今日も他人事

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2025年03月31日
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カテゴリ: ガンダム
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先日、サークルメンバーと飲んでた時に、ガンダム好きの後輩の子と『ジークアクス』の話をしまして。

で、その子が『ジークアクス』で 「昔からよく話題になっていた×××がいない場合について、公式から見解が出た」 と言ってきたので、
「いや、あれは庵野監督のパラレルであって公式の見解じゃないでしょ」って答えたら、
「いや、でも公式から映像化されたじゃないですか」と言ってきたので、
「でも、オリジンやサンボルは映像化されたけど、初代とは違うじゃん。あれと同じだよ」 くだらねえ やり取りをしてました。

なお、それを聞いてた別の後輩の子から「いや、お二人は本当、ガンダムが好きなんですねぇ」と生暖かい反応が返って来たので、「そうだね、君がFateは好きだけどFGOはもうついていけないって数年前からログインしなくなったのと同じぐらいには好きだよ」って内心で思ったけど、流石にぐっとこらえて言わなかった。だって、もう40歳の良い大人だしね…… 良い大人はアニメの話で口論したりしないと思うの。



よく誤解されガチだけど、ガンダムシリーズは「つながってるもの」と「つながってないもの」がある。

分かりやすく言えば、「宇宙世紀(UC)」シリーズと「それ以外(アナザー)」である。

……まぁ、「∀ガンダム」の登場により、この辺、ますますややこしいことになってしまった訳だが。 詳しくは黒歴史を参照。

ちなみに、「それ以外(アナザー)」にも、それぞれのシリーズがある。『SEED』や『ビルドファイターズ』辺りが分かりやすいか。シリーズ化せず、単発で終わるアナザー作品が多いから、若干、分かりづらいかもしれんけど。

さて、この「宇宙世紀」シリーズが厳密な意味で続編であり、正史かというと、実はそうでもない。

例えば、富野監督が担当された映像作品だけを並べても、

『機動戦士ガンダム』TV版or劇場版
『機動戦士Zガンダム』TV版or劇場版
『機動戦士ZZガンダム』TV版
『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』劇場版
『機動戦士ガンダムF91』劇場版
『機動戦士Vガンダム』TV版


こんだけある。ちなみに、『機動戦士ガンダム』と『機動戦士Zガンダム』はTV版と映画版で結構、違う。
『機動戦士Zガンダム』TV版から『機動戦士ZZガンダム』TV版はつながるけど、『機動戦士Zガンダム』劇場版から『機動戦士ZZガンダム』TV版にはつながらない。要するに、こっちが正史、あっちが偽史、と言えるものではないのだ。

さらにややこしいことに、「宇宙世紀」シリーズには 「同じ時間軸をベースにした後付け外伝作品」 がいくつも存在する。分かりやすいのが『ポケ戦』や『08小隊』、『イグルー』などの一年戦争物。




これらは『機動戦士ガンダム』の隙間、空白部分を埋める形、つまり、外伝として成立している。他にも、

 『スターダストメモリー』は『機動戦士ガンダム』と『機動戦士Zガンダム』の間
 『ガンダムセンチネル』は『機動戦士Zガンダム』と『機動戦士ZZガンダム』の間
 『機動戦士ガンダムUC』『閃光のハサウェイ』『機動戦士ガンダムF90』は『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』と『機動戦士ガンダムF91』の間
 『機動戦士クロスボーンガンダム』は『機動戦士ガンダムF91』と『機動戦士Vガンダム』の間




・・・ところが、そういう隙間を埋めるのではなく、真向から 「いや、こういうのもありじゃない?」と描くパラレル作品 もある。

それが『オリジン』であり、『サンボル』であり、今回の『ジークアクス』の前日譚(Begging)である。今回は映像作品に限っているので割愛するが、個人的には 近藤版 も含めたい…… あれはいいものだ!






これらの作品は、隙間を埋めて愉しむのではなく、むしろ、新しいピースで元の絵を塗り替えていくようなものである。



そうではない。

要するに、 "正史"なんてものははなから存在しない のだ。物語毎に用意され、紡がれていったエピソードの羅列があるだけ。

だから、"正史"がある、こうあるべき、という発想そのものが無意味というか、初めから論外なのである。

……なのに、私達が"正史"があるように錯覚しがちなのは、公式メディアや各種ゲーム(『Gジェネ』や『ギレンの野望』)を通して、「正史っぽい」もの、パッケージングされグルーピングされた何かに触れてしまうからだと思われる。




別に公式が悪いのではなく、単に公式は娯楽作品として都度都度、金になるものを出してくるだけなのだけど、その結果、それを受け取った私達の頭の中で勝手に"正史"が紡ぎあげられていくのだと思われる。

逆を言えば、何を"正史"と思うかは受け取る側の自由なのではなかろうか。

『機動戦士ガンダム』以降は一切繋がってないという人もいれば、『UC』は受け入れられないという人もいるだろうし、パラレル以外の映像作品は全部OKとするのも有りだと思われる。

これは決して公式を無視した身勝手な行いではないと思う。

寧ろ、ガンダムというコンテンツに限って言えば、そもそも公式の方が固定的な"正史"を作りだすことを避けている節があって、それは多分、その時毎の企画や脚本を優先できるようにするための配慮(?)なのではないか、と。そこに"正史"がある筈、あるべき、あらねばならんと考えることの方がよっぽど視聴者としては傲慢なのではなかろうか。

もし、どうしても、そこに決まった形を求めるなら、それはもう 「富野監督が連続して作成した初代からV」 以外ないと思う。勿論、そこには結末の異なる劇場版『Z』も入らないし、初代は『劇場版』と『TV版』のいずれかのみでなければならない。

でも、そんな固定化に何の意味があるのだろう?娯楽としての可能性をただ、狭めるだけではなかろうか。

……え、アージェントキール仕様?  私にも納得できる設定とできねえ設定があるんだよ……!!




余談だが、『FGO』も『Fate』シリーズの最新作ではあるが、最初の『Fate/stay night』とは別時空のお話だし、『月姫』と『空の境界』もそれぞれ別時空のお話である。




奈須さんの世界観に基づいて構成されているという点では同じだが、それらの物語毎に別々の世界線があると考えた方が良い。

だから、『FGO』は『Fate』シリーズの"最新作"であるが、"続編"ではないのである。ややこしい。

ちなみにFDとして発売された『hollow』は後日談だけど、あれも続編とは言い難い。何故かと言えば、どのルートの派生として考えても不自然さが残るから、である。寧ろ、それを逆手に取った作品なんだけど……今回は割愛。




ちなみに、虚淵先生の『Fate/Zero』は 厳密には『stay night』の前日譚ではない し、三田先生の『事件簿』は 『stay night』と同じ世界観を共有する物語 なのだ。もうわけわかんねえな、これ。 考えるな、感じろ。




※4月2日追記

勿論、この"確たる正史がない"ことにはデメリットもある。

それは、 本気で設定を追い掛けようという気持ちが薄くなる、 ということ。

その時の企画や脚本の都合で設定が捏造されていけばいくほど、その物語を成り立たせている土台のような何か……リアリティとか、真実味のような……が徐々に失われていく。

フィクションにおける設定とは要するに"土台となる嘘"なのだが、その"嘘"はフィクションをドラマとして楽しむための生命線のようなものと言っていい。例えば、ミノフスキー粒子という設定――嘘――が存在しなければ『機動戦士ガンダム』という物語は成り立たなくなる。

しかし、その"嘘"に意味が感じられるのは「この設定を知りたい」「この設定には価値がある」そう思いこめている間だけ。

嘘は積み重ねれば積み重ねるほど、その信憑性が薄くなってしまう。だから、物語を構成する嘘は最低限であることが望ましいし、矛盾するような嘘は決して吐いてはならない。

何故なら、矛盾した嘘を吐いた瞬間……正確には矛盾していることに観測者に気付かれた瞬間、"素晴らしい物語"は"空虚な嘘っぱち"に成り下がるから。これをロジックエラーと呼ぶ。詳しくは、 『うみねこのなく頃にEP6』を参照。

これは宝石に例えると分かりやすいかもしれない。

宝石に値打ちが付くのは、人間が"宝石には値打ちがある"という共通幻想を抱いているからで、誰も"値打ちがある"と信じていない限り、その"宝石"そのものに価値は存在しない。ただの光る石コロでしかない。

物語や設定も同様である。

"素晴らしい"物語や設定は、観測者が"素晴らしい"と感じているから"素晴らしい"のであって、誰も認めない限り、それ単体では唯の"嘘"の羅列に過ぎない。誰かが観測して"素晴らしい"と感じた時、初めて価値を持つ。

アマチュアなら"素晴らしい"と感じるのは作者本人だけでいい。

しかし、金銭的価値を求めるなら、別の誰かが"素晴らしい"と感じなければならない。

その点で行くと、先述した『ガンダム』も『Fate』も申し分のない"素晴らしい"作品だ。

……問題は、この"素晴らしい"という感覚はナマモノだということ。

"素晴らしい"と感じなくなった時点で、関心は失われ、そこに金銭的価値は生じなくなる。売り物として機能しなくなる。

だから、物語は難しい。

物語を紡ぐ為に吐いた新しい"嘘"が、結果的に過去に抱いた"素晴らしい"という感情さえも台無しにしかねない……最悪、そんなことだって起こり得るからだ。





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最終更新日  2025年04月19日 00時44分53秒
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