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2026.01.30
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カテゴリ: 坐禅
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(1959年4月20日発行、春秋社)

朝比奈宗源老師の獅子吼 抜粋35

P.138-140 こぼれ話 その2

 国師の住山は30年にもわたったので、そのいつ頃かは分からないが、円覚寺で庫裡の勝手へ裏の山から竹の筧で水を引いたら、国師は大変機嫌がわるく、「今の若い者は体を使うことを憎んで、こんな無精をする」といわれたという。これは私の師匠の真浄老師から60余年前にきいたことだ。その時もすぐ昔の人はなぜ生活を便利にすることをそんなに悪徳とされたのだろうと不可解に思い、それを肯定した態度で話した師匠まで同様に思ったことがある。自分が80歳になって国師や師匠よりも老僧になった今日でも、この話はよく理解できない。

一、白川楽翁との問答
 国師が円覚寺に参詣に来た松平定信を出迎えたものか、二人の問答に出る般若水は当山の裏を入ったすぐ左側のちょっとした岩の下にある。以前は清らかな水がちょろちょろと出て、下のこれも可愛い滝つぼのような水たまりにそそいでいた。そこには昔から境内の十勝の一つとして般若水という立札があった。これを見た楽翁は、「般若水というが、この水にどういう仔細があるのですか」ときくと、国師はすかさず、「左様この水は四六時中、般若の真理を説き通しでありますが、あなたには聞こえませんか」と一拶した。また進んで僧堂の前へ来ると、「坐禅」と書いた牌(はい)が掛けてあるのを見て「坐禅」とは、ときくと「あなたが鉄鞋で一日中に日本国中を一めぐりすることができても、この坐禅のことばかりはお分かりになりませんよ」と、時の天下の権力者を子供扱いしたと伝えられている。なお、この般若水の上に何百年かを経た好い形の赤松があり、これも般若松と呼ばれていたが、関東大震災の少し前に風で倒れた。寺ではそれを用材に挽いて取って置くと、間もなく大震災で全伽藍が倒壊、第一期に復興した現在の庫裡の玄関を入った広い廊下の椽(たるき)はこの松を記念しようと、その板で張ったものである。





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最終更新日  2026.01.30 02:00:05


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