森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.10.07
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
昨日の続きです。

原晋さんは、東広島営業所で3年ほど過ごしたのち、広島北営業所の可部サービスセンターへの移動となった。入社から8年間で頂点の本店から、支店、営業所に順繰りに格下げされて、どん底のサービスセンターへと突き落とされたのである。
この時点で、よくぞ退職しなかったものだと思う。

逆にこのサービスセンター勤務こそが逆転人生の幕開けとなっていったのです。
ここでの勤務が、下降人生が向きを変えて上昇人生へのターニングポイントとなっている。
普通はどん底に陥ると運命を呪い、意気消沈するものだが、ここから這い上がるのだという決意を固めたということに驚きを隠せない。
森田でいえば、自分の運命を否定することを止めて、最悪の状態をスタート地点に定めたということです。以後の人生は怒涛の快進撃を見せている。
どんなことに取り組まれたのか興味が尽きない。

時あたかも、電力自由化により、消費者は安い電力会社と自由に契約できるようになった。

中電としては、お客様を他の電力会社に奪われてはじり貧になる。
そこで、ピーク時の電力消費を極力抑えてもらい、その分お得な料金プランを提案するという仕事が生まれたのです。これは「夏季操業調整契約」というそうだ。

副長の塩屋さんから、「これがうまくいったら君の人生も開ける。とにかく思い切ってやってみろ」と言われた。
原さんは提案営業の中身について勉強し、あちこちの店、学校、工場を回った。
コネもない、紹介者もいない。最初はすべて飛び込みだったという。
可部には1年半いたが、そのうち契約本数が、どんどん増えていったという。
原さんも営業の仕事が面白いと感じるようになっていった。
そのうち、原さんたちの働きぶりは、社内的にも広く知れ渡るようになったという。
上部組織の広島北営業所からは、営業所の実績を大きく引き離す仕事ぶりに対して「やりすぎだ」と嫌味を言われる有様だった。

そんな折、エコアイス事業が始まった。
エコアイスというのは、割安な夜間電力を使った空調システムのことだ。

社内試験になんとか合格して、山口県徳山市に配属された。
ここで営業力がいかんなく発揮された。
特に、チームリーダーとして、組織をまとめ上げて、成果を上げるという自分でも忘れかけていた資質がよみがえってきたと言われている。
世羅高校や中京大学で主将としての経験が活きたと言われている。
小さい頃からガキ大将として、近所の友達を取りまとめていた能力がよみがえってきたのだろう。ここでの成果は、本店営業部で認められて、表彰されている。


そして新会社のハウスプラス中国住宅保証の立ち上げに取り組んだ。
住宅性能表示制度を普及するための会社である。最初は5人から始まった。
最初は雲をつかむような苦しい経営が続いたが、新事業は徐々に軌道に乗っていった。
2年後の2003年には、中国地方で単独トップの営業利益を上げた。

順風満帆の頃、世羅高校の2年後輩で青山学院陸上部OBの瀬戸昇さんから、「原さん、青学で監督をやってみませんか。陸上部が、箱根駅伝で勝てる人を探しているのです」と誘いかけられたのだそうです。瀬戸さんは、これまでの原さんの営業力を高く評価している人だった。
これが青学陸上部の再生に役立つはずだと太鼓判を押されていたのである。
原さんは、新築の家を買ったばかりであったが、また新たな道を求めて挑戦することになった。
青学陸上部でも困難の連続であったが、2015年の箱根駅伝で青学史上初となる総合優勝を果たした。2004年に監督に就任してから実に11年目の快挙であった。

原さんの逆転人生は、一つの成果を上げるたびに新たな目標を設定して、新たなステージに進まれている。それぞれに難しい課題が待ち構えていたが、しり込みしないで前に進まれている。
これが人間本来の生き方ではありませんかと問題提起されているように思う。

一般的には、ある分野で使い物にならない場合、その人の人間性まで否定して、全てダメ人間として取り扱うことが多い。原さんは陸上ではほとんど成果を出していないダメ選手でした。
でも営業をやらせてみたら、今まででは考えられないような光り輝く人間に変身したではありませんか。さらにリーダー、マネージメント、監督をやらせてみたら、これまた前人未到の成果を出して期待に答えたではありませんか。一見ダメ人間に見えても、適材適所の働き場所を与えると、人間は底力を発揮するということだと思います

自分は何をやってもダメだと思っている人。
あいつは何をやらせても箸にも棒にもかからない奴だと非難・否定して、リストラさせようとしている人。そんな風に簡単に見限ってしまうことは、ちょっと待ってください。
あなたがイライラする前に、今は自分の能力や可能性が見いだせないで、本人も苦しんでいるのですよ。そんな人をダメ人間扱いして見捨ててもいいのでしょうか。
そのやり方は、本人にとっても社会にとっても不幸なことではありませんか。
そんなことをしていると、天に唾するようなもので、いずれ自分に降りかかってくるのではありませんか。

その人の活躍の場所は必ずあるはずだ。そんな見方はできないものでしょうか。
かすかな希望を持って、寄り添い見守ってあげることはできないものでしょうか。
これは森田理論でいえば、「己れの性を尽くし、他人の性を尽くす」ということにつながる考えだと思います。原さんの逆転人生を見ていると、どんな人間でもその人に合う居場所を与えると、水を得た魚のように元気になるということだと思います。





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Last updated  2021.10.07 06:20:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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