それは1時間で25軒、2時間で40軒、何も (N)
考えないで (K)
行動する (K)
というすさまじい訪問活動でした。
「考えたら身体が動かなくなる。まず何も考えずにひたすらお得意様を訪問しよう」というものです。
1時間25軒回るためには無駄話はしない。
各得意先の訪問時間は約10秒。例えば、新商品のサンプルを置いてくる。
リーフレットを置いてくる。情報を伝える。
そんなシンプルなことを次々にやっていくのです。
「どうもキリンです。新商品のサンプルです。お願いします」
この営業マンの担当エリアは静岡だったのですが、「いちばん元気なビールメーカーは?」というアンケートに「キリン」と回答した割合が格段に増えた。
活動前には 18
パーセントだったものが、 1
年後には 40
パーセントにも達した。
常識的に考えると、得意先を訪問するときは、事前にしっかりと訪問計画を立てる。 1
軒当たり、ある程度の時間をかけて訪問し、信頼関係作りから始める。
おのずと訪問件数は少なくなるが、それは仕方ないと考える。
(
キリンビール高知支店の軌跡 田村潤 講談社新書 要旨引用 )
この営業スタイルは、訪問営業のローラー作戦と同じものです。
10件訪問すれば1件の成約が獲得できるという「大数の法則」に従って淡々と営業活動をこなしていくのです。
断られたら自尊心が傷つくと考えている人にとって、実行は極めてハードルが高いのです。
気分本位でイヤなこと、辛いこと、面倒なこと、気がすすまないことからつい逃避してしまう人も難しい。
成約になることに確信が持てたときに営業活動をすると考えている人もハードルが高い。
そんな無駄な訪問をするのは効率が悪い。
時間の無駄だというのは考えものです。
そう考えている人は失敗の経験が積みあがっていきません。
営業能力の向上は、失敗の経験をいかに数多く積み重ねるかにあります。
失敗することで成功のためのノウハウを身に着けることができるのです。
ローラー作戦は優秀営業マンになるための登竜門となっているのです。
さらに考える前に身体を動かすという営業スタイルが習慣化してくると、仕事をさぼることは居心地が悪くなってきます。
周りで見ている人が、「そんなことがよくできますね。よく身体がもちますね」と言われてもピンと来なくなる。
自分を鼓舞して、無理やり行動しているという気負いがなくなってくるからです。
習慣化するということは、仕事がルーティン化しているということです。
これはよい習慣だけでなく、悪い習慣も同様なことが起きますので注意が必要です。
何も考えずに、同じ時間に、同じ行動が繰り返されるようになっているのです。
気負いはありません。あくまでも毎日やるべきことを何も考えないで、淡々とこなしているだけなのです。
平凡を積み重ねていくと、非凡な成果を生み出すということを忘れないようにしたいものです。
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