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Flying Saucer Attack (以下、F.S.A.)の 2nd アルバムにして、アルバム未収録の初期シングル・ナンバーを集めたコンピレーション・アルバム。"Oceans" や "Instrumental Wish" のようなある意味水墨画を想起させる程に静謐な(と言ってもバックにはノイズが鳴り続けてはいますが)アンビエント作品と、"Standing Stone"、"Crystal Shade"、或いは "Soaring High" と言ったお得意のフィード・バック・ノイズの嵐が吹き荒れる轟音ナンバーが、お互いの個性を殺しあうことなく巧みに配置されていて、まるでオリジナル・アルバムを聴いているかのような統一感があります。F.S.A. と言うとどうしても My Bloody Valentine (以下、M.B.V.)が引き合いに出されてしまいますが、極めて精緻なスタジオ・ワークの果てに生み出された M.B.V. の作品に比べて、F.S.A. の発するノイズはその場の偶発性に大きく左右されたもののようで、あまり計算が感じられません。初期のアルバム・スリーヴに則して言えば「自然派(もしくは、自然体)ノイズ」とでも(笑)。そう言う意味合いにおいて M.B.V. に触発されて「シューゲイザー」だの「フィード・バック・ノイズ」と言ったキーワードを縁に F.S.A. に辿り着いたヒトは、結構な割合で失望したんじゃないかと他人事ながら心配してしまいます。9 曲目以降は日本盤のみのボーナス・トラックです。この記事を書くにあたって添付のライナー・ノーツを読んでいて、今更ながらその事実に気付きました。【Track Listings】01. Oceans02. Standing Stone03. Crystal Shade04. Instrumental Wish05. Distance06. November Mist07. Soaring High08. Oceans 209. Outdoor Miner10. Psychic Driving11. Land Beyond The Sun12. Everywhere Was Everything
2012.04.30
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パフォーマンス集団 Coum Transmission を母体に、"Industrial Music For Industrial People" (或いは "Industrial Music For Concrete People")、"Music From The Death Factory" 等のスローガンの下特異な活動を繰り広げた Throbbing Gristle の 1st アルバム。「 2 年目の年次報告」のタイトルが示すとおり、あくまで「活動報告」なので作品のクウォリティーは問わない、と言うことで OK ?Ministry や Nine Inch Nails 等の活躍により一般にもクローズ・アップされるところとなった '80 年代の「インダストリアル・ロック」は、楽曲を構成するエレメントのひとつとして極度に歪ませたギターや工場や建築現場での騒音と思しき(?)具象音、或いは映画やテレビ等からのおどろおどろしい音声のサンプリングを使用していましたが、この Throbbing Gristle にはそのような表層的な過激さや衝撃のようなものはほとんど感じられません。むしろ、静かなアンビエント・ミュージックといった印象すらあり、同じ「インダストリアル」と言う言葉を用いながらもその趣を大きく異にします。Genesis P-Orridge の生理的に嫌悪感を抱かせるヌメっとしたヴォーカルに端的な、正体不明の禍々しさ、どこまでも捩れていくような病的な違和感、じわじわと蝕まれていく平衡感覚、そういったものを「音」として表現していく課程を「インダストリアル」と称している、と言った方が解かり易い(?)のかもしれません。正直、聴いていて楽しかったり面白みを感じたりするわけではないのですが、何年かに一度ぐらいの割合で突然聴きたくなるのです。我ながら困ったものだと思うのですが、まあ猫が草食べるようなものかと諦めています。【Track Listings】01. Industrial Introduction02. Slug Bait - ICA03. Slug Bait - Live at Southampton04. Slug Bait - Live at Brighton05. Maggot Death - Live at Rat Club06. Maggot Death - Studio07. Maggot Death - Southampton08. Maggot Death - Brighton09. "After Cease to Exist" - The Original Soundtrack of the Coum Transmission film10. Zyclon B Zombie11. United
2012.04.29
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オランダのゴシック・メタル・バンド Gathering の 3 枚目にして、稀代の女性シンガー Anneke van Giersbergen が参加した最初のアルバム。本作以前のアルバムは聴いた事がないのですが、男声デス・ヴォイスをフィーチャーしたメタルを演っていたそうです。と言うか、Anneke の歌声を聴いてしまった後では、彼女不在の時代の作品は聴く気がなかなか起きません。それ程に彼女の歌声は素晴らしいのです。その圧倒的で堂々とした歌声のみで空間を支配する様はあたかも無辜の民を睥睨する古代エジプトの暴君のようです。私も思わず彼女の足元にひれ伏したくなる衝動に駆られます。後に、非ロック的な民俗音楽の手法を援用してゴシックな世界を描き出した Dead Can Dance (以下、D.C.D.)や、シューゲイザー一派とみなされている Slowdive の作品をカヴァーしているところを見ても、単純に「メタル」の一言では片付けられない幅広い音楽性を秘めています。本作においてもタイトル・トラックであるインストゥルメンタルの "Mandylion" などは直截的にエスニックな趣がありますし、他の曲の中でも D.C.D.っぽい音を聴き取ることが出来ます。そう考えると、不気味な表情の仮面をあしらったスリーヴ・デザインは D.C.D. の 1st アルバムのオマージュかな、とも思えます。わずか 8 曲しか収録されていませんが、全曲お薦めです。取り敢えずオープニングの "Strange Machines" だけでも聴いて頂きたいです。そして、もしこの曲を聴いて何の感慨も湧かないようであれば、ゴシック・メタルには近づかない方が宜しいかと存じます(笑)。【Track Listings】01. Strange Machines02. Eleanor03. In Motion #104. Leaves05. Fear The Sea06. Mandylion07. Sand And Mercury08. In Motion #2
2012.04.28
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スリーヴにでっかく "BRUFORD" とクレジットされていますが、バンド名義ではなくあくまで Bill Bruford のソロ・アルバムとのことです。紛らわしいなぁ(笑)。Bill Bruford と言えば Yes、King Crimson、UK 等日本でも人気の高いバンドに足跡を残した、ご存知プログレ渡り鳥の超絶ドラマーですが、まず驚かされるのはその作曲能力の高さでしょうか。特に叙情的な曲が続くアルバム後半部だけを取り上げれば、誰もドラマーのリーダー・アルバムだとは気付かないかもしれません。所謂ジャズ・ロックの範疇に括られるのでしょうが、メロディアスな楽曲や Allan Holdsworth や Dave Stewart らによるテクニカルでいながら決して重々しくならない演奏等の性か、とてもポップな印象が強い作品です。軽快な "Beelzebub" や "Sample And Hold"、Dave Stewart の変幻自在のキーボード・プレイが楽しい "Feels Good To Me" も素晴らしいですが、正にタイトル通りの情景が眼前に広がる静かな "Springtime In Siberia" と、シームレスに続くドラマティックな展開の "Adios A La Pasada" が本作のクライマックスでしょうか。ちなみに、今でも賛否両論の Annette Peacock のヴォーカルですが、私は特に気になりませんでした。むしろ Annette さんのヴォーカル入り楽曲とインストゥルメンタルのバランスが結構良い塩梅ではないか、とさえ思います。【Track Listings】01. Beelzebub02. Back To The Begining03. Seems Like A Lifetime Ago (Part One)04. Seems Like A Lifetime Ago (Part Two)05. Sample And Hold06. Feels Good To Me07. Either End Of August08. If You Can't Stand The Heat......09. Springtime In Siberia10. Adios A La Pasada (Goodbye To The Past)- Bonus Track -11. Joe Frazier
2012.04.27
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1993 年リリース当時、本国フランスではまったく話題にもならなかったのにも拘らず、何故か日本でスマッシュ・ヒットした Robert の 1st アルバム。正確な発音は浅学にしてわかりませんが、「ロベール」と表記されています。お馴染み "It's A Small World" の人懐っこいメロディーがオルゴール風の可愛い音で奏でられる幕開け。ここで心を許したのが運の尽き。2 曲目以降はがらりと趣を変えて、打込み主体ながらピアノや弦楽器を効果的に挿入するなど細部へのこだわりが光る耽美的なテクノ・サウンドをバックに、ややハスキーで頼り無げなウィスパー・ヴォイスが浮世離れした頽廃的でゴシックな世界を紡いでいきます。物憂げに小首を傾げたポートレイトがぴったりです。全体的な雰囲気を解かり易く例えると、より内向的になった '80 年代の Mylene Farmer とでも言った感じでしょうか。ちょっと怖いですね。ちなみに "La Chanson Des Vieux Amants" は Jacques Brel のカヴァー。いかにも気難し屋の文学少女がセレクトしそうな感じ。いや、あくまで勝手なイメージです。悪気はありません。4 曲目の "Das Modell" は Kraftwerk がオリジネイター。偏頭痛が似合いそうなテクノ・ポップです。毎日聴きたいとは間違っても思いませんが、心が折れそうな時のショック療法用に常備しておきましょう。【Track Listings】01. It's A Small World02. Jeannette03. Les Cliches De L'ennui04. Das Modell05. Goutte De Pluie06. He Toi07. La Chanson Des Vieux Amants08. Elle Se Promene09. Sans Domicile Fixe10. Sion's Song11. Je Me Suis Devetue12. Le Chien Mauve13. Aime-Moi14. A Children's Tale (Le Nuit Du Chasseur)15. Les Jupes16. Intrus
2012.04.25
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丸い月を見るとヴァンパイアに変身しそうなゴス・ロリ風シンガー、Fuchsia 嬢を中心とするアメリカはアリゾナ出身のエレクトロ・ゴス・ユニット、2007 年リリースの 1st アルバム。スリーヴ内側のクレジットに彼女が影響を受けたアーティストとして、Peter Murphy [Bauhaus]、Liz Fraser [Cocteau Twins]、Miki Berenyi [Lush]、cEvin Key [Skinny Puppy]、Kevin Shields [My Bloody Valentine]、、、等々 30 人ほどの名前がずらずらと挙げられており、物の見事に私の音楽的趣味嗜好にメガ・ヒットと言う感じです。音の方は打込み主体でややチープな感触ですが、スリーヴのポートレイト程には暗黒じゃない夢見るような幻想的なエレクトロ・サウンドをバックに、そのド派手な外見とは裏腹な繊細で可憐な歌声を聴かせてくれます。いい歳した大人(私のことです)が大手を振って聴くには、ちょっと気恥ずかしいかもしれません。と言うワケで、ヘッドフォーンしてます。って、意味が違うような。【Track Listings】01. Out Of Control02. Transmissions03. Never Where04. Underwater05. Full Moon On A Half Night06. Silent And Still07. Interlude08. Blissful Escape09. Coil10. Don't Walk Away11. A Recurring Dream12. Moonbow
2012.04.20
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Genesis 在籍中の 1975 年にリリースされた Steve Hackett の 1st ソロ・アルバム。オープニングの "Ace Of Wands" でのアグレッシヴなギター・プレイに、俺(こそ)が Genesis だ、と言わんばかりの気迫が感じられます。勿論、"The Lamb Lies Down On Broadway" を巡る Peter Gabriel との確執云々のゴシップがそんな印象を一層濃くしているのでしょうが。この "Ace Of Wands" と言う曲は、わずか 5 分半と言う短さながら忙しないくらいにころころと展開が変わるのですが、そんな中でもベースやメロトロン、12 弦と思しきアコースティック・ギター等が次々にフィーチャーされていきます。この曲に象徴されるように、一般的に想起されるギターリストのソロ・アルバム、ヴァーチュオーソの神業をご披露的な感じはなく、アンサンブルの妙、起承転結の際立った楽曲の完成度、時にクラシカルで、時にシンフォニックな、正に「もうひとつ」の Genesis とでも言うべきプログレ・バンドの作品を聴くような面白さ、楽しさが味わえる作品です。唯一難点を挙げれば Phil Collins のヴォーカルでしょうか。別段彼が嫌いなわけではないのですが、あの歌声が聴こえてきた瞬間、ストレートに本家 Genesis がイメージされてしまいちょっと興醒めかなぁ、と思うのです。ほとんど言い掛りみたいなものですが(笑)。【Track Listings】01. Ace Of Wands02. Hands Of The Priestess (Part 1)03. A Tower Struck Down04. Hands Of The Priestess (Part 2)05. The Hermit06. Star Of Sirius07. The Lovers08. Shadow Of The Hierophant- Bonus Tracks -09. Ace Of Wands (Live at The Theatre Royal,Drury Lane)10. Shadow Of The Hierophant (Extended Playout Version)
2012.04.18
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元 G-schmitt の歌姫 Syoko の 1st ソロが CD でリ・イシューされておりました。これは迂闊と言うしかないのか。情報難民ですか、私は。それはさておき。『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』等代表作を挙げればキリのない久石譲との奇跡のコラボレーション。打ち込み主体のインダストリアル・サウンドをバックに、微妙なヴァイブレーションを伴った Syoko の哀しげな歌声が響きます。ポエトリー・リーディング風な "Magie" は余りにもスノッブ過ぎて、80 年代当時ならいざ知らず相当好き嫌い分かれそうな感じはしますが、それでも押しなべてハイ・クウォリティーな楽曲が並んでいます。つんのめりそうなテクノなボサ・ノヴァ "からっぽの日旺日" も面白いですが、やはり "Sphinx In The Night" のようなスローなバラッドが描き出す、ありきたりな表現過ぎて困ってしまうけれど、儚くも幻想的な世界観は彼女独自のものだと言ってしまいたいです。それこそ 20 年振りぐらいに聴いて、ちょっと冷静さを欠いております。近寄りがたく屹立した気高さ、そしてそれと背中合わせの脆さを孕んだ美しさ。とりわけラストを飾る "Sunset" の、恰も真綿に水が沁み込んで行くような仕方で周囲の空気を侵食していく崩壊感は白眉。【Track Listings】01. 情景(1)02. Criminal Shuffle03. Sphinx In The Night04. Magie05. からっぽの日旺日06. Sunset
2012.04.17
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ヴォーカル & ヴィジュアル担当の Alison Goldfrapp とその他 1 名からなるユニットの 1st アルバム。意地悪な書き方しましたが「その他 1 名」さんは Will Gregory と言う方です。アルバム毎に音楽性がコロコロと変わるのでカテゴライズし難い方々ですが、本作は果肉が爛れる寸前の美醜が一体となったフルーツのような、頽廃的で耽美な所謂トリップ・ホップ的な作品と言えるでしょうか。イントロのブヨブヨした口笛風の居心地の悪い音が印象的な "Lovely Head" や "Pilots" でのホーンとストリングスの絡み等 Angelo Badalamenti を想起させる部分もあり、そう考えると裏スリーヴのマッターホルンの写真は "Twin Peaks" のオマージュと思えなくもありません(って、深読みですかねぇ)。また、"Human" 辺りは端的に Bjork に似ている気がしますし、全体的に微妙な既視感が漂っています。こう書くと Goldfrapp ならではの個性に欠けるような感じですが、やはり一番の売りは Alison Goldfapp 嬢の耽美な、いやより正確を期すならば「淫靡」と評したくなる歌声でしょう。Portishead の "Dummy" や Tricky の "Maxinquaye" の端正な作品に比べると、イケないことを承知で思わずついつい覗き込んでしまいそうな場末の見世物小屋風の、思わせ振りで白粉の匂いがプンプンするいかがわしくも人工的でポップな魅力に溢れています。【Track Listings】01. Lovely Head02. Paper Bag03. Human04. Pilots05. Deer Stop06. Felt Mountain07. Oompa Radar08. Utopia09. Horse Tears
2012.04.15
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デビュー作の "Adolescent Sex" から 1 年も経たぬ間に届けられた 2nd アルバムですが、ホワイト・ファンク、もしくはミュータント・ソウルとでも表現のしようのなかった 1st アルバムの音楽性から大きく変化しています。".....Rhodesia" に顕著なレゲエ/ダブ的手法の導入、或いは、David Bowie の所謂ベルリン三部作を彷彿させるインストゥルメンタル "The Tenant" やクールな出だしから徐々に青白い熱気をはらんだクライマックスへと至るタイトル・トラック "Obscure Alternatives" など、わずか数ヶ月という短時間での成長には驚嘆せざる負えません。デビュー作が極東の島国を除いてはまったくと言って良い程受け入れられなかった、と言ういきなり直面した厳しい現実がその成長を促したのかもしれません。極端に喉を締め付けたような苦しげな David Sylvian のヴォーカル、次作以降に比べてまだまだ泥臭さが残るサウンド、レゲエ風な作品や耽美的な曲、それに比較的ストレートなロック・ナンバーなど様々な作品が同居する混乱振りなど高評価に結びつきにくい要素が散見されるアルバムですが、そんな中でも特異な個性を発揮し出した Mick Karn のフレットレス・ベース、意外にも(失礼)実は本作の要を担っているんじゃないかと思える Rob Dean のギター等聴き所は満載です。1st 同様やっつけ仕事としか思えないスリーヴが、レーベルから如何程の期待もされてなかった証左のように思えて他人事ながら切なくなります(笑)。【Track Listings】01. Automatic Gun02. .....Rhodesia03. Love Is Infectious04. Sometimes I Feel So Low05. Obscure Alternatives06. Deviation07. Suburban Berlin08. The Tenant
2012.04.13
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Led Zeppelin や Pink Floyd 等数々のアルバム・スリーヴを手掛けたことでも有名なデザイン・グループ Hipgnosis のメンバーであり、Throbbing Gristle、Psychic TV のメンバーでもあった Peter Christopherson が、Psychic TV で活動を共にした John Balance と結成したインダストリアル・ユニット。人様に紹介する時やリアル・ショップで購入する際には必ずや一度ならず躊躇うであろう悪趣味(?)なアルバム・タイトル、そんなタイトルを象徴するスリーヴのお尻のクローズ・アップ。見た目の露悪的な部分とは裏腹に、新興宗教だの性転換だの音楽以外の部分でなにかとお騒がせな Genesis P-Orridge には愛想が尽きてたんじゃないかと、そして恐らくはまともに「音楽」をやりたくて Coil と言うユニットを立ち上げたんだろうな、と思わせる程充実しまくったデビュー・アルバム。Jim Foetus こと Jim Thirwell が共同プロデュースしているのが一因なのか、Coil の作品の中では一番「インダストリアル」っぽいです。"Panic" や "Solar Lodge" 等は正に工事現場に居るかのような騒然とした音響が聴けます。その一方、"At The Heart Of It All" のような静謐で美しいインストゥルメンタルもあり、その落差には眩暈すらしそうです。余談ですが、私が持っている CD のスリーブにはアルバムのコンセプトを無視するかのように「Stevo、分け前を寄越せ!」(Stevo,Pay Us What You Owe Us!)と書かれています。Stevo とは Some Bizarre と言うレーベルのオーナーで、Einst?rzende Neubauten の Blixa Bargeld 辺りからも口を極めて非難されている人物。相当な御方のようです。【Track Listings】01. Ubu Noir02. Panic03. At The Heart Of It All04. Tenderness Of Wolves05. The Spoiler06. Clap07. Restless Day08. Aqua Regis09. Solar Lodge10. The Sewage-Worker's Birthday Party11. Godhead=Deathhead12. Cathedral In Flames13. Tainted Love
2012.04.12
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ポスト・パンク期に一瞬花開いた徒花、ニュー・ロマンティックスのなかでも更に徒花っぽい扱いをされている Visage の 1st アルバム。(少なくともこの島国においては)突如現れた氏素性の判らないユニットの割りにバックを Ultravox と Magazine のメンバーが固めると言う豪華さ、メイクを通り越して図画工作としか表現のしようのない Steve Strange の派手派手なヴィジュアル、そしてなによりブームが去った後のまるで絵に描いたような零落振り。それらが綯い合わさって徒花っぽさがより一層際立って見えるのかもしれません。なんだか貶しているような口振りですが、ところがどっこい、実は密かに愛聴しているのですよ、これが。当時はニュー・ロマンティックスを聴いていると言うだけで冷たい視線を浴びたものですが(なにしろ私が通っていたのは男子校でしたから)、肝心の中味は軽快なダンス・チューンの "Visage" や "Malpaso Man"、誰が聴いても YMO としか言わないテクノな "Moon Over Moscow"、耽美路線の "Fade To Grey" に "Mind Of A Toy" と、ヴァリエーション豊かでポップな作品に仕上がっています。恐らく音楽面で全権を振るったであろう Midge Ure の手堅い職人仕事がキラリと光ります。私が所有しているポリドール盤の CD にはどこにもリマスターの表記がありません。その性か全体的に音が軽過ぎる感じがします。Steve Strange は元々クラブの DJ だったそうですが、そんな彼が聴いたらきっと切なくなるんじゃないでしょうか。【Track Listings】01. Visage02. Blocks On Blocks03. The Dancer04. Tar05. Fade To Grey06. Malpaso Man07. Mind Of A Toy08. Moon Over Moscow09. Visa-age10. The Steps
2012.04.11
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80 年代のフランスが生んだスーパー・スター、Mylene Farmer の 1st アルバム。1961 年生まれらしいので年代的に言えば「フランスの松田聖子」とでも言う感じですが、音楽性や資本をたっぷりと投下したと思しきプロモーション・ヴィデオ、ライヴ・パフォーマンス等のヴィジュアル戦略からすると「フランスの浜崎あゆみ」か。って、別に誰でも良いんですが。生年月日が正しければこのデビュー作の時点で既に 25 歳だったので、十代のアイドルとは違って単なる可愛らしいお人形ではありませんでした。シングルにもなった "Libertine" や "Chloe" のような軽快でキュートな曲もありますが、歌詞は結構ドロドロです。皆目見当のつかないフランス語でもあるし、元々歌詞は気にしない性質(?)なので私は全然気にせず聴いてますが、よくもまあこんな暗い歌がヒットしたなぁ、と感心します。次作以降の展開を考えると、ユーロ・ビートを基調に頽廃的でちょっと危ない愛の世界を歌う、と言うのがデビュー時点での基本路線だったのでしょう。【Track Listings】01. Libertine02. Au Bout de la Nuit03. Vieux Bouc04. Tristana05. Chloe06. Maman a Tort (Nouvelle version)07. We'll Never Die08. Greta09. Plus Grandir10. Libertine (Remix Special Club) 11. Tristana (Remix Club)12. Cendres de Lune
2012.04.10
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4 作目の "Ocean Rain" までのスリーヴの影響は決して否定出来ないけれど、Echo & The Bunnymen には寒風吹き荒ぶ冬の情景がひどく似つかわしく感じます。怜悧なカッティングで絡む 2 本のギターと、それを支えるしなやかなリズム隊。激情と冷徹さが同居する Ian McCulloch の歌声。ひとつ間違えれば崩壊してしまいそうな危ういバランスの上に建てられた伽藍のような音楽。私が所有しているのはアメリカのサイアー盤ですが、ボーナス・トラックが 2 曲目と 9 曲目に挿入されているという無粋な作り。さすがアメリカ人。オリジナルの意義をなんだと思ってるんだ。と、妙なところに拘る日本人が申しております。それはそれとして、全篇に漲る緊張感とでも言うべきものは只者ではありません。Joy Division 以降を象徴するような重苦しい雰囲気を醸し出しつつ、どこかしら透明感のあるギター・オリエンテッドなロックン・ロール。各々のエレメントを取り出せば、もしかしたら取るに足らないものばかりなのかもしれませんが、それらがひとつに重なり合った時に生じるマジックは、同時代の誰をもが作り出せなかった特異なものでした。そしてそれはまた、彼ら自身にも再現不可能なものだったようです。とまれ、"Going Up" や "Pictures On My Wall"、"Happy Death Men" と言った楽曲で聴かれる絶妙なアンサンブルは、今の時代においても十分魅力的で、有効であるように思われます。【Track Listings】01. Going Up02. Do It Clean03. Stars Are Stars04. Pride05. Monkeys06. Crocodiles07. Rescue08. Villiers Terrace09. Read It In Books10. Pictures On My Wall11. All That Jazz12. Happy Death Men
2012.04.08
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その登場と同じぐらい、いやそれ以上に 衝撃的だった Sex Pistols の崩壊劇から 1 年も経たないある日、音楽評論家の大貫憲章氏がディスク・ジョッキーを務める AM ラジオから流れてきたあの曲。そう、それが Public Image Limited (以下、P.I.L.)の 1st シングル "Public Image" でした。明らかに Sex Pistols とは違うけれど、それでもまだパンクの余燼が確かに感じられた "Public Image" に勢い込んで、わざわざ予約までして手に入れた P.I.L. の 1st アルバム。1 曲目に針を下ろすや否や飛び出してきたサウンドに、正に冷水を浴びせられたような感覚を味わったことを、まるで昨日のことのように思い出します。一見起伏の少ない単調な曲でありながら、傍若無人に掻き鳴らされるノイジーなギターに、原初の記憶を呼び覚まさんとするかのように叩きつけられる荒々しいドラム、今でこそレゲエ/ダブの影響云々と言えるけれど、当時はなんとも不可解なものに感じられたベース、そして、傷ついた獣の咆哮の様に叫び続ける John Lydon のヴォーカルが闇鍋の如く不気味に混じり合い聴き手に襲い掛かってきます。P.I.L. と言えば、やはり "Metal Box (Second Edition)" と "Flowers Of Romance" の 2 枚の作品をピークに挙げるヒトが多いという事実は大いに理解出来ますが、この "First Issue" も決して侮れない佳作だと思います。無理を承知で一言でこの作品を表現するとすれば、「粗にして野だが卑ではない」と言うことになるのではないでしょうか。パンクと覚醒的なサイケデリック・サウンドと冷徹なダブの混合。未整理で拙い部分が少なからず感じられはしますが、未開の地を暴力的なまでの荒業で切り開こうとするある意味青臭い魅力が横溢しています。って、褒め過ぎですか?【Track Listings】01. Theme02. Religion I03. Religion II04. Annalisa05. Public Image06. Low Life07. Attack08. Fodderstompf
2012.04.07
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2012 年のここ日本において、どうやら無かったことになっているらしい Psychedelic Furs。そんな彼らが 1980 年にリリースしたセルフ・タイトルの 1st アルバム。荒々しく熱情的なパンクな部分とサイケデリックの目眩く幻惑的な部分が、恐らくは Richard Butler の不安定なヴォーカルに代表される彼らのテクニック的な拙さ故に、完全に混じり合うことなく微妙な均衡を保ちながら摩訶不思議なポップ・ワールドを作り出しています。焦燥感を駆り立てる様なイントロから一気に爆発し開放されるオープニングの "India"、それに続くやや欝気味ではあるけれど切ないメロディーのバラッド "Sister Europe"、各楽器が渾然一体となって混沌とした音の渦を生み出す間奏が秀逸な "Blacks/Radio" 辺りに、そんな彼らの特徴がよりよく現れているように思います。彼らの熱狂的なファンが賛辞を込めて名付けたと言われる 'Beautiful Chaos' なサウンドは、かろうじて次の "Talk Talk Talk" までは片鱗が窺えますが、それ以降は良くも悪くもコンテンポラリーなポップ路線へと方向転換して行きます。3rd アルバムの "Forever Now" や、続く "Mirror Moves" も駄作ではないし決して嫌いな音ではないのですが、「そこそこ」のヒットと引き換えに彼らが失ったものは、意外に大きかったのではないかなどと思ったりするのです。【Track Listings】01. India02. Sister Europe03. Imitation Of Christ04. Fall05. Pulse06. We Love You07. Wedding Song08. Blacks/Radio09. Flowers- Bonus Tracks -10. Susan's Strange11. Soap Commercial12. Mack The Knife (Non-LP B-Side)13. Flowers (Demo)
2012.04.06
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私如きが今更何を言ったところでどうにかなるわけでなし、と思わせる程、決して短くはないポピュラー音楽史の中で最も語られた作品のひとつ。その内容も音楽理論だとか演奏上のテクニックと言ったような「音楽」的なことより、King Crimson と言う存在を一個の「思想」、「哲学」とみなしてこの作品を評価しようとするアプローチが多かったように思います。成る程、'including ~' と言ったひとつの曲の中にあたかも複数の独立した楽曲が含まれているかのような表記の仕方だの、有名な 'Confusion will be my epitaph' と言う一節に代表される難解で象徴的な歌詞だの、人をして語らしむ思わせ振りな要素が沢山散りばめてある。かく申す私も「僭越ながら」と前置きのひとつもして、ついつい語りそうになるから恐ろしや。Pink Floyd 辺りも音楽以外の部分で語られることが多いバンドだと思いますが、決定的に違うのは、King Crimson のケースは、と言うより首謀者の Robert Fripp 翁自身が「哲学」的に語られたがっている、むしろそう言う方向に主体的に誘導しているんじゃないかと思われるところでしょうか。様々なインタヴュー記事を読むと正直そう感じます。私自身はあまり歓迎すべき傾向だとは思いませんが。It's Only Rock'n'Roll...それだけじゃ駄目なんですかねぇ。あっ、やっぱり「音楽」について語ってないし。【Track Listings】01. 21st Century Schizoid Man including Mirrors02. I Talk To The Wind03. Epitaph including March For No Reason and Tomorrow And Tomorrow04. Moonchild including The Dream and The Illusion05. The Court Of The Crimson King including The Return Of The Fire Witch and The Dance Of The Puppets
2012.04.04
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オーストラリアのゴシック・メタル・バンドの 1st アルバム。ぱっと見ただけではなんのことやらさっぱりな、いや、じっくり見ても意味不明なスリーヴに騙されてはいけません。叙情的で美しいメロディー満載のゴシック・メタルの佳作です。こう言ういかにもヨーロッパ的な耽美な音を志向するバンドがオーストラリアから出てくるのもなかなか面白い。あっ、でも Dead Can Dance もオーストラリア出身でしたね。恐るべし、オーストラリア。ポートレイトで見る限りパンク・ミーツ・ゴシックなルックスのシンガー Shiralee 嬢。こちらもスリーヴ同様見た目とは裏腹に、可憐で儚げなソプラノ・ヴォイスを聞かせくれます。所謂ゴシック・メタルと言われるジャンルのお約束の如く、このバンドも全篇に渡ってピアノやヴァイオリンが大活躍ですが、予想以上にギターがフィーチャーされており、重厚でメタリックな泣きのギターが堪能出来ます。ちなみにヴァイオリニストは正式メンバーではないようですが、例えそうであったとしても、な 'Violin by session musician' と言う非情のクレジット。余りと言えば余りの処遇です。名前くらい出してあげれば良いのになぁ。【Track Listings】01. Solitary Waves02. Requiescat03. The Amber Twilight04. As Powder Turns To Dust05. Solvieg's Song06. Interlunar Dreams07. Memorial Embers
2012.04.02
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Lene Lovich と言うと肝心の音楽がどうのこうのより、真っ先におさげ髪が頭に浮かんでしまうのですが、実は(?) 1949 年生まれと言うから、この 1st アルバムのリリース時点で既に 30 歳。結構遅咲きだったんですね。当時は Siouxsie Sioux や Nina Hagen らと並んで旧来の「ガールズ・ポップ」的イメージを打ち破る先鋭的な女性アーティスト、と言うような位置付けだったように記憶していますが、ここで聴く事の出来る Lene Lovich の音楽はさほどアグレッシヴなものではありません。彼女の代名詞として語られるようになるオペラチックなヴォーカルも片鱗こそあれまだまだ全開ではありません。エレクトロニクスの使用も味付け程度でしょうか。ピアノの旋律が美しい "Too Tender (To Touch)" やサックスが活躍する "Tonight" と言ったバラッドも割りとオーソドックスな展開を見せます。ネジが一本飛んでそうなカントリー風味の "Say When"、ちょっとスカっぽく聞こえるヒット・シングル "Lucky Number" 等印象的な曲も多いですが、彼女の才能が開花するのはやはり次作以降でしょうか。ちなみに私が持っているのはアメリカ盤です。オカルトチック(と言うより、ストーカーに追われている!?)なスリーヴのイギリス盤の方がやはりかっこ良いと思います。買い直そうかなぁ。【Track Listings】01. Home02. Sleeping Beauty03. Lucky Number04. Too Tender (To Touch)05. Say When06. Writing On The Wall07. Telepathy08. Momentary Breakdown09. I Think We're Alone Now10. One In 1,000,00011. Tonight
2012.04.01
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