ミシュランガイドで3つ星を獲得しているシェフが、料理は一つ一つの作業を取りだしてみると、単純作業の繰り返しなのです。
その単純作業の中にどれだけ多くの疑問や改善点を見つけることができるか。そして工夫や改善を繰り返して、さらなる高みを目指すのが一流シェフなのだそうです。
これは私たちでいうと、「凡事徹底」のことだと思います。
言われたからイヤイヤやっていますというのは、初期段階はしかたがない。
でもこの段階で終わってしまっては、気づきや発見は生まれてきません。
目の前の仕事に一心不乱に取り組むと、感情が流れて、次第に仕事は面白くなります。
一流料理人になるためには、いかに下ごしらえに時間をかけているかにかかっています。
芋の皮一つむくにも、魚の鱗一枚落とすにも、心をこめて何年もやらないと一流にはなれません。
料理人の世界では昔から、芋の皮むき3年、ネギの細切り丸4年などといわれて、来る日も来る日も一つのことをとことんやり抜いた。
一日の仕事が終わって親方たちが帰ると、若い修業中の料理人たちは厨房を貸してもらい、料理の練習をしながらさらに下ごしらえの経験を積んでいく。
そんなことを繰り返しているうちに、彼らは素材の扱い方を知り、食べるということの素晴らしさを学んでいき、堕落を振り払うのである。
こう考えると、料理人の下ごしらえというのは、料理そのものの下ごしらえであると同時に、自分の人生の下ごしらえでもあると言えます。
下ごしらえの基本は、とにかく無駄を出さないことだ。
大根の先やネギの青葉、魚の粗なんて、今の年季の少ない料理人は捨ててしまうことが多い。
昔の料理人は無駄を出すことをしなかった。
だから真剣にならざるを得なかったのです。
これは森田理論で言うと「物の性を尽くす」ということです。
神経質な人は、クリエイティブな仕事、人から賞賛を浴びるような仕事こそが価値のある仕事だと思っています。
誰でもできるような簡単な仕事にはそっぽを向いてしまうのです。
仕事というのは、分解してしまえば単純な仕事ばかりである。
そんな仕事が寄り集まって複雑で難しい仕事になっているのだということだと思います。
細かい仕事に真剣に取り組むことで仕事の土台ができてくる。
そして人間としての土台がでてくる。
そういう人が作り出す料理は他人を感動させる。
それは料理を通じて人生の極意を感じるからかもしれない。
食の堕落と日本人 小泉武夫 東洋経済新報社 90ページより引用 )
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