるような気がする。森田理論で考えていることはそうではないのです。
不安、恐怖、違和感、不快感などに抵抗することをやめるということは、事実唯真の世界に入るということになるのです。不安などと過度なかかわりを持たなくなるということは、事実本位の世界に自分の立ち位置を決めるということになるのです。この部分が重要なのです。


「かくあるべし」という観念中心の世界からも解放されていく。
今、現在、現実、現状の世界にしっかりとした足場を築き、これから柱を組み込んで家を建てていくという作業に入ることができるようになるのです。

その基礎ができていない状態、例えば砂地に家を建てるとどうなるか。
波に洗われ、大雨でいとも簡単に壊れてしまいます。
自然現象である不快な感情をやりくりするということは、このことを言っているのです。

感情の事実を受けいれるということは、生の欲望の発揮に向かって行動が開始できるという分岐点になっている ということです。
反対に「死が恐ろしい」という感情にとらわれている状態は、目の前の日常茶飯事、課題、目標、夢や希望に視線が向かっていないということです。

森田理論は「生の欲望の発揮」をことさら重要視しています。
「努力即幸福」という言葉かありますが、生の欲望の発揮に邁進している状態が、人間が一番活き活きとしているのだと教えてくれているのです。





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Last updated  2020.12.14 06:36:46
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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