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60 年代後半に活動を開始しながら単独での公式音源の発表がなかった裸のラリーズが、90 年代初頭に突然リリースした 3 枚の公式 CD の 1 枚。そのニュースを知った(確か『ミュージック・マガジン』の小さな記事であったと思います)時には、当時私が住んでいた大阪市内の、インディーズ系を扱っている主要なレコード・ショップでも既に軒並み売り切れ状態で、どこに問い合わせても在庫もないし入荷予定もない、とけんもほろろの対応。諦めきれずダメ元で発売元に問い合わせたところ "'67-'69 STUDIO et LIVE" とこのライヴ盤は何枚かある、とのことでなんとか手に入れることが出来たのでした。「公式」とは言いつつそもそも発売を目的にして録音されたものではなかったのでしょう、音質はブートレッグ並み。強烈なフィード・バックと過剰に施されたヴォーカルのディレイ効果、更にはその荒々しく毛羽立った様な劣悪な音質のお陰で(?)、輪郭が不鮮明で掴めそうで掴み切れない、常にはぐらかされているようなもどかしさは抱えつつも、聴き手である私たちのイマジネーションは自由奔放に轟音の中を飛び回れる、そんな印象を持ちます。そう言う意味合いにおいて 1 曲 1 曲を取り上げてああだこうだと評するのは野暮と言うものでしょう。一夜のライヴの全貌は 2 枚のディスクに分割され、1 曲毎のクレジットもありますが、これは「ひとつ」のものとして聴くのが一番良いのかな、と思います。最後に余談。かつてあがた森魚は 8 年もの歳月を掛けてアナログ盤 3 枚組の大作 "永遠の遠国" を産み落としました。また、PANTA は一度ならずも挫折した「水晶の夜」をテーマにした作品を構想から 10 年後に "クリスタル・ナハト" と言うアルバムに結実させました。或いは、Beatles の "Let It Be" や Rolling Stones の "Tattoo You" と言った作品は、当のアーティスト本人が匙を投げた素材を、外部のプロデューサーの手に委ねることで「アルバム」としての実体を持つに至ったものでした。意志あるところに道あり。いろいろと意見はあろうかと思いますが、ことラリーズ、水谷孝と言う人に関しては「(再生芸術としての?)作品を生み出す」と言う意志が希薄であったのだろうか、と残念に思う今日この頃。まあ(消息はわかりませんが)「引退」したと言う話は未だ聞かないので、今後なんらかの形で新しいなにかが出てくる可能性、淡い期待は持ち続けはしますが(笑)。【Track Listings】- Disque 1 -01. Enter The Mirror02. 夜、暗殺者の夜03. 氷の炎04. 記憶は遠い- Disque 2 -01. 夜より深く02. 夜の収穫者たち03. The Last One
2012.12.22
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元 P.I.L. のベーシスト Jah Wobble のユニット、 Invaders Of The Heart の 2 枚目にして最初のスタジオ録音アルバム。やたら(?)多作な方なので全てをフォローしている訳では到底ありませんが、Jah Wobble のソロ・ワークの中でも飛び切りポップで取っ付き易い作品であり、P.I.L. 脱退以降では、元 Can の Holgar Czukay、Jaki Liebezeit とのコラボレーション "Full Circle" に続いて彼が手に入れた大きな果実のひとつです。相変わらず上手いんだか下手なんだか判然としないダブワイズなベースを基調に、エレクトロニクス、ホーンやトライバルなパーカッションを絡ませ、時にニュー・ウェーヴ、時にエスニックなダンス・ビートといった感じで気の向くままにとりとめの無い無国籍風サウンドを展開しています。中でも印象的なのはアルバム冒頭の "Visions Of You" で透明感溢れる美声を響かせる Sinead O'Connor と、アラブ歌謡調(?)のコブシを決める Natacha Atlas のゲスト・シンガー陣の活躍振りです。とりわけ、この作品を通して初めてその存在を知った Natacha Atlas の存在感は抜群。私にとっては Peter Gabriel の "In Your Eyes" での Youssou N'Dour 以来の衝撃でした。彼女をフィーチャーした "Bomba" や "Erzulie" と言った楽曲での妖艶さはそれまで私が聴いたことのないものであり、彼女の声が私の耳に届いたその刹那、その場の空気が一気に濃密なものに変化したのではないかと思わせる程です。とぼけたと言うかのほほんとしたとでも言うのか、いつもはさして気にならない Jah Wobble の鼻歌風ヴォーカルが、この時ばかりは場違いなものに思われ耳障りで仕方ありませんでした。とまれ、Natacha Atlas と言う逸材を広く知らしめたというその一点だけでも、聴く価値のある作品だと思います。【Track Listings】01. Visions Of You02. Relight The Flame03. Bomba04. Ungodly Kingdom05. Rising Above Bedlam06. Erzulie07. Everyman's An Island08. Soledad09. Sweet Divinity10. Wonderful World
2012.12.19
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Stone Roses 不在の間隙を縫って UK ロック・シーンのトップに躍り出た Primal Scream の 3rd アルバム。本作以前の Primal Scream については、フロント・マンの Bobby Gillespie が Wake や Jesus & The Mary Chain のメンバーだったと言うこともあり、John Lennon を想起させるバンド名とも相俟って興味半分で聴いてはいましたが、なんともゆるーい感じのガレージ・ロックだなぁ、と言う程度の感想しかなく、のめりこむまでには至りませんでした。それが・・・。それが一体どうしたことでしょう。前 2 作の余りの不発振りにキレてしまったのか、突然の大変貌。キーワードは Rolling Stones とハウス・ミュージックでしょうか。"Beggars Banquet" ~ "Let It Bleed" 辺りの Stones の楽曲にゴスペル・コーラスをぶち込んでハウス・リミックスしたようなオープニング "Movin' On Up" がいきなり強烈です。"Come Together" はタイトルは Beatles ですが、1 曲目同様コーラスを配して静かな出だしから徐々に高揚し圧倒的な絶頂へと向かう様は正に Primal 版 "Salt Of The Earth"、もしくは "You Can't Always Get What You Want" とでも言った趣き。普通の(?)バンドならばアルバムのフィナーレに持ってきそうな曲なのになぁ、とその捻くれ具合に妙に感心。"Loaded" はまんま "Sympathy For The Devil" だし、続くピアノの響きが印象的な、 "Exile on Main St." に入っててもおかしくなさそうなバラッド "Damaged" では、当のアルバムのプロデューサーでもあった御大 Jimmy Miller を担ぎ出してくると言う念の入り様。このように各々の楽曲も面白いのですが、オリジナル・アルバムでありながらリミックス・アルバムでもある、と言う凝った趣向がロックでありながらダンス・ミュージックでもある本作の成功の鍵なのではないでしょうか。一方で女性ヴォーカルをフィーチャーした "Don't Fight It,Feel It" やインストゥルメンタルの "Inner Flight" を聴くに及んで、プロデューサーたる Andrew Weatherall や The Orb の手腕は認めつつも、果たしてバンドとしての実体はあったのか、とやや疑問も残りますが。【Track Listings】01. Movin' On Up02. Slip Inside This House03. Don't Fight It,Feel It04. Higher Than The Sun05. Inner Flight06. Come Together07. Loaded08. Damaged09. I'm Comin' Down10. Higher Than The Sun - A Dub Symphony In Two Parts -11. Shine Like Stars
2012.12.12
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"Treasure" [Cocteau Twins] 以前の初期 4AD Records の、ダークで硬質なレーベル・イメージを決定付けると共に、後のゴシック・ロックやヴィジュアル系の源流とも評されることにもなった Bauhaus の 1st アルバム。私が所有している CD は、なにを血迷ったのか 1 曲目にボーナス・トラックの "Dark Entries" が配されると言う暴挙に等しい構成。4AD 、一体なにをやらかしてくれるんだ。このアルバムのオープニングは絶対に "Double Dare" でしょ。不吉な報せの到来を告げる鐘の音、もしくは海底深くに潜む不気味な潜水艦のソナー音をおもわせるベースで始るあの曲。それ以外の選択肢があるなどとは露ほどにも思わなかった私は、当時相当なショックを覚えました。それほどまでに、私にとっては重要で大切なアルバムなのでした。本作がシーンに登場した 1980 年代初頭のイギリスでは、Public Image Limited や Joy Division、Killing Joke、Echo & The Bunnymen 等々、ポスト・パンク/オルタナティヴと呼ばれたアーティスト達がデビュー、或いは重要作品をリリースしていた時期。次から次へと出てくる未知の音になけなしのお金をつぎ込んでいました。大袈裟に言えば私にとってのメルクマールとなった時代でした。なかでもこの Bauhaus の印象は鮮烈でした。漆黒の闇を切り裂く一閃の光のようにしなやかに跳躍する Peter Murphy と、上半身も露にノイジーなギター・サウンドを奔放に撒き散らす Daniel Ash のコンビネーションには、同時代のアーティスト達にはないスター性とでも言うのか、別格の輝きがありました。但し、肝心の音の方はそのヴィジュアルとは裏腹に(?)それほど取っ付き易いものではありません。本作の中ではボーナス・トラックとして収録されている T-Rex のカヴァーである "Telegram Sam" が一番ポップな出来かもしれませんが、それとて原曲のコアの部分だけを抽出し高濃縮したような異形のサイケデリック・ミュージックに仕上がってはいますが。【Track Listings】01. Dark Entries02. Double Dare03. In The Flat Field04. God In An Alcove05. Dive06. Spy In The Cab07. Small Talk Stinks08. St.Vitus Dance09. Stigmata Martyr10. Nerves11. Telegram Sam12. Rosegarden Funeral Of Sores13. Terror Couple Kill Colonel14. Scopes15. Untitled16. God In An Alcove17. Crowds
2012.12.08
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Neil Tennant と Chris Lowe のエレクトロニック・ポップ・デュオ Pet Shop Boys の 1st アルバム。Neil Tennant は元々音楽雑誌の編集者だったらしく、もしかするとその辺りが関係しているのでしょうか。理詰めで考えに考え抜いたのでしょう、デビュー作とは思えないほどの完成度です。アメリカやイギリスで大ヒットした "West End Girls" や "Opportunities" に顕著な、ダンサブルなディスコ・サウンドにちょっぴり哀愁や翳りを絡ませたお馴染みの音が目白押し。さすがに古臭く感じるところもありますが、それを補って余りあると思えるほど良いメロディーが満載です。テクノロジーは時間と共にどうしても陳腐化してしまいますが、メロディーは古びません。それが未だに根強い人気を誇っている大きな理由のひとつではないでしょうか。反面、そつが無さ過ぎてちょっと面白味に欠ける気もします。彼らの特徴のひとつとも言える諧謔的なところが見当たらない点も残念です。折角のデビュー作なのにわざわざ浮かない表情のポートレイトを採用する辺りに、幾分アイロニカルな部分が垣間見えはしますが。但し、こんな重箱の隅を突く様なことを言うのはあくまで私が後追いのファンだからでしょう。好きなら好きと言えば良いのにね。ひねくれ者だなぁ。って、私のことか。ちなみに、このシンガー + キーボード・プレイヤー(サウンド担当)の男性デュオと言う編成は Soft Cell や Communards、Erasure などと同じ。おまけに(?)シンガーがゲイ、と言うところも。【Track Listings】01. Two Divided By Zero02. West End Girls03. Opportunities (Let's Make Lots Of Money)04. Love Comes Quickly05. Suburbia06. Opportunities (Reprise)07. Tonight Is Forever08. Violence09. I Want A Lover10. Later Tonight11. Why Don't We Live Together?
2012.12.05
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