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(1)2009年はかつての日本の1998年、1999年に対応する? (2)相違点は何か? 筆者は「歴史は繰り返す」とか「経済それ自体が循環する」とは思っていないが、経済やマーケットには時点が変わっても共通の原理が働くことが多いと思うので、過去の経済とマーケットを参照して、現在及び将来の市場について考えることはある。 最近よく考えているのは、「金融危機」といわれる現在のマーケットの状況と、日本のバブル崩壊後の経済とマーケットの推移だ。 詳しくは1月31日の楽天証券新春講演会でお話ししたいと思っているが、大まかにいうと、アメリカを中心とする世界経済のサブプライム問題発生(2007年夏)以降の推移は、1990年代の日本経済をVTRの早廻しで見ているようだ、と思っている。 (1)2009年はかつての日本の1998年、1999年に対応する? 昨年(2008年)の第一四半期は、株価が急落し始めた1990年から株価的にはバブルの一番底(日経平均で14,194.40円)をつけた 1992年に相当する。その後、日本経済は1993年にはバブル後はじめてマイナス成長入りするが、一時的に立ち直り1995年、1996年には2%台後半の成長率を達成する小康状態に入る。これに対応するのは昨年の5月くらいから夏にかけて、資源価格の高騰が問題になった時だろう。ところが、消費税率引き上げ決定などをきっかけに、もともと不良債権処理が不十分であったことから1997年3月に景気は「山」を付けて下降線に入り、1997年には三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券などが破綻する(かつての消費税率引き上げに近い印象のイベントは、ECBの最後の利上げだ)。 山一が破綻したのは1997年の11月だったが、これに対応するのが昨年9月15日のリーマン・ブラザーズの破産だ。大手金融機関の破産以降、金融取引が凍り付き、消費・投資共にマインドが急速に後退して不況に入る展開は、90年代の日本と現在の世界経済(主にアメリカ)では、よく似ている。 1998年には大手銀行に第一回目の公的資金投入が行われる。これは、急ごしらえの委員会を作って「大手行はいずれも健全である。従って、公的資金を投入しても、これが毀損する心配はない」しかし「大手銀行の経営の健全性を強化するために公的資金を投入しよう」という論理の、訳の分からないものだったが、公的資金投入からさして間を置かずに日本長期信用銀行が破綻し、巨額の資金を使って一時国有化されることになった。 昨年、アメリカでも大手銀行に公的資金の投入が行われたが、その後、巨額の資金を使って、シティグループやバンク・オブ・アメリカを救済する事態に立ち至った。 銀行の損失がいくらあるのか分からない状況で公的資金を入れても、それで足りるのかどうかが外から見ても分からないから信用されないというのが共通の教訓だが、つまらないところまでよく似ている。 2009年の米欧及び日本の経済は、あの頃の日本の1998年、1999年の状況に近いのではないかと思っている。 年度ベースで経済成長率の推移を見ると、バブル崩壊後の日本で一番ひどい年が1998年で、実質成長率はマイナス1.5%だった。日米ともに、2009年はこれに近い状態になる可能性が大きいと、筆者は考えている。先行性の高い指標の悪化はまだ収まっていないから(悪化の「加速度」がまだ小さくなっていない)、実態経済は、米・欧・日ともにこれよりも悪くなる可能性がある。 ところが、1998年度は株価を見ると、日経平均で4%強しか下がっていない。また、1999年度は、経済成長こそ0.7%と冴えないものの、株価は約28%上昇する。経済の最悪(に見える)状態は、株式投資にとっては格好の買い場なのだ。 特に不動産(優良物件)について、不動産関係者に聞くと、不良債権と共に買うようなビジネスにとっては、1999年こそ最高の買い場だったという。不況の時は、資産価格が下がるし、投げ売り(金融機関、不動産業者いずれからも)が出るから、これまた、資産の格好の買い場になる。もちろん、金融が緩和されて、資金コストが下がることの影響も大きい。●(図)90年代後半の日本経済とマーケット (2)相違点は何か? この後の推移も含めて、現在のアメリカを中心とする世界経済の推移と、かつての日本経済との相違点も、もちろんいくつかあると思う。 重要なのはスピードの違いだが、一つには、特にアメリカにあって、金融機関に損失が集中しやすく、損失が表れるのが早い(かつての日本よりもという意味で)ことにあるのではないかと思う。たとえば、アメリカの住宅ローンは、担保物件を金融機関に渡してしまえば借り手の義務は終わりなので、金融機関に損が表れやすいが、借り手へのダメージは日本の住宅ローンよりも後に残りにくい。また、今後を考えるうえでも、金融機関の損失を処理して、資本を手当てすれば、経済が常態に復するのは早いはずだ。 また、今後を考えるうえで、ネットバブルとその崩壊のような次のバブルとその崩壊が直ぐになさそうな点がかつてと今とでは異なるし、経済政策も異なるはずだ。 いずれにせよ、単純に歴史が繰り返すと思っているわけではないのだが、2009年は、経済状況は厳しいが、投資にあってはチャンスではないだろうか、という仮説を立てつつ、筆者は、経済ニュースとマーケットを見ている。
2009年01月23日
(Q1)あなたにとってインデックス投資とは何か? (Q2)現在イチオシの投資法は何か? (Q3)投資の初心者は最初に何をすればよいか? (Q4)投資にあって「これだけは、やってはいけない」ということは何か? 今月某日、筆者は、あるインデックス投資の愛好家が主催するイベントの、パネルディスカッションに出演することになった。主催者と打ち合わせたところ、パネルディスカッションで取り上げる質問をあらかじめ4つほど提示していただいた。今回は、これらの4つの質問に答えてみよう。質問は以下の4つだ。(Q1)あなたにとってインデックス投資とは何か?(Q2)現在イチオシの投資法は何か?(Q3)投資の初心者は最初に何をすればよいか?(Q4)投資にあって「これだけは、やってはいけない」ということは何か? 特に、Q1については、時間の関係で、私は、件のイベントでは、長時間話すことができないようなので、少し詳しく答えよう。 (Q1)あなたにとってインデックス投資とは何か? 私にとって、インデックス投資とは、株式投資にあって「ローコストな分散投資の手段」ということに尽きる。インデックス・ファンドはアクティブ・ファンドよりも、運用報酬と(投資信託の場合、信託報酬)売買手数料が安いことが多く、この点がインデックス・ファンドの最大の魅力だ。これは、投資する主体が個人であっても年金基金のような機関投資家であっても変わらない(注:筆者は、国家公務員共済組合連合会の運用委員会の委員を務めている)。 インデックス・ファンドに運用結果が勝るアクティブ・ファンドを「事前に」選ぶことができず、インデックス・ファンドの方がローコストである以上、論理的には、アクティブ・ファンドを買う理由は、非合理的な好き嫌い以外にない。 インデックス・ファンドがリテール金融機関で売られている投資信託なのか変額保険なのか、ETF(上場投資信託)なのかということについては、本質的な違いがあるとは思っていない。リテールの投資信託は小口で売買できることが便利だが、今のところETFよりも傾向として信託報酬が高いのが難点だ。 一方、ETFは、純資産と売買価格との乖離、出来高が小さい場合の売買の流動性の乏しさや上場廃止リスクといった、ファンドによっては難点になりやすい要素を持っているが、残高・売買が十分大きくなったファンドにおいてはこうした問題が実質的にほとんどないので、これを資産形成のための投資手段として有効に使うことができる。 ETFの場合、信託報酬が安いことが圧倒的な魅力であり、現在、インデックス・ファンドに投資する場合の、第一の選択肢だろう。ただし、ETFが、個別の上場株式のように、信用買いや空売りができることについては、インデックスに関して先物やオプションがあるので興味がない。 また、リテールの投資信託も、手数料コスト(特に信託報酬)が下がれば、ETFに勝る投資対象になる可能性がある。 対象とするインデックスのポートフォリオとしての内容には優劣があると考えている。たとえば、ポートフォリオとしての日経平均は、値嵩株のウェイトが過剰に大きく、いわゆるハイテク株の比率も高いため、投資するポートフォリオとして、バランスが取れていない。このため、日本株に投資するのであれば、 TOPIX(東証株価指数)の方が「いいポートフォリオ」だと考えている。米国株のインデックス・ファンドを考える場合も、いわゆるニューヨーク・ダウよりもS&P500の方が「いいポートフォリオ」だろう。 ただし、TOPIXやS&P500のような時価総額ウェイトのインデックスが「特別にいいポートフォリオ」だとは考えてはいない。古い投資の教科書では、これらを、CAPM(資本資産市場モデル)の「マーケット・ポートフォリオ」であるかのように扱うことがあるが、CAPMのマーケット・ポートフォリオは、全てのリスク資産を時価総額ウェイトで保有するポートフォリオなので、特定の一国の上場銘柄だけのポートフォリオとは別物だ。また、CAPMは、前提条件が現実に成立していない。 従って、投資対象は、有名な株価指数以外のインデックスやアクティブな株式ポートフォリオであっても構わないと思っている。要は、ポートフォリオとして好ましい性質(十分な分散投資など)を持っていて、ローコストであればいいのだ。投資の目的によっては、TOPIXやS&P500以外の選択肢もあり得るし、カスタマイズされたベンチマークを使う運用の可能性も有望だ。 (Q2)現在イチオシの投資法は何か? 第一の選択肢としては、拙著「超簡単 お金の運用術」(朝日新書)や当連載の七十回目で書いたように、リスク資産部分を日本株4割、外国株(MSCI-KOKUSAIで代表している)6割の比率で投資するのがいいと思っている。その実現手段として、目下最もローコストなのは、ETFだろう。 リスクを取りたくない運用金額に関しては、個人向け国債(変動金利型10年満期)かMRF(マネー・リザーブ・ファンド)をお勧めする。 しかし、もう少し運用を楽しんでみたい人には、個人的に日本株については、株価が大きく下がった株(東証一部で、株価100円以下の銘柄)を数十銘柄まとめて買うのがいいと思っている。大きく下げたものの中には、倒産するものもあるかも知れないが、残った銘柄の景気が回復したときのリバウンドで、十分以上に相殺されるだろう。 (Q3)投資の初心者は最初になにをすればいいか? どのような投資家になりたいかで、やるべきことは少々異なる。スポーツや将棋・囲碁のようなゲームでも、どのレベルを目指すかによってやるべきことには、違いがある。 初心者の場合、(1)基礎的な知識をインプットすること(できるだけ良質の解説書を読んで欲しい)、(2)自分の家計がどのくらいの大きさのリスクを取ることができるか見極める作業をすること、(3)インデックス・ファンドを買ってポートフォリオを作ること、だろうか。 自分で銘柄を選び投資ウェイトを決めて株式のポートフォリオを作るような投資家(あるいは運用のプロ)を目指す人の場合は、基本的な知識のインプットを別とすると、「情報(=刺激)」と「反応」の組み合わせをたくさん見るべきだと思う。 典型的には、企業の業績予想の発表と直近迄の情報とを比べてその「差」(情報上のインパクト)と株価の変化を多数見ることが重要だ。たとえば、万一、筆者が株式のファンドマネジャーを一から育成することになったら、マン・ツー・マンでこのトレーニングをするだろう。 (Q4)投資にあって「これだけは、やってはいけない」ということは何か? いくつかのレベルがあるが、第一に、自分が理解し納得できない商品に投資してはいけない。他人にも説明できるくらいに自分で理解したもの以外に対して、お金(あるいはリスク)を動かしてはいけない。 第二の注意をあえていうと、「自分がアドバイスを求める専門家から運用商品を買ってはいけない」ということだ。 銀行員に運用を相談してその銀行から運用商品を買う、という形だと、この銀行員は、忠実で正直なアドバイザーとして機能し得ない。証券マンでも同様だし、金融仲介業を営むファイナンシャル・プランナー(FP)も同様だ。
2009年01月09日
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