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【フルカラー】闘技場の戦姫 〜another story〜 Complete版【電子書籍】[ わかつきひかる ]価格:756円 (2018/7/31時点) 以前レビューしたわかつきひかるの「闘技場の戦姫」だが、ひょんなことからanother story があることを知った。下巻のみkindle用に購入してみたが、どうもビデオ版アニメの絵を集めてコミックス仕立てにしたもののようだ。ヒロインは、本編と同じ隣国で剣闘士奴隷にされている王女スカーレット。 私のkindleでは色は分からないのだが、PCのkindleソフトで見てみると、なるほどフルカラーだ。ちなみに、以前紹介した「闘技場の戦姫」は、スカーレットの脱出に手を貸しているグスタフとのイチャイチャが目立ったが、こちらの方は、エロエロを追求した作りになっている。 本編の方では、彼女たちは無事に関所を通過できているのだが、こちらではスカーレットは関所の役人に捕まり、いろいろとご奉仕させられるというのが基本的なストーリーである。 娼婦に化けて関所を通過しようとしたスカーレットだが、結局関所の役人に王女だと見破られてしまう。下種びた関所役人の王女雌奴隷化計画により、スカーレットはいろいろと調教されてしまうのである。役人は、スカーレットを罪人として国に引き渡すより、雌奴隷にしてご奉仕させることにしたのだ。なにしろ王女さまを奴隷化してご奉仕させるチャンスというのは小役人にはそうあるものではない。 そして媚薬漬けの奴隷調教。拘束されて、あんなことやこんなことも。全裸で吊り下げられて、鞭でビシバシやられることにも快感を感じるようになってしまう。誇り高く強かった戦姫も、体を拘束されていてはどうしようもない。いつしか自分の体の色々な部分で、小役人に恥ずかしいご奉仕をするだけのただの雌奴隷に。最後にはあることがきっかけで、自分を取り戻すのだが、それまで媚薬漬けにされてさんざん調教されていたお姫様のこと、後遺症とか依存症とかは大丈夫かとつい思ってしまうのだが。 ちょっとドン引きな感じもしないではないのだが、高貴な王女が、いろいろ調教されるシーンに萌える人にとってはおススメかも? 18禁らしいから、そのつもりで。誰ですか、ハアハアしているのは(笑)。ただし、本編のようにハッピーなところはどこにもないということだけを付け加えておこう。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 31, 2018
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地理 2018年 07月号 [雑誌]価格:1300円(税込、送料無料) (2018/7/29時点) すっかり嵌ってしまった月刊地理。今月号の特集は、「インド 変わる大都市圏」だ。インドというと多くの人は次のようなことを連想するのではないだろうか。仏教の古里。ヒンズー教とカースト制度、ヨガなど。インダス文明、ガンジス文明発祥の国。近年はIT大国として知られていることなどを思った人はかなり立派な人だ。インド出身の天才数学者ラマヌジャンを思い浮かべた人は稀有といってもいいだろう。かように私たちは、インドについて知っていることは少ないのである。 そのインドは、近年経済成長によりその姿をどんどん変えている。本特集はインドの大都市圏が近年どのように変わっていくかについて述べたものだ。例えば、インドでは、近年の急激な経済成長に伴って、都市圏がどんどん拡がっている。例えば、首都のニューデリーを含む首都特別地域であるデリーは、最初は都市面積わずか43.3平方キロしかなかったものが、どんどん拡大して、現在の1483.0平方キロになった。 消費市場も拡大しており、ショッピングモールなどの新しい流通システムも見られるようになった。eコマースも急拡大。かってはビジネス関係の講演会などに行くと、車の例がよく語られていた。日本は、インド向けのスペックで作らないから売れない。日本と同じように考えるとオーバースペックになってしまい高価なものになるからだと。しかし、今インドで一番車を販売しているのは日経企業のマルチ・スズキ社だ。時代はどんどん変わっている。 「アーバンビレッジ」というものもなかなか興味深い。「アーバンビレッジ」というのは都市計画区域から除外された農村集落で上下水道や道路などが未整備ではあり、多くの地域問題はあるものの、大都市圏への安い住宅の供給地として重要な役目を果たしているという。 ちょっと気にかかることがある。「デリー首都圏における市街地の形成と変化」では、同じ論文の中で、面積の単位に平方キロを使うだけでなく、エーカーを使ったり平方ヤードを使っているのはどうなのだろうか。普段からこの単位に馴染みがあれば、問題はないのだが、日本にはそれほど馴染みがないのではないだろうか(最も、ヤードはゴルファーなら馴染んでいるかも)また、インドの貨幣単位ルピーも分かりにくい。ここは注釈でも日本円で大体いくらくらいの記載をして欲しかった。(為替レートの変動があるので、正確にはできないが、〇月〇日で日付を限って換算すれば、不可能ではないと思う。) 兵法の一つに遠交近攻というのものがある。近い国とは争って遠い国とは親交を結ぶというものだ。この時代に、戦争をするというのは論外だが、私たちはもっとインドのことを知ってもいいのではないだろうか。インドは対日感情もいいと聞く。アジアで国として最も親交を結ぶべきはインドだろうと思う。 ところで、この号を読んでいる時に、たまたまテレビでインド版「巨人の星」を紹介していた。ただし野球ではなく、インドの国民的スポーツであるクリケットが対象だ。インドならではの変更点もいろいろとあるようだが、案外こんなところから相互理解が進んでいくのかもしれない。
July 29, 2018
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書評専門サイトである「シミルボン」に私のインタビュー記事が昨日掲載されております。 ⇒こちら
July 27, 2018
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水戸黄門 天下の副編集長 (徳間文庫) [ 月村了衛 ]価格:723円(税込、送料無料) (2018/7/27時点) 天下の副将軍水戸の黄門さま(実際には江戸時代には副将軍という役職についた者はなかったようだが)が、「大日本史」の原稿が遅れている著者のもとに原稿取りに。ドラマのように世直し漫遊記ではなく、原稿取り漫遊記。つまりは一種のパロディもの。 おなじみ助さん格さんも出てくるが、こちらは佐々介三郎、安積覚兵衛とモデルになった人物の実名。つまりは介さん覚さんというわけだが、どちらも学究肌の人物で、ドラマとは違って、腕の方はさっぱりという設定だ。 腕が立つのは、ご老公一行と原稿取りの旅に同行する、かげろうお銀ならぬ鬼編集長である鬼机のお吟。その正体は、ご老公が一番信頼する甲賀流忍者だ。 この机のお吟というのは、つまりは「デスク」ということなのだろう。なお、作品中においては「編集」とは言わずに一貫して「編修」という言葉になっている。デスクというのは必ずしもすべての会社で同じ扱いではないのだが、概ね編集長のようなものだろうか。 風車の弥七らしきものは出てくるが、こちらは将軍からご老公一同を助けるように命じられた公儀隠密。その本名が公儀隠密小頭衆筆頭中谷弥一郎だったり(ドラマで風車の弥七を演じていたのは中谷一郎)とパロディ精神がこんなところにも発揮されている。ただし柘植の飛猿やうっかり八兵衛なんかは出てこない。 ご老公一行に立ちふさがるのは、大日本史をパクリ、豊臣に有利な歴史をつくろうとしている真田の姫君真田月読と配下のくノ一4人。パクリやスランプなどの語源には民明書房ネタが使われている。ロミオとジュリエットのパロディなんかもある。果ては、月読と中谷が互いに魅かれあったりとなんだか思いもよらない展開に。 ドラマのような予定調和的な活躍はないが、そこかしこで笑えるシーンが満載だ。黄門さまが自ら原稿取りに行くというアイディアがなんとも面白い。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 27, 2018
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ラストサムライの挑戦! 技術立国ニッポンはここから始まった 明治日本の産業革命遺産 [ 岡田 晃 ]価格:2052円(税込、送料無料) (2018/7/25時点) 2015年に、「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録されたが、これは全部で23資産で構成されている。このように複数の資産が同じテーマを持って一括で認定される方式を「シリアル・ノミネーション方式」と呼ぶようだ。本書によれば、「シリアル・ノミネーション方式」で登録された世界遺産は他にもあるようだが、東は岩手県釜石から西は鹿児島までという、地理的に広範囲で構成資産も内容的に別々に見えるものは、珍しいという。 本書は、それらの構成資産についてそれに尽力した人の物語とともに一冊に纏めたものである。 明治維新の勝ち組は、俗に薩長土肥というが、直接描かれているのは、薩長肥で、それぞれ章を割いて解説している。土佐が直接出てこないのは、四国にこの産業革命遺産として指定されたものがないからだろう。しかし、間接的には、三菱の創始者である岩崎弥太郎を通じて語られている。岩崎弥太郎は、元々土佐の郷士が郷士株を手放して没落した地下浪人だった。ただし、彼が関連した施設は長崎に多い。 日本の近代化のため尽くしたのはなにも維新の勝ち組だけではない。幕臣である伊豆代官江川英龍やイギリス人でありながら長州ファイブや薩摩スチューデントなどを支援したグラバーの貢献を忘れてはならない。 西洋列強の力がちらつく中、幕末から明治にかけては多くの人材が国を守るために活躍したのだ。表紙にあるようにまさにラストサムライの挑戦。近代日本の成立には、このように多くの人々が関わっているということが本書を読めばよく分かる。当時は、国の力がなければ、他の多くのアジア諸国のように欧米の植民地にされていたような時代だ。彼らの働きがあったからこそ、日本は欧米の植民地になることなく明治の世を迎えられたのだろう。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 25, 2018
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【中古】 からかい上手の(元)高木さん(1) サンデーCSPゲッサン/稲葉光史(著者),山本崇一朗(その他) 【中古】afb価格:548円(税込、送料別) (2018/7/23時点) 以前深夜アニメで放映されていた「からかい上手の高木さん」のその後を描いた作品の1巻目。続編と言えばいいのか、スピンオフと言えばいいのか。本編の「からかい上手の高木さん」というのは、美少女の高木さんが何かにつけ隣の席の西方君をからかい、西方君もそれに対抗意識を持つというラブコメだ。 案の定というか予定調和というか、この作品では、高木さんは西片君と結婚して二人の間にはちーちゃんというとっても可愛らしい一人娘もいる。タイトルの(元)高木さんというのは、高木さんは西方君と結婚して苗字が西方に変わっているためだ。ちなみに、西方君は中学校の体育教師をやっているようである。 西方くんが、(元)高木さんにからかわれているのは相変わらず。おまけに娘にまでからかわれ、腕立て伏せをする回数がどんどん増えているような。(西方君は中学生のころから、高木さんにからかわれると腕立て伏せをしていた) でも「好きだからからかう」と言われてまんざらでもないような。雰囲気はとってもいい感じ。読んでいてほのぼのしてくる。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 23, 2018
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なんでここに先生が!?(4) (ヤンマガKCスペシャル) [ 蘇募 ロウ ]価格:637円(税込、送料無料) (2018/7/19時点) 今回成立するのは、4組目のバカップル。保健の先生で、生徒たちからは冷たい先生だと思われている絶対零度の立花と生徒会会長を引退した卒業間近の田中。 舞台は、3巻目と同じ川沼東高。ただし、田中は、1巻目と2巻目の主人公で川沼西高に通う佐藤、鈴木と同じ中学出身という設定だ。 立花先生は、巨乳で美人だが、無口で無表情。しかし表情が乏しいだけで、実際は生徒と仲良くしたいと思っている。そのためには感情豊かな田中を観察すればいいということで、なにかにつけ田中に接近してくる。 一見氷雪系美女なのだか、実は可愛らしくポンコツ系の立花のことを次第に好きになる田中君。一方立花の方も田中のことをどんどん意識してくるのだ。 一口で言えば、女教師と生徒の禁断の愛ということなのだが、そんな淫靡さはどこにもない。いわゆるラッキースケベなシーンはそこかしこにあるのだが、とにかく笑えることばかり。 しかし、ラッキースケベで胸を揉んでしまうくらいならともかく、裸を見たり、色々なところをまさぐったり、指を大事なところに突っ込んだり・・・。これ完全にラッキースケベを超えていると思うのだが・・・。 これが逆ならそう珍しい話ではない。私が通っていた田舎の高校は1学年3クラスしかない小さな学校だったが、元教え子と結婚したと噂の男性教師が3人くらいいたような記憶が・・・。だから女性教師と(元)教え子という組み合わせもそう不思議なことではないと思う。 でも、こんな若くて可愛い女性教師が揃っている学校なんてそんなにないと思うのだが。 巻末には、おまけ漫画があり、4組のカップルが、卒業旅行。どのカップルも、女性教師と(元)生徒の組み合わせだ。予約のトラブルで、立花と田中のカップルだけ別のホテルに泊まることに。そのホテルがまさかのラブホ。そこで立花は、私も経験ないけど保健の先生だから少しは教えられると、田中にまさかの保健の個人授業。いろいろ失敗しながらも、二人は他のカップルより一足先に大人の階段を上ったようだ。 まだまだこのシリーズ続いているようだから、この後どう展開していくのかとっても楽しみだ。絵柄は書影の通りとっても綺麗。いま一番気に入っているものの一つだ。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 19, 2018
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妖談へらへら月 耳袋秘帖 (文春文庫) [ 風野真知雄 ]価格:648円(税込、送料無料) (2018/7/17時点) 元祖入れ墨奉行の根岸肥前守鎮衛が活躍する「耳袋秘帖」シリーズのうちの一冊。「耳袋秘帖」シリーズは、大きく分けて殺人事件シリーズと妖談シリーズに分けらられるが、この作品は、妖談シリーズの5巻目となる。描かれるのは、さんじゅあんという謎の人物との戦い。なお、妖談シリーズは、7巻目の「妖談うつろ舟」で完結している。さんじゅあんは、新興宗教の教祖のような存在で、その影響は一般庶民だけでなく幕閣にも及んでおり、殺人集団である闇の者とも関係があるようだ。 江戸では、「神隠し」が頻発していた。例えば、印籠職人卯之吉の一家4人が忽然と姿を消している。手がかりは、子供が話していたという「へらへら月」。いったい「へらへら月」とは何なのか。 もっとも、作中に出てくる神隠しは、みなが同じ原因という訳ではない。神隠しの裏には、「神隠しと日本人」(小松和彦:角川書店)で指摘されているように、色々な背景が隠されているのだ。本作でも、本筋のさんじゅあんに関係するものばかりでなく、その他のケースも示される。 作中でちょっと気になった人物が一人いた。生駒左近という元旗本のこつじき。無外流の剣の達人で、旗本きっての奇人と言われ、いったん出家したが、堕落した既存の仏教に愛想をつかし、今は仏の道を求めて、桶の中に済んでいるという。巷では「桶のこつじき」と呼ばれている。なんだか、ギリシアで樽の中に住んでいたという哲人ディオゲネスを連想するではないか。彼に人殺しをさせたいと怪しい男が近づいてくる。こちらもどのような展開を見せるのか読んでみてのお楽しみ。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 17, 2018
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誰でもすぐ使える雑談術 初めのひとことがうまく言えるコツ [ 吉田幸弘 ]価格:1512円(税込、送料無料) (2018/7/15時点) 実は私は雑談というのが苦手である。元々口数は少ないが、何か話す目的があればともかく、あまり世間話というものはしない方だ。別にそれで困ったことはなかったが、職種によっては、雑談を行うためのテクニックは身に着けておいた方がいいだろう。例えば営業職などは、ある程度の雑談ができた方がいいと思う。 本書は、「雑談は元々のセンスではなく、トレーニングと思考次第でうまくなれる」(p3)ということについて詳細に解説したものだ。雑談の糸口は色々ある。本書の教えるところによれば、例えば相手と交換する名刺でも雑談のネタになるのだ。その他雑談のための注意事項がいっぱい詰まっている。たかが雑談と軽んじてはいけない。雑談の内容ひとつで相手の受けとり方はかなり違ってくるのである。 ただ、本書を読んで得られるのは、様々なヒントや注意事項である。雑談名人になろうと思えば、色々な場面で実践あるのみだろうと思う。一冊本を読んだからといって、すぐにその道の名人になれるというような虫のいい話はどこにももころがってないのだ。 ただ、雑談も時と場合による。これは私の経験したことだが、郵便局の窓口で、待っている人がいるにも関わらず、延々と雑談のような話をしている。これなど、他の人の迷惑にしかならない。このような場合は、必要なことをさっさと済ませるべきだろう。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 15, 2018
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七福神戦争 [ 遠藤 徹 ]価格:1404円(税込、送料無料) (2018/7/13時点) 底辺校だった札楽学園だったが、七福神によって優秀校に生まれ変わっていた。主人公は、この札楽学園のなかでも、底辺クラスのK組に在籍する賀茂という少年。 その学校に転校してきたのが三輪小角という美少女。しかし鬼の血を引く賀茂には、彼女に角と牙があるのが見える。小角によって傀儡の能力を開花させた賀茂は、小角の下僕として七福神と戦うことになる。 最初は、きっとこれは一種のボーイミーツガールもので、小角はツンデレキャラ。最後には、きっとデレぶりを見せるのだろうと予想していたが、結局小角にはデレはなく、最後まで賀茂は下僕のままだった(笑)。 最初のうちは、小角と賀茂のコンビが七福神たちと、なんだかわけのわからない勝負をして個別撃破していたので、このまま最後まで七人全員を倒していくのかと思ったら、物語は意外な展開を見せる。でも、勝負に勝っていたのは、勝負の審査委員長であるギリシアの哲学者ディオゲネスの詭弁に相手が騙されたからのような気も・・・。 ストーリーの至る所に散りばめられた小ネタギャグ。本職が学者らしく結構トリビア的な知識も入っており、なかなか楽しい。 ところで、七福神とは、通常は恵比須・大黒・弁天・毘沙門・福禄寿・布袋・寿老人のことを言うが、この作品では、なぜか紅一点である弁天の代わりに吉祥天が入っている。 まあ、吉祥天は弁天と混同されることもあるし、吉祥天を入れて八福神とする場合もあるが、この作品ではちょっとだけとはいえ弁天も出てくるのである。著者の経歴を考えれば、さすがに七福神について知らないはずはないので、これが何か重要な設定なのだろうかと思いながら、最後まで読んでいったが、どうも吉祥天にするような必然性は最後まで感じられなかった。 それにしても、表紙イラストの鬼っ娘が、けっこう可愛い。しかし、あの遠藤氏がまさかラノベのようなものを書くとは・・。※初出は、「本が好き!」です。
July 13, 2018
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QED〜ortus〜白山の頻闇価格:950円(税込、送料別) (2018/7/11時点) おなじみ、高田崇史のQEDシリーズの最新刊。収録されているのは表題作の「白山の頻闇」と「江戸の弥生闇」の中編2編。それぞれ描かれるのは白山信仰と菊理媛神および江戸吉原と勝山太夫の謎。これに現実の事件を絡めるのはいつもの通り。〇白山の頻闇 桑原崇と棚旗奈々は、結婚した奈々の妹沙織の誘いで金沢へ赴く。金沢には、菊理媛神の元締めともいえる神社があるので、今回タタルは乗り気だ。それにしてもまだ二人は結婚してない。このままの関係がずっと続いていくんじゃないかな。 ところで、菊理媛神とは、日本書紀に1行だけ出てくる謎の神様だ。黄泉の国から逃げかえるとき、黄泉平坂で伊弉諾尊は追ってきた伊弉冉尊と争っているときに、菊理媛神が突如現れ、何かを言い残して去っていく。 奈々は、巻き込まれ体質で、タタルとどこかに行くたびに事件に巻き込まれるのだが、今回は詩織の夫が事件に関係してくる。 しかし、こんな理由でこのような事件を起こす人間が今どきいるかは疑問だ。どこかのカルト宗教ならわからなくもないが。〇江戸の弥生闇 こちらは、奈々が明邦大学に入学したころの話だ。。友人につれてこられたオカルト同好会に桑原崇がいた。学生時代からかなりの変人だったようだ。この話のテーマは吉原、男の極楽、女の地獄、そしてもれなくビョーキ付きのあそこだ。そこで一世を風靡したという勝山太夫、その真実に迫る。これに近くの高級マンションで起きたという自殺事件の真実を絡めた作品だ。 白山神社は、菊理媛神という女神を祀っているはずなのに雄千木になっているとか、怨霊は真っ直ぐにしか進めないので、怨霊を祀っている神社は参道が真っ直ぐになっていないとか、こういった蘊蓄がだんだんとついてくるのもこのシリーズの特徴だろう。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 11, 2018
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喜連川の風 参勤交代 (角川文庫) [ 稲葉 稔 ]価格:691円(税込、送料無料) (2018/7/9時点) 以前から喜連川(きつれがわ)藩については興味を持っていた。おそらく多くの人が聞いたことがあると思うが、江戸時代に、大名かどうかを区分するための基準は知行の石高が1万石以上あるかないかということだ。しかし、唯一の例外があった。この喜連川藩である。 なにしろ石高は僅かに5千石。その一方では、10万石の格式を与えられていた。そのうえ、藩主は、「御所さま」と呼ばれて 賦役や参勤交代などは免除されていたのである。特別待遇を受けていたのは、喜連川氏が足利将軍家の末裔だからだ。 いくら格式は高くとも、なにしろ5千石の貧乏藩である。藩士に与えられる扶持は、下士ではわずかに7石。筆頭家老でもわずかに200石程度しかない。しかし小さな藩でもそれなりに仕事はある。特に下のものは、上からの無茶ぶりがあるのはどの世界でも同じだ。、現代のブラック企業もびっくりというところだが、もちろんこれだけでは食べていけないので、藩士は、勤めの傍ら、上から下まで畑仕事に精を出していたのである。 藩自体も石高は少ないので別のところで稼ぐしかない。喜連川の場合はそれが宿場というわけである。特に参勤交代で大身の藩が泊まった場合は大きな実入りになる。この作品は、伊達藩の喜連川宿への宿泊を巡る一連の騒動を描いたものだ。 そして、この物語の主人公は、喜連川藩士の天野一角。藩での役職は中井。下士の最上位にあたるようだ。上と下との橋渡し役的な役職で、今で言えば中間管理職のようなものである。要するに係長クラスか。下からは突き上げられ、上からは無茶ぶりをされ、給料は驚くほど低いという損な役回りである。 伊達藩が喜連川宿に泊まる日には、山形天童藩の先約があった。要するにダブルブッキングである。しかし伊達藩は70万石、片や天童藩はわずかに2万石。藩への実入りを考えると、天童藩に日を変えてもらうしかない。このための交渉や、料理に何を出すか、宿場町をきれいにしてお客様に喜んでもらうためにはどうしたらいいのか。問題は山積みである。おまけに、無法者が領内に入り込んで狼藉を働いたり。とにかく次から次に解決すべき課題のようなものが出てくる。 この作品は、時代小説ではあるが、一種のビジネス小説として読めるのではないだろうか。時代小説ファンだけではなく、多くのビジネスマンにとっても得るところが多いに違いない。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 9, 2018
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心を休ませるために今日できる5つのこと マイクロ・レジリエンスで明日のエネルギーをチャージする [ ボニー・セント・ジョン ]価格:1836円(税込、送料無料) (2018/7/7時点) 本書は、マイクロ・レジリエンスについて述べた本である。マイクロ・レジリエンスという言葉は聞きなれないかもしれないが、そのまま日本語に訳した通り、「小さな回復法」という意味になる。要するに、本書に書かれている回復法を使えば、もっと心が活性化され、効率的な知的活動ができるというのである。具体的な話については、以下の5つになるが、それぞれ1章を割いて、詳しく解説している。1.脳の使い方を切り替える2.原始的な恐怖をリセットする3.思考のクセを見直す4.体をリフレッシュする5.心を活性化する そして章としては扱われてないが、最後に「すべてをまとめて実践する」ということで纏められている。 書かれていることは、実行するために難しくはない。ちょっとした時間に、ちょっとしたことを行うだけで、活力が回復するというのである。例えば、活動の合間にちょっとした運動を挟むとか、腹式呼吸による瞑想をするとか、水分や糖分をうまく摂ろう、適度な休憩を取れといったようなことだ。行うには大した手間もかからないし、お金もかからない、ましてや壺を買うようなこともない。書かれていることを、実際に試してみても損はないものと思う。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 7, 2018
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小説君の名は。 (角川文庫) [ 新海誠 ]価格:604円(税込、送料無料) (2018/7/5時点) 本書のテーマを簡単に言えば、「入れ替わり」と「時空を超えた愛」ということだろうか。田舎町に住む女子高生三葉と東京で暮らす男子高校生の瀧との間に起った不思議な出来事を描いたものだ。 実はこのタイトルを聞いたときに、昔あったドラマのリバイバルかリメイクかと思って、うちの子に白い目で見られてしまった。そう「真知子巻き」が流行したあれである。もちろん私も実際に観たことはないのだが、当時は大ヒットしたらしい。 この小説はアニメ作品のノベライズ版だが、映画の完成前に世に出たらしい。だから、原作かノベライズかというのは微妙なところのようだ。 ストーリーは、瀧と三葉の視点を切り替えながら進んでいく。ある日瀧が目を覚ますと、自分に胸の谷間があることに気付く。そう瀧と三葉の心が入れ替わっていたのだ。そこで瀧は慌てず騒がず、とりあえず、「もんでおくか」って、「オイ!」。いやそうなったら、健康な男子諸君は、普通はもんでみるよね。 実は、二人の入れ替わりは、ある大災害に関係してくるのだが、入れ替わるだけで出会うことはない。実は二人の生きている時間が違っていたのだ。一度、三葉は瀧に会いに東京に行ったのだが、瀧にとっては入れ替わりが起きる前の出来事。三葉の方は、瀧と分かっても、瀧の方は誰かは分からない。 そして、ラストでは本当の意味で二人は出会い、声を揃えて言う。 <― 君の、名前は、と>ここから、二人の本当のストーリーが始まるに違いない。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 5, 2018
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極道ピンポン [ 遠藤 徹 ]価格:1296円(税込、送料無料) (2018/7/3時点) なにしろ作者が、あの「姉飼」や「壊れた少女を拾ったので」を書いた遠藤徹氏。同志社大学の教授にして、ちょっと引いてしまうような内容の作品を書くことで知られた人物だ。きっとこの作品にもそんなところがあるのだろうと思っていたが、予想とはだいぶ違っていた。 内容は、二つのヤクザ屋さん「東犬会」と「極(アストロ)☆!興業!」の出入りなのだが、その方法がなんと卓球なのである。ヤクザ屋さんの決めゼリフ?である、「タマとったろうか!」の「タマ」が卓球の球(ボール)という訳だ。ドスや拳銃を卓球ラケットに変えての出入り。こんな抗争なら平和でいいんだがと思う。ちなみに、「極(アストロ)☆!興業!」のアストロは、あの伝説の野球漫画から来ているようだ。 とにかく登場人物がヘンな人たちばかりなのである。 誰もがかなりキャラが濃い。彼らを描いたクセの強いイラストも内容によくマッチしている。そのうえ、これでもか、これでもかと繰り出される小ネタギャグ。いったい、あのおどろおどろしい作風は、どこに行ったんだ?でも読んでいる間、大笑いしていたからいいんだけどね。ただ、作中に入っている映画の話、本当に必要なのだろうか。 ところで、「東犬会」の連れてきた色っぽいチャイナドレスの姐さんと、「極(アストロ)☆!興業!」の受付嬢、なにかの伏線になっているような気がしたのだが、最後にあんなことになるとは。でもなんだか、ちょっといい感じ。 これが、本当にあの遠藤氏の作品なのか? おどろおどろしさよりは、いい意味でのアホらしさを感じる。※初出は、「本が好き!」です。
July 3, 2018
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日曜の午後はミステリ作家とお茶を (創元推理文庫) [ ロバート・ロプレスティ ]価格:1101円(税込、送料無料) (2018/7/1時点) 本作において、シニカルな口調で語り手を務めるのは、主人公でミステリー作家のシャンクス。しかし、それほど売れているわけではないようで、売れないことに対する自虐的な話もある。ちなみに、妻はロマンス作家だ。これは、そんなシャンクスが活躍する14編の短編を集めた短編集である。 このシャンクスは、ミステリー作家だけあってなかなかの名探偵だ。なにしろ人から話を聞いただけで事件を推理してしまう。それだけではない。「シャンクス、昼食につきあう」では、妻が初めてのインタビューを受けている傍で、外の風景を眺めているだけで犯罪を感知しているし、「シャンクスの記憶」では、工事現場を見ただけで、犯罪の存在を見抜いたのである。 しかし、作家らしく、「シャンクス、物色してまわる」では、 婦人警官の使った単語、”prowl(物色する)”が自動詞か他動詞かにこだわっている(p103)のがなんとも面白い。 また、アメリカにおける出版事情なども分かり色々と興味深い。例えば次のような記載だ。<シャンクスは出版不況への不満を漏らし、実はここにいる作家の大半はこちらが期待するほど売れていないので、>(「シャンクス、殺される」(p137)) 出版不況が言われているのは、日本だけではなく、アメリカでもそうなのだと認識を新たにした次第だ。日米に共通する現象は何なのかと考えてみると、思い当たるのはネットの発達くらいしかない。 また、「シャンクスの手口」では、自分を酷評した批評家のことをかなり気にしている(p170)。私も長く書評を書いていると、よく頂き物をするのだが、それに対して作者や出版社などからの反応が直接的、間接的に結構ある。例えば、ツイッターで拡散したり、コメントを寄せたりといったように。やはり、気にしているのだろう。私のような無名の人間に対してもそうなのだから、評者がある程度名が知られているとなると一層だと思う。※初出は、「本が好き!」です。
July 1, 2018
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