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日本の温泉旅館文化は世界に誇れるものだと常々考えていたが、朝日新聞‘10年9月11日夕刊で「石川県七尾市和倉温泉の「加賀屋」が、台湾資本と組んで台北から車で30分の北投温泉に和風温泉旅館地上14階地下4階90室(8割以上和室)を12月にオープン」と報じていた。 日経新聞’10年3月15日朝刊1面コラム「春秋」に、「古代ローマの建築技師が時空のトンネルを抜け、現代の日本特に銭湯風呂文化の世界を行き来する漫画が、欧州で人気が出ている」との記載もあった。日本人の多くが、風呂上がりに一杯の感覚、温泉に入った時また湯上りの爽快感や満足感がたまらなくて温泉三昧を夢見る。その温泉に最近外国人の方々が割と沢山入って来られており、喜んでおられる様子を見るにつけ、温泉・風呂空間と旅館の「おもてなし」は世界に誇れるものだと思っている。 特に中国人観光客が、個人観光ビザの発給条件が緩和された7月1日から2ヶ月間で、成田空港入国ベースで昨年比1.8倍の10万6千人に増えた。4年前に和歌山勝浦温泉の老舗「ホテル浦島」を訪れた際は、中国人観光客用の大型バスが「浦島」船着き場まで乗り入れ、2割位が中国人観光客で占められ、大浴場『忘帰洞』の中が、中国語、広東語等賑やかで、中国に‘’「忘」れて「帰」った「洞」穴‘’かと思う位だった。このペースで行くと、「ホテル浦島」の4割程度が中国人観光客で賑わうのではないかと驚いている。嬉しい悲鳴と言う有難い話だが、隣の「ホテル中の島」等は中国人団体受け入れに余り積極的で無い様なので、もの静かな温泉気分を味わいたい日本人観光客の一部は、「浦島『忘帰洞』」から、隣の「ホテル中の島」等に流れている様にも思える。しかし、中国人観光客の方も富士山麓からの眺めの次には「日本の温泉を味わいたい」ということで、日本の良さの一つに定着しつつあるのは間違いなさそうだ。漫画、アニメ、ゲーム器の次は日本の温泉文化「おもてなし」ということだ。 そこで今回は三大名湯(古湯)の一つ白浜温泉から国道42号線沿い30分ほどにある・南紀すさみ温泉「ホテルベルヴェデーレ」に日帰りでお邪魔した。すさみは昔は「周参見」と言っていた。かの故・中上健次さんの小説「枯木灘」(瀬戸内寂聴さんも中上健次さんを一押しの文人仲間)や、都はるみさんの歌「枯木灘残照」でも知られている。’’太平洋から難破船などの枯れ木が海辺へたどりつく’’と言った風情で「枯木灘」と命名されたのではと推察する。42号線沿いに道の駅「枯木灘海岸」があるが、丁度近畿高校テニス大会が行われており、「テニス」の町として売り出しているのに興味引かれた。「ホテルベルヴェデーレ」にもテニスコートがあり、沢山の高校生が宿泊していた。他の宿泊施設もテニス合宿が出来るように推奨し、町全体でテニスと言う特徴を出していた。 海際の山の上に「ホテルベルヴェデーレ」いこいの村・温泉はあり、太平洋を見渡せ、大パノラマとはこういうことを言うのかと感激した。暑さは残っているものの天気も良く、沈む夕陽がなんとも素晴らしかった。思わず歌が「夕焼け~海の夕焼け~、真っ赤な・・・」。泉質はアルカリ性単純硫黄泉で、「美人の湯」系統だった。洗い場は英語、中国語、ハングル語が併記されており、外国人受け入れ対策は完璧だった。露天には眺望抜群の岩風呂、高野槇を使った樽型風呂からも太平洋の岩礁と黒潮を望める事が出来た。行き交う舟は、潮岬(名古屋、東京)方面に向かう場合は、黒潮に乗り、燃費を抑える海路を取っていた。反対に大阪方面へ向かう船は黒潮の流れを避けて、海岸寄りに舵を切っているようだった。熊野水軍時代からの智恵なのかも知れない。 湯上りに和食レストラン「花かいろう」で熊野灘から取れたての海鮮料理に舌鼓を打った。ガラス越しにバーベキューガーデンの篝火が南国と和風のミックスで面白い雰囲気を醸し出していた。宿泊客もハワイやバリ並みの湯上り着を着て食事しており、南国そのものだ。 温泉も、和食海鮮料理も満足だった。一路42号線を南紀白浜、田辺経由高速に乗り帰路に就いた。遠いと思っていたが、大阪中心部~田辺迄は高速で2時間半程、往路(南紀方面)で常時渋滞していた、海南(下津)~広川間は片道2車線の拡幅工事が完成し、スムースに車は流れていた。復路(帰路、大阪方面)はまだ2車線への拡幅工事中だが、週末、通勤時間帯を外せば流れは良いでしょう。残暑厳しい中にも海浜のお蔭で2,3度気温が低く、南紀にますます魅力を感じた一日だった。
2010.09.13
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インターネットの時代になって英文新商品名や新分野等に、小文字頭(イニシャル)『i』が使われる事が、えらく多くなった。日本ではIは、(あい=即ち=愛)と判り易い親近感のある文字だが、ローマ数字の「I」やアルファベット数字の「1」と間違われるので、小文字『i』にして間違いを少なくするようにとの配慮があったように思う。また我が国の英語教育にも関係するが、英語の名詞は最初は大文字と決まっているので、それを逆手にとれば面白いとも言える。 インターネット(internet)が「i」で始まるので、IT新商品名には「iモード」等で馴染みが有るものが多い。小文字『i』を英語大文字の中にミックスするのは愛嬌があってなかなかいい。では、英語の母国、米国や英連邦では「i」が「愛」である訳無いので、我が国の馴染み説は相(あい)容れない話だろう。どうも米国アップル社MACの新商品命名戦略に皆がはまったようだ。 ご存じの通り米国のITヒットMakerのアップル社MACは、2004年の携帯音楽プレーヤー「iPod」の大ヒットで業績を急回復させ、日本の若者も飛びついた。 その後2006年に、京大iPS細胞研究所(CiRA、サイラ)所長の山中伸弥教授が、ノーベル賞級と言われる万能細胞(=人工多能性幹細胞)「iPS細胞」(induced pluripotent stem cell)を発見した。山中教授は、一世を風靡しているiPodを連想させ、「iPS細胞」が広く世界に普及するようにと、小文字を洒落て使ったのだ。アカデミックな「iPS細胞」を身近なものに感じさせる命名法として優れている。米国オバマ大統領が就任後、ブッシュ前大統領が凍結していたES細胞(胚性幹細胞)の臨床開始と新薬承認受理の解禁を指示した。‘10年8月下旬、共和党保守派の大反撃に遭って予算執行が頓挫した状況にある。iPS細胞の臨床応用が一段と脚光浴びた格好になっており、近未来の再生治療には欠かせない存在になりつつある。 ちょっと関連の話題になりますが、2008年秋のノーベル物理学賞・化学賞日本人4名受賞はなんとも未来のある明るい話題となったのは記憶に新しい。下村脩ボストン大学名誉教授のノーベル化学賞テーマとiPS細胞開発にも関係が有り、下村名誉教授が発見した「緑色蛍光たんぱく質(GFP)」を手掛かりにiPS細胞の万能性が見極められたことだ。下村名誉教授は余り凡人が見向きもしない『オワンクラゲ』(実は‘10年時点ではオワンクラゲはもう大量発生は有り得ない事態)に焦点を当てGFPを発掘している。同じように山中教授も両生類の『イモリ』(「ヤモリ(屋守)」じゃないですよ)を重点的に研究し、iPS細胞の探求に繋げようとされている。 「トカゲの尻尾切り」とよく言われますが、爬虫類のトカゲは尻尾が切れた後、骨は再生しない。哺乳類である人も既に尾骨は使わないから退化しているが、足手等の骨も同じように再生はしない。『イモリ』は尻尾が切れた場合、骨が再生する。細胞移植メカニズムの研究には欠かせないとのことだ。山中教授が文芸春秋’10年9月号に記載している仮説だが、「進化に伴って再生能力は落ちてくる。高い再生能力を持つ動物は同時に癌にもなり易い。高等動物は寿命が伸びていく方向に進化し、涙を呑んで再生能力を放棄したのではないか。」と言うことらしい。我々凡人は、「イモリ」をただ見ているだけで、この様な感激の仮説(視点)が生まれないと言うことだ。 ついでにiPS細胞と再生医療に触れておこう。足を切断したから直ぐ新しい足を再生という課題にはまだ直ぐには応えられない。足は相当複雑な色々な細胞で構成されているので足全体をコントロール出来る機能も含めて再生移植の研究を要する。なにしろ人の場合、1個の受精卵から60兆個の細胞が出来るらしい。また、親から受け継いだ外見に関する遺伝的資質、例えば、背の高さ、顔かたち、頭髪の特徴、視力等は、iPS細胞の遺伝子修復療法では改変する事はまだ難しい状況だ。歯も、先ず歯を支える「歯槽骨」は、再生医療が既に実用化されている。iPS細胞で歯そのものの幹細胞からの再生は、研究中だが、歯は「エナメル質」や「象牙質」、及び神経や血管等から構成されている複雑な臓器のようなものなので、まるごと歯を再生するのは、他の臓器同様まだ時間を要する状況と言うことだ。 また個別の患者毎にiPS細胞を作ると大変な手間や費用がかかる。CiRA副所長の中辻憲夫教授による白血球の型(HLA)に着目した試算では、日本人に多い型のiPS細胞の上位50種が有れば、91%が拒否反応をほぼ心配なく移植治療を受けられることが判明した。そこで、あらかじめ50種類のiPS細胞を「万能細胞バンク(仮称)」として用意しておけば、迅速なかつ安価な移植治療が可能になるらしい。皮膚細胞の替わりに抜歯された歯「親不知(おやしらず)」や「臍帯(さいたい)」等も「万能細胞バンク」用に応用可能と言うことらしい。 厚労省の専門委員会が、’10年6月30日に、患者以外の他人の細胞から作ったiPS細胞を治療に使っても良いと言う指針を発表した。なにしろiPS細胞は、日本発の夢の大型再生医療技術なので、皆さんの周りで実際の治療が進むことに期待して良いのでは。 そこでアップル社の「iPod」後の話に戻ろう。ご存じの通り、「iPhone」[iPad]とヒット商品を連発し、iPS細胞の認知と歩調を合わせるように、『i』の小文字イニシャル(頭)使用は定着しつつある。我が国の若い恋人達の間では、英語の発音が紛らわしいこともあるが「iPad(アイパッド)持ってる?」が、「うんiPod(アイパッド(XポッドX))持ってる。」と応えて、会話が成立しているらしい。確かに急いで新製品上市したこともあるので、「iPhone4」の不具合い、「iPad」の電池炎上とか、話題に事欠かない。が、これも結果としてメディア露出の広告効果を狙った、と言う穿った見方も闊歩しているようだ。 IT関係のプロがよく使う施設名で『iDC』が良く聞かれる。これはインターネットデータセンターの略だ。今後家庭やオフィスの「コンピューター」はただのタイプやボタン操作が出来る安い箱(空箱)で、データは全てiDC のようなデータセンターにあるコンピューター・サーバーに保存され処理される時代になるだろう。ウイルス対策やネット侵入防止等機密保持が担保されれば、一気に進む可能性がある。いわゆる『クラウド』(雲)コンピューターで仮想化されたネット(網)のことだ。 同じ「iDC」でも「iDC大塚家具」に使われているのはインターナショナル(国際)の「i」小文字頭使用だ。よく考えてみればインター(超越、越えて)国(ナショナル)の国際の言葉が出来ている。IT産業のIは情報(Information)で、イン(内へ)、ラテン語のフォルム(形作る)が合わさって「情報」なる言葉が出来て、共にイン(内へ)だ。『i』なるイニシャル「i」は英語では結構馴染みの言葉なのだ。 他に本年8月30日にポーランドの自主管理労組「連帯」発足30周年記念式典が行われた。東欧の民主化推進の起爆剤の役割を果たした『連帯』の指導者ひげのレフ・ワレサ元大統領(66歳)が久々に新聞紙上に登場した。なんとワレサ氏は連帯を離れていた。連帯は分裂し、現在は野党だが前政権「法と正義」(PiS)が潮流を引き継いでいる。この政党名にも『i』が使われていた。いろいろな世界に『i』は顔を出している。 日本テレビの24時間テレビ「愛は地球を救う」の放映が終わったばかりだが、今後iPS細胞の活躍が期待される「難病」への関心を呼ぶテレビ放送が多く注目した。愛とiPS細胞の共通の『i』が心を和ませてくれた。続く24時間ストライキは止むを得ないのかも知れないが、早い妥結を祈る。「愛は地球を救う」には有難う!
2010.09.01
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