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史談・往く人来る人(著者:綱淵謙錠|出版社:文春文庫) 「毎日新聞」の「日曜くらぶ」に1981年から翌年にかけ、五十二回にわたって連載されたもの。 ずっと気づかなかったが、途中で、このうちの何回かは、連載当時に読んだことがあるのを思い出した。 毎回、歴史上の人物や出来事をとりあげ、それにまつわることがらを簡明な筆致で語るものなのだが、文章がうまく、また、適度に思い入れもあって非常に読みやすい。 巷間評判の悪い人物でも、実は有能な人材であったらしい、とか、仲が悪いように言われているが、実は仲が良かったとか、一つ一つ根拠を示してある。 特に会津と、家茂・和宮の夫婦には好意を寄せている。 戊辰戦争や明治期の会津藩出身者のエピソードが多く語られている中で、「明治二年の春、戦死者の遺族や親類に遺体探しの通達があったとき」(p250)という文章があった。 官軍が戦死者の埋葬を許さなかった、という話を何かで読んだが、本当のことだったようだ。 薩摩藩から家定に嫁いだ篤姫(天璋院)の話も印象に残る。 薩摩藩は幕府体制の強化に協力するために送り込んだのだが、後には討幕派の先鋒となる。節操のないことだ。天璋院は、明治になり、薩摩に帰るよう勧められても、それを拒み、徳川の女性として生涯を終えたという。節婦である。 なお、一時話題になった和宮替え玉説については、成立しないとして退けている。
2001.10.24
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(著者:宮崎市定/礪波護|出版社:岩波書店) 『現代語訳 論語』で、なぜそのように訳したのか、その理由が詳しく述べられている論文集。 1は、論語の読み方についての、著者の考え。 2は、孔子とはどのような人物であった。 3は、論語を読んだ人たちの紹介と、それに対する見解。 とくに1がわかりやすい。論語について述べているだけでなく、自分の研究姿勢を明確にしている。 例えば、「どうもいままでは解釈さえつけばあとは構わぬ。文章として捉える努力が払われない。特に文勢、文章の勢いのリズムに無頓着過ぎたのではないか。」(p130)という批判には説得力がある。 また、1で述べられているエピソードが面白い。 濱田耕作という考古学の先生がこう言ったというのである。「西洋の横文字の本は読めばよくわかる。だから読んでいるとだんだん頭がよくなるような気がする。いや、読まないでも横文字の本を書棚へ並べて、それを見ているだけでも、何だか頭がよくなる気がする。ところが漢文というものは実に分からないものだ。漢文は読めば読むほどわからなくなる。それを無理にわかろうと思って読むと頭が悪くなる。その証拠には支那の学問をしている学者というのはたいてい頭が悪い。お前たちはそうなるな」(p35) これは、最後の「「論語読み」の楽しみ」でも述べられている。 よほど印象に残っているらしい。
2001.10.03
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