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2026.07.28
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カテゴリ: 報徳
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報徳外記

(現代語訳)
 第十七 備荒(上)
  30年ごとに小さい飢饉が来る。50年で大きい飢饉が来る。これは天変の自然の数である。
国家を保つ者は、上下おのおの王制四分の法にしたがって、平時は必ず備蓄を広め、その変事に備える。これが守中に永盛をたもつ道である。なぜならば豊年に飽食する者は、必ず凶年に飢える。豊年・凶年を均しくするならば豊えがあっても心配ない。そもそも、百畝の田は、十年の収入を調べて、その中をとって分度を制定し、耕やす三年ごとに余分に一年分を貯蓄する法を守るならば、大飢饉は論ずること無く、不慮の災害など重ねて襲っても、またどうして憂える必要があろうか。たとえ、毎年その十分の一を蓄えても、また四十年で一年の食料を得て、飢渇を免れることができる。しかし、愚かな人民がどうしてその法を知って、そして予めこれを備えることができよう。豊年のときは、米穀を糞土のように見て、口を大きく開けて飯を食べ、音をたてて流しこむ。凶年のときは、一合や一勺を珠玉のように見て、大声で泣き叫んで悲嘆する。天下はとうとうとして皆このようである。だから国君は、政教を施して、予めこれを防ぐのでなければ、どうして国民に飢えのわずらいをなくすことができようか。だから私の復興の方法は、一村が全く回復するならば、一人前一日粟五合を定めとして、各戸の人口を計算して、現在の実数を給付し、備蓄とするのである。そしてそのこれを備蓄するにあたって、倉庫は土壁とし、これを林の中に建て、樹枝で屋根を覆うのがよい。穀物は稲を刈って天日で乾かして、包んでこれを備蓄する。これは腐ったり、虫を防ぐためである。かつ禁令を立てていう、大飢饉でなければ、決して開けてはならない。穀物の売買で利がとれる場合でも、また決して許してはならないと。豊作が数年続くときには、必ずや飢饉のわずらいを忘れて、その空しく穀物が収蔵されて、腐ったり虫害があるよりは、むしろ高く販売して、安く買って、あるいは古い物を貸して新しいもの取ろうとする。ただ目前の利を計るのは、人の常の人情である。いやしくも一たびこれを動かすなら、凶歳になって備蓄の倉庫は必ず空しくなって、この用をなすことができない。だから当初、上等の穀物を選んでこれを蓄え、禁令を厳しくして大飢饉を待つならば、四五十年を経ても、また動かすことが無くてよい。よくこのようであれば、あるいは腐ったり虫害の損耗を免れなくても、大飢饉になって果たしてその用をなすのである。
質問した。これを平時に蓄えて饑饉に備える。政教、まことにそのようでしょう。今、衰廃の国は、たまたま饑饉にあうときにはどのようにしてこれに対応すればいいでしょうか。
先生は言われた。国君は人民を管理する者である。平時、政教がそなわらないで、しかも凶年に人民を死に至らせる、管理する職は、どこにあるか。そのことをどのようにして天に謝罪しよう。まして家老や郡官は、君を助け人民を管理する者であって、しかもその人民を飢えさせて死なせる。人民を管理する任務はどこにあっろうか。またどのようにして人民に謝罪しようか。国君、家老・郡官はおのおのその罪を知って、自らその身を責めてことごとくその財産を差出し、飢饉を救済する資本とし、困窮する人民とその衣食を同じくすれば、民もまた自らの過ちを知って、他に求めることがなくなるであろう。いやしくも他に求めなければ、貧富は互いに助けあい、財産の有る者も無い者も互いに融通しあい、そのほかに食べられる草木を食ってもまた飢渇を免れることができよう。
伝にいう、患難に素して、患難に行うと。国君が、いやしくも饑饉に素して、饑饉に行い、あるいは飲酒を禁じ、薄いおかゆを用いるようになれば、救済にあたっての救荒の政は、命令しなくても行われる。
庶民がこれにならうならば、一人一口の食糧を余らせるようになるのも、簡単であろう。



 第十七 備荒(上)
三十年にして小凶臻り、五十年にして大凶臻る。是れ天変自然の数なり。国家を保つ者、上下各々王制四分の法に循ひて、平時は必ず儲蓄を広め、以て其の変に応ず。是れ守中持盈の道なり。蓋し豊年に飽く者は必ず凶歳に餒ゆ。豊凶を均しくすれば則ち何の豊凶か之有らん。夫れ、百畝の田、十歳の収を校べ、其の中を執りて以て分度を制し、耕三余一の法を守らば、則ち大祲は論無く、不慮の災患輻輳するも亦た何ぞ憂ふるに足らんや。仮令、毎歳其の十一を蓄ふるも亦た四十年にして一年の食を得、以て飢渇を免るべきなり。然りと雖も、惷愚の民焉んぞ其の法を知りて、而して予め之を備ふるを得ん、年豊かなるときは、則ち米粟を糞土視して放飯流歠、年凶なるときは、則ち合勺を珠玉視して哀號悲歎す。天下滔々として皆是なり。故に国君、政教を施して以て予め之を防ぐに非ざるよりは、安んぞ国民をして飽餒の患莫からしむることを得んや。故に我が興復の法、一邑全く復するに及べば、一口一日粟五合を以て率と為し、戸口を通計し見在の実数を給し、以て儲蓄と為すなり。而して其の之を蓄ふるや、廩は則ち土を以てし、之を叢林の中に建て、樹枝の屋を蔭ふを善と為す。粟は則ち美稲を刈りて笐曬存芒、包みて以て之を蓄ふ。是れ紅腐陳蟲を防ぐ所以なり。且つ禁令を立てて曰く、大祲に非ざるよりは、必ず発くこと勿れ、糶糴利を計らんも、亦た必ず許すことなかれと。豊穣なること積年に及ぶときは、則ち必ず饑饉の患を忘れ、其の空しく蔵せられて腐螙せしめんよりは、寧ろ貴糶して、賎糴し、或いは陳を貸して新を執らんとす。只だ目前の利を計るは是れ人の常情なり。苟も一たび之を動かさば、則ち凶歳に至り倉廩必ず空しふして之が用を為さざるなり。故に当初美粟を撰みて以て之を蓄へ、禁令を厳にして以て大祲を待たば、即ち四五十年を経ると雖も、亦た動かすこと無くして可なり。能く是くの如くなれば、則ち或いは腐螙の損耗を免れずと雖も、大祲に至り果たして其の用を為すなり。曰く、諸れを平時に峙して以て饑饉に応ず、政教宜しく然るべし。今衰廃の国、偶々饑饉に遇ふときは何を以てか之に応ぜんやと。曰く、邦君は民を牧司する者なり。平時政教具はらずして而も凶饑に民を死に至らしむ、牧司の職、何くにか在る。其れ何を以て天に謝せん。況んや執政大夫及び郡官、君を佐け民を牧す者にして、而も斯の民をして飢えて死せしむ、牧民の任、何くにか在る。亦た何を以て民に謝せん。邦君大夫郡官、各々其の罪を知り、自ら其の身を責めて悉く余財を出し、以て救荒の資と為し、困民と其の衣食を同じふせば、則ち民も亦た吾が過ちを知りて他に求めざるなり。苟も他に求めざれば、則ち貧富相ひ助け、有無相ひ通じ、其の余は草木を食ふも亦た以て飢渇を免る可きなり。伝に曰く、患難に素し、患難に行ふと。邦君、苟も饑饉に素し、饑饉に行ひ、或いは飲酒を禁じ糜粥を用ふるに至らば、則ち救荒の政、令せずして行はるるなり。庶民之に效はば、則ち一人一口糧を余すこと、豈に易々たらざらんや。苟も一人一口糧を余さば、則ち百人を以て百人を養ひ、千人を以て千人を養ひ、万人を以て万人を養ふ。此を之れ財無くして而も民を養ふと謂ふ。亦た何ぞ飢渇の患有らんや。





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最終更新日  2026.07.28 07:10:54


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