森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.09.29
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山本昌さんのお話です。

悩みや心配事が仕事の足を引っ張るというのは、大いなる誤解か、言い訳である。
「一病息災」という言葉があるように、努力を怠らなければ、悩みや心配事は1つや2つあった方が仕事はうまくいくのだ。
僕の場合、故障をかかえ、「ヤバイかな」と心配しながら登板した時は、意外にいい結果が出ている。神経が「心配」のほうに集中しているため、緊張することを忘れてしまっているからだ。
したがってリキむこともなければ、緊張に気持ちがうわずることもない。
しかも不安を押して登板しているのだから、腹のくくりもある。
好投する条件がそろうというわけである。
(継続する心 山本昌 青志社 184ページ)

神経症になるような人は、このようには考えないのです。

その不安を徹底的に退治しないと、我慢できない。
つまり不安に対して「分散」の態度が必要なのに、それとは真逆の「集中」の道をひた走っているということになります。
これは空に一点の雲もない日本晴れをイメージしているようなものです。
でも現実にはそんなにすっきりした状況にはなれない。

こういう人は、人間はいくつもの不安を抱えて、未練を残したまま、目の前の目的や目標に向かって前進していかざるを得ないのが宿命だと観念することです。
その方が不安が皆無の時よりも、事がスムーズに進展していくということです。
それはまったく無視することのできない課題がいくつもあるために、「注意の集中」が起きないためです。適度な「意識や注意の分散」がよい効果をもたらしているのです。

でもどうしても一つの不安に振り回されてしまうという人は、森田理論学習をしてほしい。
症状の固着に「精神交互作用」が大きく影響しているという部分です。
それが理解できたら、さらに「不安と欲望」の単元もよく学習して欲しい。
これによると不安は欲望の裏返しであるという。

欲望が大きくなれば不安も大きくなるという。

この関係は、本体と影の関係と同じである。
天気のよい日に外を歩いていると影ができる。
本体が移動すれば、影はどこまでもついてくる。
その影を箒で履いて無くしてしまおうと考えるのは間違いということになります。


不安は信号でいえば、欲望を追いかけている時に、黄色や赤信号を点滅させて注意喚起をしてくれているのです。後先考えずに欲望を追い求めていると、思わぬ不覚を取ることがありますよと親切に教えてくれているのです。不安に留意して慎重に行動すればよいのです。

不安に一つ一つこだわって、対応していると、元々目指していた目的や目標を見失ってしまう。
これは極めて恐ろしいことです。この点が問題になるのです。
進むべき方向性を失うと、GPS機能が壊れた飛行機のような状態になります。
目的地が分からなくなり、むやみに飛び回っているだけでは、不安はどんどん増幅します。
人間は生きている限り、目的や目標から目を離してはいけないということだと思います。
目的や目標を放置して、一つの不安に意識や注意を向けていると、精神交互作用によって、神経症という蟻地獄の底に落ちてしまいます。
一旦神経症として固着してしまうと、地上に這い出すことはとても難しくなるのです。





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Last updated  2024.06.04 10:14:39
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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