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2010年08月07日
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カテゴリ: 家族・親族
このところ、息子の葡萄畑の手伝いに行くことが続いていた。

春先からの天候にはまあまあ恵まれてはいたのだが、
七月に入ってからのジメジメした天気や蒸し暑さのせいなのか、
ここにきて病害虫が次々と襲ってきた。
自然農法をめざしているため、農薬は極力使わない方針で、
使用するとしても私にはよくわからないが微生物などを活用する生物農薬(?)だそうで、
つまりは即効性がないもののようだ。
というわけで、襲い来る害虫には強い効力もなく、

中でも、「ブドウトリバ」という虫は、葡萄の中に食い込み次々と食べてゆく。
結果からいえば、現在のところ八割はやられてしまったようだ。
私たち助っ人は、ブドウトリバに食いつかれた被害葡萄をせっせと摘み取り、
その他の虫も含めて一つ一潰したり、
葡萄の木の根元の草刈などなど・・。
マイナス志向性の強い私などは、被害の現状を認識するにつれ、
ほとんど絶望的な気持ちになってくる。

私がこんな気持ちになるのだから、
毎日毎日必死に葡萄と向き合って
可能な限りの注意を払ってきた息子の気持ちはいかばかりかと胸が痛んでいた。
そして、できるだけマイナス志向の言葉を吐かないようにと注意していたのだが、

「せっかくここまで来たのに、残念だね。大丈夫かい?」
「大丈夫かい?」とは、精神的にも体力的にも、
そしてやっと今年ぶどうがワインとなり金銭的にもあてにしていたのだろうにという、
経済的なことすべてを含んでいるのだが・・。

それに対して息子は、深刻な顔も見せずに言った。

 原因がまったくわからないなら手の打ちようもないけど、一つ一つがこれからの参考になる。
 それにね、自分でも不思議なことに、こんな被害を見ても絶望的な気持ちにならないんだよね。
三年目に収穫するって云うのも、
余市の農家の人たちがそうしているのが常識になったわけで、
この畑は来年から収穫と思えばいいんだ」

私は思わず息子の顔を見てしまった。
私に心配かけまいとしての強がりではないかと思ったのだ(どこまでもマイナス志向の母である)。
彼の顔は、心底「まあ、何とかなるでしょう」という顔をしている。
考えてみれば、息子が葡萄栽培に関わるようになってすでに12年。
この畑では初めてではあるが、かなりの経験者でもあるのだから、
その経験知あっての言葉でもあろう。


その顔を見て、私も心底ほっとした。
彼がこのように考えられるのなら、きっと何とかなるだろうと。
農業は天候や自然と戦うものではない。
お互いに折り合いをつけながら、生きてゆく道を探るのだと云う信念が彼にはあるようだ。
毎日自然の中で働いていると、そのような気持ちになるらしい。
確かに、息子の畑で見る人影は私たちだけ。
息子はほとんと毎日一人でここで働いている。
春先のウサギやエゾシカ、熊のたぐいから始まって、
次々と芽吹く木々や草花(私たちは雑草というが)、そして子孫を残すために必死な虫たち、
すきあらば勢力を伸ばそうとする雑菌たちだって生き物だ。
「ここで働いていると、人間よりも動植物とのコミュニケーションの方が大事だとわかるよ」と
なんだか、仙人に近付いているような気さえしてしまう言葉を吐く。

私たちは人間なのだから、人間とのコミュニケーションを二の次にされては本末転倒だが、
今のところそんな心配もないようだ。
孫も小学校五年生になったため、息子の奥さんも一緒に畑で働く時間が増えている。
二人が一緒に作業しながら、
息子が色々と奥さんに葡萄の状況などを説明しているのを耳にすると、これもまたホッとする。
夫婦と家族が仲良く働き、私たちのような「おじいちゃん、おばあちゃん」もできることは手伝い、
時には子どもたちも一緒に汗を流す。
生き物としての人間にとって、これは一番大切なことだろうと思う。
そう、きっと何とかなってゆくだろう。
自然と助け合いながら生きることを忘れなければ・・。





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最終更新日  2010年08月07日 10時30分08秒
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