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女声ヴォーカル Mya Mortensen を擁するクロアチア出身のゴシック・メタル/インダストリアル・ロック・バンドの 1st アルバム。Jonsi の直後に、人体破壊と言うか人体改造と言うのか、この手のバンドにはありがちとはいえこんな禍々しいスリーヴの作品を持ってくるのも如何なものかとは思ったのですが。まあ、気にしない気にしない。ちなみに、私の所有している CD はトラック・マーカーの不良なのか、1 曲目に全くの無音が 35 分間にも渡り収録(?)されています。最初、2 ~ 3 分程度気付かなくて不審に思いながらも「沈黙」のメタルを聴き続けておりました(恥)。肝心の中味ですが、ディジタルで近未来的な顔を覗かせつつも、ゴシック/インダストリアル系の宝庫たる旧東欧圏の伝統(?)を受け継いで神秘主義的とでも言うのか、重々しく荘厳な側面も持ち合わせているように思います。こんな時代になっても奥深い森の中ではなにやら妖しげな秘儀が執り行われていそうな、学生時代の歴史の時間に聞きかじった程度の知識を基にした旧東欧圏に対する私の下世話なイメージが、そう思わせているのかもしれませんが。長い曲でも 4 分程度。この手のバンドにしてはかなりコンパクトに纏まっていますが、逆に物足りなさも感じます。曲調もちょっと一本調子かなぁ。押したり引いたりが欲しいところではあります。後、男声デス・ヴォイス(と言うには中途半端)が出てくる曲があるのですが、Mya 嬢が中音域を主とした凛々しい歌声なので所謂「美醜対比」的な面白さが出ていません。つまり、余計。なにか腐してばかりな感じになってしまいました。これでも結構気に入っているんですけどね(笑)。【Track Listings】01. Infest02. Stigmata03. My Haunted Self04. Dreams In Formaline05. Andromeda06. Nebula07. Snow Red08. Hollow March09. Factor : Misery10. Angel's Holocaust11. Point Blank- Bonus Track -12. Ocean Dreams
2012.10.31
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アイスランド出身のポストロック・バンド Sigur Ros のシンガー Jonsi が、バンド活動休止中にリリースした 1st ソロ・アルバム。ある種近寄り難い「孤高」のイメージが強い Sigur Ros からは想像も出来ない、新しい姿を見せてくれる傑作です。初めて 1 曲目の "Go Do" を聴いた時、恥ずかしながら私は泣きそうになりました。勿論(?)涙は流れなかったけれど。Sigur Ros の特徴でもあった重く垂れ込める濃霧の様な音はそこにはなく、代わりに開放的で、躍動感があり、なによりも歓びに満ち溢れた音がありました。私には正直少しばかり眩しいけれど。正に天馬空を行くが如き伸びやかで、どこまでも響き渡りそうな Jonsi の歌声。なんの誇張もなく、私はもうこれから CD は買わなくてもいいや、とさえ思いました。残りの人生を共に過ごして行くだけの十分なコレクションは既にあるし、今更鵜の目鷹の目で革新的なサウンド、人々の口の上る話題の新人たち、そんなものを追いかける気もさらさらなくなった。ともかく、私の傍らには Jonsi のアルバムが、あると。全 9 曲、僅か 40 分余りの作品ですが、聴き応え十分、中味の濃さは保証付き。美しいメロディーと力強いリズム。流麗なストリングスと奔放に(過ぎる?)叩きまくるパーカッションが特に気になりました。そして、勿論主役たる Jonsi の、全ての桎梏から解き放たれたような自由な歌声。思わず手を叩き踊りだしそうな "Go Do" に始まり、荘厳な響きに包まれた "Hengilas" で静かに終わる構成も見事。最初から最後まで鳥肌立ちまくりの 40 分間。これ以上に、一体なにが要る?【Track Listings】01. Go Do02. Animal Arithmetic03. Tornado04. Boy Lilikoi05. Sinking Friendships06. Kolnidur07. Around Us08. Grow Till Tall09. Hengilas
2012.10.25
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イギリス以外ではさっぱり売れなかったらしい(さもありんなん、とも思います) Smiths の 1st アルバム。このアルバムを聴くと、いや、Smiths と言うバンドを思い起こす時必ずと言って良いほど坂口安吾の文章が頭を過ぎります。「私の年齢が暗かった。私の青春が暗かったのだ。青春は暗いものだ。(省略)なべて青春は空白なものだと私は思ふ。」と言う例のヤツ。作品名はまんま『暗い青春』でしたか。そう、私の青春も暗く、不様なものでした。Morrissey が描くのは 21 世紀の日本に蔓延る「辛い思いをした分だけ他人に優しくなれる」的な青春ソングの真逆の世界。愛したい、愛されない、愛されたい、愛せない。何一つとして満たされたものは無く、なにもかもが過剰。自らのかっこ悪さをここまであからさまにかっこ悪く曝け出した表現者もそうそういないでしょう。そんななんとも惨めったらしい姿が、これまたなんとも妙なるメロディーと流麗なギター・サウンドに彩られて、我々の眼前に突きつけられたのです。リアル・タイムで彼らの音に接した時の、私(たち)の・・・あれは戸惑い、だったのか、違和感、或いは恐れ。近親憎悪。Smiths はやはり私たち自身を映し出す鏡であったのだ、と思います。2nd アルバムの "Meat Is Murder" 以降に彼らのピークがある、と言うのが一般的な評価のようですが、私はこの 1st アルバムが大好きです。物悲しく、どこか寂しげな佇まいが、私の琴線を微妙に擽るのです。とりわけアナログ盤では B 面に相当した 6 曲目 "Still Ill" からラスト "Suffer Little Children" へと至る流れは絶品。【Track Listings】01. Reel Around The Fountain02. You've Got Everything Now03. Miserable Lie04. Pretty Girls Make Graves05. The Hand That Rocks The Cradle06. Still Ill07. Hand In Glove08. What Differece Does It Make?09. I Don't Owe You Anything10. Suffer Little Children
2012.10.21
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Sex Pistols がパンク・ロックの父ならば、正にゴッド・ファーザーと言う呼び名に相応しい Stooges の 1st アルバム。何処かで見たような書き出しですが・・・気にしない。ファズ・ギターが終始騒々しく鳴り響いている割に全体の雰囲気は驚くほどクール。私はお定まりの(?)ロンドン・パンク経由で Stooges に辿り着いたクチなので、「暴力的」なイメージばかりが先行し、実際にアルバムを聴いた時にはかなり拍子抜けしました。但し、ここにあるのは剣呑な素振りは露程も見せないそんな裏側で、来るべき跳躍に備えて体中の力を一点に絞っている、そんなクールさです。この辺りの感触は元 Velvet Underground の John Cale の手腕に拠るところが大きいのでしょうか。かつて Rolling Stones は「なにをやっても満足出来ないんだ」("Satisfaction") と歌い、一方で Who は「歳喰う前に死にたいぜ」("My Generation") と歌いました。それらはあくまでも個人的な感情の発露を出発点としたものではあったのでしょうが、自分達の所属する「世代」が抱える共通の認識であると偽装することで大義名分を手にし、それを梃子にして世界的なヒットに結び付けました。しかしながら、ここで Stooges が歌っているのは、「去年のオレは 21/良いことなんてなかったぜ」("1969") と言うあまりに見も蓋も無い、ある種の信仰告白とでも言ったものでした。1969 年と言えばヴェトナム戦争に倦み疲れたアメリカで、「愛と平和」のウッドストックと「血と暴力」のオルタモントと言う表裏一体のイヴェントがあった年でしたが、彼らはそんな社会状況や時代背景に触れることも無く、また主人公の心象風景を丹念になぞることもせずに「良いことなんてなかったぜ」とたった一言言い放つのです。そんな一個人の言い掛かりめいた呟きを、一切の前提条件や保留条項なしで突きつけてきた Stooges の潔さ(もしくは、間抜けさ加減)がたっぷり楽しめます。但し、John Cale の趣味が全面に出過ぎて Velvet Underground にか聴こえない読経調の不気味な楽曲 "We Will Fall" が、本作における唯一の欠点を成しています。【Track Listings】01. 196902. I Wanna Be Your Dog03. We Will Fall04. No Fun05. Real Cool Time06. Ann07. Not Right08. Little Doll
2012.10.16
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Ministry がインダストリアル・メタルの父ならば、正にゴッド・ファーザーと言う呼び名に相応しい Killing Joke の 1st アルバム。ほぼ同時期に登場してきたポスト・パンクのアーティスト達、例えば Bauhaus や Echo & The Bunnymen、Gang Of Four と言った人達の中でもとりわけ硬質で原初的な音が特徴。彼らの音楽を評する際、当時の音楽雑誌は「呪縛的」だの「呪術的」だのと言ったキーワードをよく使っていたと記憶しています。昨今の所謂インダストリアル・メタルと比較すると楽曲の構成はかなりシンプルだし、音圧もかなり低めですが、一語一語を対象にぶつけるようなヴォーカルを含めてひたすらノイジーに、しかしヒート・アップすることなくクールに音の塊を叩き付ける様は、成る程「呪術的」と言いたくなる気持ちも理解出来ます。冒頭の 2 曲、"Requiem" と "Wardance" の印象が強烈ですが、改めて聴きなおすと結構ダンサブルだったことに今更ながら驚かされます。Ministry や Nine Inch Nails 等、後の世代への影響力は看過できないものがあります。その一方、セールスや一般的な(?)認知度と言う観点からはこれと言った成果は残せていないと言わざる負えません。2nd アルバム以降同じメンツが出たり入ったりの恒例とも言うべき頻繁なメンバー・チェンジ、何度も繰り返される長い沈黙期間、リーダーたる Jaz Coleman のサウンド志向の変化(と言うより端的に迷走振り)等が評価を辛くしている所以なのかもしれません。勿体ないことです。【Track Listings】01. Requiem02. Wardance03. Tomorrow's World04. Bloodsport05. The Wait06. Complications07. Change08. S.O.3609. Primitive
2012.10.14
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アルト・サクソフォン奏者 John Zorn 率いるフリー・フォームな音楽集団 Naked City、1992 年の作品。順番としては "Naked City"、"Torture Garden" に続く 3 枚目のアルバム。何故か私の持っている CD にはメンバーのクレジットがないのですが、恐らくはいつものメンバー、John Zorn、Bill Frisell、Wayne Horvitz、Fred Frith、Joey Baron、それに山塚アイと言うお馴染みの編成ではないかと思われます。この作品、私が所有している CD の中で最もおぞましいものであると思います。以下、不快な表現が頻出するかと思いますので、この項、飛ばしていただいて結構です。・・・・・・アルバム・タイトルでもあり、唯一の収録曲たる "Leng Tch'e" とは、「凌遅刑」、もしくは「凌遅処死」と呼ばれる中国古来から清の時代まで行われてきた処刑方法のひとつであって、歴代王朝に叛旗を翻した反乱の首謀者に課せられた最も重い刑とのことです。その処刑方法とは、受刑者を柱等に縛り付けた上で、死に至らせるまで生きたまま四肢を(出来得る限りその死を遅らせ、苦痛をより長く味あわせる為に!)徐々に切り落としていくと言う残酷極まりないものだったそうです。スリーヴの写真は正にその処刑の様子を写し出したものなのです。村上春樹氏の著作『ねじまき鳥クロニクル』の中に、生きながらにして皮膚を剥ぎ取られる日本軍人のエピソードが出てきますが、あちらは戦時下で、しかも蒙古軍(?)による私刑(リンチ)的な意味合いが見て取れましたが、「凌遅刑」は合法的な刑罰であり、個人ではなく国家と言うシステムがそれを執り行うと意味において、その刑罰の持つ凄惨さと併せて二重のおぞましさを感じさせます。その「凌遅刑」にインスパイアされた John Zorn が作り上げた作品が、"Leng Tch'e" です。(わずか 30 分程度の楽曲ですが)いつ終わるとも知れない単調な演奏は正にその刑罰の長さを、15 分辺りから突如乱入してくる山塚アイの絶叫ヴォイスは受刑者の苦痛の叫びでしょうか。本当におぞましくも気が滅入る音楽です。聴くたびに総毛立つ思いが過ぎる一方で、なにかしら抗い難いもの(「魅力」とは言えないし、言いたくもないのですが)をも同時に感じるのです。怖いもの見たさ、ならぬ聴きたさ、でしょうか。【Track Listings】01. Leng Tch'e
2012.10.10
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初期 Felt の繊細で透明感溢れる世界を支えたギターリスト Maurice Deebank の 1st ソロ・アルバム。プロデュースは Felt でもお馴染みの John A.Rivers。残念ながら 2 枚目が出たと言う話はまだ耳にしたことがないので、今のところ最初にして唯一の作品・・・と言いつつ、中味は 1984 年のオリジナル 6 曲に、なんと 1992 年に録音された 4 曲("Golden Hills"、"So Serene"、"Pavane"、それに"A Tale From Scriabin's Lonely Trail")が追加された編集盤的なものになっています。10 年近い時の隔たりのある楽曲が混在しているとなると相当違和感ありそうで、ついつい身構えてしまいそうになりますが、それはまったくの杞憂です。音の感触はまったく変わっていないし、むしろ 6 曲目の "So Serence" などは Felt の未発表曲だと言われれば素直に信じてしまいそうになるほど。この変化の無さはある意味驚嘆すべきものだとも思えるし、進歩していないと言われれば確かにその通りなんでしょうけれど、なんでもかんでも取り敢えず進歩すれば良いってもんじゃないでしょ、と思わず偏愛的擁護発言してしまいそうな程、私にとっては愛おしさすら感じさせる作品です。全篇インストゥルメンタルで、正に Lawrence のヴォーカル抜きの Felt と言った趣。この「青臭さ」の抜け切らないとでも表現のしようがないギター・サウンドは、好きな人(私のことですが)には堪らないと思います。間違っても万人にはお薦めできませんが、80 年代のあの「空気感」が未だに忘れられない方々は、ぜひ。【Track Listings】01. The Watery Song02. Four Corners Of The Earth03. Study No.104. Golden Hills05. Silver Fountain Of Paradise Square06. So Serene07. Dance Of Deliverance08. Pavane09. A Tale From Scriabins Lonely Trail10. Maestoso Con Anima
2012.10.06
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インダストリアル・メタルの生みの親、Alain Jourgensen のメイン・ユニットたる Ministry の 2nd アルバム。お茶目なエレ・ポップだともっぱらの噂のデビュー・アルバム "With Sympathy" は未聴。いつかそのうち、と思いつついつの間にかどうでもよくなってしまいました。私の Ministry 初体験は 3rd アルバムの "The Land Of Rape And Honey"。遡ってこの "Twitch" を聴き、こっちの方が出来は良いのじゃないか、と思いました。こちらはインダアストリアル・メタルではなく、エレクトリック・ボディー・ミュージックの範疇に入るのでしょうか。Adrian Sherwood や Keith Leblanc と言った人選もズバリ私好み。執拗に反復するマシーナリーなビートや脅迫的なノイズ、サンプリングの挿入は、まごう方なき Ministry サウンドと言うべきものですが、次作以降に顕著な、ありったけの感情を叩きつけるような激しいヴォーカルに比べて、本作におけるクールな語り口はむしろ新鮮。"With Sympathy" の名残なのかポップなバック・コーラスがあったりもします。ハイライトはなんと言っても 7 曲目のメドレー。アルバムの前半、相当我慢でもしてたんでしょうか、とうとう箍が外れてしまったのかボディー・ミュージックとダブとインダストリアルがごちゃ混ぜになって、延々 12 分にも渡って混沌とした世界を展開します。例のスラッシュ・ギターが一切入ってないので 3rd ~ 5th 辺りのイメージのまま聴くとつまらないと思われる向きもあるでしょうが、彼らの作品の中では(敢えて 1st は除外しますが)比較的ポップで聴き易いのではないでしょうか。【Track Listings】01. Just Like You02. We Believe03. All Day Remix04. The Angel05. Over The Shoulder06. My Possession07. Where You At Now? ~ Crash And Burn ~ Twitch (Version II)08. Over The Shoulder (12" Version)09. Isle Of Man (Version II)
2012.10.03
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