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Saul Freeman と Nicola Hitchcock の男女 2 人組トリップ・ホップ・ユニットの 1st アルバム。21 世紀に突入して既に 10 年以上も経った今、Mandalay の音楽をどれほどの人達が覚えているのか(と言うのも、とっくの昔に解散しているので)と考えると甚だ心許ないことになるのですが、かく言う私にしても彼女たちの残した作品が私の所謂「オール・タイム・ベスト」に入っているかと問われると、必ずしもそう言うわけでもないのです。でも、なにかの拍子にふと思い出すような仕方で、まるで少年期の甘酸っぱくも苦しい記憶を呼び覚ます風に、彼女たちの音楽は私の記憶の淵にしばしば浮かび上がってくるのです。Mandalay の音楽を特徴付けているのは紛れもなく Nicola 嬢のヴォーカルです。聴き手の心を不安定に揺さぶるように細かく震える儚い歌声。強いて例えるなら Madonna の声から強さと言う強さを、アクと言うアクを全て取り払ったような声、とでも言えば良いのでしょうか。これはもうテクニックとしてのヴィブラートではありません。恐らく、レコーディング・スタジオが本当に凍えるほど寒かったのでしょう。もしくは、相方の Saul Freeman から延々とダメ出しを喰らいどうしようもなく心細かったに相違ありません。まあ、そんな与太話は置いておくにしても、これほどまでに男心をくすぐる歌声も珍しいのじゃないでしょうか。ちなみに、打込み基本のエレクトロニックなディジタル・サウンドの中にあって、Brian Eno との競演でロック・ファンにもその名を知られたトランペッター Jon Hassell と、元 Japan のドラマー Steve Jansen のクレジットが目に付きます。もしかして、David Sylvian 人脈?【Track Listings】01. This Life02. Flowers Bloom03. Insensible04. Another05. Enough Love06. All My Sins07. Opposites08. This Time Last Year09. Kissing The Day10. Beautiful11. About You
2012.09.30
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80 年代フランスのポップ・シーンを代表するシンガー Mylene Farmer の 2nd アルバム。視線の定かではない Mylene の傍らに佇んでいるのは、、、彼女自身を模した操り人形?結構不気味です。曲も作ればプロデュース、アレンジもこなす Laurent Boutonnat との強力コンビが作り上げた逸品。柱時計の SE が不安げな空気を醸し出すオープニング "L'Horloge" から手もなく彼女たちの術中に陥る自分が哀しい(笑)。5 曲目の "La Ronde Triste" は、タイトルはフランス語、歌詞は英語、そして何故かバックには尺八の音色と言うなにやら三題噺のような楽曲。本作中髄一の明るさを誇る(?) 9 曲目 "Deshabillez-Moi" のイントロで聞こえるのは Mylene のマジなクシャミ!? こんなの松田聖子以来ですが、聖子ちゃんほど可愛いクシャミじゃないぞ(笑)。そしてラストの "The Farmer's Conclusion" に至っては、ファミリー・ネームと英語の「農民」を引っ掛けたタイトル通り、牛やら鶏やら豚やらの鳴き声が。更にそれらの音の隙間を縫って聞こえるのは妖しげな吐息(と言うよりは、喘ぎ声)。なんとも奇妙な世界です。とりわけ初期は暗く屈折した歌詞に注目されがちな彼女ですが、重厚なストリングスやアコースティックな楽器を上手く配したエレ・ポップをバックに、時にコケティッシュに、時に消え入りそうな程に儚げな声を自在に操る Mylene の歌の力に圧倒されます。よくよく聴くと、ああ王道フレンチ・ポップだなぁ、と思ったりするのですが、色々な仕掛けが施してあって聴き手を飽きさせません。【Track Listings】01. L'Horloge02. Sans Contrefacon03. Allan04. Pourvu Qu'Elles Soient Douces05. La Ronde Triste06. Ainsi Soit Je...07. Sans Logique08. Jardin De Vienne09. Deshabillez-Moi10. The Farmer's Conclusion
2012.09.26
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一昨年でしたか、突然 14 年振りの復活を遂げた、Paul Humphreys と Andy McCluskey の二人から成るエレクトロニック・ポップ・デュオ Orchestral Manoeuvres In The Dark (略すと何故か O.M.D. になります)の 1st アルバム。マンチェスターの伝説的インディーズ・レーベル Factory Records よりデビュー・シングル "Electricity" をリリース。あの Joy Division より(アーティスト単独での)レコード・リリースは早かったのですが、僅か 1 枚で Factory を去ります。プロデューサーの Martin Hannett (やっぱりコイツか!?)とは上手くいかなかったようですが、未だに謎の多いレーベルですから、他にもいろいろとあったのかもしれません。とにかく、その後めでたく Virgin Records 傘下の DinDisc と契約。無事(?)発売されたのが本作と言うことになります。仰々しいユニット名、Peter Saville の手による穴開きや色違い等スタイリッシュなスリーヴ・デザイン。当時はインターネットなんて影も形もなかったし、数少ない音楽雑誌の記事だけが唯一の頼り。最初見た時には敷居高そうに感じましたが、聴くと見るとじゃ大違い。人懐っこいメロディがてんこ盛りのチャーミングなエレ・ポップで御座いました。さすがに黎明期ならではの(?)チープなピコピコ具合は今となっては如何ともし難いものがありますが。彼らの場合、有名な "Enola Gay" や "Joan Of Arc" と言ったシングル・カット・ナンバー(本作においては "Electricity" 辺り)では派手目でポップな作り、一方アルバムではそれなりに実験的なこともやっていて、そんなバランス感覚も好きな理由のひとつです。【Track Listings】01. Bunker Soldiers02. Almost03. Mysterality04. Electricity05. The Messerschmitt Twins06. Messages07. Julia's Song08. Red Frame/White Light09. Dancing10. Pretending To See The Future- Bonus Tracks -11. Messages (Single Version)12. I Betray My Friends13. Taking Sides Again14. Waiting For The Man15. Electricity (Hannett/Cargo Studios Version)16. Almost (Hannett/Cargo Studios Version)
2012.09.21
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デビュー作 "The Kick Inside" から僅か 1 年も経たぬ間にリリースされた 2nd アルバム。屋根裏と思しき部屋で、ライオンの着ぐるみ(首から下のみ)を身にまといこちらを窺う Kate Bush のスリーヴが、今時の言葉に倣うならば「萌え死に」しそうでした。デビュー作における "Wuthering Heights" や "The Man With The Child In His Eyes" に匹敵するほどのキャッチーな曲もなく、次作 "Never For Ever" のように細部までアーティスティックに練りこまれているワケでもなく、彼女の作品の中では比較的印象が薄い部類に入るのかもしれません。が、しかし、Kate Bush に駄作なし。聴き込めば(聴き込まないと解からない私)他にひけをとらない良作であることがわかります。妖精たちが草花の陰で密やかに内緒話しているようなサビが印象的な "In Search Of Peter Pan"。続く "Wow" と "Don't Push Your Foot On The Heartbrake" は共に不安げなイントロと抑制されたメロディーに始まり、サビで感情を吐露すると言う似通った趣向の楽曲。一転して、ピアノをバックに静かに歌われる "Oh England My Lionheart" は、そのタイトル通りイングランドへの愛を歌ったものでしょうか。こうやって聴いていくと、バックの演奏は随分控え目な感じ。その分じっくりと Kate Bush のヴォーカルを堪能出来る作品ではないかと思います。勿論、例の(?)ハイ・トーン・ヴォイスですから、生理的に受け付けないと言う方は当然おられるでしょうけれど。このように決して凡庸な作品ではありません。しかし当の Kate Bush 自身は本作の出来に随分ご不満だったようで、以降セルフ・プロデュースを常とするようになります。そしてついにはレコーディング・スタジオの全てを自らの統制化に置かなくては気がすまない様になり、その天才性故、完全主義故でしょうか、あの狂気の "The Dreaming" へと突き進むことになるのですが、それはまた後々のお話です。【Track Listings】01. Symphony In Blue02. In Search Of Peter Pan03. Wow04. Don't Push Your Foot On The Heartbrake05. Oh England My Lionheart06. Full House07. In The Warm Room08. Kashka From Baghdad09. Coffee Homeground10. Hammer Horror
2012.09.19
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まるで未確認飛行物体から照射された光に照らし出されたかのような不気味な色合いの森の中から抜け出して、初冬の朝まだき浜辺へと歩を進めた木霊と兎男たちの 2nd アルバム。思わずコートの襟を立てそうになる寒気に満ちたスリーブのように、時折抑えきれない激情の迸りの片鱗を垣間見せながらも、決してヒート・アップしない透徹したギター・サウンドが最初から最後までたっぷり詰まっています。漠然とした不安と根拠のない自信、抱えきれない誇大な夢とその刹那に崩れ落ちてしまいそうな脆い現実。尊大でありながらナイーブ、挑発的に振舞った次の瞬間には膝を抱えて蹲っていそうな危うさ。なんとも不可解でいながらも、ああ、確かに私たちもそんな仄暗いところを通って来たのだ、と思わせる、そんな、「若さゆえ」のアンビヴァレントな感性が、奔放な 2 本のギターと、タイトなリズム隊とによって表現されています。とりわけ、オープニングの "Show Of Strength" から、"With A Hip"、"Over The Wall" へと至る部分の緊張感に満ちた構成は素晴らしく、本作における最初のクライマックスを成しています。また、焦燥感をぶちまけるようなヴォーカルが印象的な、騒々しいタイトル・トラック "Heaven Up Here" から、一転して陰鬱な "The Disease" へ、更にある種の神秘性すら感じさせる "All My Colours" と続く流れも白眉です。80 年代初頭の英国音楽が産み落とした傑作のひとつでしょう。しかし、デビューから僅か 2 枚目のアルバムでここまでの高みへと登り詰めてしまったことは、ある意味奇跡でもあり、同時に彼らにとって不幸なことであったのかもしれません。安易に言うべきことではないのでしょうが、Bunnymen のシンガーと奇しくも同じ Ian と言うファースト・ネームも持つ青年の自死により、瞬く間に「伝説」になってしまった Joy Division とついつい比べてしまうのです、(次作以降も良作をリリースし続けるのですが)以降の兎男たちの苦闘の歴史を考えると。【Track Listings】01. Show Of Strength02. With A Hip03. Over The Wall04. It Was A Preasure05. A Promise06. Heaven Up Here07. The Disease08. All My Colours09. No Dark Things10. Turquoise Days11. All I Want- Bonus Tracks -12. Borke My Neck (Long Version)13. Show Of The Strength (Live)14. The Disease (Live)15. All I Want (Live)16. Zimbo (Live)
2012.09.16
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Boredoms のベーシストであったヒラ率いる 4 人組のヘヴィー・サイケデリック・ロック・バンドの 1st アルバム。Pink Floyd "Atom Heart Mother" を Frank Zappa がおちょくったようなスリーヴがなかなかお茶目です。1 曲目の "Future Deadlock" から尋常ならざるテンション。本体たる(?) Boredoms に比べると遥かにオーセンティックなロック・サウンドなのですが、息苦しいまでに漲る緊張感は負けず劣らずすさまじいものがあります。全身全霊でマイクにありったけの想いをぶつけるかのようなヒラのヴォーカル、暴力的にかき鳴らされるギター、全ての楽器が渾然一体となって襲いかかる様は、正にロックのダイナミズムを見事に体現していると言えるでしょう。80 年代の後半にあって、これほどまでになんの迷いも衒いもなく正面攻撃を仕掛けたロック・バンドが存在したことは、ある種奇跡と言っても良いのではないでしょうか。また、「くれくれ、オレにくれ」とか「おまえのチューブに入りたいよ」と言った直截的な歌詞の一方で、10 分以上に渡ってプログレ的展開を見せる長尺の "Blood Star" では、「動物と植物と腐っていく臭いのなか お前に会いに行こう!」と切なくも美しい絶唱を聴かせてもくれます。この辺りの暴力性と詩情の混交具合も彼らの大きな魅力のひとつです。Boredoms から派生した(?)ユニット、例えば想い出波止場や OOIOO 等に比べると余りにも真っ当なロック過ぎて、ある意味敬遠されてそうな気がしますが、「ロック」と言う定型を纏いつつ決してそれに絡めとられない自由奔放な「ロック」バンドでした(過去形なのが寂しい)。日本のインディーズ・シーンのみならず、ポピュラー音楽史を語る上において決して外すことの出来ない傑物だと確信しております。【Track Listings】01. Future Deadlock02. Bad Tube03. Hot Cake04. Blossom Body05. Blood Star06. Mary Mary Mary- Bonus Track from "West Psychedelia" -07. Headspinningdizzyblues08. Heavensucker
2012.09.11
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所謂「ブリットポップ」ってヤツの発端となったともいわれる Suede の 1st アルバム。私自身は Oasis や Blur にはなんの思い入れもないので、ブリットポップ云々と言われても正直ちょっと違和感あります。まあ、それはさておき。1 曲目 "So Young" のイントロ。これだけでハマりました。イントロと言ったって Brett Anderson の歌声が聴こえてくるまで 10 秒もないんですけどね。これは個人の趣味というか感性というか、人に上手く説明出来るものではないんですが、この僅か 10 秒で Suede と言う新人バンドが、そしてこのデビュー・アルバムが私の期待を裏切らないことを確信しました。例えば Joy Division の "Disorder"、例えば Durutti Column "Sketch For Summer"、Smiths の "Reel Around The Fountain"...。これらの、正直なんの捻りもない至ってシンプルなドラム(或いはリズム・ボックス)のイントロが、私の心を震わせてきたのです。それらと同質のサムシングが、この "So Young" にはありました。期待違わず、流れてくるグラマラスな音楽は私の趣味にぴったり。淫靡なスリーヴや粘っこく時折引っ繰り返る Brett のヴォーカルは好みが分かれるところでしょうが、この Brett と艶かしい Bernard Butler のギターとの絡みは、ギター・オリエンテッドなロック・バンドの醍醐味を味あわせてくれますし、先述の "So Young" を始めとしてシングル・カットされた "Metal Mickey"、"The Drowners" など楽曲も粒揃い。Suede と言うとどうしても倒錯した歌詞が注目されがちですが、私は英語はわからないので、これ幸いと(?)純粋にポップ・ソングとして楽しんでいます。ちなみに、ほぼ同時期だと思うのですが、アメリカで Chainsaw Kittens がグランジの(ある意味)立役者 Butch Vig をプローデューサーに迎えて "Flipped Out in Singapore" と言うグラムなアルバムをリリースしています。こちらはちょっと B 級っぽいキワモノさが目立ってますが、妖しげでなかなかの良作。実のところ、ブリットポップの勃興以来ロック的なものに嫌気がさしてブラック・ミュージックにのめり込んでしまったので当時の状況がよくわからないのですが、ネオ・グラムな盛り上がりがそこかしこであったのでしょうか。そう言えば、日本の Yellow Monkey もこの辺りのデビューでしたっけ? 【Track Listings】01. So Young02. Animal Nitrate03. She's Not Dead04. Moving05. Pantomime Horse06. The Drowners07. Sleeping Pills08. Breakdown09. Metal Mickey10. Animal Lover11. The Next Life
2012.09.09
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アメリカはオハイオ州シンシナティ出身、War-N Harrison と Christa Belle の男女二人のデュオによる 1st アルバム。彼女らの音楽はダーク・ウェーヴとかトリップ・ホップ、或いはダウン・テンポと紹介されることが多いようです。でも実際にはそれらの所謂ジャンルやカテゴリーが現しているものは結構曖昧です。「トリップ・ホップ」と言う言葉(随分拡大解釈されていますが)から Portishead や Massive Attack を連想する人もいるでしょうし、初期の Hooverphonic のようなポップでダンサブルなものを思い浮かべる人もいるでしょう。その曖昧さ故に私も言葉で「音」を表現する時に、ついつい便利に使ってしまうんですが。で、この Hungry Lucy、先述のトリップ・ホップ、もしくはダウン・テンポとでも表現のしようがない音楽なのです。それは、独創的だとか個性的とか言った意味合いではなく、むしろ逆。Hungry Lucy ならでは、の部分はかなり希薄。本作中の楽曲のみならず、既にリリースされている(本作を含めて) 4 枚のアルバム、どれをとっても私の印象はダンゴ状態で、正直どれがどれだか解からなくなることもあります。メロディーとか音の選び方とか、何処かで聴いたことがあるような、そんな既視感に溢れています。全然褒めてませんねぇ。でも、好きなんです。雰囲気勝負と言ってしまえばその通りなんですが、Christa Belle 嬢の、優雅にたゆたうようでいて何処か儚げ、気付いたときにはどこか空間の隙間に吸い込まれてでもいそうなヴォーカルが、私の好みにドンピシャなのです。ただ、それだけ。なので、お薦めは致しません(笑)。【Track Listings】01. Alfred02. Blue Dress03. Bound In Blood (Insomnia Mix)04. Grave05. Blame06. Stretch07. Journey08. Cover Me09. Bound In Blood (Waltz Lullaby)10. Bed Of Flames11. Stretch (Battery Mix)12. Grave (Digger Mix)13. Ode14. Goodbye
2012.09.05
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"Aftermath" に続き全篇 Mick Jagger & Keith Richards コンビのオリジナル楽曲で固めた 5 枚目のアルバム。私が初めてこの作品を購入した頃(今からウン十年前になりますが)、当時はぼんやりとしてインパクトに欠けるスリーヴと相俟ってか、 Stones のキャリア史上最も印象の薄いアルバム、みたいな感じで評価は散々だったように記憶しています。同時代のライヴァル、Beatles や Bob Dylan、Kinks 等の影響、もしくは対抗意識があからさま過ぎて、その辺りも敬遠される理由なのかもしれません。でも、じっくり聴いてみるとこれが結構クルんです。冒頭の "Yesterday's Paper" は、60 年代はいざ知らず、現代においては噴飯モノ(?)の「昨日の女なんて要らないよ」なんて言う歌詞は置いとくとしても、Stones の楽曲の中でも指折りの美メロだし、決して上手くはないバック・コーラスもすごくポップ。その上、ザイロフォンだのハープシコードだのが入り混じってアレンジも派手。続く "My Obssesion" では、左チャンネルのピアノと右チャンネルのドラム、下の方でのたうってるベースがそれぞれ勝手気ままに鳴っていて、これまた不思議な空間を生み出しています。一転してメローな "Back Street Girl" ではアコーディオンが、"All Sold Out" ではリコーダー、Stones らしさ(?)の欠片もない "Cool,Calm & Collected" に至ってはカズーまで動員しています。"Plese Go Home" での左チャンネルでひたすらズンドコ鳴ってるドラムも相当可笑しいし、"Who's Been Sleeping Here?" における Mick Jagger の唱法は、そこまでしなくても良いだろ、って言う程にモロ Dylan。こんなやり過ぎ感が、実は本作の肝、だったりして。このアルバム、総じてアレンジが変。やはり来るべき "Their Satanic Majesties Request" の為の習作だったのでしょうか。次作のように徹底すればそれなりに評価されたのかもしれませんが、本作での未整理で拙い、まるで闇鍋のように混沌とした Stones はなかなか理解されませんでした。オープニング・ナンバーが "Yesterday's Papers" で、エンディングを飾るのが "Something Happened To Me Yesterday" と題された、この "Yesterday" 繋がりも混沌に更なる罠を仕掛ける為に意図されたものなのでしょうか。余談ですが、スリーヴの Brian Jones はちょっと、いや、かなりショボ過ぎです。よくもこんなので OK 出したなぁ。バンド内での Brian の発言力の低下がこんなところにも、と思わず涙する私でした。【Track Listings】01. Yesterday's Papers02. My Obsession03. Back Street Girl04. Connection05. She Smiled Sweetly06. Cool,Calm & Collected07. All Sold Out08. Please Go Home09. Who's Been Sleeping Here?10. Complicated11. Miss Amanda Jones12. Something Happened To Me Yesterday
2012.09.03
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既に解散後 30 年以上経つにもかかわらず、21 世紀の現在においてもなおロックの巨人として高く聳え立つ Led Zeppelin の記念すべき 1st アルバム。私がロック・ミュージックにのめり込んで 1、2 年経った辺りでしょうか。イギリスはロンドンからパンク・ロックの波が極東の島国にも押し寄せてきました。中学生だった私は他愛もなくその波に飲み込まれてしまったのですが、それまで私が聴いてきた Beatles や Rolling Stones 等のアーティストは一部のメディアから(「ニュー・ウェーヴ」に対して)オールド・ウェーヴと揶揄され、そんな風潮に(?)まんまと乗せられた私たちの小さな世界の中でも、彼らの音楽が好きで、それもかなり熱心に聴いていることを大っぴらには出来ない奇妙な雰囲気が出来ていました。そんな「オールド・ウェーヴ」の中には、勿論 Led Zeppelin も含まれていたのです。今となっては下らないジョークみたいなものです。それはさておき。Led Zeppelin のアルバムというと、冒頭を飾るオープニング・ナンバーの鮮烈さが印象的です。2nd における "Whole Lotta Love" しかり、3rd の "Immigrant Song" しかり、はたまた "Presence" での "Achilles Last Stand" しかり。本作においては "Good Times Bad Times" がきっちりとその役目を果たしています。特にイントロのもったいぶったブレイク部分が秀逸で、いやが上にも期待を増幅させます。更に、躁的な "Good Times Bad Times" の直後に、真逆の鬱的な "Babe I'm Gonna Leave You" を配するなど、デビュー作とは思えない計算された作り。視覚的ギミック(ギターの弓弾き等)を奪われたなかにあってはやや冗漫な印象が拭えないライヴ盤とは違い、起承転結がよりはっきりとした "Dazed And Confusion"、Yardbirds 時代の "White Summer" の続編とでも言うべきエキゾチックなインストゥルメンタル "Black Mountain Side"、これぞ Zep 流ハード・ロック "Communication Breakdown"。いやぁ、もう満腹です。【Track Listings】01. Good Times Bad Times02. Babe I'm Gonna Leave You03. You Shook Me04. Dazed And Confused05. Your Time Is Gonna Come06. Black Mountain Side07. Communication Breakdown08. I Can't Quit You Baby09. How Many More Times
2012.09.01
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