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2026.01.30
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カテゴリ: 鈴木藤三郎
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神/マックス・ヴェーバー/大塚久雄 : bookfanプレミアム - 通販 - Yahoo!ショッピング

しかし、コルベールの闘争からも知られるように、フランス自体でも、17世紀には、事情はまったく同じだった。オーストラリアさえもー他の諸国については黙するとしてーときおりプロテスタントが及ぼすこうした方向への影響は教派によって必ずしもすべて同じ強さではなかったようだ。カルヴィニズムは、ドイツにおいても、同じようにそうした影響を及ぼしたらしい。すなわち、ヴッパータールやその他の地方でも「改革派」の信仰(6)は、他派に比較すれば、資本主義精神の発達を促進することが大きかったようだ。たとえばルッター派に比してそれがいちじるしかったことは、大づかみにも、また個々の地方、とくにヴッパータールについても、比較してみれば分かることだろう(7)。

(6)周知のように、「改革派」の信仰は、どんな形態をとっている場合でも、ほとんどすべて多かれ少なかれ 緩和化された カルヴィニズムないしウィングリアニズムだ。

(7)ほとんど完全にルッター派に属するハムブルク市でも、17世紀にまで遡りうる唯一の資産家はある有名な 改革派 の家族だ。

スコットランドについては、バックルを始めとして、イギリスの詩人のうちとくにキーツがこの関係を強調している(8)。

(8)それゆえ、この関連を主張するのは決して「新しい」ことではない。ラヴレーやマシュー・アーノルドなどはすでにこの関連について論じている。むしろこのことに理由もなく懐疑を抱くことのほうが「新しい」ことだ。問題はこの関係を 説明する ことなのだ。

☆ウェーバーのこの注の多い「資本主義の精神」は、注をよく読みとかないと十分に理解できないところがある。その注たるや、思考が多彩におよび、読者を混乱させるところがある。

本論は

「フランスのユグノーの教会では最初から改宗者の間に修道士と産業人(商人や手工業者)が、迫害の時代にさえ、とくに数多く見出されたという事実は、まさしく特徴的な、ある意味で「類型的」なことがらなのだ」

「スペイン人は、オランダ人のカルヴィニズムは商業精神をかきたてるということを知っていた」

「カリヴィニストのディアスポラ(散財)を「資本主義経済の育成所」とよんでいるのも正しい」

とカルヴィニズムが資本主義経済(近代産業)の担い手であるというこの類型的な事象は

「(8)」の補注で、「この関連を主張するのは決して「新しい」ことではない。」

説明する ことなのだ。」と解説されている。

一層はっきりしているのはーこれも一応記憶にとどめておくだけでよいがープロテスタント諸派のうちでもとくに「非現世的なこと」が富裕なこととともに諺のようになっている信団(ゼクテ)、わけてもクウェーカーとメノサイトの場合に、宗教的な生活規制が事業精神の高度な発達と結合しているということだ。イギリスや北アメリカでクウェイカーが演じた役割は、オランダやドイツではメノサイトが演じた。このことは幾多の周知の事実によって明らかだが、とくに東プロイセンでメノサイトが兵役に服することを絶対に拒否したにもかかわらず、フリードリッヒ・ヴィルヘルム1世さえ産業の不可欠な担い手だとしてそれを放任したという事実は、この国王の性格に照らして考えるとき、もっとも有力な例証の一つだと言わなければならない。

★余談になるが、このフリードリッヒ・ヴィルヘルム1世については、台湾糖業政策について、新渡戸稲造と児玉総督との著名な対談がある。

 着任後2か月も立たないうちにすぐにジャワに製糖事業を見に行きました。私は殖産局長というので台湾の財政の独立を計画するについて、台湾にどういう産物が最も適しているかにということについて意見を書いてくれというわけでありました。私は砂糖だナと思って、それじゃとにかくジャワに行って砂糖を研究しましょうと申しますと、すぐに行ってくれということになった。それから帰って全島をわずか3週間ばかり歩きました。汽車もろくにない時分でありました。そうして台北に帰って来る、

「君、すぐに意見書を出してくれ」と後藤さんが言われる。

「わずか3週間見たくらいでありますから、意見書はもっと調べた上で差し出します」

「イヤ調べなくても良いからすぐに出してくれ」

「それは困りますナ

よく調べていろいろ参考書も見てから意見書を書きます」と申しますと

「イヤそんな事は要らない。台湾のことのよく分からないうちに書いてくれ。君が台湾の実態を知ると、眼が痩せて思い切った改良策が出なくなる。ジャワを見た眼の高い所で書いてくれ。行われない事でも何でも良いから、高い所を見た眼で書いてくれ」と言われました。その時に児玉さんも後藤さんもそういう風なやりかたであるから、思い切った事が成るのだと深く感じました。ところが実際にうとい学説や理想論などを言って頭からはねつけられると思っておりましたが、幸いにも私の意見が容れられました。

 新渡戸は、『偉人群像』(333~336頁)で、次のように語っている。

 わが輩殊に児玉将軍に接して、彼の心の動きに感服したことは、右に述べた産業意見の内に、糖業に関する意見書を総督に出したが、総督自ら読むに先だちて、関係官衙の者共が考究して、終りに総督の手元に達した。スルト総督はこの意見書を読み終って、わが輩を呼び出したので、我輩総督官邸に行くと、児玉総督は軍服を着て、唯一人机の側に坐っていた。その机の上には、我輩の意見書が一冊横たわっていた。我輩を見るや、

児玉「君、僕はこの糖業意見書を見た。しかも二度繰返して見た。一体わが輩は書類を二度も繰返すことはしない男だが、台湾財政独立の基を築く根底論であるから念を入れて見たが、そこで聴きたいことがある。君これで行けるのか。」

新渡戸「はい、行けると思えばこそ書いたのであります。」

児玉「本当にこれで行けるかね。」

新「はい、技術上、学術上から推せば、必ず行けると思います。しかし、この意見書通り、実行するかせぬかによるのであって、この中に殊に閣下に読んでいただきたいと思うところが、一ページ御座いますがお気につきましたか。」

というと暫く首を傾けていたが、

児玉「それは フレデリック大王 のことではないか。」

新渡戸「全くそうであります。 フレデリック大王 がプロシャの農政改革実行の為めに、時には警察権を用い、時には憲兵の力をかりたりして、なかなか手きびしくやりました。しかるにここに糖業を基礎として台湾財政独立を計るには、フレデリック以上の決心を要するものと思います。なかなかこの保守的の農民を相手に改良種を植え付けたり、進んで機械を用いることは容易でなかろうと存じます故に、仮に閣下が私にこれをやれと仰せられたところで、一兵卒のない技術官には何も出来ません。とに角この意見書でやるかやらないかという問題は、全く総督の決心一つによることであります。」

と述べたところ、総督は椅子から立ち上がって、部屋の中を5,6度も歩き出した。

わが輩は彼の返事がイエスかノーか、彼の態度様子について注目していた。暫くあって彼は再び椅子に戻って来て、手を振ってニッコリ笑いながら、

「君、やろう。」

この一言が即ちかの台湾糖業の今日の大発展の出発点となったのである。

児玉将軍の「行ろう」という一言は真に力強いものであった。

何ゆえなれば彼は思想の人より実行の人である。彼の履歴を見ても、実行、敢行、断行の生涯が一貫されている。

『糖業改良意見書』の中の フレデリック大王のこと を現代語訳して引用してみよう。

(「新渡戸稲造全集」第4巻291~292頁)

「昔、プロシャ国のフリードリヒ大王はその父の遺志を継いで大いに力を農業改良に尽された。父王が専ら節倹を勧めて富源の枯渇を防ぎ、もってプロシャ国の財政の基礎を建てられた後をうけて、フリードリヒ大王は一意富源涵養に志して昼夜みずから村落を巡り、直接地方の小役人に命令した。そして亜麻、穀類、牧場の牛馬より野菜類の改良に至るまで、躬みずからスキを握ろうとする姿勢をもって指導奨励の労を執り、ジャガイモに向っては特に力を注いで当時これを栽培する者は極めて稀だったのを7年間で4倍の生産額の増進させたのであった。当時、王のこの事業に熱心で非常の決心をもってこれに臨み、その施策はほとんど極端にはしったものがあった。こまかくいうと役人のジャガイモの耕作奨励に勉めない者を淘汰し、また農夫のジャガイモ耕作しようとしない者には罰金を科し、強制のために憲兵を使用したことさえあった。このように極端にはしった結果は、自然や風土の適しないことを顧みないで、人民に強制させて不利を蒙らしめたという過失を免れないとしても、今にして当時を顧みれば、プロシャ国農業の復興は実にこの時にある。この合理的強制政策の美果にほかならないことは明白であって、王の偉大な業績は千年の下忘れられないものである。放任制度の下では遅々とした農業の進歩に一刺激を加え、その速度を急にしようと望むならば、勢い国家の力に頼らないわけにはいかない。いわんや本島の糖業はプロシャ国のジャガイモと同日に論ずることはできない。糖業の興廃は実に本島の財政、そればかりでなく帝国植民政策が成功するか失敗するかに関する重大事であるから、政府のこれに対する態度は極めて丁重に、これに施す方針は必ず確乎不抜でなければならない。政府が果たしてこの決心があるならば、これを実行する方法として糖業奨励法のようなものを発布し、これに基いて適当な機関、すなわち臨時台湾糖務局とも称するようなものを設置し、支局または出張所を産糖地に配置して、上述した改良方法の実施に関する事務はすべてこれに一任して実績を挙げるように努めさせるべきである。」






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最終更新日  2026.01.30 03:00:05


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