








戸狩は阿波次郎を荘太郎にしたて銀家へ乗り込んでいました。何処からか笑い声が聞こえてきます。
戸狩 「何奴だ、名を名乗れ。姿を見せい」
荘太郎「姿はない。悪家老、犬山勘解由のため、刑場で首を斬られてしまった者
に、姿のあろうはずが無いわ、うわっはっはっは」
戸狩が急いで櫛を取ろうとした時、手裏剣を投げて荘太郎が現れます。
用人猿部甚内に迷うな、真の荘太郎は・・・。
荘太郎「戸狩、実父荘左衛門の仇、養父小松権之輔の仇、今日こそは打たずには
おかんぞ、覚悟せい」
戸狩 「面倒だ、荘太郎から先にやってしまえ」
荘太郎「見よ、天に口なし。汝自ら拙者を荘太郎と呼んだことこそ、ニセモノの
証拠だ」
居直り、牛堀一平の「出会え出会え」の声に手下たちが出てきました、立回りとなります。 (
約 3
分 30
秒の荘太郎の立回りになります )
庭に降りたり、廊下を上がったり下りたりして、大変 !
大変 !!
斬られた牛堀が小刀を投げます。素早く身をかわす荘太郎
。
そこを狙
ってただ一人残った戸狩が斬りこんで来ましたが・
・・激しい戦いも終りました。
休憩茶屋では渋川十内とお梶、そしてまだ気のふれている衣江が荘太郎の来るのを待っています。
渋川 「
どうであった
」
荘太郎「お蔭で、
父の敵を討ち果たすことができました
」
渋川 「よかった、よかった」
荘太郎「
櫛もこの通り
」
渋川 「この櫛のために、衣江殿は気の毒なことになった。よく見せてやれ」
荘太郎「はっ」
荘太郎「
衣江、櫛じゃ
」 


衣江がその言葉に、櫛をじーっと見つめています。そして、荘太郎の顔を見つめました。
荘太郎は、衣江の様子を見ています
。衣江は、首をかしげながら荘太郎の顔を見つめています。
荘太郎「
櫛だよ、分かるか・
・・
分かるな
。・・・取れ、櫛だ」
荘太郎、衣江に櫛を持たせます。櫛を手に取った衣江は櫛を見つめ、荘太郎を見つめていて、思い出したように櫛に頬ずりします。
荘太郎「・・衣江、
荘太郎じゃ、荘太郎じゃ
」

その声に、衣江が「荘太郎様」
荘太郎「衣江、
苦労をかけたなぁ
。さあ、これからはもう、心配はかけぬぞ。
一緒に江戸へ帰るのじゃ
」
渋川も安心したように・・二人も一緒に江戸へ向かいます。お梶には、荘太郎が幸せなら・・と分かってはいることです・・・
三人とは離れて一人江戸へ向かうのでした
。


(完)
月形龍之介さんとがっぷり四つでのものは、これが初めてだと思います。月形さんは、橋蔵さまにいろいろ教えてくださっていました。立回り以外は、本身を差しなさい。そうでないと動きに重みが出ないと言うことも。橋蔵さまが月形さんを訪ねると、いつもお着物をきちんと斬られているという方でした。
この作品も月形龍之介さんで所々をしっかりと締められているのが分かります。悪人を演じても、善人を演じても流石魅力のある俳優さんです。
この作品でデビューしたお梶役の松風利枝子さん後に松風はる美さん )
、何となく雰囲気から宝塚の男役をやってた方だな、と分かります。テレビに移ってからは時代劇、現代劇に出演していました。橋蔵さまの作品では「花吹雪鉄火纒」のに組の娘役で、長次が好きなのですが長次はその気がないという役でした。「大江戸の侠児」では二代目のお中老でちょっとだけでした。でもこの作品でのお梶はとても合っていたと思います。
この作品、初めに書きましたように、伝奇小説ですから、あるようなないような世界が描かれています。ですから、好き嫌いが分かれると思います。
しかし、これぞ、正にチャンバラ映画だというのは十分に味わえます。橋蔵さまの立回りは力強さがないと言われていましたが、反対に、橋蔵さまのような舞踊を見ているような流麗な動きをする殺陣を、他の人がマネできるでしょうか。当時でさえ、橋蔵さまのように綺麗に動ける俳優はいなかったのです。まして現代のバッタバッタと斬り倒せばよいという時代には、綺麗な流れの殺陣は新鮮に思えます。真似しようとしてもできるものではありません。流麗な動きで斬っていく殺陣は見ていて気持ちのよいものです。
「修羅時鳥」では橋蔵さまの化粧法がちょっと変わってきましたね。眉の描き方、目の描き方、つけまつげと・・この映画もモノクロなので、くっきりとしたお侍で来るのかと思いましたら、違っています。
また、この作品の中でも、恋焦がれている恋人を探し求めるという、切ない感情をだすのだからでしょうか、ちゃんとした髷の時は、ちょっと憂いがあるような目で、髷をおろした時の目は少しきりっとしている。どちらかと言うと、私は髷をおろした方の荘太郎さんの方がいいかな。
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