森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.12.03
XML
相田みつをさんは、困難に出会って打開策が見つからないで、つまづいてイライラする自分を責めてはいけませんよと言われています。

つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの

つまづいたり ころんだり したおかげで
物事を深く考えられるようになりました

あやまちや失敗をくり返したおかげで
少しずつだが
人のやることを 暖かい眼で
見られるようになりました

何回も追いつめられたおかげで
人間としての 自分の弱さと だらしなさを
いやというほど知りました

だまされたり 裏切られたり したおかげで
馬鹿正直で 親切な人間の暖かさも知りました

そして・・・
身近な人の死に逢うたびに
人のいのちのはかなさと
いま ここに
生きていることの尊さを
骨身にしみて味わいました
(にんげんだもの 相田みつを 文化出版局)


世の中は自分が考えている通りに事が進まないことがほとんどです。
思い切って挑戦しても、行く手を大きな壁に阻まれて立ち往生することあります。挑戦していく中で、取り返しのつかないミス、失敗をすることもあります。
他人から無視、非難、否定される場面も避けて通ることはできません。
他人から攻撃される、騙される、裏切られることもしばしば発生します。

これらの「つまづき」に対して、自分に愛想をつかして、自己嫌悪することがあります。自分のなかに住んでいる観念の世界の自分が、現実で苦しんでいる自分を攻撃しているのです。
これは戦争の時、最前線で闘っている兵士が、形勢が不利になって後ずさり始めたとき、後ろに控えていた味方が、「撤退しないで、死ぬまで戦え」と銃で脅しをかけているようなものです。
目の前の敵とも戦わないといけない。背後から脅しをかけている味方のことも無視できない。注意が分散し、右往左往して混乱しています。
精神が錯乱状態に陥っているのです。

意欲的に行動しなさいと言われても、エネルギーが枯渇しているのでどうにもなりません。これは神経症と格闘している状況とよく似ていると思います。

この場合は、観念の世界の自分が、現実でのたうち回っている自分に寄り添って、「大丈夫だよ。いつも近くにいて見守ってあげる。
いざとなったら自分があなたを守り通してあげる。
だから、防御することは考えないで、目の前のことに精一杯取り組んでください」と言って励ましてあげることが大切です。

人間は欲求、欲望、課題、目的、目標、夢、希望を持って努力精進していくことが宿命づけられた生き物です。
でもそれらが自分の思い通りにすんなりと達成されることはほとんどありません。困難な壁が必ず立ちはだかっています。その壁を見極めることが大切です。

冬山登山では、天候が回復しないで、8合目まで登ってもう少しで登頂できるときでも、勇気ある撤退を余儀なくされることがあります。
万が一にかけて、無理やり強行すると命を失う確率が高くなります。
今までの努力や資金が無駄になっても、一旦は撤退することが大切になります。
撤退して、態勢を立て直し、再度時期を変えて再チャレンジすることが大切になります。その時、天候を恨み、運のなさを嘆き、自分の能力や勇気を否定することは、百害あって一利なしです。
チャンスはまたいつか来る。その時を待とう。

でも努力精進した今までの生き方は、満足できるものであったし、これからの人生に活きてくるはずだと考えることです。
これは森田理論でいう「努力即幸福」、プロセス第一の考え方です。

相田さんの「つまづいたっていいじゃない」というのは、どんなにいたらない自分であっても、決して見放し、否定してはいけない。
観念の世界から見下すようなことをやめて、現実の世界に降りて行き、付き添い見守る態度がいちばん大切ですよと言われているような気がします。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.12.03 06:41:01
コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: