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前回、ミケランジェロはダンテの「神曲」をモチーフに「最後の審判」の壁画を描いた。と言う紹介をしましたが、そもそもダンテの「新曲」は、ヨハネの黙示録に根ざしたものです。
今回はヨハネの黙示録に少し触れたいと思います。
最後の審判 2 (福音書と黙示録)
システィナ礼拝堂の「最後の審判」、そして「黙示録」

システィナ礼拝堂は教皇を選出するコンクラーヴェ(Conclave )の会場でもあります。
「鍵がかかった」の意があるように、従来は選挙が終わるまでこの部屋に缶詰にされたようです。(2005年に閉じ込められる慣習は廃止。)
投票後には票の集計、数の検査、投票用紙の焼却がおこなわれ、教皇が決まれば白い煙、決まっていなければ黒い煙があがって知らせるようになっている。
福音書
キリスト教の聖典(新約聖書)は、4つの福音書と歴史書(使徒言行録)書簡(パウロの書簡)(公同書簡)と預言書からなっています。
イエス・キリストの言行録(イエスの生き様とその教え)を弟子4人がそれぞれまとめて伝承したものが福音書
とされていますが・・。
実際「四福音書」が正典とされたのは紀元4世紀頃だそうです。
新約聖書に納められた四つの福音書は、福音書記者の名をとってタイトルされています。
マタイによる福音書 (80年~85年ごろ成立?) 天使のモチーフが象徴
マルコによる福音書 (65年~70年ごろ成立?) 獅子のモチーフが象徴
ルカによる福音書 (80年~130年ごろ成立?) 牡牛のモチーフが象徴
ヨハネによる福音書 (90年~110年ごろ成立?) 鷲のモチーフが象徴
直弟子で使徒(十二使徒)の執筆と信じたい所なのでしょうが、書かれた推定年代も異説あり、実は全て論議の中です
。
キリスト教の教義がまとめられたのはパウロ以降です。執筆が直弟子の可能性は無いと思われます。
誰が書いたか? は、さておき、4つの考方の異なる教派が存在していたと言う解釈もあります。
わかっている事は、 最後に書かれたものが「ヨハネの福音書」
だと言う事です。
ヨハネの福音書は、いろいろな意味において他と異なります。
福音は、「良い知らせ」という意で、エウアンゲリオン ( Evangelion・ Evangelium ) と呼ばれますが、 。 古代ギリシャでは、エウ(良い)アンゲリオン(知らせ)で元はめでたいニュースの意だったそうです。
※ アニメ「エヴァンゲリオン」は、エウアンゲリオンをラテン文字表記した「Evangelion」に由来するそうです。)
ヨハネのによる福音書とヨハネの黙示録の著者は同一人か?
12使徒のヨハネはキリストの母マリアを託され、聖母をエフェソスに送りその後逮捕されパトモスに流刑され流刑地で執筆したと伝えられている。
年代的にも疑問があるし、
3つの福音書がほぼ同じ事を表記しているのに対して、ヨハネだけは内容も取り上げ方も別物
です。
例えば、ヨハネの福音書にはイエス誕生の話はありません。
イエスの生涯の出来事よりも イエスの教えに重点がおかれ、思想、神学的
と言われています。
ヨハネの流刑地パトモス島
リンク ヨハネとヨハネの黙示録 in Patmos
リンク パトモス島 聖ヨハネ修道院
エフェソスのマリアの家
リンク 聖母マリアの家とマリア崇敬
ヨハネによる黙示録
新約聖書の最後に記載された預言書的性格を持つ書です。
神が選ばれた預言者に与えたとする「秘密の暴露」、あるいはそれを記した黙示記録です。
ヨハネはパトモス島で神から啓示を受け、それを書き記したので、「ヨハネによる黙示録」と呼ばれている
。
黙示録のギリシャ語の原語は「アポカリプス」。「開封する」「ふたを開ける」「幕をはずす」と言う意味を持つそうです。
福音書のヨハネと黙示録のヨハネはやはり別人の可能性があります。しかし、黙示録の書き出しによれば、パトモス島に流刑された(十二使徒の)ヨハネと記されている。
この黙示録で最初に示されたのが(第1段階)、この世の滅亡の始まり方、最後の審判が始まる前章です。
第七の封印がとかれ、第七の天使のラッパが吹かれた時に大いなる災いが起きる
事が
書かれています。
下は、ミケランジェロの最後の審判図から部分です。
ミケランジェロの作品で7人の天使が笛を吹いています。最後の審判の図はここから始まるわけです。
ラッパが吹かれて即審判に見えますが、黙示録によれば審判は第4段階になりまだまだ先です。
終末論と創世記は表裏一体?
ところで、システィナ礼拝堂の天井画と壁画ですが、
旧約聖書の始まり「創世記」は天地創造の物語(天井画)で、人間の起源を記した話で始まる。
新約聖書の巻末「ヨハネの黙示録」
では古い天地が崩壊して(最後の審判)終わり、後に新しい神の天地が生まれる始まりの話となっている。
最終的にはどちらも創世の話になっているように思います。
終末論と創世記は表裏一体としてとらえることも・・。
この両者のテーマをシスティナ礼拝堂に選んだのは誰だったのでしょう・・。
黙示録の紹介は・・つづく 今回写真がないですが、次回黙示録の書かれたパトモス島に行きます。
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リンク 最後の審判 1 (ダンテの神曲)
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