森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.01.29
XML
森田先生のお話です。

これまで、不潔恐怖の患者はよく私の妻が治したものですが、たいていは一度や二度は、妻に泣かされたものです。少し残酷のようですけれども泣かないものは、どうも治り方が遅くて不完全のようです。つまり、よく完全に治るような人は、泣くばかり苦痛を忍んでも、必ず治したいという努力のある人です。それで治す人と治される人とが、うまくぴったりと行くときは、随分早く、2、3週間で治ることもあります。
ただズボラでズルイような人は、入院しても、あまり厳格にやれば、閉口して逃げ出すものですから、これを泣かせるという所までは行かないのであります。
私の妻に泣かされた人は、数えれば随分沢山ありますが、後ではみな感謝して、いつまでも恩を感じるものです。(森田全集 第5巻 612ページ)

ガスの元栓が気になる。戸締りが気になる。電気のスイッチが気になる。水道の栓を締めたかどうか気になる。手足や体にばい菌が付いたのではないかと気になる。車で人をはねたのではないかと気になる。ウィルスに侵されているのではないか。ガンにかかっているのではないか。
不安の種は真砂の数ほどあります。

こういうことにとらわれて、何度も確認行為をくりかえす人がいます。
生活に支障が出るようになると、強迫神経症のなかの「強迫行為」といわれています。
強迫行為をしながら、自分自身や自分の行動を否定しているという自覚があるのが特徴です。

つまり森田でいう「かくあるべし」の強い人です。
観念優先の態度が習慣化されていて、どうしても行動優先に切り替わらない。

森田先生のところでは、強迫行為をしている人が入院してくると、第三者が介入して、有無を言わせず無理やり強迫行為を中止させるという荒療法をとっていたのです。
強迫行為によって、不安を解消して一時的な安心感を得ようとしていたのに、それを禁止されるのですからたまったものではありません。気が狂うほど、泣きわめいて抵抗する訳です。
しかしこの方法が一番効果があったというのです。
それぐらい強迫行為の治療は難しいということです。

現代はこの方法は不可能です。下手をすると虐待と間違われる。
ではどんな方法があるのか。
先ずは薬物療法で不安を軽減する方法があります。
そのうえで、慈恵医科大学第三病院などに入院する方法があります。
あるいは、外来森田療法を受けることになります。

私は森田療法をお勧めしています。

それから、生活の発見会の中に、強迫行為で苦しんでいる人たちの自助組織があります。
生泉会という組織で、全国から参加されています。
この会に参加して、仲間同士励まし合い、克服した人の話を参考にするのです。
強迫行為は一人で乗り越えることは、ほぼ不可能と認識することが大切です。


それから強迫行為を治すための足がかりとなる書籍があります。
「強迫神経症の世界を生きて」 明念倫子 白揚社
仲間とともに「強迫神経症を生きる」 生泉会発行 問い合わせは生活の発見会
この二冊はぜひとも読んでみてください。
神経症で苦しんでいる人も大変参考になります。
特に森田理論の精神拮抗作用のからくりをしっかりと理解することができます。

いずれにしても、強迫行為を伴う強迫神経症は対症療法で簡単に治るようなものではないようです。気になる事を完全になくするというような希望を持たないほうが宜しいかと思います。
気にはなるが、生活していく上においては支障がない状態が完治と心得ることが大切になります。強迫神経症を抱えながら、日常生活を淡々と送れている方は、もうすでに何かを掴んでいる人です。強迫神経症によって人生の指針を掴むことができれば、まさに雨降って地が固まるということになるわけです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.01.29 07:56:14
コメントを書く
[生活の発見会・集談会] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

X youhei00002 フォローしてください@ Re:愛着障害について(03/12) X youhei00002 フォローしてください
森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: