誠は土井大老派遣の隠密、千波小次郎
丑の刻詣り満願の日、三つ又稲荷に家老島右京之亮に命じられた水野藩の侍達がやってきて、辺りを見まわすと一人の侍が懐から呪の人形を出し打ちつけようとしたとき、侍達をめがけ屋根の上からはお花の吹き矢が飛び、そこに千鶴の投げ縄が飛んできます。侍達に二人が追い詰められたとき、右門が目の覚めるような剣のさばきで叩き伏せます。千鶴いや田鶴は偽りをいったと右門にいうと、
右門「何もおっしゃらずに。世間に聞こえたら、御家名にかかわりましょう」
「では、お縄は・・・」という田鶴に、そうですというようにくびを縦にゆっくり振り、事件の解決はこれからだといいます。そこへ、伊豆守が水野上屋敷に出かけたことを伝六が伝えに来ます。深夜においでとはどうしたのかという水野信之に、伊豆守は、「今夜は当水野家にとっても、わしにとっても大事な日なのだ」といいます。そして、伊豆守は、家老島右京之亮に、村井信濃の所在の件を聞くと、右京之介はそのおたずねお待ちしていたといい「村井信濃、捕えましてございます」と言ってきたのです。病の身の村井信濃が連れて来られます。自分の落度により藩を追われながら、殿に対して逆恨みをし、藁人形の呪などと卑劣な手段を用い、命を縮めんとした大逆人、せめてもの武士の情けだ腹を切れ、と右京之介がいいます。潔く切腹するよう追い込まれた村井が腹を刺そうとしたとき、「しば゜らく」と右門は入って来ると、一礼をして前へ出て行くと、胸ぐらをつかみ投げ飛ばします。
右京之亮が自分の子を水野藩の跡目につけたいばかりに、轟武平太に命じ島から帰った南蛮鮫の一味をそそのかし人殺しをさせ、忠義ものの村井信濃に罪をきせようとした、というのです。証拠はあるのか、という右京之介に、証拠はこれだと藁人形にかかれた字と句会で読んだ句の字は同じ志津磨流のものだと暴かれ右京之介が右門に向かって行ったところを 一刀のもとに斬り捨てます
。

一段落したとき、右門は 天井裏に目をやると槍を
投げます。その先には、黒装束の与吉がいました。


根の方に出て来た与吉の先に右門が 立ち塞がり
ます。





右門 「 与吉
。誠は土井大老派遣の隠密、 千波小次郎
」

右門 「貴公は、今の一部始終を、 そのまま大老に報告する所存だな
」
右門 「 どうだ
、 小次郎
」
すると、小次郎は かぶり物を取り
、口を開きます。
小次郎「 そうだと
、 言ったら
」



右門 「近藤右門、命に代えて、 貴公の任務を阻み申す
」
小次郎「 阻む
」
右門 「断じて阻む」
小次郎「 斬るか
」
右門 「 斬る
」
小次郎「あくまで刃を交えるか」
右門 「いかにも。お花を生き証人として、このまま大老に、水野家の内紛を報告
されたら、水野家はもとよりのこと、伊豆守様御身辺も危ぶまれる。断じ
て、貴公をこのまま見逃すわけにはいかん」




小次郎「御公儀の隠密に逆ろう 大罪をおかしてまでもか
」
右門 「 ううーん
、 言うな
」
小次郎「家禄没収、身は切腹と 覚悟の上でか
」


右門「 武士は己を知る者の為に死す
」
その強い決心で小次郎に向かってくる右門。


小次郎が短刀をかまえ
たとき、 右門が小次郎にかかっていく
と、 素早く身をかわす小次郎
。



屋根の上での二人の攻防がしばらく続き
、小次郎が庭に飛び降りました。



続きます
。
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