坂東市進学塾 スタディ・ポート 港日記
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2023年3月に行われた茨城県立高校入試の実施状況が発表されました。昨年までは公表されていた「問題ごとの正答率」、「出題の狙い」、「採点後の所見」についての記載はいっさいなくなりました。(6月2日時点。希望としては追加で明らかにしてほしいところではあります。)そのため、「どの問題が難しかったのか」とか「この選択肢を選んだ人が多かったのか」といったことは全くわからなくなってしまいました。以下が平均点と得点分布です。平均点過去5年推移。国語 58.6→59.2→63.6→78.1→69.9社会 55.3→57.4→56.2→61.9→63.9数学 49.3→52.4→39.7→46.6→48.1理科 57.1→58.9→54.7→49.9→57.3英語 53.1→56.2→53.4→50.3→50.8合計 268.6→284.1→267.6→286.4→290.0「記述問題」の復活が宣言されており、たしかにそれはその通りだったのですが、国語でいえば「要旨を60字でまとめなさい。」とか「資料から読み取れることを200字で書きなさい。」いった問題は出しようもなく、本文中から「24字で抜き出しなさい。」「12字で抜き出しなさい。」「13字で抜き出しなさい。」という書き抜き問題しかなく、これだと文字の数を1.2.3.4と数えられれば誰でもできてしまい、外観上は「look 記述問題」なのですがここまで出題が制約されることには作問者に同情せざるえません。英語も同様で英問英答問題も以前は全文記述だったので、答える文章は代名詞を考えて、過去形で聞かれたら動詞を過去形に書き換えて、さらには内容を要約して答えるような問題だったのですが、答えの文章を書いてくれていて空いている穴3つを埋めればよいだけになりました。英語の平均点が下がっているのは「あなたの意見を書きなさい。」という問題が消えて12点分が整序問題になったため理解が曖昧な人の点数が伸びにくくなっただけで、以前のように学力上位者が英語の表現力や発想力で差をつけてやろうということはできなくなりました。さらに深刻なのは社会で昨年は記述問題が2問のみ(「インフレーション」と「プランテーション」)で今年これどう解決するのか注目していたのですが「ASEAN」、「国会を開く」(5文字)、「刑事」裁判(2文字)、「地方債」(3文字)、「バリアフリー」とたったこれだけで結局平均点は上がってしまいました。いま塾の社会の授業ではASEANのような「アルファベット」、それから「カタカナ」は特に注意して覚えるように言っています。その一方で「墾田永年私財法」とか「民撰議員設立建白書」とかは出ないからとか言ってしまっています。漢字が難しいですからね。こんなことで良いわけはありません。資料を見て考え記述させる問題も出ません。ほんの何年か前に「過疎地のバスの利用方法」として「貨客混載」を考えさせるといった先進的な試みがなされていたのですがそういった問題は全く考えられません。個人的には採点ミス問題があったときに偉い方々で構成された第三者委員会から出された「答案の返却」提言にハイハイと応じてしまったところに端を発していると思われます。「茨城県の教育」を考えたときに、この方向で本当によいのか真剣に考えてほしいものだと心から願っています。出題者に自由な発想を!採点者に判定の裁量を!ということを強く思います。採点ミスはいけませんが、判定は現場の裁量で全然かまわないと思います。入試というのは学校側が「一緒に勉強したい生徒を選ぶ」手段です。「俺がルールブックだ。」という姿勢でいいのではないのでしょうか。(追加)水戸一高、土浦一高の定員がそれぞれ240名→160名になります。今年461点を超えた生徒は353名います。トップ校の受験者は極度の緊張を強いられとにかくミスをしないことが合格の条件になります。偉い方々には考えてほしいことだらけです。
2023.06.02
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