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2026.07.23
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カテゴリ: 遠州報徳
岡田無息軒翁一代記 岡田淡山

16、幡鎌村、中野村の仕法を行う

 明治三年庚午(かのえうま)、五十九歳にして、静岡藩の命を受けて、佐野郡幡鎌村、山名郡中野村、旧復の法を施す。
 幡鎌村は当時掛川支庁の所轄たり。村高三百四十七石、戸数四十三にして、借財金三千百両に達し、中野村は中泉支庁の所轄にて、村高五百九十三石、戸数九十二にして、借財金五千七百両に及び、両村ともおのおの水旱の被害しきりに至り、ために衰退窮迫もっとも甚だし。これをもって先の領主のときより、しきりに救恤を歎訴すると雖も、時は維新の変革に際会し、上下騒擾の中にあって、いずれの国君もまたこれを顧みるにいとまあらず。ここに至ってこれを静岡藩庁に切願す。藩庁はもと二宮尊徳の法あるを知る。而して清忠のこれを篤信してやまざるを聞き、二村の請願をゆるし、清忠に命じて、これを治めしむ。清忠年老すと雖も、敢えて屈せず。曰く、「われ二村をもって、わが業の終りとせん」と、まず幡鎌村に臨み、ついで中野村に及ぶ、諭すに徳をもって徳に報いるの道をもってし、励ますに勤倹の業をもってし、その借財の額を詳らかにし、毎戸の生計を予算し、日掛縄ないの法を立て、勧農の田を置き、その租財を弁償し、毎年入札して力作者に作徳せしむ。債主に懇説して、金額を減損し、旧債を一洗して地を掃う。このとき私金をもって、低利貸付するもの、幡鎌村へ四百三十二両余、中野村へ七百両、各々年賦償還をもって完済を期することとした。
 また官庁は幡鎌村へ報徳金を貸付くること、千百両(二割元済六年賦)仕法年限中に悪地余荷金を年々金百四十八両を下与された清忠はまた別に勤農の田、地価十五両を幡鎌村へ、百十両を中野村へ出して譲田となす。数ヶ月にして方法整理なる村民大いに歓躍して、また奇特の譲田を出すもの数名に及び、隣里もみなその法の厳にして、かつ仁なるを歎称せざるはなし。爾来数年にして両村の民風儀一変して、志を家業に励み、生計日に安く、貢納期を移さず、民費の賦課徴集、日を期して至る。而して二村今に至ってますます進歩するものは中野村を最とす。
 けだしその社中に深見村伊藤七郎平、戸長秋野貞次郎の両人の勧奨怠らざるの致すところなり。清忠の法を施す多しと雖も、その全く功を奏するもの、中野村をもって大尾(たいび:最後)となす。この年九月、上下一具、ラシャ二反を藩庁より賜う。幡鎌村の功を賞するなり。明年正月また白木綿二十五反を賜う。中野村の功を賞するなり。





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最終更新日  2026.07.23 04:00:17


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